建造物損壊罪で示談

建造物損壊罪と示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【ケース】

北海道紋別郡に住むAさんは、隣の住宅に住んでいるVさん宅からの騒音にうっぷんが溜まっていました。
ある日、Aさんは遂に騒音に耐え切れなくなり、Vさん宅のガラス戸に向かって拳大の石を投げつけました。
これによりガラス戸が割れたことから、VさんはAさんが犯人であることを突き止めたうえで北海道遠軽警察署に被害届を出しました。
焦ったAさんは、弁護士に示談を依頼することにしました。
(フィクションです。)

【建造物損壊罪について】

刑法
第二百六十条
他人の建造物又は艦船を損壊した者は、五年以下の懲役に処する。よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

建造物損壊罪は、器物損壊罪や文書毀棄罪と並ぶ毀棄・隠匿の罪の一つです。
建造物損壊罪における「損壊」とは、器物損壊罪と同様、財物の効用を害する一切の行為だと考えられています。
そのため、建物の一部が欠けるような行為にとどまらず、たとえば塗料で建物を汚す行為なども建造物損壊罪となる余地があります。

また、建造物のうちどこまでを建造物損壊罪の対象にするかという点は争いがあります。
たとえば、建物の壁の損壊が建造物損壊罪に当たることは理解できるかと思いますが、壊さずとも付け外しができる網戸を損壊した場合はどうかといった具合です。
裁判例は、損壊された物の物理的構造だけでなくその機能も重視すべきだとしており、過去に取り外し可能な住居の玄関ドアも建造物損壊罪の対象になると判断しました。

器物損壊罪の法定刑が①3年以下の懲役、②30万円以下の罰金、③拘留、④科料であるのに対し、建造物損壊罪の法定刑は5年以下の懲役です。
こうした法定刑の違いは、刑法260条が掲げる対象物の重大性から生じていると考えられます。
損壊したのが建造物の一部かどうかで、科される刑がかなり異なってくる点には注意しておきましょう。

【示談の重要性】

建造物損壊罪は、人の建造物を損壊する点で個人の財産を侵害する罪です。
こうした罪を犯した場合については、被害者との示談の成立が非常に重要な意味を持ちます。
というのも、たとえ国家が刑事責任の追及を担っているとしても、被害者がそれを望んでいない場合にまで処罰を行うのは疑問だと考えられているからです。
示談とは、事件の当事者が謝罪や被害弁償などに関する取り決めを行うことで、当事者間において事件が解決したことを確認する行為です。
そのため、内容の差はあれ、示談の存在は被害者の許しを推認させる事情となり、それが国家による刑罰権の行使を控えさせる事情となるのです。

ただ、そうした大きな効果を持つだけに、示談の締結およびそのための示談交渉には慎重に臨まなければなりません。
万が一対応を誤れば、示談交渉の決裂や、実が伴わない形だけの示談の締結といった事態に陥りかねません。
もし示談を希望するのであれば、示談交渉の経験を有する弁護士に任せるのが得策です。
弁護士による示談は、①交渉決裂のリスクを抑えられる、②円滑に示談交渉を進められる、③中身のある示談書を作成できるといった強みがあります。
こうした強みは刑事事件において大きなものなので、示談のことで悩んだらぜひ弁護士に相談してみましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、示談の経験豊富な弁護士が、自身のノウハウを駆使して的確な示談交渉を行います。
建造物損壊罪を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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