建造物侵入罪と逮捕

建造物侵入罪と逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【ケース】

Aさんは、キャッシュカードを偽造して他人の預金を引き出そうと考え、ATMにスキミング用の装置を取り付けることにしました。
そこで、福島県いわき市内の郵便局に立ち入り、計画どおりATMのキャッシュカード挿入口にスキミング用の装置を取り付けました。
その翌日、郵便局の従業員がATMに不審な装置が取り付けられていることに気づき、いわき中央警察署に相談することにしました。
しばらくして、ATM付近に設置されていた防犯カメラの映像が決め手となり、Aさんは建造物侵入罪の疑いで逮捕されました。
逮捕の知らせを受けたAさんの両親は、弁護士に初回接見を依頼しました。
(フィクションです。)

【建造物侵入罪について】

刑法
第百三十条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

建造物侵入罪は、正当な理由なく建造物に立ち入った場合に成立する可能性のある罪です。
住居侵入罪や不退去罪とともに、刑法130条に規定されています。
建造物侵入罪における「正当な理由」とは、建造物への立入りを適法と見ることができる事情を指します。
その例としては、建造物の管理者の同意がある、暴漢に襲われてやむを得ず逃げ込んだ、といったものが考えられます。

建造物侵入罪は管理者の同意がなければ成立しないため、誰でも自由に立入りが認められている建造物への立入りには適用されないようにも思えます。
しかし、そうした出入りが自由な建造物は管理者の同意が推定されていると言え、その推定が破られれば建造物侵入罪に当たる余地が出てきます。
上記事例において、Aさんはスキミング用の装置をATMに取り付ける目的で郵便局に立ち入っています。
こうした目的は、郵便局の管理者である職員の同意が推定されない不法はものと考えられます。
そうすると、Aさんには建造物侵入罪が成立し、3年以下の懲役または10万円以下の罰金が科されるおそれがあります。
ちなみに、スキミング装置の取付けについては、支払用カード電磁的記録不正作出等準備罪に当たる可能性があります。

【逮捕の種類とその概要】

刑事事件では、事件の重大性や被疑者の態度などを考慮して逮捕が行われることがあります。
この逮捕には、①通常逮捕、②現行犯逮捕、③緊急逮捕の3種類があります。
以下では、それぞれの逮捕の概要を説明していきます。

①通常逮捕
通常逮捕は、過去に起きた事件について、裁判官に逮捕状を請求して行う基本的な逮捕です。
たとえば、捜査機関が自宅を訪ねて逮捕する場合や、警察署で取調べをした際に逮捕する場合などが考えられます。
事前に裁判官に逮捕状を請求する必要があるとされているため、安易な通常逮捕は抑制されていると言えます。

②現行犯逮捕
現行犯逮捕は、犯罪を行っている最中またはその直後である者に対し、逮捕状を取得することなく行う逮捕です。
現行犯は誤認逮捕の可能性が低い一方、直ちに被疑者の身柄を確保する必要があるため、例外的に逮捕状なくして行うことができるものとされています。
また、捜査機関だけでなく私人でも行える点も特徴の一つです。

③緊急逮捕
緊急逮捕は、一定の重大な罪を犯した疑いが充分である者に対し、事後的に逮捕状を取得することを条件に行う逮捕です。
事前に逮捕状を取得する必要がない点で捜査機関に大きな権限があるため、対象となる罪の限定と充分な嫌疑の要求という厳しい要件となっています。
もし緊急逮捕を行った後で逮捕状の請求が却下された場合、被疑者は直ちに釈放されなければなりません。

以上のように、逮捕にはそれぞれ別個の定めがなされており、それを捜査機関が遵守したかどうかは弁護士にとって重要な事情となります。
場合によっては証拠排除による無罪や国に対する損害賠償請求に関わってくるので、違法な逮捕があったと感じたら一度弁護士に相談してみるとよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に特化した弁護士が、依頼者様の利益を最大化させるべく手を尽くします。
ご家族などが建造物侵入罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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