詐欺罪で保釈

詐欺罪で保釈

Aさんは、知人のBさんの紹介でとある高報酬のアルバイトをすることになりました。
その内容は、Bさんからキャッシュカードを受け取り、それを用いてATMで指定された金額を下ろすというものでした。
報酬は1回あたり5万円であり、怪しく思ったAさんは「これって詐欺かなんかじゃないのか。だったら俺はやめる」とBさんに伝えました。
しかし、Bさんは「こっちはお前の個人情報掴んでるからな。ばっくれたらどうなるか想像つくだろ」と言って、Aさんにバイトを続けさせました。
その後、他人のキャッシュカードを用いて福島県伊達市内のATMでお金を下ろしたとして、Aさんは伊達警察署逮捕されました。
Aさんと接見した弁護士は、詐欺罪で起訴される可能性が高いこと、起訴されたらすぐに保釈請求をすることを伝えました。
(フィクションです)

【詐欺罪について】

他人を騙して財産を交付させた場合、詐欺罪が成立する可能性があります。
詐欺罪の構成要件は、①欺罔行為(欺くこと)、②①による相手方の誤信、③誤信した状態での財産の交付、④財産の移転(取得)となっています。
これらを全て満たしてはじめて詐欺罪が成立するということになります。
それでは、なぜ上記事例のAさんは詐欺罪で起訴される可能性が高いのでしょうか。

他人のキャッシュカードでお金を下ろすというのは、最近日本各地で発生している特殊詐欺の典型的な手口の一環です。
かつては交通事故を起こしたなどと言ってお金を振り込ませる振り込め詐欺が主流でしたが、最近は手口が多様化しています。
特殊詐欺の事案においては、複数名が詐欺罪を構成する行為を分担して行うのが通常です。
たとえば、甲が被害者を騙し、乙が被害者からキャッシュカードを受け取り、丙がそのキャッシュカードで被害者の口座からお金を下ろすといったかたちです。
こうした共犯形態での犯罪については、たとえ各人の行為が一部であっても、全員が全部の行為を行ったものとして責任を負うことになっているのです。
上記事例において、Aさんは指示どおりにキャッシュカードでお金を下ろしたに過ぎません。
ですが、他に被害者を騙す役とキャッシュカードを受け取る役が存在していたとすると、Aさんはそれらの者と共謀して詐欺を行ったことになります。
そうすると、Aさんも詐欺罪に当たる行為をしたことになり、詐欺罪の共犯が成立して10年以下の懲役が科されるおそれがあるというわけです。
ちなみに、捜査の初期段階においては、Aさんの行為単体を捉えて窃盗罪として捜査される可能性があります。

【保釈による身柄解放】

共犯形態の特殊詐欺事件に複数回関与したとなると、起訴される可能性は非常に高く、なおかつ起訴前の身柄解放はおよそ期待できないといっても過言ではありません。
そこで、一日でも早く身柄解放を実現する手段として、起訴後に限って許される保釈請求が考えられます。

保釈とは、指定された額の保釈保証金を裁判所に預け、一時的に被告人を釈放してもらう手続のことです。
このときに納付する保釈保証金は、被告人が逃亡や証拠隠滅などを図れば一部または全部が返ってこなくなる可能性があります。
それだけ聞くと不利益ばかりのようですが、この保釈保証金の存在により、そうそう逃亡などを図らないと評価されて保釈による身柄解放が認められやすいという仕組みになっているのです。

保釈を実現するためには、裁判所に対して保釈請求をし、保釈を認めても問題ないことをきちんと示す必要があります。
そうしたアピールは、やはり法律の専門家である弁護士の得意分野だと言えます。
特に重大事件では、保釈が身柄解放を実現する唯一の希望となることも多々あるので、ぜひ弁護士保釈請求を依頼してください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件のプロである弁護士が、勾留されている方の一日でも早い釈放を目指して迅速に保釈請求を行います。
ご家族などが詐欺罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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