3月, 2025年
【事例解説】動画配信サイトで他人の悪口を言って逮捕、容疑を否認した際に考えられる懸念点
名誉棄損罪と否認事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
参考事件
福島県郡山市に住んでいる大学生のAさんは、動画配信サイトで生配信をしていました。
Aさんは配信中に、同じ大学に通っているVさんのことを「あいつは俺を裏でいじめてるんだ、この前はあいつにしこたま殴られた。」と話しました。
その配信はVさんの友人が見ており、Vさんにそのことを伝えました。
話を聞いたVさんはすぐに警察に行き、その後名誉毀損罪の疑いでAさんは郡山警察署に逮捕されました。
Aさんは、「名誉毀損をするつもりで話したわけではない」と否認の主張をしています。
(この参考事件はフィクションです。)

名誉毀損罪
刑法の「名誉に対する罪」の第34章に、名誉棄損罪の記載があります。
刑法第230条第1項がその条文で、内容は「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。」となっています。
「公然」とは不特定または多数の人が認識できる状態を言います。
伝播する可能性が高いと公然性も高いとされるため、「事実を摘示」する対象が少人数かつ特定の相手だけだったとしても、その相手を通じて適示した事実が広がっていく可能性があるならば「公然と事実を摘示」したことになります。
インターネットは特に不特定多数が利用するものであり、伝播もされやすいため、公然性が高いと言えます。
この適示する事実は、秘密にされていない調べればわかる内容であってもよく、この適示によって人の社会的評価が害される(害される可能性がある)、つまり「毀損」されることが重要です。
内容はある程度の具体性がなければいけないため、個人的な評価や価値判断では認められません。
この場合の「人」には法人も含まれており、会社やその他団体に対するものでも名誉棄損罪になります。
また、「その事実の有無にかかわらず」とあるため、その内容が真実であるかどうかは問われません。
例えばある男女が不倫関係にあると暴露した場合、不倫が本当であれ嘘であれ、その情報が出回った時点で社会的評価を害する危険があるため、虚偽の事実を摘示していたとしても名誉棄損罪は適用されます。
参考事件の場合、不特定多数が視聴可能な動画配信サイトの生配信でAさんは、Vさんの社会的な評価を害する可能性がある発言をしたため、名誉棄損罪になりました。
否認
参考事件でAさんは、名誉棄損の意図はなかったと容疑を否認しています。
もちろん、否認すること自体は問題のある行為ではありません。
しかし容疑を否認すると、嘘を吐いている場合を考えて捜査機関は勾留を付ける可能性があるます。
勾留とは逮捕後に10日間、延長が認められれば20日間身体拘束を継続する手続きです。
これは否認している被疑者を釈放すると、罪証隠滅や逃亡を図る可能性があると考えられているからです。
このような否認事件で勾留および勾留延長の阻止をするためには、弁護士の弁護活動が重要です。
弁護士を通して罪証隠滅および逃亡の可能性がないことを主張し、身元引受人を立てるととった活動をすれば、勾留を回避することもできます。
そのため否認事件で早期の釈放をお考えの際は、速やかに弁護士に相談することをお勧めいします。
名誉棄損罪に強い弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件および少年事件を中心に取り扱っています。
当事務所は、初回であれば無料の法律相談の他、逮捕された方のもとに弁護士が直接伺う初回接見サービスをご利用いただけます。
どちらのご予約もフリーダイヤル「0120-631-881」にて、24時間ご予約を受け付けております。
名誉棄損罪で事件を起こしてしまった方、ご家族が名誉棄損罪の疑いで逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へ、お気軽にご相談ください。
【事例解説】高校生が起こした少年事件、少年院とは別の施設送致である児童自立支援施設送致とは
器物損壊罪の児童自立支援施設送致について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
参考事件
福島県耶麻郡に住んでいる高校生のAさんは、同じ高校のクラスメイトであるVさんがノートパソコンを借りようと思いました。
しかしAさんは、Vさんにノートパソコンを貸してもらえませんでした。
怒ったAさんは、後日Vさんのパソコンの画面を破損させました。
そのことを知ったVさんの両親は、Aさんのことを警察に相談しました。
その後Aさんは、猪苗代警察署に器物損壊罪の容疑で逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)

器物損壊罪
「他人の物を損壊し、又は傷害した者」に適用されるのが器物損壊罪(刑法第261条)です。
この場合の「損壊」とは物の効用を害する一切の行為を指すため、器物損壊罪は物を破損させる行為以外にも適用されます。
例えば車などに尿をかけた事件でも、車を精神的に使えない状態にしたことで器物損壊罪が成立しました。
物を隠す行為も「損壊」に含まれ、これは持ち主が使いたくても使えない状態にしたため、物の効用を害したことになります。
また、「傷害」は傷害罪で定めるものとは違い、他人の所有するペットを傷付けることを意味します。
つまり、人が飼っているペットに怪我をさせれば器物損壊罪となります。
Aさんの場合、Vさんが持っているノートパソコンの画面を破損させているため、典型的な器物損壊罪です。
児童自立支援施設送致
少年(20歳未満の者)が刑事事件を起こした場合、事件は少年事件と言う扱いになります。
少年事件は処分が通常の事件と違うものになっていて、保護観察、少年院送致、児童自立支援施設等送致の他、処分を行わない審判不開始や不処分があります。
少年院は名前を聞いたことがある人も多いと思いますが、児童自立支援施設にはあまり馴染みがないかも知れません。
児童自立支援施設送致とは、少年を児童福祉法が定めた児童自立支援施設に送る処分です。
児童福祉法第44条は「児童自立支援施設は、不良行為をなし、又はなすおそれのある児童及び家庭環境その他の環境上の理由により生活指導等を要する児童を入所させ、又は保護者の下から通わせて、個々の児童の状況に応じて必要な指導を行い、その自立を支援し、あわせて退所した者について相談その他の援助を行うことを目的とする施設とする。」と定めています。
少年院に送致するほど非行が進んでいない場合や、保護者が養育を放棄していたり少年を虐待していたりするなど、家庭環境に問題がある場合等に児童自立支援施設送致になることが多いです。
施設に送致する処分を避けるには、環境を変えなくても少年の更生が望めること、保護者による監督が可能であることを主張していく必要があります。
そのため少年事件で施設送致の回避を目指す際は、弁護士に弁護活動、付添人活動を依頼することが重要です。
少年事件に強い弁護士
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どちらのご予約もフリーダイヤル「0120-631-881」にて24時間ご予約を受け付けております。
ご家族が器物損壊罪で事件を起こしてしまった、少年事件で児童自立支援施設送致を回避したい、このような時は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へ、お気軽にご相談ください。
【事例解説】会社から支給されたクレジットカードを私的に使って、業務上横領罪となったケース
業務上横領罪と執行猶予について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
参考事件
福島県福島市に住んでいる会社員のAさんは、同市内にある勤め先の会社から、交通費を支払うためのクレジットカードを支給されていました。
しかしAさんは、会社から支給されたクレジットカードを仕事と関係ない個人的な移動でも、公共交通機関を利用する際に使用していました。
その後、会社側がAさんのクレジットカードの利用回数と移動の報告が合わないことに気付きました。
最初は報告ミスかと思われましたが、Aさんが私的にクレジットカードを使用していたことがわかり、会社が警察に通報しました。
そしてAさんは、福島北警察署に業務上横領罪の容疑で逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)

業務上横領罪
横領の罪は業務上横領罪、遺失物等横領罪、(単純)横領罪といった3種類が刑法に定められています。
刑法第253条が業務上横領罪の条文で、その内容は「業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。」となっています。
業務上横領罪における業務とは、「人が社会生活上の地位に基づき、反復継続して行う行為」を意味しています。
仕事はもちろんのこと、給与の発生しないボランティアや慣例などの行為も「業務」となります。
「占有」とは物に対する事実的支配のことで、この条文における「占有」は業務上の委託信頼関係に基づく財物の支配も意味しており、物理的な所持だけでなく、財産の処分権限などの法的支配関係も含んでいます。
参考事件のクレジットカードは、仕事の移動で使用する目的で支給されているため、その用途以外に使う権限はAさんにありません。
よって会社の業務の際に使用するべきクレジットカードを私的に使ったAさんの行為は、業務上横領罪に該当します。
業務上横領罪の法定刑は上記の通り「10年以下の懲役」です。
他の横領の罪は、(単純)横領罪が「5年以下の懲役」、遺失物等横領罪が「1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料」が刑罰です。
他と比べ業務上横領罪の刑罰が重いのは、業務関係に基づくものの横領が犯人と多数人との間の信頼関係を破るものである点において、法益侵害の範囲が広いと考えられているためです。
執行猶予
執行猶予とは刑の執行を一定期間猶予し、その期間中に問題を起こさなければ刑の執行を免除するというものです。
執行猶予は付けるための条件があり、そのうちの1つが「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」の言い渡しです。
業務上横領罪の刑罰は「10年以下の懲役」になっているため、3年を超える懲役が言い渡される可能性もあります。
懲役を3年以下に抑えて執行猶予を獲得するためには、減刑のための弁護活動を行う必要があります。
横領事件では示談交渉が重要ですが、会社に対する示談交渉の場合、弁護士がいなければ示談が行えないこともあります。
横領事件の際、執行猶予の獲得を目指す場合は、弁護士に弁護活動の依頼をすることをお勧めします。
横領事件に強い弁護士
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【事例解説】買った覚醒剤を使わず持っていても覚醒剤取締法違反、覚醒剤の所持に適用される条文
覚醒剤取締法違反と贖罪寄付について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
参考事件
福島県伊達市に住んでいる会社員のAさんは、友人から覚醒剤を買いました。
買ってみたものの、少し怖いと感じたAさんはすぐには覚醒剤を使用しませんでした。
その後、Aさんに覚醒剤を売った友人は覚醒剤の売買が発覚したことで、警察に逮捕されました。
そしてAさんが覚醒剤を買ったことがわかり、Aさんの自宅に警察官がやってきました。
覚醒剤を買ったことを認めたAさんは、覚醒剤取締法違反の容疑で伊達警察署に逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)
覚醒剤取締法
覚醒剤の濫用による保健衛生上の危害を防止することを目的としているのが、覚醒剤取締法です。
この法律において覚醒剤とは、「フェニルアミノプロパン、フェニルメチルアミノプロパン及び各その塩類」を指しています(これらと同種の作用があるもの、これらを含有するものも含まれます)。
覚醒剤取締法第19条では、特定の場合を除き、「何人も、覚醒剤を使用してはならない。」と定めています。
この場合の「使用」は、自身が自身に使用する場合だけでなく、他人に頼んで自己に使用させる場合も、「覚醒剤を使用」したことになります。
この他、他人に対して使用したり、家畜に使用したりすることも禁じられています。
Aさんは覚醒剤を購入しましたが、使用はしませんでした。
しかし、覚醒剤取締法第14条には、特定の業種の他、許可を得た者以外、「何人も、覚醒剤を所持してはならない。」と定められています。
そのため覚醒剤の使用をしていなくとも、所持していれば覚醒剤取締法違反になるため、友人から覚醒剤を買ったAさんには覚醒剤取締法違反が成立します。
覚醒剤を所持した場合は「10年以下の懲役」が刑罰になり、使用にも同じ刑罰が科されます。
また、他人に覚醒剤を渡した場合も、所持や使用と同じく「10年以下の懲役」が刑罰ですが、Aさんの友人のように営利目的で覚醒剤を渡した場合、刑罰は「1年以上の有期懲役に処し、又は情状により1年以上の有期懲役及び500万円以下の罰金」になります。

贖罪寄付
薬物犯罪は被害者がいない事件であるため、示談交渉を行うことはできません。
示談交渉が行えない事件の際に考えられる弁護活動として、贖罪寄付があげられます。
贖罪寄付とは、事件を起こしてしまったことの反省を、公的な組織や団体に寄付をすることで示すものです。
被害者が存在しない事件や被害者と示談が難しい事件で贖罪寄付は行われ、まれに示談と贖罪寄付の両方を行うケースもあります。
贖罪寄付を受け付けている団体の多くは、弁護士を通してしか寄付を行えません。
寄付する際の効果的な金額も、事件の内容で変動するため、弁護士のアドバイスは必須です。
被害者が存在しない事件を起こし、贖罪寄付をお考えの方は弁護士に相談し、弁護活動を依頼しましょう。
覚醒剤取締法違反に強い弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件および少年事件を中心に取り扱っています。
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薬物犯罪で事件を起こしてしまった方、またはご家族が覚醒剤取締法違反の容疑で逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へ、お気軽にご連絡ください。
【事例解説】後ろを走っている車に対して急ブレーキを踏み、追い越す際に幅寄せをして道路交通法違反
あおり運転(妨害運転)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
参考事件
福島県相馬市に住んでいる会社員のAさんは、行ったことのない場所に車で移動していました。
どこで曲がるか分からずに低速で走っていると、後ろの車の運転手が笑っているのがバックミラーから見え、馬鹿にされていると思いました。
Aさんは急ブレーキを踏んだり、後ろの車が追い越そうとしたときに幅寄せしたりしました。
その後、車の運転手は警察に行き、「あおり運転をされた」と事件を報告しました。
そして相馬警察署の警察官がAさんの自宅に現れ、道路交通法違反の容疑でAさんを逮捕しました。
(この参考事件はフィクションです。)
あおり運転

あおり運転による事故が相次いだことで、2020年の6月30日に改正された道路交通法が施行され、あおり運転は妨害運転として処罰されることになりました。
道路交通法第117条の2の2第1項第8号は、「他の車両等の通行を妨害する目的で、次のいずれかに掲げる行為であつて、当該他の車両等に道路における交通の危険を生じさせるおそれのある方法によるものをした者」を妨害運転の道路交通法違反としています。
Aさんがした行為は急ブレーキと幅寄せです。
「次のいずれかに掲げる行為」はイからヌまで10種の類型があり、ロには「第24条(急ブレーキの禁止)の規定に違反する行為」、そしてチには「第70条(安全運転の義務)の規定に違反する行為」が定められています。
道路交通法第24条は「車両等の運転者は、危険を防止するためやむを得ない場合を除き、その車両等を急に停止させ、又はその速度を急激に減ずることとなるような急ブレーキをかけてはならない。」と急ブレーキを禁じています。
道路交通法第70条は「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。」と安全運転を義務付けています。
そのためこれらの条文に違反したAさんには妨害運転の道路交通法違反が成立し、「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」が刑罰として科せられます。
示談交渉
あおり運転は煽られた被害者がいるため、示談交渉をすることができる交通犯罪です。
示談を締結することができれば、減刑だけでなく不起訴処分で事件を終わらせることもできます。
示談交渉は個人で行うこともできますが、直接話し合うとかえって拗れてしまうことも考えられます。
参考事件のような状況の場合、被害者が他人であるため連絡先がわからず、示談交渉をすることができない懸念もあります。
しかし、弁護士であれば警察から被害者の連絡先を聞くことができます。
また、個人での示談は断られても、弁護士限りの連絡であればと示談交渉が行えるようになるケースも多いです。
速やかに示談を締結するためにも、刑事事件に詳しい弁護士に相談し、示談交渉を依頼することをお勧めします。
妨害運転に強い弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件および少年事件を中心に取り扱っています。
当事務所は、初回であれば無料の法律相談の他、逮捕された方のもとへ直接弁護士が伺う初回接見サービスをご利用いただけます。
どちらのご予約もフリーダイヤル「0120-631-881」にて24時間ご予約を受け付けております。
妨害運転で事件を起こしてしまった方、またはご家族が道路交通法違反の容疑で逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へ、お気軽にご連絡ください。
