7月, 2024年
【事例解説】放火をした際に適用される罪、放火の罪を3つあげてそれぞれ条文ごとに詳しく解説
放火の罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
参考事件
福島県石川郡に住んでいる大学生のAさんは、やっていたアルバイトをクビになりました。
クビにされたことを怒ったAさんは、夜にアルバイト先の店を訪れ、鍵のかかっていない窓から火のついたタバコを投げ入れました。
ほどなくタバコから火が燃え移り、窓から煙が上がりました。
そして煙が上がっているところを近隣住民が見かけ消防車を呼び、その後火は消し止められました。
石川警察署が捜査を進めたところ、タバコを投げ入れるAさんが監視カメラに写っており、Aさんの身元も特定されました。
Aさんは、非現住建造物等放火罪の疑いで逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)

非現住建造物等放火罪
「放火及び失火の罪」の章が刑法にはあります。
Aさんの逮捕容疑である非現住建造物等放火罪もこの章にあり、具体的には、刑法第109条第1項に「放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱坑を焼損した者は、2年以上の有期懲役に処する。」と定められています。
ここでいう「住居」とは、人が起臥寝食の場所として使っている、日常生活を営むための建物のことです。
「建造物」とは、屋根があって壁、柱によって支持され、土地に固定されている家屋その他の建築物のことです。
Aさんが火を付けたのはアルバイトをしていた店であり、住居ではない建造物で、放火時はAさんを除き人がいませんでした。
そのためAさんには非現住建造物等放火罪が適用されています。
現住建造物等放火罪
仮にAさんが放火した建物内に人がいた場合は、より重い罪である現住建造物等放火罪が適用されます。
現住建造物等放火罪は刑法第108条には、「放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。」と定められており、その刑罰の重さから裁判員裁判対象事件となります。
この条文には「現に人が住居に使用し」とあるため、人が起臥寝食の場所として使っている住居に放火すれば、放火時に人が中にいなくとも現住建造物等放火罪となります。
建造物等以外放火罪
前述した条文は2つとも建物を対象にしたものですが、それ以外のものへの放火は刑法第110条第1項が適用されます。
内容は「放火して、前2条に規定する物以外の物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者は、1年以上10年以下の懲役に処する。」となっており、放火だけでなく「公共の危険」も適用される条件になります。
公共の危険とは不特定多数の人の生命及び身体、他の建造物及び財産に対する危険のことで、そうなると建造物等以外放火罪が適用されます。
物が放火されても、周りには人も物もなく、延焼の心配がないのであれば公共の危険は生じないと考えられます。
このように、放火と言っても状況によって成立する放火の罪は変わります。
放火によって事件を起こしてしまった場合は、まずは弁護士に相談し、専門的なアドバイスを受けましょう。
放火の罪に詳しい法律事務所
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件、少年事件を中心に取り扱う法律事務所です。
当事務所では、初回は無料の法律相談の他、逮捕または勾留された方のもとに直接弁護士が赴く初回接見サービスを実施しています。
放火事件によって、非現住建造物等放火罪、現住建造物等放火罪、建造物等以外放火罪の疑いで逮捕されてしまった際は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所のフリーダイヤル「0120-631-881」へ、お気軽にご相談ください。
【事例解説】自宅にあった覚醒剤が見つかり覚醒剤取締法違反、2つの罪に問われる場合の刑罰は
所持と使用の覚醒剤取締法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
参考事件
福島県河沼郡に住んでいる会社員のAさんは、覚醒剤を購入していました。
Aさんには同居している家族がいて、その1人が別件で捜査されることになりました。
自宅に警察官が家宅捜索にやってきて、捜査中に覚醒剤が見つかりました。
そこでAさんは、覚醒剤は自分が買ったものだと警察官に告げました。
そしてAさんは、覚醒剤取締法違反の疑いで会津坂下警察署に逮捕されることになりました。
(この参考事件はフィクションです。)

覚醒剤の所持
覚醒剤取締法において覚醒剤とは、覚醒剤取締法第2条で、第1項「フエニルアミノプロパン、フエニルメチルアミノプロパン及び各その塩類」、第2項「前号に掲げる物と同種の覚醒作用を有する物であつて政令で指定するもの」、第3項「前2号に掲げる物のいずれかを含有する物」と規定されています。
そして覚醒剤取締法第14条では、「覚醒剤製造業者、覚醒剤施用機関の開設者及び管理者、覚醒剤施用機関において診療に従事する医師、覚醒剤研究者並びに覚醒剤施用機関において診療に従事する医師又は覚醒剤研究者から施用のため交付を受けた者のほかは、何人も、覚醒剤を所持してはならない。」と定めています。
Aさんは前述の覚醒剤所持を認められている者には該当しないため、覚醒剤取締法違反になります。
覚醒剤を所持したことによる刑罰は、覚醒剤取締法第41条の2に「覚醒剤を、みだりに、所持し、譲り渡し、又は譲り受けた者(第42条第5号に該当する者を除く。)は、10年以下の懲役に処する。」と定めてられています。
覚醒剤の使用
覚醒剤は所持するだけで覚醒剤取締法違反になりますが、使用もしていた場合は覚醒剤取締法第19条が適用されます。
この条文は、研究や医療に用いるなどの特定の場合を除き、「何人も、覚醒剤を使用してはならない。」と定めています。
覚醒剤取締法第41条の3に「次の各号の一に該当する者は、10年以下の懲役に処する。」とあり、第1号には「第19条(使用の禁止)の規定に違反した者」定めてられています。
Aさんが買った覚醒剤を既に使用していた場合、こちらの使用の罪も併せて問われることになりますが、その場合、併合罪が適用されます。
刑法第47条には「併合罪のうちの2個以上の罪について有期の懲役又は禁錮に処するときは、その最も重い罪について定めた刑の長期にその2分の1を加えたものを長期とする。ただし、それぞれの罪について定めた刑の長期の合計を超えることはできない。」とあります。
覚醒剤の所持と使用は、どちらも「10年以下の懲役」です。
つまり、覚醒剤の所持と使用は10年に2分の1を加えた、15年以下の懲役が科せられることになります。
このように、刑事事件には一般的にはあまり知られていない条文が適用されることもあります。
覚醒剤取締法違反を含む刑事事件の際は、自身に科せられる刑罰などを正しく把握するためにも、弁護士に相談しアドバイスを受けることがお勧めです。
薬物犯罪に強い法律事務所
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、薬物犯罪を含む刑事事件及び少年事件を中心に扱っている法律事務所です。
当事務所では、初回は無料でご利用いただける法律相談、逮捕されている方のもとに直接弁護士が面会に伺う初回接見サービスを実施しています。
薬物犯罪の当事者となってしまった、覚醒剤取締法違反の疑いで逮捕されてしまった、このような時は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご連絡ください。
フリーダイヤル「0120-631-881」にて、24時間、365日、お電話をお待ちしております。
【事例解説】飲酒検問に止められ酒気帯び運転が発覚、国が選ぶ弁護士と個人で選ぶ弁護士の違い
酒気帯び運転による道路交通法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
参考事件
福島県会津若松市に住んでいる大学生のAさんは、自宅で酒を飲んでいました。
酒がなくなったことで買い足そうと思ったAさんは、酒を飲んでいましたが自動車に乗って買い物に出かけました。
しかし、その移動中に会津若松警察署の警察官が行っている飲酒検問に止められてしまいました。
そして呼気検査を受けることになったAさんは、酒気帯び運転をしていたと警察に知られました。
Aさんは道路交通法違反の容疑で現行犯逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)

酒気帯び運転
道路交通法に違反した場合、その内容がどういったものでも法律上は道路交通法違反と呼称されます。
道路交通法第65条第1項には「何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。」といった内容の条文があります。
そして、道路交通法第117条の2の2には「次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と定められており、第3号は「第65条(酒気帯び運転等の禁止)第1項の規定に違反して車両等(軽車両を除く。次号において同じ。)を運転した者で、その運転をした場合において身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあつたもの」を定めています。
この条文にある「政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態」とは、「血液1mlにつき0.3mg又は、呼気1リットルにつき0.15mg(道路交通法施行令の第44条の3)」を超える状態です。
そのため酒を飲んで酒気を帯び、その状態で自動車を運転したAさんは道路交通法第65条第1項に違反しました。
そして呼気検査で政令が定める程度以上にアルコールを保有した状態であったことが分かり、酒気帯び運転の道路交通法違反で逮捕されました。
逮捕後の流れ
逮捕されてしまうと、警察は取調べをしながら48時間以内に検察官に事件を送致するかを決めます。
検察官に送致された場合、検察官は24時間以内に裁判官に勾留請求するかどうかを判断します。
そして裁判官が勾留質問を経て勾留を決めれば、10日間身体拘束されます。
勾留は延長可能で、延長されればさらに10日間追加されます。
つまり、逮捕されると最大23日間は身体拘束が続くおそれがあります。
この間は外部と連絡を制限され、連日取調べを受けることになります。
酒気帯び運転の場合、「酔っていて覚えていない」と言ってしまうと、それが事実でも否認として見られ、勾留決定の可能性が高くなってしまいます。
これを回避するためには、弁護士に身柄解放の弁護活動を依頼することが重要です。
国が選任する国選弁護人は、勾留が付いてから依頼することができます。
そのため逮捕されてすぐのタイミングでは依頼できませんが、個人で依頼する私選弁護人であれば、逮捕直後から依頼が可能です。
速やかに私選弁護人に弁護活動を依頼すれば、勾留が付く前に動くことができ、さらに勾留を防ぐための弁護活動を行うことができます。
勾留を避けるためには速やかに弁護士に依頼し、身柄解放の弁護活動を進めることをお勧めいたします。
交通犯罪に強い法律事務所
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件、少年事件に特化している法律事務所です。
当事務所のフリーダイヤルでは、初回であれば無料の法律相談、逮捕または勾留されている方のもとに弁護士が直接赴く初回接見サービスのご予約を受け付けております。
ご予約は24時間、365日対応可能です。
酒気帯び運転で交通犯罪を起こしてしまった、道路交通法違反の容疑で逮捕されてしまった際には、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
フリーダイヤル「0120-631-881」にて、お電話をお待ちしております。
【事例解説】飲み会の帰りに相手を自宅に誘い不同意性交等罪、事件を否認した場合の流れについて
不同意性交等罪と否認事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
参考事件
福島県いわき市に住んでいる会社員のAさんは、仕事が終わった帰りに同僚のVさんと一緒に飲みに行きました。
飲んでいる最中にいい雰囲気になったことでAさんは、帰りに自宅に寄らないかとVさんを誘いました。
そしてAさんは自宅に着くとVさんに迫りました。
Vさんは抵抗しましたが、Aさんの押しに負けて性交を行いました。
後日Vさんが警察に連絡したことで、Aさんはいわき中央警察署に不同意性交等罪の疑いで逮捕されましたが、「同意はあった」と否認しています。
(この参考事件はフィクションです。)

不同意性交等罪
不同意性交等罪は刑法に定められた性犯罪の1つです。
8つ挙げられた「行為又は事由その他これらに類する行為又は事由(刑法第176条第1項各号)」を用いて、「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第179条第2項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、5年以上の有期拘禁刑に処する。」と刑法第177条第1項が定めています。
「同意しない意思」を「表明」「することが困難な状態」とは、被害者が同意しない意思を外部に表すことが難しい状態です。
例えば、社会的、経済的に優位な者からの頼みを、自分の立場を気にして断れない状態などが該当します。
「同意しない意思」を「全うすることが困難な状態」とは、被害者が同意しない意思を外部に表すことができても、その意思の通りにすることが難しい状態を言います。
例えば、身体を拘束されて動くことができない状態されるなどが該当します。
刑法第176条第1項第3号には「アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。」とあり、参考事件のVさんはこの第3号に該当します。
その上で、同意しない意思を全うすることが困難なVさんと性行為を行ったことでAさんには不同意性交等罪が成立しました。
否認
参考事件では、同意はあったとAさんは否認しています。
もちろん、本当のことを主張するべきですが、このように容疑を否認すると勾留が長引いてしまう可能性があります。
勾留とは、逮捕後の身体拘束ことで、最大20日間この勾留は続きます。
勾留が付く条件はいくつかあり、住所が不定である場合や、罪証隠滅および逃亡のおそれがある場合などに付けられます。
被害者がいる事件の場合に警察は、被疑者を釈放すると被害者のもとに行き口止めをしたり、取調べに出頭しなくなったりといった可能性を考慮します。
否認している場合はこれらの可能性が容疑を認めている場合よりも高いと判断されるため、否認事件の勾留は長期化しやすくなります。
しかし、弁護士がいれば勾留中も弁護士が被害者と示談交渉を行うことができ、よりスムーズに示談交渉を進めることができます。
早期に示談が締結できれば、勾留からの解放も可能であるため、不同意性交等罪の際は弁護士に弁護活動を速やかに依頼することが、長期の身体拘束を防ぐ鍵です。
不同意性交等罪に強い弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件および少年事件を中心に取り扱っている法律事務所です。
当事務所は初回無料の法律相談、逮捕された方のもとに直接弁護士が赴く初回接見サービスのご予約を、フリーダイヤル「0120-631-881」にて受け付けております。
フリーダイヤルは土、日、祝日も24時間対応していますので、性犯罪による刑事事件の当事者となってしまった、不同意性交等罪の容疑で逮捕されてしまった際には、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へ、お気軽にご連絡ください。
