控訴

1.「控訴」とは?

裁判所の判決に対し不満がある場合には、「控訴」をすることができます。

平成26年度の司法統計年報によると、第1審判決に対して控訴が申立てられた割合は約7%です。そのうち、控訴審で第1審判決が破棄された割合は約9%です

このように、控訴は認められにくいものといえます。その理由の一つは、控訴審が「事後審」という形をとっているからです。事後審とは,裁判を新しくやり直すのではなく,第1審判決が妥当かどうかを見直しする裁判のことをいいます。つまり、第1審の判決が控訴審の判断の対象であり、裁判をはじめからやり直すわけではないこと、新しい証拠は制限されることに注意が必要です。

第1審を覆すためのハードルは非常に高いと言えますが、破棄事例として「第1審後に示談等が成立した場合」「過去の量刑傾向に比して明らかに量刑が重い」等があります。

 

2.控訴のポイント

控訴のポイントは、被告人が控訴の申立てをしても第1審の判決よりも重くなることはない(「不利益変更禁止の原則」といいます)ことです(但し、検察官が控訴した場合には例外があります)。

一方で、控訴が棄却された場合、服役が先延ばしになるため社会復帰が遅くなることが挙げられます。

 

3.控訴期間

控訴の提起期間は14日で、判決の宣告があった日から進行します。控訴提起期間は、裁判が告知された日から進行しますが、初日は算入しません(刑事訴訟法358条、55条1項)。期間の末日が日曜日、土曜日、国民の祝日に関する法律に規定する休日、1月2日、1月3日又は12月29日から12月31日までの日に当たるときは、これを期間に算入しません(55条3項)。一般的には、「判決の翌時から14日目の夜の12時」が提起期間の終わりと考えられます。

控訴の提起は、控訴申立書を第1審裁判所に提出して行います。

控訴申立書を提出した後、控訴審裁判所から「控訴趣意書」という書面を提出する期限を控訴申立人に通知されますので、その期限内に、控訴趣意書を控訴審裁判所に提出します。「控訴趣意書」には、控訴理由に当たる理由を記載します。

 

4.控訴理由について

控訴は、刑事訴訟法に列挙された理由があるときにのみ認められます。具体的には下記のとおりです。

(1) 訴訟手続の法令違反

  1. 法律に従って判決裁判所を構成しなかった場合
  2. 法令により判決に関与することができない裁判官が判決に関与した場合
  3. 審判の公開に関する規定に違反した場合
  4. 不法に管轄または管轄違いを認めた場合
  5. 不法に、公訴を受理し、またはこれを棄却した場合
  6. 審判の請求を受けた事件について判決をせず、または審判の請求を受けない事件について判決をしたこと
  7. 判決に理由を付せず、または理由に食い違いがあること(理由不備・理由齟齬)

379条の事由(相対的控訴理由)
訴訟手続に法令の違反があり、その違反が判決に影響を及ぼすことが明らかであること。

これらの違反は重大なものであるため、「絶対的控訴理由」といわれており、その事実だけで控訴が認められます。

これ以外の「訴訟手続きの法令違反」は、判決に影響を及ぼすことが明らかな場合に限り公訴が認められます(「相対的控訴理由」といいます)。

 

(2)法令適用の誤り

 その誤りが明らかに判決に影響を及ぼす場合に控訴理由となります。

 

(3)量刑不当

刑の量定が不当である場合に控訴理由となります。被告人の控訴の大半を占めるものです。

 

(4)事実誤認

事実に誤認があって、その誤認が判決に影響を及ぼすことが明らかである場合に控訴理由となります。

 

(5)再審事由その他(383条)

再審理由に当たる事由又は第一審判決後に、刑の廃止・変更または大赦のあった場合も控訴を申し立てることができます。

 

5.控訴審の裁判の種類について

控訴の申立ての手続きに違法があることが明らかな場合には、弁論を経ないで決定で控訴を棄却します。

控訴の申立てが法令上の方式に違反し、又は控訴権の消滅後になされたものであることが明らかなときは、決定で控訴申立自体が棄却されます。

対して、一応適法な控訴がなされていると見える場合には、裁判所は判決で判断を示すことになります。

つまり、控訴理由に該当する事由が認められないときは、控訴が棄却されます。

一方で、控訴理由に該当する事由が認められた場合には、原判決を破棄します。

 

6.再度の保釈請求について

第1審で保釈が認められたものの、有罪判決になった場合、再度の保釈請求ができます。

但し、再保釈が許され場合には、第1審判決宣告前よりも高額の保釈保証金が定められることが多いです(2割~5割増程度)。

なお、実務上、仮に再度保釈をした後に実刑判決が下された場合でも、控訴審の判決言い渡しの場ですぐに収監されない取り扱になっています。

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