少年が刑事事件を起こすと、家庭裁判所に送致後は逆送されない限り、少年事件特有の手続きが進み、最終的に少年審判を受けて手続きが終了します。そこで本日のコラムでは、少年事件の流れと少年審判について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
少年事件の流れについて
20歳未満の者(以下、「少年」という。)が罪を犯した場合、成人の刑事事件と同様に捜査機関により逮捕されることがあります。
14歳未満の者(「触法少年」)の場合は、刑事責任に問われることはないので、警察は処罰を目的とした捜査をすることはできず、任意捜査の範囲内で捜査を行い、その後、児童相談所に通告することになります。
ですので、少年といっても事件を起こした少年の年齢によって、その後の手続が変わってきます。
14歳以上20歳未満の少年を「犯罪少年」といい、刑事責任能力が生じ、事件を起こせば、警察に逮捕される可能性もあります。(※18歳・19歳の少年は「特定少年」として扱われます。)
逮捕された後は、成人の刑事事件とおおよそ同じ手続きがとられますので、逮捕後に勾留されると逮捕から13日、延長されると最大で23日もの間、身柄が拘束されることになります。
ただ、少年の場合は、勾留に代わる観護措置がとられることもあるので、その場合には、留置場所が少年鑑別所になり、期間も10日となります。
捜査機関による捜査が終了すると、少年事件は、原則すべての事件が家庭裁判所に送致されることになっています。(「全件送致主義」)
家庭裁判所が事件を受理すると、家庭裁判所は、調査・審判を経て、少年に更生に適した処分を決定します。
家庭裁判所に事件が送致されると、家庭裁判所はいつでも観護措置をとることができます。
観護措置がとられると、少年は少年鑑別所に原則2週間、最大で8週間収容されることになり、少年鑑別所において、少年の非行原因や今後の更生の可能性について調査・分析されることになります。
少年審判
少年に対する最終的な処分を言い渡すために設けられた期日での裁判官による審理および決定の過程を「少年審判」といいます。
成人の刑事事件における、公判期日および判決期日に対応するものですが、少年審判は、主に、以下の点で成人の刑事裁判と異なります。
職権主義的審問構造
少年審判では、刑事裁判のような当事者主義的訴訟構造(訴訟を追行する主導権を検察官と被告人・弁護人にゆだねるとするもの)ではなく、職権主義的審問構造(裁判所が判断を下すため、証拠資料を自ら収集するもの)をとっています。
職権主義に基づく手続では、裁判所が主体となり事実を解明し、それに基づいて判断を下すというものになります。
審判の対象
少年審判の対象は、①非行事実、および②要保護性です。
「非行事実」は、刑事裁判でいう「公訴事実」に該当するものです。
「要保護性」とは、以下の3つの要素により構成されると考えられています。
・少年の性格や環境に照らして、将来再び非行に陥る危険性があること(再非行の危険性)
・保護処分による矯正教育を施すことによって再非行の危険性を除去できる可能性があること(矯正可能性)
・保護処分による保護が最も有効でかつ適切な処遇であること(保護相当性)
このように、少年審判では、非行事実のみならず、要保護性についても審理されるので、非行事実が比較的軽微であっても、要保護性が高いと判断されると、少年院送致といった重い処分が下される可能性もあります。
このように、少年事件の手続は、成人の刑事手続とは異なる点もありますので、少年事件でお困りであれば、少年事件に詳しい弁護士にご相談されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件を数多く取り扱っており、所属弁護士は少年事件についてのノウハウを得ております。
お子様が事件を起こしてお困りの方は、弊所の弁護士にご相談ください。
お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。