6月, 2024年
【事例解説】突き飛ばされたと相手を何度も殴った傷害事件、正当防衛が成立するための条件とは
傷害罪と正当防衛について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
参考事件
福島県郡山市に住んでいる会社員のAさんは、駅構内でタバコを吸っていました。
禁煙の場所で吸っていたことから通りかかったVさんが、「ここ禁煙ですよ」と伝えました。
気分を害したAさんは「文句あんのか」と詰めより、Vさんは詰め寄ってきたAさんを押し返しました。
それを突き飛ばされたと感じたAさんは、Vさんを複数回殴り、蹴るつけるなどして怪我を負わせました。
見かねた通行人がAさんを抑え、駅員を呼びました。
その後駅員が警察に連絡したことで、Aさんは郡山北警察署に傷害罪の疑いで逮捕されました。
Aさんは「どつかれたからやり返しただけ、正当防衛」と主張しました。
(この参考事件はフィクションです。)
傷害罪
傷害罪は刑法に定められています。
「人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と刑法第204条に規定されており、ここでの「傷害」とは人の生理機能を障害することをです。
参考事件でVさんは、暴行を加えられた際に怪我を負っています。
外傷を与えることは典型的な「傷害」であるため、Aさんには傷害罪が適用されました。

正当防衛
「急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。」と刑法第36条第1項に定められているのが正当防衛です。
この正当防衛が認められれば、その行為の違法性はなくなり、犯罪にはなりません。
ここでいう「急迫」とは、法益の侵害が現に存在している、または間近に迫っていることを意味します。
そして「不正」とは違法であることです。
条文には「自己又は他人の権利を防衛するため」とあることから、該当する行為は防衛する意思を持って行われているという前提が必要です。
しかし、防衛の意思があったとしても、これに乗じて加害する意思を持って防衛行為に及ぶと、急迫性が失われ正当防衛が成立しなくなります。
「やむを得ずにした行為」とは、社会的に見て必要かつ相当である防衛行為です。
例えば、殴られそうになったため腕を抑えて捻る行為は正当防衛が認められる確率が高いですが、殴られそうになったため回避し凶器を持って複数殴り返す行為は、相当性を欠くとして正当防衛が認められる確率は低いと言えます。
また、相当性は欠くが他の要件は満たしている場合では、刑法第36条第2項に「防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。」と定められた過剰防衛が成立する可能性があります。
参考事件の場合、VさんはAさんに詰め寄られた際に押し返しています。
この状況では、VさんからAさんに対して「急迫不正の侵害」があったと判断される可能性は低く、正当防衛の成立は厳しいと言えます。
正当防衛の成立には各種要件を満たしている必要があります。
そのため正当防衛の主張には法的な専門知識が必須であるため、正当防衛の主張をお考えの際は弁護士に相談することをお勧めいたします。
刑事事件の詳しい弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件および少年事件に特化している法律事務所です。
当事務所では初回無料の法律相談、逮捕された方のもとに直接弁護士が赴く初回接見サービスを実施しています。
どちらのご予約もフリーダイヤル「0120-631-881」にて、24時間、365日対応可能です。
傷害罪の容疑で逮捕されてしまった方、または刑事事件で正当防衛の主張を考えている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へ、是非、ご連絡ください。
【事例解説】公園で服を脱いで寝てしまい公然わいせつ罪、被害者がいない事件での弁護活動
公然わいせつ罪と贖罪寄付について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
参考事件
福島県双葉郡に住んでいる大学生のAさんは、飲み会で大量に酒を飲みました。
その帰り道、暑いと感じたAさんは公園で服を脱ぎ、そのままベンチで寝てしまいました。
そして公園を通りかかった通行人が全裸のAさんを発見し、「裸で寝ている人がいる」と警察に通報しました。
その後、双葉警察署の警察官が公園に駆け付けAさんを起こすと、公然わいせつ罪の容疑でAさんを逮捕しました。
(この参考事件はフィクションです。)
公然わいせつ罪

公然わいせつ罪は刑法に規定のある犯罪です。
刑法第175条がその条文であり、内容は「公然とわいせつな行為をした者は、6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。」となっています。
この条文において「公然」とは、不特定または多数の人が認識できる状態にあることを意味します。
認識“している”状態ではなく、認識“できる”状態であるため、わいせつな行為を実際に見ていた人がいる必要はなく、あくまで認識される危険性があれば公然性があると判断されます。
「わいせつな行為」とは、いたずらに性欲を刺激・興奮させ、正常な性的羞恥心を害するものを指します。
このわいせつとは社会通念上の感覚によって判断されるため、例えば目撃者が主観でわいせつだと判断し通報しても、一般的にわいせつと思われないものであれば「わいせつな行為」にはなりません。
参考事件の場合、Aさんは公園という誰が来てもおかしくない場所で、全裸になっています。
性器を露出する行為は「わいせつな行為」と考えられるため、Aさんには公然わいせつ罪が成立しました。
被害者不在の刑事事件
前述のように公然わいせつ罪は目撃者がいなくても成立する事件であるため、被害者に対する示談交渉は行えません。
例外的に、特定の個人に見せる目的で性器を露出させた場合、その見せられた個人を被害者に準ずる者として扱い、示談交渉を進めることもできます。
参考事件では通報した目撃者がいますが、この状況では目撃者を被害者に準ずる者として扱うことは難しいと言えます。
そのため参考事件では示談交渉を行うといったやり方で、弁護活動減刑や不起訴を求めることは期待できません。
しかし、被害者不在の事件でもできる弁護活動として、贖罪寄付があげられます。
刑事事件を起こした際に、反省の態度を見せるために公的な組織に寄付することを贖罪寄付と言います。
この手続きは弁護士を通して行うことが一般的で、贖罪寄付を受け付けている多くの団体は弁護士を通さなければ寄付ができません。
また、贖罪寄付の金額は一律ではなく事件の状況次第で変わるため、適正な金額は弁護士に相談しなければ分かりません。
そのため公然わいせつ罪など被害者がいない事件で減刑や不起訴を目指す場合は、弁護士に贖罪寄付の相談をするなどの対策を行いましょう。
贖罪寄付をお考えの際は法律事務所へ
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を中心に取り扱っている法律事務所です。
当事務所のフリーダイヤル「0120-631-881」では、初回無料の法律相談、逮捕された方のもとに直接弁護士が赴く初回接見サービスのご予約が可能です。。
公然わいせつ罪となる行為をしてしまった方や、ご家族が公然わいせつ罪の容疑で逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へ、是非、ご相談ください。
平日はもちろん、土・日・祝日も、24時間体制でお電話をお待ちしております。
【事例解説】他人の物を持ち去って隠し、器物損壊罪が適用。「損壊」の定義と窃盗罪の要件
器物損壊罪と窃盗罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
参考事件
福島県田村郡に住んでいる大学生のAさんは、同じ大学に通うVさんと喧嘩をしていました。
怒りの収まらないAさんは、Vさんを困らせようとVさんの自転車を駐輪場から持ち去って隠しました。
そしてVさんは駐輪場から自転車がなくなったことで泥棒にあったと思い、警察に通報しました。
その後、田村警察署の捜査によってAさんが自転車を持ち去ったことが分かり、Aさんは器物損壊罪の容疑で逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)
窃盗罪の要件
参考事件に適用されているのが、窃盗罪ではなく器物損壊罪であることに疑問を持つ人もいるかもしれません。
しかし、器物損壊罪は物を物理的に壊す以外でも成立し、窃盗罪も適用されるための要件があります。
この2つはどちらも刑法に定められている犯罪です。
まず窃盗罪の条文を解説していき、次に器物損壊罪の条文を解説します。
刑法第235条が窃盗罪の条文であり、「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と定められています。
「窃取」とは財物をその持ち主の意思に反して、自己または第三者にその占有(物に対する実質的な支配または管理)を移すことを言います。
AさんはVさんの所有している自転車をVさんの意思に反して持ち出しています。
それでもAさんに窃盗罪が適用されないのは、Aさんに「不法領得の意思」が欠けているからです。
「不法領得の意思」とは物の所有者(権利者)を排除して、その物を不法に自己の所有物にしようとする意思であり、条文に記載はありませんが窃盗罪の成立には不可欠なものです。
Aさんの場合、自転車を隠したのは嫌がらせの目的であり、自転車を使ったり売ったりするなど自分の物として扱う意思がないため、窃盗罪は成立しませんでした。
器物損壊罪の損壊
「他人の物を損壊し、又は傷害した者」に適用されるのが刑法第261条の器物損壊罪であり、その法定刑は「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」となっています。
器物損壊罪の「損壊」とは、「その物の効用を害する一切の行為」を意味しています。
物理的な破壊はもちろんですが、物を汚す、物を隠すといった行為も「損壊」に含まれます。
Aさんは自転車を無断で隠しましたが、隠す行為はその物を持ち主が使用できなくすることであり、効用が害されたと判断されます。
そのため、Vさんが持つ自転車を「損壊」したAさんには器物損壊罪が成立しました。
このように、法的な運用が一般的なイメージと異なっているケースは他にも多々あります。
刑事事件が起きた時に状況を正しく把握するには、専門的な知識が必要になります。
器物損壊事件などの刑事事件を起こしてしまった際は、速やかに弁護士に相談し、状況を把握することが重要です。

まずは弁護士にご相談ください
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件、少年事件に特化している法律事務所です。
当事務所ではフリーダイヤル「0120-631-881」にて、初回無料の法律相談の他、逮捕された方のもとに弁護士が直接赴く初回接見サービスのご予約を受け付けております。
24時間、年中無休でお電話をお待ちしておりますので、器物損壊事件を起こしてしまった方や、ご家族が窃盗罪の容疑で逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へ、お気軽にご相談ください。
【事例解説】一般的なイメージと異なる暴力犯罪、暴行罪の「暴行」が指す内容について解説
暴行罪と事情聴取について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
参考事件
福島県いわき市に住んでいる大学生のAさんは、駅構内で好みの容姿であったVさんを見つけ、話しかけました。
Aさんは事前に手に体液を付けており、話の際にVさんの肩を触るなどして体液を付けました。
Aさんが去った後、Vさんは服に体液がかかっていることに気付き、駅の交番に事件のことを伝えました。
その後、いわき南警察署が監視カメラの映像などからAさんが犯人であることを突きとめ、暴行罪の容疑でAさんは事情聴取を受けることになりました。
(この参考事件はフィクションです。)
暴行
暴行罪は刑法に定められており、傷害罪の未遂規定のような性質を持っています。
「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。」と刑法第208条が定めており、相手が怪我を負った場合は暴行罪ではなく傷害罪が適用されます。
この場合、人の身体に対する不法な有形力の行使を指すのが「暴行」で、当然殴る蹴るなどの直接的な暴力も含まれていますが、音や熱、電気、病原菌などを行使しても「暴行」にあたります。
この「暴行」がカバーする範囲は非常に広範囲であり、例えば電車に乗る相手を引っ張るなどして乗車を邪魔した場合も、暴行罪は成立します。
また、「暴行」は相手の身体に直接接触している必要はありません。
相手をおどかす目的で石を投げ、相手よりも少し手前に石が落ちた場合、石が相手に接触しなかったとしても暴行罪が適用されることになります。
相手に水や塩などを振りかける行為も、直接接触していない「暴行」にあたります。
参考事件のように体液を相手の身体(もしくは着ている服)に付着させる行為も「暴行」であるため、Aさんは暴行罪になりました。

また、Aさんの行為は性犯罪には該当しませんでしたが、体液をかける行為は状況次第で暴行罪では済まず、性犯罪になってしまう可能性もあります。
事情聴取
警察から事情聴取を受けると、警察に説明した内容が供述調書としてまとめられます。
供述調書はその後の捜査に大きな影響を与え、裁判では証拠として使用されます。
そのため事情聴取での受け答えは非常に大切になりますが、ほとんどの人は初めての事情聴取で適切な対応はとれません。
事情聴取は複数回行われることもあるため、警察に再度呼ばれれば応じなければなりません。
そのため警察署で事情聴取を受ける場合、事前に弁護士に相談し、対策を立てておくことをお勧めします。
まずは法律事務所に相談に行きましょう。
刑事事件に詳しい弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件および少年事件に特化した法律事務所です。
当事務所ではフリーダイヤル「0120-631-881」にて、初回であれば無料で法律相談をご予約いただけます。
また、同じフリーダイヤルで逮捕された方のもとに弁護士が直接赴く初回接見サービスのご予約も可能です。
暴力犯罪を起こしてしまった方や、ご家族が暴行罪の容疑で逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へ、お気軽にご連絡ください。
24時間365日、お電話をお待ちしております。
【事例解説】高校生を自宅に泊め未成年者誘拐罪になった事例、「誘拐」と判断される条件とは
未成年者誘拐罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
参考事件
福島県福島市に住んでいる大学生のAさんは、インターネット上で知り合った高校生のVさんを自宅に招いていました。
夕方になってVさんが「このまま遊んでたい」と言うと、Aさんは「なら家で寝るか」と泊まりを勧め、VさんはAさんの自宅に泊まることにしました。
しかし、Vさんは泊まることを両親に連絡しなかったため、Vさんの両親はVさんのことを心配し、警察に連絡していました。
その後、福島警察署が福島市内の駅で2人を発見し、Aさんは未成年者誘拐罪の容疑で逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)
未成年者誘拐罪
一般的に「誘拐」は、子供を無理矢理連れ去るイメージがあります。
しかし刑法における「誘拐」の定義はそのイメージとは少し違います。
刑法第224条が未成年者誘拐罪(および未成年者略取罪)を定めている条文であり、その内容は「未成年者を略取し、又は誘拐した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。」となっています。
この場合の「未成年者」は18歳未満の者を指しています。
参考事件の場合、Vさんの言葉に応える形でAさんは泊まりを勧めているため、お互いの合意があり一見すると誘拐には見えないかもしれません。
しかし未成年者誘拐罪においては、欺罔・偽計・誘惑・甘言などを用いて未成年者に誤った判断をさせ、現在置かれている生活環境から離脱させて自己もしくは第三者の事実的支配下に置くことが誘拐と定義されています。
さらにこの条文が保護する法益は、被害者の自由と安全だけでなく親権者の保護監督権も含まれています。
そのため被害者と合意の上で泊まったとしても、両親など保護者から同意が得られていないのなら未成年者誘拐罪は適用されます。
また、同条文が未成年者略取罪を定めていますが、「略取」は暴行や脅迫などが用いて未成年者の意思を抑制することとしています。
参考事件ではAさんが「なら家で寝るか」と宿泊を提案していますが、これが誘惑や甘言と判断されます。
それによってVさんは、両親に連絡することなくAさんの自宅に泊まるという誤った判断をしたため、AさんはVさんを誘拐したと判断され、未成年者略取罪が成立しました。

親告罪
未成年者誘拐罪は罰金刑が定められていないため、起訴されてしまえば裁判を受けることになってしまいます。
裁判を避けるには被害者との示談交渉が必要です。
刑法229条は「第224条の罪及び同条の罪を幇助する目的で犯した第227条第1項の罪並びにこれらの罪の未遂罪は、告訴がなければ控訴を提起することができない。」と定められています。
つまり、未成年者誘拐罪は親告罪であり、被害者が告訴を取り下げれば検察は起訴することができません。
示談交渉の中で、被害者に告訴を取り下げることを了承していただければ、不起訴で事件を終えることができます。
しかし、未成年者が被害者であるため、基本的に示談交渉はその保護者と行うことになります。
そのため示談交渉は難航しやすく、場合によっては連絡を取ることもできない可能性があります。
未成年者誘拐罪の示談交渉をスムーズに進めるためには、弁護士に相談し、弁護活動を依頼することが重要です。
未成年者誘拐罪での示談交渉はお任せください
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件に特化している法律事務所です。
当事務所のフリーダイヤル「0120-631-881」では、初回無料の法律相談の他逮捕されている方のもとへ直接弁護士が伺う初回接見サービスのご予約を受け付けております。
ご予約は24時間、365日対応が可能です。
未成年者誘拐事件を起こしてしまった方や、未成年者誘拐罪の容疑で逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へ、お気軽にご連絡ください。
