1 わいせつ物頒布、公然陳列等とは
わいせつ物頒布等罪はわいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列する罪を言い、2年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金又はその両方が科されます。
わいせつな文書や図画とは、その時々の文化や社会情勢によって変わってきます。判例上も判断が微妙なケースが多いです。特に芸術作品におけるわいせつ性は争いになることが多いです。
何がわいせつであるかは、公然わいせつ罪と同様に、むやみに人を興奮させ刺激したり、性的羞恥心を煽ったり、善良な性的道義に反するようなものをいうとされています。また、文書や図画を発表する行為は、憲法21条の「表現の自由」の保障もありますので、裁判所も発表した意図や文学性、芸術性の程度から、見た人や読んだ人に与える影響から、わいせつ物に当たるのかどうかを判断しています。この点については最高裁判所の判決であっても判断が分かれています。
頒布や陳列とは、不特定、又は多数の人に対して有償無償を問わず、わいせつ物を渡したり見ることができる状態においたりすることを言います。インターネット上にわいせつな画像をアップロードすることも、わいせつ物陳列罪にあたるとされています。このわいせつな画像が、18歳未満の児童の画像で「児童ポルノ」にあたる場合には「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」(いわゆる児童ポルノ法)違反として5年以下の懲役又は500万円以下の罰金とさらに重い罪が科されています。
わいせつ物の場合、有償でそれらを頒布したり陳列したりする目的で保管、所持していた場合でも同じ刑が科されることになります。わいせつ物について、単に自分の手元においておくために保管していただけの場合は罪とはなりません。
わいせつ物頒布罪については検挙率が高く、捜査機関が認知した事件の約9割が検挙されています(平成28年度犯罪白書)。わいせつ物頒布罪に関わってしまいお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
2 わいせつ物頒布罪の場合の弁護活動
わいせつ物頒布罪には元の文書や図画を販売した共犯者がいる場合が多く、逮捕勾留されてしまうことが多くあります。違法ビデオ、DVD店の摘発などにより、ビデオ店の経営者やその従業員が逮捕されるということもあります。逮捕されてしまうと、最大72時間の間は弁護士以外の人は面会することができません。警察に逮捕されてしまった場合はすぐに弁護士と連絡を取り次いでもらうよう警察官に申し入れます。家族の方が本人のために弁護士に依頼することもできます。
勾留がついた場合も、接見禁止となる場合が多く、家族や友人であっても接見することができない状況が続く可能性が高いです。
逮捕・勾留されたのち、検察官は事件について起訴するかどうかの判断を行います。
わいせつ物頒布罪は罰金刑が250万円以下と高額であり、100万円以下の罰金しか言い渡されない略式起訴となる見込みは高くありません。正式裁判として起訴されてしまった場合、執行猶予中の犯罪であったり、前科を犯してから日が浅いといった事情であったりしなければ執行猶予付きの判決を得られる場合が多くなっています。
わいせつ物頒布罪で逮捕され、起訴されてしまったとしても、それがわいせつ物だとは知らなかった場合や、わいせつ物ではなく正当な表現行為であるとして無罪を主張することが考えられます。その場合、逮捕後取調べに対して適切に対応しなければなりません。嘘の自白や不利な調書が作成されてしまった場合、後の裁判でその供述を覆すことは困難です。取り返しのつかない事態になってしまわないよう、身柄拘束されてしまった時点で弁護士と接見し、取り調べの対応について助言を得る事が必要です。
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