8月, 2023年

盗撮事件を起こし逮捕 新設された撮影罪が適用

2023-08-26

盗撮事件を起こして逮捕された事件を参考に、新設された「性的姿態等撮影罪」、いわゆる「盗撮罪」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

福島県石川郡に住んでいる会社員のAさんは、勤めていた職場の更衣室に録画モードにしたスマホを盗撮目的で置いていました。
しかしAさんが置いていたスマホに職員が気付いたため、そのまま見つけた職員が警察に被害届を提出しました。
その後、石川警察署の捜査でスマホがAさんの物であることが分かり、撮影罪の容疑でAさんは逮捕されることになりました。
(この参考事件はフィクションです。)

性的姿態等撮影罪

撮影罪は正式名称を「性的姿態等撮影罪」と言い、「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」の第2条に定められています。
第2条第1項によれば「正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為」は撮影罪であり、次に掲げる姿態等には人の性的な部位およびそれらを隠すために身に付けている衣服(下着)わいせつな行為や性交をしている人の姿態が挙げられています。
また、撮影罪は未遂でも成立するため、仮にAさんの撮影した動画に誰も映っていない場合でも、盗撮を目的としているため撮影罪は成立します。
撮影罪の法定刑は「3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金」となっています。

条例違反から撮影罪へ

上記の法律が施行されたのは令和5年7月13日からであり、それまでは盗撮による処罰を決めていたのは、各自治体が定める迷惑防止条例でした。
そのため、盗撮行為の処分は都道府県ごとに違いがあり、犯行現場が特定できない場合だと処分できないという状況もありました。
しかし、撮影罪が新設されたことで全国一律で盗撮行為を処罰可能になり、罰則も厳しいものになりました。
例えば福島県でこれまで適用されていた福島県迷惑行為等防止条例では、参考事件のように更衣室に盗撮用のカメラを設置すると「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」であったため、撮影罪でより重い処分が下されるようになったことが分かります。

盗撮事件に詳しい弁護士事務所

撮影罪はまだ新設されたばかりの法律であり、今までの盗撮事件とは細部が違ったものになります。
そのため撮影罪の容疑がかかっている場合は、盗撮事件に詳しい弁護士に相談することが大切です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う弁護士事務所です。
当事務所では初回であれば無料の法律相談逮捕された方のもとに直接弁護士が赴く初回接見サービス等を実施しております。
どちらのご予約もフリーダイヤル「0120-631-881」でご利用いただけます。
盗撮事件の当事者となった方、または家族に盗撮容疑でかかっている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所のへ、お気軽にご連絡ください。

拾った財布を警察に届けずネコババ 遺失物等横領罪か窃盗罪か

2023-08-19

拾った財布を警察に届けずネコババした事件を参考に、遺失物等横領罪と窃盗罪の違いについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

福島県白河市に住んでいる会社員のAさんは、家への帰り道で財布が落ちていることに気付きました。
財布の中身を確認すると10万円近い現金が入っていたため、Aさんは拾った財布を警察に届け出ずにネコババしました。
財布の持ち主は白河警察署に遺失届を提出していたらしく、Aさんは警察に呼び出され取調べを受けることになりました。
逮捕はされませんでしたが、Aさんは遺失物横領罪になるのか窃盗罪になるかと分からず不安で、弁護士事務所に相談することにしました。
(この参考事件はフィクションです。)

窃盗罪

窃盗罪は、「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と刑法235条に定められています。
この条文の窃取とは、他人が占有(物に対する事実上の支配・管理)する財物を、占有者の意思に反して、自己または第三者に占有を移すことを意味します。
しかし、参考事件の財布はAさんが発見した時点では落とし物であるため、既に持ち主の占有が離れた物と見なすことができます。
その場合、Aさんは窃盗罪ではなく遺失物等横領罪が成立する可能性が高いでしょう。

遺失物等横領罪

遺失物等横領罪刑法254条に「遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。」と定められています。
遺失物とは、占有者の意思によらずに占有が離れ誰の占有にも属さない物、つまり「落とし物」のことです。
漂流物はその中でも水中、水面に存在する物を言います。
その他占有を離れた他人の物は、店員が間違って多く渡したお釣り、風で飛ばされた洗濯物等が該当します。
そのため参考事件の落とし物である財布は遺失物であるため、Aさんには遺失物等横領罪が適用される可能性が高いでしょう。

刑事事件に詳しい弁護士事務所

遺失物等横領罪窃盗罪は状況次第では区別が難しい時もあり、参考事件のような事件を起こしてしまった場合に事態を把握するには、専門の弁護士に相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う弁護士事務所です。
当事務所では初回無料の法律相談の他、逮捕された方のもとに直接弁護士が赴く初回接見サービスをご利用いただけます。
遺失物等横領罪窃盗罪で取調べを受けた方、または家族が逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所のフリーダイヤル「0120-631-881」へ、お気軽にご連絡ください。

家出した高校生を家に泊め、未成年者誘拐罪

2023-08-12

未成年者誘拐罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

福島県福島市に住んでいる会社員のAさんは、SNS上で繋がりのあった高校生のVさんが「家を出ていきたい」とコメントしていたことに気付きました。
Aさんは「じゃあ俺の家に来るといい」とVさんに伝え、その後Aさんの自宅に来たVさんを泊めました。
VさんがいなくなったことでVさんの家族は福島北警察署に被害届を出しました。
そして警察の捜査で同市内にいたAさんとVさんが見つかり、Aさんは未成年者誘拐罪の容疑で逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)

未成年者誘拐罪

未成年者を誘拐した場合、刑法第224条に定められた未成年者誘拐罪が適用されます。
この犯罪における「誘拐」とは、未成年者に対して偽計や誘惑を用い、現在置かれている生活環境から離脱させ、自己もしくは第三者の事実的支配下に置くことです。
ここで言う未成年者とは、18歳未満の者を指します。
参考事件ではVさんの発言を受けて家に泊めているため、一見誘拐しているようには見えないかもしれません。
しかし、AさんがVさんの家出を止めずに「じゃあ俺の家に来るといい」という発言をしたことによって、Vさんが間違った判断をしたと考えることができるので、未成年者誘拐罪が適用される可能性は高いです。
また、Vさんの親の同意がないことも、未成年者誘拐罪成立の要因となります。
刑法第224条の保護法益には親権者の保護監督権も含まれているため、仮に未成年者本人の同意があっても、親の同意がなければ本罪は成立します。

未成年者誘拐罪の弁護

未成年者誘拐罪は被害者が存在する事件であるため、被害者側との示談交渉が重要な弁護活動になります。
示談を締結させることができれば、減刑や不起訴処分が見込めます。
さらに未成年者誘拐罪親告罪刑法第229条)であるため、示談の中で告訴を取り下げてもらうことができれば、必ず不起訴処分となります。
しかし、未成年者が被害者であるため被害者側は処罰感情が強くなりやすく、示談交渉が難航することも十分あり得ます。
そのため未成年者誘拐事件の際には、刑事事件の強い弁護士に相談し、弁護活動を依頼することをお勧めいたします。

未成年者誘拐事件に強い弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う弁護士事務所です。
当事務所では初回無料の法律相談逮捕された方のもとに直接弁護士が赴く初回接見サービスをご利用いただけます。
どちらもフリーダイヤル「0120-631-881」で予約可能ですので、未成年者誘拐事件の当事者となった方、またはご家族が未成年者誘拐罪で逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に、是非、ご相談ください。

公務執行妨害と傷害罪が同時に成立、量刑はどうなるか

2023-08-05

公務執行妨害罪と傷害罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

福島県田村郡に住んでいる大学生のAさんは、大学からの帰り道で友人と喧嘩になり、大声で口論をしていました。
通行人が警察に通報したため、すぐに田村警察署の警察官が駆け付けました。
警察官が喧嘩を仲裁しようとするとAさんは警察官を突き飛ばし、塀にぶつかった警察官は腕から出血する怪我を負いました。
そしてAさんはその場で公務執行妨害罪傷害罪の容疑で逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)

公務執行妨害罪

公務執行妨害罪刑法第95条に「公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。」と定められています。
刑法第7条第1項には、「国又は地方公共団体の職員その他法令により公務に従事する議員、委員その他の職員」と公務員の定義が定められており、当然警察官は公務員となります。
本罪の暴行は、公務員の身体に直接加えられている必要はなく、物に対して加えられた暴行も公務員に向けられたと認められればよく、例えば警察官が押収しようとした物品を壊す行為も公務執行妨害罪における暴行となります。
参考事件の場合、警察官を突き飛ばしているのでAさんは公務執行妨害となります。

傷害罪

参考事件で突き飛ばされた警察官は怪我を負っているため、Aさんには傷害罪も適用されています。
刑法第204条には「人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と傷害罪が定められています。
この条文では、人の生理的機能に障害を与える、健康状態を不良に変えること、外見に重大な変化を生じさせることなどが「傷害」に当たると考えられています。
怪我を負わせること以外にも、病気にかからせる、気絶させるなども傷害にあたるとされています。

観念的競合

1つの行為が複数の犯罪に抵触する場合、それは「観念的競合」と言われます。
参考事件のように、警察官に暴力を振るって怪我をさせ、公務執行妨害罪傷害罪が同時に成立するケースは、観念的競合の代表例と言えます。
観念的競合は犯した罪の内、最も重い法定刑によって処断されます。(刑法第54条第1項)。
そのためAさんに適用されるのは、より重いと判断される「傷害罪」の法定刑です。

刑事事件に詳しい弁護士に相談を

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件および少年事件を中心に取り扱う弁護士事務所です。
当事務所では初回無料の法律相談の他、逮捕された方のもとに弁護士が赴く初回接見サービスのご予約を、フリーダイヤル「0120-631-881」で受け付けております。
公務執行妨害事件および傷害事件を起こしてしまった方、またはご家族が逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に、お気軽にご連絡ください。

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