Aさん(16歳)は、中学時代の友人であるBさんとCさんと共に、小中学生に対してカツアゲを行っていました。
その手口は、少人数でいる小中学生を3人で囲み、「お金くれない?もし渡す気がないならちょっとお兄さんたちと遊ぼうよ」と迫るというものでした。
双葉警察署は、こうしたカツアゲが福島県双葉郡内で頻発していることを知り、近隣に注意喚起するとともにパトロールをするようにしました。
ある日、Aさんらがカツアゲに及んでいる現場が確認され、Aさんらは恐喝罪の疑いで逮捕されました。
Aさんの両親は、弁護士に少年院へ行く可能性を聞いてみました。
(フィクションです)
【恐喝罪について】
恐喝罪は、暴行や脅迫を用いて他人を畏怖させ、そうした状態を利用して他人から金銭などの交付を受ける罪です。
暴行・脅迫を手段とする財産犯という点では強盗罪と共通していますが、暴行・脅迫の程度により区別されています。
強盗罪における暴行・脅迫はおよそ反抗が困難な強度のものであるのに対し、恐喝罪における暴行・脅迫はその程度に至らないものです。
被害者から見れば、正常な判断をする余地が全くなかったか、それとも正常な判断の妨げとなったに過ぎないかで区別できると言えるでしょう。
その判断は客観的な事情に左右されるものであり、たとえばナイフなどの凶器を用いていれば恐喝罪を超えて強盗罪とされる可能性が高まります。
上記事例では、Aさんら3人が被害者を取り囲み、「お金くれない?もし渡す気がないならちょっとお兄さんたちと遊ぼうよ」と言っています。
このような状況下にあった場合、上記発言は被害者の身体に危害を加えることを示唆するものとして脅迫と見られる可能性があるでしょう。
ただ、凶器を用いたり激しい暴行を加えたりしていないことから、暴行・脅迫の程度は比較的弱かったと言えます。
そうすると、Aさんらの行為は恐喝罪に当たると考えられます。
【少年院送致になる可能性】
罪を犯した者が20歳未満の者である事件は少年事件となり、刑法などが定める刑罰は科されないのが原則です。
そのため、上記事例においても、Aさんらに恐喝罪の法定刑である10年以下の懲役は基本的に科されません。
その代わり、非行を犯したことを反省してきちんと更生できるよう、保護処分という少年事件特有の措置が講じられる可能性があります。
保護処分の内容は、非行事実の内容、少年の性格、反省の程度、将来性などの様々な要素を審判(刑事事件で言う裁判に代わるもの)で見たうえで決定されます。
具体的には、①少年院送致、②児童養護施設・児童自立支援施設送致、③保護観察のいずれかから選択されます。
このうち少年院送致は、少年を少年院に収容し、そこでの生活を通して更生を図るという処分です。
注意すべきは、罪が重くないからといって少年院送致にならないとは限らない点です。
通常の刑事事件であれば、少額の万引きなら不起訴か罰金刑、多数の殺人なら死刑というように、ある程度罪の重さと刑の重さは比例します。
ですが、少年事件に関しては、犯した罪の内容を含めて少年という一人の人間に焦点が当てられることになります。
そのため、普段から素行が極めて悪いなどの事情があれば、犯した罪の重さに関わらず少年院送致となる可能性があるのです。
少年院送致を回避するためには、少年に反省を深めさせたり、交友関係や家族関係を改めさせたりして、少年の健全な育成が目指せる環境を整備することが不可欠です。
そうした環境整備のポイントを押さえるうえで、弁護士の存在は非常に有益となるでしょう。
もし少年院送致の関して不安があれば、ぜひ一度弁護士に相談してみてください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件の経験豊富な弁護士が、少年院送致回避に向けて真摯にお子さんと向き合います。
お子さんが恐喝罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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