口座売買と逮捕の可能性

大学生のAさんは、友人との飲み会で使うお金が足りなくなったため、インターネットで高収入のアルバイトを探していました。
そうしたところ、「簡単で高収入!」と書かれたアルバイトを見つけ、早速記載されていた連絡先に電話しました。
電話に出た男性Bさんは、「預金口座を作成して通帳とキャッシュカードを送ってほしい」と言ってきたため、Aさんは指示どおりに行いました。
それから数日後、須賀川警察署からAさんのもとに「口座売買をしていないか。犯罪なので署まで来てほしい」と電話がありました。
Aさんは逮捕されるのではないかと思い、弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

【口座売買も犯罪に】

口座売買とは、その名のとおり銀行などの口座を売買する行為を指します。
具体的には、口座を利用するのに必要な通帳やキャッシュカードを渡すという方法がとられています。
こうした口座売買については、「犯罪収益の移転防止に関する法律」(犯罪収益移転防止法)に禁止の旨と違反した場合の罰則が定められています。
犯罪収益移転防止法は、他人になりすまして預貯金契約に関するサービスを受ける目的で、預金通帳やキャッシュカードといった口座の利用に物を譲り受けるのを禁止しています。
それと併せて、上記目的を持つ相手方に対して、そうした目的があることを知りながら預金通帳等を譲り渡すことも禁止しています。
上記事例では、AさんがBさんに対してキャッシュカードと預金通帳を渡しています。
そうすると、Aさんの行為は口座売買に当たり、①1年以下の懲役、②100万円以下の罰金、③①②の両方のいずれかが科されるおそれがあります。
更に、こうした行為を繰り返すと、罰則が①3年以下の懲役、②500万円以下の罰金、③①②の両方のいずれかになる可能性が出てきます。

また、Aさんが銀行で口座を開設する行為について、銀行に対する詐欺罪が成立する可能性もあります。
金融機関としては、当然ながら口座売買が禁止されていることを把握しており、申込者に対してそうした目的でないことを確認していると考えられます。
そして、銀行が口座開設に当たって交付するキャッシュカードなども、口座を利用できる点で価値のある財物だと言えます。
以上から、Aさんは銀行を欺いて財物の交付を受けたとして詐欺罪が成立し、10年以下の懲役が科される予知も出てくるのです。

【逮捕とは何か】

刑事事件を起こすと、誰しも逮捕が一度は頭をよぎるのではないかと思います。
そんな不安を解消するために、以下では逮捕というものについて詳しく見ていきます。

まず、逮捕とは、被疑者の身柄を拘束して捜査を円滑に進めるために行われる手続です。
身体拘束という点で刑罰のような印象を受けるかもしれませんが、飽くまでも目的は逃亡と証拠隠滅の防止です。
ですので、捜査機関が逮捕するかどうかも、基本的には逃亡や証拠隠滅を図る可能性が高いかどうかを重要な指標にして決めていると考えられます。
結局のところ、逮捕するかどうかは捜査機関次第なので、こちらかは不明瞭なことも多いです。
一般的には、重大な事件(たとえば刑が重い、犯行が巧妙)であればあるほど、逮捕や証拠隠滅のおそれも大きいとして逮捕の可能性が高くなります。
口座売買の売主側であれば、さして重大でないことから逮捕の可能性は低いことが多いでしょう。

先述のとおり逮捕は身体拘束を行うものですが、期限は最長72時間と短く、更に拘束を続ける場合は勾留という別個の手続による必要があります。
そのため、仮に逮捕されたとしても、勾留を阻止して拘束を短期にとどめるための弁護活動が可能です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が、個々の事件に合わせて逮捕の可能性や逮捕後の弁護活動を説明します。
口座売買を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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