5月, 2025年
【事例解説】ヘロインの所持が発覚して逮捕、適用される条文で変わる麻薬取締法違反の刑罰
麻薬取締法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
参考事件
福島県東白川郡に住んでいる会社員のAさんは、買ったヘロインをカバンに入れて持ち歩いていました。
カバンは職場にも持ち込んでおり、ある日Aさんは同僚にカバンからヘロインを取り出すところを見られてしまいました。
同僚は粉末状のものを持っていたAさんを不審に思い、上司に相談しました。
そして上司は、警察にAさんが薬物を持っているかもしれないと通報しました。
その後、警察がAさんの捜査に乗り出し、Aさんの持つ粉末状のものはヘロインであることが分かりました。
そのままAさんは、麻薬取締法違反の容疑で棚倉警察署に逮捕されてしまいました。
(この参考事件はフィクションです。)

ヘロイン
ヘロインは麻薬及び向精神薬取締法(以下、麻薬取締法と呼称)で取り締まられている、ケシを原料とした麻薬です。
麻薬取締法第12条第1項は、「ジアセチルモルヒネ、その塩類又はこれらのいずれかを含有する麻薬(以下「ジアセチルモルヒネ等」という。)は、何人も、輸入し、輸出し、製造し、製剤し、小分けし、譲り渡し、譲り受け、交付し、施用し、所持し、又は廃棄してはならない。ただし、麻薬研究施設の設置者が厚生労働大臣の許可を受けて、譲り渡し、譲り受け、又は廃棄する場合及び麻薬研究者が厚生労働大臣の許可を受けて、研究のため、製造し、製剤し、小分けし、施用し、又は所持する場合は、この限りでない。」と定めており、ヘロインはこの「ジアセチルモルヒネ等」に該当します。
そして麻薬取締法第64条の2第1項には「ジアセチルモルヒネ等を、みだりに、製剤し、小分けし、譲り渡し、譲り受け、交付し、又は所持した者は、10年以下の懲役に処する。」とあります。
そのため、ヘロインを所持したAさんには、麻薬取締法違反が成立します。
また、「ジアセチルモルヒネ等」以外の麻薬は所持した場合、7年以下の懲役(麻薬取締法第66条)となっているため、ヘロインによる麻薬取締法違反は、他の麻薬に適用される麻薬取締法違反よりも重い罪になっています。
身柄拘束
逮捕されてしまうと、取調べを受けながら最長で72日間、身体拘束が続く可能性があります。
そして捜査機関が、より長い期間身体拘束をする必要があると判断すれば裁判所に勾留請求を行います。
勾留が認められると10日間、延長されると20日身体拘束が継続されます。
つまり身体拘束されると、連絡を制限され常時監視された状態で取調べを受ける日々が、最大23日間続くことになります。
そのような事態を回避するためには、早期の釈放を目指す弁護活動を弁護士に依頼することが重要です。
弁護士がいれば、証拠隠滅や逃亡の危険がないことを示す証拠を集め身体拘束は不要であると、弁護士を通して主張することができます。
薬物犯罪は逮捕のリスクが高く、逮捕後の勾留も長引きやすい傾向があるため、薬物犯罪を起こしてしまった際は速やかに弁護士に弁護活動を依頼しましょう。
麻薬取締法違反に詳しい弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、薬物犯罪を含む刑事事件、少年事件を中心に扱っている法律事務所です。
当事務所では、初回であれば無料でご利用いただける法律相談、逮捕、勾留中の方のもとに弁護士が直接伺う初回接見サービスを実施しています。
ご予約は24時間体制で、365日対応可能です。
薬物犯罪を起こしてしまった方、ご家族が麻薬取締法違反の疑いで逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所のフリーダイヤル「0120-631-881」へ、是非、ご連絡ください。
【事例解説】「進行を制御することが困難な高速度」で運転して交通事故、危険運転致傷罪となる要件
危険運転致傷罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
参考事件
福島県田村郡に住んでいる会社員のAさんは、最高速度が60キロの道路で80キロ近いスピードを出して車を運転していました。
そのままAさんはカーブした道路に差し掛かり、曲がろうとしました。
しかし、ハンドルを切ることができず、対向車線から走ってきたVさんの車に接触してしまいました。
そして事故を目撃した通行人が警察に通報しました。
しばらくして警察官が現れ、Vさんが怪我を負ったことも発覚し、Aさんは危険運転致傷罪の疑いで田村警察署に現行犯逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)

進行を制御することが困難な高速度
自動車運転処罰法(正式名称:自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律)とは、悪質かつ危険な一定の運転行為を取り締まるための法律です。
参考事件に適用されたのは、自動車運転処罰法第2条に「次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は15年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は1年以上の有期懲役に処する。」と定められた危険運転致傷罪(および危険運転致死罪)の条文です。
「次に掲げる行為」は第1号から第8号まであり、飲酒運転に関するものや信号無視に関する物などその内容も様々です。
参考事件でAさんに適用されたのは、第2号の「その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為」です。
ここでは何キロ以上がその速度に該当するのか具体的に規定されていません。
しかし判例では第2号に該当する速度を、「速度が速すぎるため自動車を道路の状況に応じて進行させることが困難な速度をいい、具体的には、そのような速度での走行を続ければ、道路の形状、路面の状況などの道路の状況、車両の構造、性能等の客観的事実に照らし、あるいは、ハンドルやブレーキの操作のわずかなミスによって、自車を進路から逸脱させて事故を発生させることになるような速度をいうと解される。」としています(東京高等裁判所判決平成22年12月10日)。
参考事件の場合、最高速度を超えたスピードを出し、ハンドルを上手く切れずに事故を起こしているため、Aさんは「進行を制御することが困難な高速度」で車を運転したと判断できます。
そしてその結果、事故にあったVさんは怪我を負っているため、Aさんに危険運転致傷罪が成立しました。
示談交渉
危険運転致傷罪の条文には罰金刑の規定がありません。
そのため有罪になってしまうと実刑となり、刑務所に服役する可能性があります。
執行猶予を獲得し実刑を避けるには、示談交渉が重要になります。
しかし、参考事件のように悪質な運転のせいで怪我を負った被害者は、怒りから処罰感情が強くなり、示談交渉が拗れてしまう可能性もあります。
スムーズに示談を締結するためには、弁護士を間に入れ、弁護士限りで連絡をとり、示談交渉を進めることがお勧めです。
速やかに被害者と示談交渉を進めたい方は、弁護士に相談し、示談交渉の依頼することがお勧めです。
危険運転致傷罪に詳しい弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通犯罪を含む刑事事件、少年事件を中心に扱っている法律事務所です。
当事務所では、初回無料でご利用いただける法律相談、逮捕、勾留中の方のもとに弁護士が直接伺う初回接見サービスを実施しています。
ご予約は24時間体制で、365日対応可能です。
危険運転致傷罪で事件を起こしてしまった方、ご家族が危険運転致傷罪の疑いで逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所のフリーダイヤル「0120-631-881」へ、是非、ご連絡ください。
【事例解説】会社の部下に対して立場を利用し性行為を要求、適用される不同意性交等罪の条文
不同意性交等罪と示談交渉について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
参考事件
福島県会津若松市に住んでいる会社員のAさんは、同じ会社の部下であるVさんに対して好意がありました。
AさんはVさんに対して「付き合ってくれるならクビにはしない」、「昇進したいでしょ」と言って性交を要求しました。
そしてAさんとVさんは2人で一緒に市内にあるホテルを訪れ、そこで性交に及びました。
後日Vさんは、Aさんに性交を強要されたと警察に被害届を提出しました。
そしてAさんは不同意性交等罪の容疑で、会津若松警察署に逮捕されることになりました。
(この参考事件はフィクションです。)

不同意性交等罪
不同意性交等罪は刑法第177条に定められています。
この条文では同じく刑法に定められた不同意わいせつ罪の各号に掲げた「行為又は事由その他これらに類する行為又は事由」によって、「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部若しくは物を挿入する行為であってわいせつなものをした者」に不同意性交等罪が適用されるとしています。
この不同意わいせつ罪の各号は第1号から第8号まであり、その内容も「暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。」や「アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。」等様々です。
参考事件の場合、適用される可能性が高いのは第8号の「経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。」です。
Aさんは昇進や解雇を仄めかして、Vさんに性交を要求しています。
それによってVさんは同意しない意思を表明することが困難な状態になり、断り切れず性交に及んだため、Aさんは不同意性交等罪が成立します。
不同意性交等罪の刑罰は、「婚姻関係の有無にかかわらず、5年以上の有期拘禁刑」となっています。
示談交渉
被害者がいる事件で重要な弁護活動は示談交渉です。
示談締結することができれば、減刑を求めることができ、執行猶予の獲得も考えられます。
示談交渉は個人で行うこともできます。
しかし性犯罪の場合、被害者が怖がって会ってもらえず示談交渉ができない、会えたとしてもかえって拗れてしまい示談交渉が上手くまとまらない可能性もあります。
そこで弁護士を間に入れて、弁護士限りの連絡で示談交渉を進める手があります。
また、示談交渉を被害者が断っていたが、弁護士を立てたことで示談交渉が進められるようになったケースも存在します。
スムーズに示談締結するためにも、刑事事件に詳しい弁護士に相談し、示談交渉を依頼しましょう。
不同意性交等罪に詳しい弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件および少年事件を中心に取り扱う法律事務所です。
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不同意性交等罪で事件を起こしてしまった方、ご家族が不同意性交等罪の容疑で逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所のフリーダイヤル「0120-631-881」へ、是非、ご連絡ください。
【事例解説】空き家に放火したことで非現住建造物等放火罪、執行猶予を獲得するための条件
非現住建造物等放火罪と執行猶予について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
参考事件
福島県いわき市に住んでいる大学生のAさんは、大学生活によってストレスを抱えていました。
ストレスを発散したいと思っていたAさんは、大学の帰り道に何年も使われていない木造の空き家があったことを思い出しました。
Aさんは夜中に空き家に出かけ、その空き家に火を放ちました。
火の手が上がったため通行人が火事に気付いて通報し、火は消し止められました。
その後、警察の捜査によって放火したのはAさんであることが分かり、Aさんの身元も特定されました。
そしてAさんは非現住建造物等放火罪の容疑で、いわき中央警察署に逮捕されることになりました。
(この参考事件はフィクションです。)

非現住建造物等放火罪
非現住建造物等放火罪は刑法の第9章にあり、その条文は「放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱坑を焼損した者は、2年以上の有期懲役に処する。」と定められた刑法第109条第1項です。
ここでいう「住居」とは、人が起臥寝食のため使用している場所、日常生活を営むための建物です。
「建造物」は屋根のある壁もしく柱に支持された、土地に定着して人が出入りできる家屋やその他建築物を指します。
「焼損」とは、建物に燃え移った火が、ライターやマッチ等の媒介物を離れても燃焼し続ける状態にあることを意味します。
全焼している必要まではなく建物の一部だけが燃えた場合でも、非現住建造物等放火罪となります。
参考事件の場合、木造の空き家に放火し、火の手が上がるほどに建物を焼損させているため、Aさんには非現住建造物等放火罪が適用されました。
また、仮に人が中にいない建物に放火しても、その場所が普段住居として使用されている場合は、非現住建造物等放火罪ではなく現住建造物等放火罪が成立します。
執行猶予
非現住建造物等放火罪は刑罰の下限が2年ですが、上限の記載はありません。
そのため3年以上の懲役刑になってしまう可能性があります。
懲役が3年以上になってしまう際のデメリットに、執行猶予の取り付けができなくなることがあげられます。
執行猶予とは刑罰が執行されるのを一定期間猶予し、その期間中に問題を起こさなければ刑の執行を免除することです。
そして刑法第25条では「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」の言い渡しが執行猶予を取り付けられる条件になっています。
つまり、事件の内容次第では懲役が3年を超えてしまい執行猶予が取り付けられません。
そのため刑罰を3年以下の懲役にするためにも、弁護士による弁護活動が重要です。
執行猶予の獲得を目指す際には、弁護活動を弁護士に依頼することをお勧めします。
まずは弁護士に弁護士しましょう
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件および少年事件を中心に取り扱う法律事務所です。
当事務所では、初回無料でご利用いただける法律相談、逮捕、勾留中の方のもとに弁護士が直接伺う初回接見サービスをご提供しています。
ご予約はフリーダイヤル「0120-631-881」で、24時間、365日対応しております。
非現住建造物等放火罪で事件を起こしてしまった方、ご家族が非現住建造物等放火罪の容疑で逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へ、是非、ご連絡ください。
【事例解説】人を殴り飛ばして怪我をさせた傷害事件、傷害致死罪になった場合どれだけ罪は重くなるか
傷害罪と傷害致死罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
参考事件
福島県耶麻郡に住んでいる会社員のAさんは、会社から帰る途中で酔っぱらっている男性Vさんに話しかけられました。
Vさんに絡まれてイライラしたAさんは、Vさんのことを殴り飛ばしました。
Vさんはフェンスにぶつかって動かなくなり、不安を覚え近付いたAさんはVさんが血を流していることに気付きました。
Aさんは119番にかけ、ほどなく救急車が駆け付けました。
Vさんの命に別状はありませんでしたが、Aさんは傷害罪の容疑で猪苗代警察署に逮捕されてしまいました。
(この参考事件はフィクションです。)

傷害
Aさんの逮捕容疑は刑法第204条に定められた傷害罪ですが、場合によって同じく刑法に定められた傷害致死罪が適用されてもおかしくありませんでした。
まず傷害罪は、「人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」といった内容になっています。
傷害とは人の生理的機能に傷害を与えることや、健康状態を広く不良に変更することです。
そのため怪我を負わせるといった行為は典型的な傷害となりますが、病気にかからせる行為もこの条文では傷害として扱われます。
また、人の意識作用に障害を与えることも含まれるため、眠らせる、気絶させるといった行為も傷害罪の範疇です。
参考事件ではVさんがAさんに殴り飛ばされたことで血を流す怪我を負っているため、傷害罪が適用されました。
幸いVさんの命に別状はありませんでしたが、仮にこういった事件で被害者の方が亡くなってしまった場合は、傷害罪ではなく傷害致死罪が適用されます。
傷害致死罪は刑法第205条に「身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、3年以上の有期懲役に処する。」と定められており、罰金刑が無く懲役も下限が3年と非常に重いものになっています。
もちろん、人の死亡という結果にならず傷害罪に留まったとしても、傷害の程度によっては刑罰が懲役3年を超えることはあり得ます。
執行猶予
刑の執行を一定期間猶予し、その期間中に問題を起こさなければ刑の執行を免除する制度を執行猶予と言います。
この執行猶予は付けるための条件が刑法第25条にあり、その条件のうち1つは「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」の言い渡しになっています。
傷害罪は懲役が3年以上になり執行猶予の取り付けができなくなる可能性があり、傷害致死罪は懲役の下限が3年であるため、そのままでは執行猶予の条件を満たせません。
しかし、弁護活動によって刑罰を3年以下にすることができれば、執行猶予を獲得できます。
そのため重要になるのは示談交渉ですが、参考事件のように知り合いでない他人が被害者である場合、連絡先がわからないケースもあります。
しかし弁護士に依頼すれば、警察に被害者の連絡先を聞くことができ、示談交渉が進められる可能性が高まります。
示談交渉を進め執行猶予の獲得を目指す場合は、速やかに弁護士と相談し、弁護活動を依頼しましょう。
まずは弁護士に弁護士しましょう
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件および少年事件を中心に取り扱う法律事務所です。
当事務所では、初回無料でご利用いただける法律相談、逮捕、勾留中の方のもとに弁護士が直接伺う初回接見サービスをご提供しています。
ご予約はフリーダイヤル「0120-631-881」で、24時間、365日対応しております。
傷害罪で事件を起こしてしまった方、ご家族が傷害致死罪の容疑で逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へ、お気軽にご相談ください。
