11月, 2022年

キセル乗車が刑事事件に発展 電子計算機使用詐欺罪について

2022-11-27

電子計算機使用詐欺罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。

刑事事件例

V鉄道は、W駅から順に、X駅、Y駅、Z駅という並びになっています。
大学生Aさん(20代・男性)は、行きの電車に乗車する際、自動改札機のあるW駅で、X駅までの130円の乗車券を買って自動改札機で入場しました。
しかし、Aさんは下車駅であるZ駅で、Y駅からZ駅間の回数券(1回分110円)を使い下車しました。
本来、Z駅では自動改札機が設置されているため、入場記録のない切符や回数券では、自動改札機から出場することができません。
しかし、Z駅の隣のY駅には、ICカード専用の簡易改札機しか導入されていないため、入場記録のないY駅からの回数券を用いれば、Z駅での下車が可能でした。
なお、本来、W駅からZ駅までは、片道320円の運賃がかかります。
つまり、Aさんは80円分の運賃支払いを免れたことになります。

その後、Aさんは帰りの電車に乗車する際、Z駅で130円の乗車券を買って自動改札機で入場し、行きに購入し、使用しなかったX駅までの切符を使って、X駅の自動改札機を通って出場しました。
なお、Z駅からX駅までは、片道280円の運賃がかかります。
つまり、Aさんは150円分の運賃支払いを免れたことになります。

このような行為を繰り返し、Aさんは、合計して、行きに800円程度、帰りに1500円程度の乗車料金の支払いを免れました。
その後、Aさんは、電子計算機使用詐欺罪に問われることになりました。
(フィクションです)

~電子計算機使用詐欺罪~


刑法246条
 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。


詐欺罪は、人を欺いて騙し、騙された状態を利用して財産の交付を受ける犯罪です。
欺く対象が人であるため、コンピュータ(電子計算機)に不正なデータを入力して利益を得ても、刑法246条の詐欺罪に違反しないことになります。
この条文規定は、刑法制定の当時、コンピュータ(電子計算機)という物が存在しなかったので、コンピュータ(電子計算機)に不正データを入力することによって利益を得るという発想がありませんでした。
そのため、詐欺罪の対象は、人に限定されていました。
しかし、コンピュータ(電子計算機)の普及に伴い、コンピュータ(電子計算機)を欺く行為も処罰する必要性が高まったため、新たに電子計算機使用詐欺罪(刑法第246条の2)が制定されました。


刑法第246条の2
 前条に規定するもののほか、人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者は、10年以下の懲役に処する。


上記刑事事件例のAさんは、行きの電車で、Y駅からZ駅までの回数券を自動改札機に投入し、自動改札機に対し、「AさんはY駅から入場した」ものと誤信させました。
その後、Aさんは、帰りの電車において、行きに使用しなかったX駅行きの切符を自動改札機に投入したことで、「AさんはW駅から入場した」と読み取らせました。
言い換えると、Aさんは自動改札機に対し、虚偽の電磁的記録を読み取らせることにより事務処理をさせ、Aさんは財産上の利益を得たことになります。
よって、Aさんには、電子計算機使用詐欺罪が成立する考えられます。

このように、自動改札機を利用したキセル乗車も電子計算機使用詐欺罪に問われる可能性があります。

電子計算機使用詐欺罪の容疑がかけられている

もし、詐欺罪電子計算機使用詐欺罪容疑者となっている場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談下さい。

弊所の無料法律相談では、容疑者となっているご本人様から直接お話を伺い、弁護士より事件の見通しについてご説明させていただきます。

正式に弁護人としてのご依頼をいただいた場合は、示談交渉などを行い、ご本人様に科される刑罰が少しでも軽くなるための刑事弁護活動を行います。

無料法律相談のご予約は、フリーダイヤル0120-631-881にて、24時間・年中無で受付中です。

警察から容疑者扱いされている方はすぐにお電話ください。

 

脅迫事件と示談

2022-11-15

脅迫事件と示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。

福島県の脅迫事件

Aさんは、福島県郡山市内で車を運転していたところ、後ろから猛スピードでVさんが追い越しをしました。
そこで、信号待ちの際にVさんの車に駆け寄り、「危ないだろ。今何キロ出してたんだ」と怒鳴りました。
Vさんは反省するどころか舌打ちをしたため、Aさんは懐に隠していたサバイバルナイフを突きつけ「痛い目見たいんか」と言いました。
この現場を郡山北警察署の警察官が目撃したため、Aさんは暴力的行為等処罰法違反の疑いで逮捕されました。
Aさんのご家族は、Aさんが逮捕されたことを受け、刑事事件を扱う法律事務所初回接見サービスを利用しました。
その後、事件を依頼された弁護士は、すぐに被害者との示談交渉に着手しました。
(上記事例はフィクションです)

【暴力行為等処罰法について】

暴力行為等処罰法(正式名称:暴力行為等処罰に関する法律)は、暴行や脅迫などの暴力行為のうち、一部の悪質なものを特に重く処罰する法律です。
暴力行為にはいくつか種類があるのですが、今回は脅迫について説明します。
まず、暴力行為等処罰法が規定する脅迫は、以下のような態様のものです。

  1. 「団体若(もしく)ハ多数ノ威力ヲ示シ」たこと
  2. 「団体若ハ多数ヲ仮装シテ威力ヲ示シ」たこと
  3. 「兇器ヲ示シ」たこと
  4. 「数人共同シ」たこ

およびについては、たとえば暴力団の存在を仄めかしての脅迫が想定されていると考えられます。

上記事例では、AさんがVさんにサバイバルナイフを示したうえで「痛い目見たいんか」と発言しています。
まず、Aさんの発言は、客観的に見て他人を畏怖させるに足りるとして「脅迫」に当たると考えられます。
加えて、サバイバルナイフは「兇器」と考えて差し支えないでしょう。
そうすると、Aさんの暴力行為等処罰法1条に違反し、3年以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。
刑法が定める脅迫罪の法定刑は2年以下の懲役または30万円以下の罰金であるため、やはり暴力行為等処罰法違反の脅迫の方が重いです。

【脅迫事件における示談交渉】

たとえば傷害罪や器物損壊罪を犯した場合、被害者の治療費や壊れた物の修理費といったお金が損害となります。
ですが、示談交渉が必要なのは、そういった物理的損害が生じたケースに限られません。
そもそも示談とは、謝罪や被害弁償などについて被害者と合意を交わし、事件が解決したことを確認するものです。
その内容には、事件により被った物理的損害だけでなく、いわゆる慰謝料のような精神的損害に対する賠償も含まれます。
そのため、脅迫事件においてもやはり示談は必要なものなのです。

脅迫事件は自由な意思決定という個人の利益を害するものなので、被害を受けた個人との示談が大きな効果を持ちます。
もしきちんと示談が締結できれば、検察官が不起訴処分を下したり、裁判官が執行猶予付き判決を下したりする可能性が高くなります。
そうした結果を目指すうえでは、なんと言っても被害者との適切な示談交渉が欠かせません。
ただ、当事者のみで交渉するとなると、被害者と加害者という都合上どうしても困難が付きまといます。
ですので、上手く示談交渉を進めるならやはり弁護士に事件を依頼するのが得策です。
弁護士に依頼した場合、①交渉決裂のリスクが低くなる、②交渉に伴う精神的負担が大きく軽減する、というメリットがあります。
もし脅迫事件などを起こして示談が必要になったら、一度お近くの弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件のプロである弁護士が豊富な知識と経験を武器に示談交渉を行います。
福島県内で、ご家族が逮捕されたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください

伊達市における生活保護費不正受給事件で逮捕~詐欺罪を解説~

2022-11-09

伊達市における生活保護費不正受給事件で逮捕された事件を参考に詐欺罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

伊達市に住むAさんは、病気等により仕事ができなくなり生活苦に陥ってしまったため、7年くらい前、伊達市役所より生活保護費を受給していました。
そして、4年くらい前に、病気も完治し、仕事を求め求職活動を行っていたところ、新たな仕事が見つかり、勤務先から毎月給料をもらっていました。
しかし、仕事が見つかり、収入が得られるようになったにも関わらず、市役所に収入が得られるようになったころなどを申告しないまま、生活保護費を受給し続けました。
ところが、Aさんが生活保護費を不正受給しているのではないかと疑問を抱いた市役所の担当者が調査を開始し、その結果、Aさんが不正受給していることが明白になったことから、市役所は警察に被害申告し、後日、Aさんは詐欺罪逮捕されてしまいました。
(この事案はフィクションです)

詐欺罪

詐欺罪は、刑法第246条に
①「人を欺いて財物を交付させた者は10年以下の懲役に処する」
②「①の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする」
と規定されております。

詐欺罪が成立するには
①欺罔行為
②被害者の錯誤
③錯誤に基づく処分行為
④財物の移転
という4つの要件と、それらの因果関係があることが必要になります。

欺罔行為とは、相手を騙していること
②被害者の錯誤とは、欺罔行為によって相手が告知された内容を事実と勘違いすること
③錯誤に基づく処分行為とは、騙した被害者が財物を交付すること
④財物の移転とは、実際に財物の交付を受けること

以上の4点に因果関係がある、つまり、犯人が被害者を騙したことにより、被害者がこれを信じて財物を交付し、犯人が交付された財物を受け取るという構図が成り立ち、結果、詐欺罪が成立することになります。

上記事案の場合、Aさんは、就職して収入を得ることができるようになったのですから、市役所に、この事実を申告する義務が生じます。
しかし、申告しないまま、市役所の職員を騙して、生活保護費を受給し続けていたわけですから、詐欺罪に該当する可能性は極めて高いと思われます。
生活保護費を不正受給した詐欺事件起訴された場合、だまし取った金額や期間、これらの弁済の有無及び程度などにもより、執行猶予付きの有罪判決が受けれたり、場合によっては実刑判決を受けて刑務所に服役することになる可能性もあります。

詐欺事件の弁護活動

生活保護費不正受給でお悩みの方は、早期に弁護士に相談するなどして、被害者に弁済(返還)したり、示談を締結することによって、刑事訴追を免れることも可能になります。
福島県伊達市において、生活保護費不正受給に関する詐欺事件でお悩みの方は、刑事事件専門の弁護士が所属している弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

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