事後強盗罪と示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【ケース】
Aさんは、福島県いわき市内のスーパーマーケットにて、嗜好品や菓子などの商品を万引きして店を出ようとしました。
すると、Aさんの万引きを見ていた警備員に声を掛けられたことから、捕まりたくない一心で警備員に暴行を加えました。
騒ぎを聞きつけた客の協力により、のちにAさんは事後強盗罪の疑いで北海道中央警察署に逮捕されました。
Aさんの夫に事件を依頼された弁護士は、示談を行ってAさんの釈放と不起訴を目指すことにしました。
(フィクションです。)
【事後強盗罪について】
第二百三十八条
窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。
事後強盗罪は、窃盗罪を犯した者だけに成立すると考えられている、強盗罪の一種です。
通常の強盗罪は、暴行または脅迫を手段として、相手方から金銭などの財産を奪取した場合に成立しうるものです。
一方、事後強盗罪は、最初から暴行や脅迫に及ぶつもりがあったわけではないものの、窃盗に及んだ後で暴行などを行った場合に成立しうるものです。
刑法238条を読んでみると、事後強盗罪は「強盗として論ずる」と規定されていることが分かります。
これは、罪名を事後強盗罪としたうえで、その法定刑や他の罪(たとえば強盗致傷罪)との関係などを強盗罪と同様のものとすることを意味します。
事後強盗罪がそう扱われる理由は、一定の目的のもと行う窃盗後の暴行や脅迫に、強盗罪の手段である暴行や脅迫と同様の危険性・違法性が認められるからとされています。
上記事例では、Aさんが万引きを行ったうえ、警備員に対して捕まりたくない一心で暴行を加えています。
そうすると、Aさんは「窃盗」として「逮捕を免れ」るために「暴行」を加えていることから、事後強盗罪として5年以上20年以下の懲役が科されるおそれがあります。
ちなみに、暴行などの程度が弱ければ、相手方の反抗を抑圧するに至らないとして事後強盗罪の成立が否定される余地があります。
逆に、暴行の程度が強く相手方が死傷した場合は、強盗致死傷罪として極めて重い刑が科される可能性が出てきます。
【示談がもたらす効果】
強盗罪は重大な犯罪の一つとして認知されており、それと同様に扱われる事後強盗罪についても同じことが言えます。
とはいえ、事後強盗罪も特定の個人の利益を害する罪である以上、被害者である個人に関する事情が処分を決めるうえで重要となりえます。
まず、示談が成立することによって、逮捕中の被疑者の釈放を実現できる可能性が高まります。
示談の締結は、謝罪や被害弁償などの合意により、当事者間において事件が解決したことを確認する意味を持ちます。
そのため、示談が締結できると、逮捕の理由である逃亡や証拠隠滅のおそれが低下すると考えられます。
また、示談を通して被害者の処罰感情を薄められる結果、不起訴となる可能性も高まります。
先ほど少し触れましたが、事後強盗罪のような特定の個人に対する罪は、被害者が処罰を望んでいるかどうかが刑事処分に大きく関わってきます。
ですので、示談による処罰感情の軽減は、被害者が処罰を望んでいないとして不起訴につながる要素となるのです。
事後強盗罪は重大な罪ではありますが、以上のとおり示談によって円満に事件を解決できる場合があります。
そうした効果を最大限に発揮するために、示談交渉はぜひ弁護士にお任せください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、これまで数多くの示談を行ってきた弁護士が、重大事件においても真摯に示談交渉に取り組みます。
ご家族などが事後強盗罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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