福島県相馬市にある会社に勤めるAさんは、かねてから部下であるVさんに好意を抱いていました。
ある日、Aさんは仕事終わりにVさんを食事に誘い、食事を終えてから自宅に招きました。
Vさんはあまり気が乗りませんでしたが、直属の上司であるAさんの誘いを無碍にはできないと思い、Aさん宅へ行くことにしました。
Aさんは、Vさんが自身に気があると思い込み、Vさんと半ば無理矢理性行為に及びました。
後日、Vさんが相馬警察署に被害届を出したことで、Aさんは強制性交等罪の疑いで逮捕されました。
Aさんと接見した弁護士は、Vさんと示談したあと勾留取消しを請求することにしました。
(フィクションです。)
【強制性交等罪について】
強制性交等罪は、暴行または脅迫を手段として、相手方と無理やり「性交等」に及んだ場合に成立する可能性のある罪です。
かつては強姦罪という名称でしたが、平成29年の刑法改正により現在の名称に変更されました。
「性交等」には、通常の性交だけでなく、口腔や肛門を用いての性交も含まれます。
強姦罪だった頃はこれらの行為が強制わいせつ罪に過ぎなかったため、強制性交等罪により処罰範囲は広がったと言えます。
強制性交等罪における暴行・脅迫は、相手方の犯行を抑圧するに足りる程度のものを要すると考えられています。
暴行・脅迫がこの程度に至っているかどうかは、様々な事情を考慮して客観的に行われるものです。
そのため、暴行が殴る蹴るといった行為でなかったり、脅迫の内容が「騒いだら殺す」というものでなかったりした場合にも、暴行・脅迫が認定される可能性があるのです。
上記事例においても、Vさんによる抵抗が困難だったとして、Aさんに強制性交等罪が成立することはありうるでしょう。
強制性交等罪の法定刑は、5年以上の有期懲役(上限20年)という重いものです。
懲役刑を言い渡される場合、執行猶予となる余地があるのは懲役の期間が3年以下のときだけです。
そのため、刑の減軽事由となる何かしらの事情がなければ、執行猶予を実現するのは法律上不可能です。
一番有力な選択肢は示談なので、やはり示談交渉が肝になると言えるでしょう。
【勾留取消しによる釈放の可能性】
先ほど見たように、強制性交等罪の法定刑は重いため、逮捕・勾留の可能性は一般的に高いと言えます。
逮捕後に勾留される可能性は極めて高く、そのうえ起訴されることで身体拘束が数か月に及ぶことも十分ありえます。
勾留を解くための手段はいくつかありますが、今回は勾留取消しをご紹介します。
勾留取消しとは、現に勾留が行われている際に、途中でその勾留を打ち切って身柄解放を実現する手続です。
勾留取消しの最大の強みは、事件の進捗を加味して身体後続の継続の当否を判断してもらえる点です。
たとえば、勾留決定により10日間の身体拘束が決定し、それから数日経ったあとで示談が成立したとします。
通常であれば、10日間の勾留は既に決まっていることから、その勾留が終わるまで身柄解放を実現することはできません。
しかし、勾留取消しがあった場合には、勾留の期間中でも新たに生じた事情を考慮して身体拘束の当否を判断してもらえます。
これにより、勾留期間の満了を待たずして早期に釈放を実現することが可能となるのです。
勾留取消しに至るパターンとしては、①検察官または裁判官の判断を待つ、②弁護士が請求して裁判官に働きかける、の2つが考えられます。
これらのうち、①に関しては正直なところそれほど期待できるものではありません。
ですので、もし勾留取消しにより一日でも早い釈放を目指すのであれば、弁護士に事件を依頼するのが賢明と言えるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件の豊富な経験を持つ弁護士が、逮捕された方を勾留取消しなどで一日でも早く釈放します。
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