大麻の所持・使用等の事件

1 条文・概要

⑴ 条文


大麻草の栽培の規制に関する法律

第24条  

第1項 大麻草をみだりに栽培した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。

第2項 営利の目的で前項の罪を犯したときは、当該罪を犯した者は、一年以上の有期懲役に処し、又は情状により一年以上の有期懲役及び五百万円以下の罰金に処する。

第3項 前二項の未遂罪は、罰する。

 

麻薬及び向精神薬取締法

第65条 

第1項 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以上十年以下の拘禁刑に処する。

第1号 ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬を、みだりに、本邦若しくは外国に輸入し、本邦若しくは外国から輸出し、又は製造した者(第六十九条第一号から第三号までに規定する違反行為をした者を除く。)

第2号 麻薬原料植物をみだりに栽培した者

第2項 営利の目的で前項の罪を犯したときは、当該罪を犯した者は、一年以上の有期拘禁刑に処し、又は情状により一年以上の有期拘禁刑及び五百万円以下の罰金に処する。

3 前二項の未遂罪は、罰する。

第66条 

第1項 ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬を、みだりに、製剤し、小分けし、譲り渡し、譲り受け、又は所持した者(第六十九条第四号若しくは第五号又は第七十条第五号に規定する違反行為をした者を除く。)は、七年以下の拘禁刑に処する。

第2項 営利の目的で前項の罪を犯したときは、当該罪を犯した者は、一年以上十年以下の拘禁刑に処し、又は情状により一年以上十年以下の拘禁刑及び三百万円以下の罰金に処する。

第3項 前二項の未遂罪は、罰する。

第66条の2 

第1項 第二十七条第一項又は第三項から第五項までの規定に違反した者は、七年以下の拘禁刑に処する。

第2項 営利の目的で前項の違反行為をしたときは、当該違反行為をした者は、一年以上十年以下の拘禁刑に処し、又は情状により一年以上十年以下の拘禁刑及び三百万円以下の罰金に処する。

第3項 前二項の未遂罪は、罰する。

一  第3条第1項又は第2項の規定に違反して、大麻を使用した者

第27条 麻薬施用者でなければ、麻薬を施用し、若しくは施用のため交付し、又は麻薬を記載した処方箋を交付してはならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。

(以下略)


大麻は、大麻草から作られるもので、煙草のように細く刻んだものや、葉などから取れる樹液を圧縮し、固形状に固めた「樹脂」があり、これらを溶剤で溶かし抽出した大麻加工品などもありマリファナ、ハッパ、チョコ、ハシッシュ、ガンジャなどとも呼ばれています。

大麻草の栽培の規制に関する法律では、大麻の栽培に関して罰則を科しています。

従来、大麻の使用は刑罰が規定されていませんでしたが、近時の改正により、麻薬及び向精神薬取締法で「ジアセチルモルヒネ等(≒ヘロイン)以外の麻薬」に「大麻」も含まれるようになり、大麻の使用に罰則が科されるようになりました(条文上の「施用」というのは、「使用」と理解していただいて構いません。)。その他、麻薬及び向精神薬取締法は、大麻の輸入、輸出、所持、譲り受け、譲り渡しなどの行為の他、犯罪に必要な資金や場所、原材料を提供する行為などについて、罰則を科しています。

 

⑵ 大麻の危険性

大麻は「副作用がない」「覚せい剤と比べると安全」という言葉がネット上で見受けられます。しかし、次のような副作用が存在します。

  1. 知覚機能への影響
    大麻を使用すると感覚が鈍くなったように感じ、物の細部がよく見え、音や色彩が鮮やかに感じられ、時間が遅く感じられたりします。また、使用時の状態によっては、不安感や恐怖に襲われパニック状態になることもあります。大量使用では、幻覚などを伴う精神病状態が現れることがあります。
  2. 大麻精神病
    大麻の使用が、稀に、大麻誘発性精神病性障害(いわゆる大麻精神病)を誘発することがあり、とくに遺伝的な要因を持つ人では、危険が大きいといわれます。
  3. 短期記憶、学習機能への影響
    短期記憶を保持する海馬の機能が一時的に損なわれることで、学習能力に影響を及ぼします。とくに大量使用すると認知機能が著しく損なわれます。
  4. 運動機能への影響
    身体のバランスが取れなくなったり、資源に対する反応が遅れたりするので、機械の操作や車の運転、運動競技などに影響が現れます。大麻を使用して多幸感が消えた後も、8~12時間にわたって運動機能への影響は持続します。
  5. 身体的な影響
    大麻を喫煙することによって、肺や呼吸器が損傷され、がんのリスクが高まると言われています。
  6. 覚せい剤への入り口
    かつて、シンナーが違法薬物への入り口として機能していましたが、大麻についても、覚せい剤等の、より深刻な害をもたらす違法薬物への入り口として機能する側面があると言われています。

 

このように、大麻の使用は身体に対し重大な影響を与える恐れのある危険な薬物であると認識すべきです。

 

2 弁護活動の例

⑴ 執行猶予・一部執行猶予獲得のための活動

大麻の所持・使用等の量刑に影響する事情としては、所持量、営利性、常習性、同種前科の有無、再犯可能性の有無の他、監督者の存在や薬物犯罪を再びしないような環境が構築されているかが挙げられます。

大麻の単純所持、単純使用の初犯の事件の場合、再発防止策を講じることで執行猶予になる可能性はあります。しかし、繰り返し薬物犯罪を起こしている場合には、厳しい判決が予想されます。

執行猶予判決の獲得へ向け、被疑者本人の真摯な反省や薬物依存症への治療、家族などの監督環境を整える等して、社会の中で更生するべきであることを説得的に主張していきます。

薬物事犯においては、薬物の依存症となっている方が多く、治療やカウンセリングにつなげ、薬物を止められる環境を作ることが大切です。

なお、複数の同種前科があるような場合、全部執行猶予を狙うのは難しいため、宣告系の一部の期間は刑務所に入るものの、残りの期間は保護観察の下で、執行が猶予されるという一部執行猶予を狙うのが現実的と考えられます

 

⑵ 身柄解放活動

大麻の所持・使用等の事件の場合、逮捕から勾留、起訴、起訴後勾留と身柄拘束が長期化しやすいといえます。大麻の入手ルート、共犯者などについて証拠隠滅をしやすいことなどがその理由とされています。

しかし、長期の身柄拘束は、その後の社会復帰にも悪影響を及ぼします。

全部自白し、既に捜査が満了しているのに、身体拘束が続いていたりするようなケースでは、身体拘束するための要件を満たさなくなったと主張していくことになります。

 

⑶ 無罪主張

自分が無実であるという場合、取り調べに際し、自分が無実である旨をきちんと主張する必要があります。その際に、弁護士のアドバイスの下で取り調べでどういったことを話すのか事前に打ち合わせることが重要です。自分では無実の主張をしたと思っていても、有罪の書類が作成されている恐れがあるからです。

無実の主張としては、犯行当時、大麻が違法薬物であることの認識がなかったというものがあります。

大麻などの薬物の存在に気づいていなかった・違法薬物であることを認識していなかった場合には、そのような事情を客観的な証拠に基づいて主張・立証します。こうした主張が認められた場合、大麻所持などの犯罪が成立しないとして不起訴処分や無罪判決を勝ち取ることができる可能性があります。不起訴処分を受けると、前科が付きませんので、早期に社会復帰することができます。

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