睡眠薬を飲ませ傷害罪で逮捕
他人の飲み物に睡眠薬を入れて飲ませ、傷害罪で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
【事例】
福島県二本松市内の病院甲に勤務する医師Aは、日頃からストレスを抱えて生きており、憂さ晴らしのため自己の勤務先である同病院の地下保管庫において保管してある睡眠薬を持ち出しました。
そして、帰宅途中にAは知人Bと偶然街中で出会いました。
AはBのことを普段から疎ましく思っていてかつストレスからムシャクシャしていた為、たまたま会ったこの機会に睡眠薬を使ってBのことを痛めつけてやろうと考えました。
そこで、Aは同市内飲食店に連れ込んでBの飲み物にこれを混入させ様子を見ていました。
すると、1時間もたたないうちにBは意識障害を伴う急性薬物中毒の症状を発症し周囲の人の通報で病院に救急搬送されました。
その後Aは、福島県二本松警察署の警察官によって、傷害の容疑で逮捕されました。(このストーリーはフィクションです)
~傷害罪とは~
睡眠薬を飲ませて薬物中毒にさせたAさん。
傷害罪が成立する可能性があります。
刑法204条
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
「傷害」とは、人の生理的機能を害することとされています。
そして、殴る蹴るなどの直接的な暴行の他、無形的方法による場合も「傷害」に該当すると考えられています。
たとえば、感染症に罹患させる行為、連日ラジオの音声等を大音量で鳴らし続け慢性頭痛症等を生ぜしめた行為、ストーカー行為や嫌がらせ電話で精神疾患に追い込む行為、近年話題になっているセクシュアルハラスメント行為等に起因する外傷後ストレス障害(PTSD)を負わせる行為も一定の範囲で「傷害」に該当すると考えられています。
今回用いられた睡眠薬も、意識障害や筋弛緩作用を伴う急性薬物中毒の症状を生じさせるので、「傷害」に該当するでしょう。
そのため、Aの行為には傷害罪が成立すると考えられます。
また、今回Aは医師でありながら自己の勤務先である病院甲の地下保管庫に保管している睡眠薬を持ち出しているため窃盗罪(235条)または業務上横領罪(253条)も成立する可能性があります。
~刑事事件の手続きの流れ~
犯罪をしたとして逮捕されると、最初に最大3日間、警察署等で身体拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるなどとして検察官が請求し、裁判官が許可すれば、さらに10日間、勾留(こうりゅう)と呼ばれる身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。
弁護士としては、勾留を防いで早期に釈放されるよう、逃亡や証拠隠滅のおそれがないといえる理由をまとめた意見書を提出するなどの弁護活動を行います。
釈放されれば、自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けるという流れになるでしょう。
勾留された場合はその期間の最後に、勾留されなかった場合は捜査が終わり次第、検察官が被疑者を刑事裁判にかけるか(起訴)、かけないか(不起訴)の判断をします。
このうち起訴には①正式起訴と②略式起訴があります。
①正式起訴されると刑事裁判が開かれ、事件によって懲役刑の実刑判決や執行猶予判決、罰金刑の判決を受けたり、まれに無罪判決がなされることになります。
一方、②略式起訴は比較的軽い事件でなされることが多いです。
法廷での刑事裁判は開かれず、簡単な手続で罰金を納付して終わるということになります。
弁護士としては、被害者に謝罪・賠償して示談を結ぶなど、有利になる事情を集めて、出来るだけ軽い結果で終わるように弁護活動をします。
~弁護士にご相談ください~
あなたやご家族が何らかの犯罪をしたとして逮捕されたり、取調べを受けたといった場合、いつ釈放されるのか、どれくらいの刑罰を受けるのか、仕事への影響など不安だらけだと思います。
ぜひ一度、弁護士にご相談いただければと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
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