福島県いわき市の施設管理者の業務上過失致死罪

福島県いわき市の施設管理者の業務上過失致死罪

養育や看護などを目的に、子どもや老人など多くの人を生活させる場所を提供する施設において、施設管理上の過失により傷害死亡事故を起こしてしまった場合の刑事責任ついて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【刑事事件例】

福島県いわき市の老人介護施設に勤務するAさんは、入所者Vをお風呂に入れる介助をしている際、風呂の温度を調整するため目を離した隙に、態勢を崩したVが水に顔を水没させている状態になっていたことに気付かず、Vは溺れてしまいました。
Vはすぐに病院に搬送されたものの、間もなく死亡してしまいました。
現場検証を行った福島県警いわき東警察署は、注意を必要とする風呂の介助業務において、AさんがVに対する監督義務を怠っていたためにVの死を招いたと判断し、Aさんに対して業務上過失致死罪の疑いで任意の取調べを要請しています。
Aさんは自分の過失は認めており、ただ、Vさんを死なせてしまったという重大な結果を招いたことで、どのような重い処罰が下されるのか不安となり、刑事事件を専門とする弁護士に法律相談をすることにしました。
(フィクションです。)

上記刑事事件例は、平成29年、埼玉県さいたま市緑区の認可保育所のプールで4歳の女児が溺れて死亡した事故で、業務上過失致死罪に問われた元園長と保育士の判決公判が今年2月14日にさいたま地裁で開かれたことをモデルにしています。
この裁判で、元園長に対して禁錮1年執行猶予4年(求刑禁錮1年)、元保育士に対して禁錮1年執行猶予3年(求刑同じ)を言い渡しました。
※本事件は弊所で受任となった事件ではありません。

この判決において、裁判官は園長被告人が安全管理義務を怠ったと指摘し、保育士被告人については「園児の異変に気が付くのが遅れて最悪の結果になった」とする一方で、両被告人が過失を認め賠償の意思を示していることなどから執行猶予が相当と判断した模様です。

 

【高齢者施設で急増する業務上過失致死傷罪の刑事事件】

少子高齢化の進展に伴い、高齢者の生活を補助する施設の増加が著しく見られます。
そのような背景の中、高齢者介護施設等において、施設職員の過失により入所者の方に傷害を負わせてしまったり、さらには死に至らしめてしまった事例も報告されています。

最近の事例としては、埼玉県さいたま市緑区の住宅型有料老人ホームにおいて、女性入所者の監督上の過失により当該女性を溺死させてしまったとして、業務上過失致死罪の疑いで書類送検された例があり、同様に、埼玉県川口市の介護老人福祉施設、入所者の女性が入浴中に溺死してしまったことについて業務上過失があったと判断し、業務上過失致死罪の疑いで書類送検しています。

一般に、刑法典の犯罪は、犯罪の故意がなければ処罰されませんが、ただし、過失の場合でも処罰するという特別の規定がある場合には刑事罰を下すことになっています。

過失傷害罪(刑法第209条)や過失致死罪(刑法第210条)はその典型的な例で、過失犯は故意犯に比べて違法性または責任が少ないという観点から、法定刑も軽く定められています(過失傷害罪は30万円以下の罰金、過失致死罪は50万円以下の罰金)。

ただし、業務上必要な注意を怠ったり、あるいは重大な過失により人を死傷させてしまった場合は、その注意義務違反や過失の程度に応じて適切な処罰を下せるよう、5年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金という法定刑の範囲内で処罰されることになります。

業務上過失致死罪重過失致死罪ほどの重い事件であれば、検察官が不起訴処分とすることはほとんど期待できませんが、被疑者が罪を認め、真摯な反省を様々な方策で示す情状主張を行うことで、懲役刑を回避して、正式な裁判を開かない略式命令で罰金が下されて事件が終了するケースも見受けられますので、このような刑事事件では、刑事事件を専門とする弁護士に事件を依頼し、ベストな結果を求めて行きましょう。

福島県いわき市で保育園や高齢者施設業務上過失致死罪刑事事件化または逮捕されてお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所への初回無料の法律相談または初回接見サービスをご検討ください。

 

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