特殊詐欺事件と窃盗罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
参考事件
福島県いわき市に来ていた無職のAさんは、特殊詐欺事件に加担し、出し子を担っていました。
受け子からキャッシュカードを受け取ったAさんはコンビニのATMに行き、現金を引き出しました。
そしてある日、Aさんの自宅に警察官が訪ねて来ました。
警察官はコンビニでATMを使用しているAさんの写真を出して、「ここに写っているのはあなたで間違いないですね」と聞きました。
Aさんは自分であることを認め、警察官はAさんを窃盗罪の容疑でいわき東警察署に逮捕しました。
(この参考事件はフィクションです。)
特殊詐欺事件
特殊詐欺事件とは電話やハガキなどの対面しない方法を用いて、公的な組織などの信頼が置ける人物と装って被害者に接触し、現金などを不特定多数から騙し取る犯罪です。
特殊詐欺はほとんどの場合、単独ではなく複数の犯人たちがそれぞれの役割を担って実行されます。
有名なものに「受け子」があり、被害者の自宅に直接行き、現金やキャッシュカードを被害者から受け取る役割になっています。
電話を使った特殊詐欺では「架け子」という役割があり、電話で被害者を騙す役割を担います。
Aさんが担当した「出し子」とは、ATMから現金を引き出す役割です。
この出し子は逮捕リスクが高くなっています。
ATMが設置されている場所には必ず防犯カメラも設置されており、ATM自体にも操作をする人の顔を撮影するカメラが設置されています。
そのためAさんのように防犯カメラの映像から身元を特定されやすくなっています。
受け子の場合も、被害者と直接会うことから逮捕リスクも高く、末端が使い捨てとして担っていることがほとんどです。
この2つの役割と違い、架け子は顔を知られる可能性が低く逮捕リスクもほぼないため、特殊詐欺の指示役が担うことが多くなっています。
詐欺罪ではなく窃盗罪
参考事件は特殊詐欺を扱った内容ですが、Aさんは窃盗罪で逮捕されてます。
これを不思議に思うかもしれませんが、刑法の詐欺罪が成立するには特定の条件を満たす必要があります。
その1つが人を欺く行為であり、受け子や架け子は信頼できる人物を騙って人を欺き、現金などを奪うため詐欺罪が成立します。
出し子は人のキャッシュカードを使ってATMから現金を引き出しますが、途中に人を騙す過程がありません。
そのため参考事件でAさんには詐欺罪を成立しませんでした。
しかし、人のキャッシュカードを使って現金を奪っていることから、Aさんには刑法第235条に「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と定められた窃盗罪が成立しました。
このように、刑事事件は一般的にイメージされる罪とは異なった罪が成立することもあるため、正しく自身の置かれた状況を把握するためにも、特殊詐欺事件に加担してしまった場合は弁護士に相談しましょう。
特殊詐欺に詳しい弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件と少年事件を中心に扱っている法律事務所です。
当事務所のフリーダイヤル「0120-631-881」では、初回無料の法律相談、逮捕された方のもとへ弁護士が直接伺う初回接見サービスをご予約いただけます。
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特殊詐欺事件に加担してしまった、または窃盗罪の容疑でご家族が逮捕されてしまった、このような時は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所のへ、是非、ご連絡ください。