民事事件と刑事事件は一般の方が思っている以上に大きな違いがあります。
民事事件を扱う裁判は,民事訴訟と呼ばれます。民事訴訟は,私人と私人の争いです。例えば、お金を貸したから返してくれとか、自分の土地を不法占拠しているからどいてほしいなど、私人が私人に対して請求する場合を指します。
私人間の争いですから、本人が事実を認めればその事実があったものと考えて裁判が進んでいきます。つまり、お互いが認めている事実については、証拠によらず認定することができるのです。私人同士がそれでいいと言っているのに、裁判所が違う判断をする理由がないからです。
また、被告が裁判所からの呼び出し状を受け取ったにもかかわらず、答弁書も出さなかった場合には、1回目の裁判の際に、欠席裁判となり、原告の主張がすべて認められることとなります。
つまり、民事訴訟では、本当はどうだったのか、ということはあまり問題にならないのです。
これに対し、刑事訴訟は、検察官が、国家権力の下で私人を処罰することを請求する手続きになります。
人の人生を左右する判断を下すものですから,仮に検察官と被告人が合意をしたとしても、裁判官は「真実は何か」をしっかりと考えて判断を下します。
たとえ、被告人がやったと認めていたとしても、そのことだけで事実認定をすることは許されていません。
「疑わしきは被告人の利益に」の言葉に代表されるように,検察官が請求した証拠を裁判官が読んだうえで、合理的な疑いを差し挟まない程度に有罪であると判断できたときにはじめて罪を認定することが許されています。
このように、民事と刑事の訴訟は、制度面で大きく異なります。
また,裁判の実態という点でも大きく異なります。刑事裁判の場合,場合によっては被告人の命を奪う結論を下すこともあるわけですから,法廷で,証拠をきちんと示していきます。
これに対し,民事裁判においては,事前に提出された証拠を当事者が「陳述します」というだけでその書類の内容が法廷で語られたという扱いになり,裁判が進行していきます。
民事裁判を傍聴した人が,弁護士や裁判官が何をやっているのか全く分からないままに手続きが進行していくということが往々にしてあります。
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