強制わいせつ罪で示談
強制わいせつ罪と示談について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【ケース】
Aさんは,午後8時頃に福島県伊達市内を歩いていたところ,うっすらと制服姿の女性Vさんの姿が目に入りました。
Aさんらが歩いていたところは人気が少なく,なおかつ街頭もあまりない薄暗い場所でした。
そこで,Aさんはわいせつな行為をしようとVさんに近づき,背後から口を押えて「静かにしないと殺す」と言いました。
そのうえで,Vさんのスカートの下から手を入れ,Vさんの陰部に指を挿入しました。
数秒して,Aさんはふと我に返って大変なことをしたと思い,「すみません」と言ってその場を離れました。
後日,被害届を受けた伊達警察署が捜査を開始し,Aさんは強制わいせつ罪の疑いで逮捕されました。
Aさんから依頼を受けた弁護士は,示談を行うべくVさんの両親と連絡を取ることにしました。
(フィクションです。)
【強制わいせつ罪について】
刑法(一部抜粋)
第百七十六条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
強制わいせつ罪は,暴行・脅迫を手段としてわいせつな行為をした場合に成立する可能性のある罪です。
ただし,被害者が13歳未満の者であれば,わいせつな行為のみをもって強制わいせつ罪が成立します。
強制わいせつ罪における暴行・脅迫は,相手方の犯行を困難にする程度のものを指すと考えられています。
つまり,暴行・脅迫が簡単に抵抗できるような弱いものであれば,わいせつな行為があったとしても強制わいせつ罪は成立しない可能性があるということです。
とはいえ,実際の裁判においては,暴行・脅迫が強制わいせつ罪に値するほど強度のものだったと比較的容易に認定される傾向があります。
このあたりの認定については,「そこまで強い暴行・脅迫じゃなかったから大丈夫だろう」と安易に考えるべきではないと言えるでしょう。
次に,「わいせつな行為」の意義については,裁判例において「いたずらに性欲を刺激・興奮させ,かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し,もって善良な性的道義観念に反する行為」を意味すると判断されています。
陰部に指を入れる行為は,一般的に「わいせつな行為」に当たるとされる可能性が高いです。
上記事例では,AさんがVさんに対し,背後から口を押えて「静かにしないと殺す」と言ったうえで,陰部に指を入れるというわいせつな行為に及んでいます。
そうすると,Aさんに強制わいせつ罪が成立する可能性は高いでしょう。
【示談の難しさ】
上記事例のような強制わいせつ事件で自ら示談をしようとするのは,率直に言って相当の困難がつきまといます。
まず,通り魔のようなかたちで見ず知らずの者に強制わいせつ罪を犯した場合,逮捕の可能性が相当な高さになることが見込まれます。
もし逮捕されてしまうと,示談締結に向けた被害者との接触は当然ながら不可能となってしまいます。
また,仮に逮捕されなかった,あるいは親族などに示談を任せる場合も,今度は被害者がどこの誰なのか知ることができないという問題が立ちはだかります。
一応捜査機関に「示談したい」という意向を伝えることは考えられますが,加害者本人やその親族などの頼みとなると,それに応じて連絡先を教えてくれるかどうかは分かりません。
そして,何らかの手段で被害者と示談交渉を行えたとしても,常に交渉の決裂や不十分な合意といったリスクはつきまといます。
最悪の場合,こちらとしては示談金を払って合意を取り交わしたつもりだったのに,そのことを効果的に証明する手立てが何もなく全てが水の泡となることもありえます。
以上のようなリスクは,弁護士であればその可能性を下げる,あるいは完全に遮断することが期待できます。
特に強制わいせつ事件の示談は何かとデリケートなので,やはり弁護士に依頼するのが賢明でしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,刑事事件に強い弁護士は,どのような事件でも示談の締結に向けて全力を尽くします。
ご家族などが強制わいせつ罪の疑いで逮捕されたら,刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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