Aさんは、福島県伊達市内の路上において、中学2年生のVさんに対してわいせつな行為をしようと思いました。
そこで、AさんはVさんの口を押さえて「騒いだら殺す」と画面に表示させたスマートフォンを見せ、スカートの中に手を入れて下半身を触りました。
数分程度行為に及んだところで、Aさんは呆然としているVさんを置いてすぐにその場を逃走しました。
後日、Vさんが両親と伊達警察署に被害届を出し、Aさんは強制わいせつ罪の疑いで逮捕されました。
逮捕の知らせを受けたAさんの両親は、弁護士に示談を依頼することにしました。
(フィクションです)
【強制わいせつ罪について】
強制わいせつ罪は、暴行または脅迫を用いて「わいせつな行為」に及んだ場合に成立する可能性のある罪です。
暴行・脅迫を手段とすること、行為の内容がより悪質であることから、多くの痴漢に適用される迷惑防止条例違反の罪とは一線を画すと言えます。
強制わいせつ罪における「わいせつな行為」とは、裁判例において以下のように定義されています。
「いたずらに性欲を刺激・興奮させ、なおかつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、もって善良な性的道義観念に反する行為」
具体的な行為が「わいせつな行為」として強制わいせつ罪に当たるかどうかは、この定義を手掛かりに判断していくことになります。
実務上、「わいせつな行為」として認められやすいのは、膣に指を挿入する、胸を揉む、無理やりキスをする、などが挙げられます。
単に尻や胸に触れた程度でさほど悪質でなければ、先ほど述べた迷惑防止条例違反の罪が成立するにとどまる可能性が高いでしょう。
また、「わいせつな行為」の手段となる暴行・脅迫は、相手方の反抗を著しく困難にする程度のものである必要があるというのが通説的な見解です。
こうした文言からすると相当強度のものが必要のようにも思われますが、裁判例における認定は比較的緩やかな場合もあるため一概には言えません。
【示談の重要性】
強制わいせつ罪の法定刑は6か月以上10年以下の懲役であり、罰金刑がない点、上限が10年である点から決して軽くないものと言えます。
更に、仮にその機会に死亡または傷害の結果が生じた場合、強制わいせつ致死傷罪として無期懲役または3年以上の有期懲役(上限20年)が科される余地も出てきます。
強制わいせつ罪が上記のとおり重いことから、もし犯してしまえば裁判や実刑となるリスクは常に想定しなければなりません。
そのうえで、少しでも刑を減軽するのであれば、やはり被害者との示談が重要になります。
事件の性質上、示談交渉は難航することが予想されるので、弁護士をつけて対応することをおすすめします。
もしきちんと示談が締結できれば、場合によっては不起訴、もし裁判になっても高い確率で執行猶予となることが期待できます。
示談に関して注意すべきポイントとして、被害者がどのような心情を持っているかという点が挙げられます。
たとえ表面上は示談ができても、被害者が依然として強い処罰感情を抱いていれば示談の効果が薄れる可能性があります。
そのため、示談をするに当たっては、双方納得のうえで実のある合意を目指す必要があるのです。
そうした点は、事件の張本人やその家族ではなかなか目指しづらいというのが実情です。
示談の効力を少しでも多く裁判に反映させるために、示談交渉はぜひ弁護士に依頼しましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件のプロを自負する弁護士が、最善の結果を目指して真摯に示談交渉に取り組みます。
ご家族などが強制わいせつ罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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