【事例解説】他人の物を持ち去って隠し、器物損壊罪が適用。「損壊」の定義と窃盗罪の要件

器物損壊罪と窃盗罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

福島県田村郡に住んでいる大学生のAさんは、同じ大学に通うVさんと喧嘩をしていました。
怒りの収まらないAさんは、Vさんを困らせようとVさんの自転車を駐輪場から持ち去って隠しました。
そしてVさんは駐輪場から自転車がなくなったことで泥棒にあったと思い、警察に通報しました。
その後、田村警察署の捜査によってAさんが自転車を持ち去ったことが分かり、Aさんは器物損壊罪の容疑で逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)

窃盗罪の要件

参考事件に適用されているのが、窃盗罪ではなく器物損壊罪であることに疑問を持つ人もいるかもしれません。
しかし、器物損壊罪は物を物理的に壊す以外でも成立し、窃盗罪も適用されるための要件があります。
この2つはどちらも刑法に定められている犯罪です。
まず窃盗罪の条文を解説していき、次に器物損壊罪の条文を解説します。
刑法第235条窃盗罪の条文であり、「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と定められています。
窃取」とは財物をその持ち主の意思に反して、自己または第三者にその占有(物に対する実質的な支配または管理)を移すことを言います。
AさんはVさんの所有している自転車をVさんの意思に反して持ち出しています。
それでもAさんに窃盗罪が適用されないのは、Aさんに「不法領得の意思」が欠けているからです。
不法領得の意思」とは物の所有者(権利者)を排除して、その物を不法に自己の所有物にしようとする意思であり、条文に記載はありませんが窃盗罪の成立には不可欠なものです。
Aさんの場合、自転車を隠したのは嫌がらせの目的であり、自転車を使ったり売ったりするなど自分の物として扱う意思がないため、窃盗罪は成立しませんでした。

器物損壊罪の損壊

他人の物を損壊し、又は傷害した者」に適用されるのが刑法第261条器物損壊罪であり、その法定刑は「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」となっています。

器物損壊罪の「損壊」とは、「その物の効用を害する一切の行為」を意味しています。
物理的な破壊はもちろんですが、物を汚す、物を隠すといった行為も「損壊」に含まれます。
Aさんは自転車を無断で隠しましたが、隠す行為はその物を持ち主が使用できなくすることであり、効用が害されたと判断されます。
そのため、Vさんが持つ自転車を「損壊」したAさんには器物損壊罪が成立しました。
このように、法的な運用が一般的なイメージと異なっているケースは他にも多々あります。
刑事事件が起きた時に状況を正しく把握するには、専門的な知識が必要になります。
器物損壊事件などの刑事事件を起こしてしまった際は、速やかに弁護士に相談し、状況を把握することが重要です。

まずは弁護士にご相談ください

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件、少年事件に特化している法律事務所です。
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