10月, 2023年

盗んだ後に暴行・脅迫、窃盗に留まらず強盗事件に

2023-10-28

事後強盗罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

福島県伊達市に住んでいる大学生のAさんは、市内にある公園で置き忘れのカバンを発見しました。
Aさんはカバンの中にあった財布を取り出し、中身を確認すると現金を抜き取って懐に入れました。
しかし、そこにカバンの持ち主であるVさんが戻ってきて、Aさんが現金を盗ったことを指摘し、返すように要求しました。
焦ったAさんはVさんを蹴り、Vさんが倒れたところを確認するとその場から逃走しました。
その後、Vさんは警察に事件のことを通報しました。
しばらくして伊達警察署の捜査によりAさんの身元が判明し、Aさんは事後強盗罪の容疑で逮捕されました。

(この参考事件はフィクションです。)

事後強盗罪

前回のブログで一般的なイメージの強盗事件とは少し違った強盗事件を紹介しました。
そして今回もあまり一般に馴染みのない強盗事件を紹介したいと思います。
それが参考事件にもある事後強盗罪です。
刑法第238条には「窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。」と定められており、これが事後強盗罪の条文です。
強盗罪は暴行・脅迫を用いて財物や財産上の利益を得ようとすると適用される犯罪であり、手段として暴行や脅迫が使われます(刑法第236条)。
その強盗罪とは順序が逆になるのが事後強盗罪であり、まずは窃盗にあたる行為が最初にあります。
そして盗んだ物を守るために逃走、または窃盗を行った証拠の隠滅を図ろうとして暴行・脅迫が行われる、これが事後強盗罪の適用される流れになります。

示談交渉の重要性

事後強盗罪の条文には「強盗として論ずる。」と定められています。
そのため法定刑は強盗罪と同じ「5年以上の有期懲役」となり、実刑判決となるリスクの高い犯罪です。
被害者が存在する事件の場合、刑務所への服役を避けるためには示談交渉が重要になります。
被害者と示談を締結することができれば、減刑の可能性は高まり、執行猶予の獲得が視野に入ります。
しかし、参考事件のように被害者が知り合いなどでない場合、個人で連絡を取って示談することはほぼ不可能であり、警察も被害者の連絡先を犯人に教えることもまずありえません。
そのためスムーズに示談交渉を進めるためには、刑事事件に詳しい弁護士に弁護活動を依頼することが必要です。

強盗事件の際は相談を

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件を含む刑事事件を専門に取り扱っている法律事務所です。
当事務所はフリーダイヤル「0120-631-881」にて、初回であれば無料の法律相談や、逮捕されている方のもとに直接弁護士が赴く初回接見サービスをご予約いただけます。
強盗事件を起こしてしまった方、またはご家族が強盗事件の当事者となってしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へお気軽にご相談ください。

「物」を奪わずとも強盗罪に、1項強盗と2項強盗の違い

2023-10-21

1項強盗と2項強盗について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

無職のAさんは、福島県二本松駅付近でタクシーを呼び止めて乗車しました。
Aさんが指定した場所にタクシーが到着しドアが開くと、Aさんはお金を払わずにタクシーを降車しました。
タクシーの運転手はすぐにAさんに「支払いがまだです。」と呼び止めて降車しましたが、Aさんは運転手を突き飛ばすと走ってその場から逃走しました。
その後、タクシー強盗として二本松警察署が捜査を進め、しばらくしてAさんは強盗罪の容疑で逮捕されました。

(この参考事件はフィクションです。)

強盗罪の種類

参考事件でAさんは強盗罪で逮捕されていますが、金品を奪ったわけではないので強盗罪であることに違和感を覚える方もいるかもしれません。
しかし、まず刑法第236条第1項には「暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。」と定められていますが、同条第2項には「前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。」と定められています。
「財産上不法の利益」とは例えばレストランで注文した料理の代金を免れる等、サービスの対価を払わないといったことを指しています。
そして参考事件のAさんは、運転手を突き飛ばすという暴行を用いて逃走し、タクシー料金の支払いを免れているため、刑法第236条第2項強盗罪がします。
これらの条文が違うそれぞれの強盗罪は、財物を強取する方を1項強盗、財産上不法の利益を得る方を2項強盗とそれぞれ呼称されます(2項強盗は他にも利益強盗強盗利得罪と呼ばれることもあります)。

執行猶予の条件

2項強盗は「同項と同様とする。」と定められているため、法定刑は「5年以上の有期懲役」となります。
罰金刑が定められていない強盗罪は起訴されてしまうと必ず刑事裁判が開かれることになり、そのまま有罪となってしまえば刑務所へ服役することになってしまいます。
執行猶予も取り付ける条件の1つが「3年以下の懲役」の言い渡しになっているため、このままでは実刑判決は免れません。
処分を軽減し執行猶予を取り付けるためにも、速やかに強盗事件などの刑事事件の知識と経験が豊富な弁護士に相談し、弁護活動を依頼することが重要です。

強盗事件の際は相談を

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件を含む刑事事件を専門に取り扱っている法律事務所です。
当事務所はフリーダイヤル「0120-631-881」にて、初回であれば無料の法律相談や、逮捕されている方のもとに直接弁護士が赴く初回接見サービスをご予約いただけます。
強盗事件を起こしてしまった方、またはご家族が強盗事件の当事者となってしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へお気軽にご相談ください。

自転車でも成立、ひき逃げの道路交通法違反

2023-10-14

ひき逃げと言われる道路交通法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

福島県河沼郡に住んでいる会社員のAさんは、自宅に帰るために自転車で走行していました。
Aさんが走行していると角から出てきたVさんにぶつかりましたが、急いでいたAさんはVさんが立ち上がるのを確認するとそのそのまま現場を離れました。
翌日、Aさんの家に会津坂下警察署の警察官が訪ねてきました。
前日にAさんがぶつかった人がひき逃げされたと警察に被害届を出したと、Aさんは警察官から説明を受けました。
そしてAさんは道路交通法違反の容疑で逮捕されることになりました。
(この参考事件はフィクションです。)

ひき逃げ

道路交通法第72条には、交通事故を起こしてしまった場合に取らなければならない措置が定められています。
同条第1項によれば、事故に係る自動車などの運転手及び同乗者は負傷者を救護するだけでなく、道路の安全を図り警察官に事故が起きたことを報告しなければなりません。
これらの措置を取らずに現場から離れる行為はひき逃げとよばれますが、これは報道などで使われる用語で法律的には道路交通法違反と呼称されます。
道路交通法において車両の運転手には上記の義務がありますが、自転車は軽車両に該当する乗り物になります。
そのため参考事件のAさんは自転車で事故を起こし、道路の危険を防止する措置を取らず、被害者の救護も警察への報告も行っていないため道路交通法違反となることは間違いありません。
被害者を救護しなかった場合の法定刑は「5年以下の懲役又は50万円以下の罰金」が法定刑となっています(道路交通法第117条第1項)。
しかし、救護義務に違反しただけでなく被害者の怪我が当該運転手の運転が原因である場合、「10年以下の懲役又は100万円以下の罰金」と罰則がより重くなります(道路交通法第117条第2項)。
また、警察官に事故を報告しなかった場合は「3月以下の懲役又は5万円以下の罰金」が科せられます(道路交通法第119条第1項第17号)。

交通事件の弁護活動

簡単にひき逃げと言っても、上記のように状況によって適用される条文は違うため、専門的な知識がなければどういう罪に問われているのか、具体的な内容は分かりづらいこともあります。
また、ひき逃げは被害者がいる事件であるため、示談交渉が弁護活動として挙げられます。
早期に示談交渉を締結することができれば不起訴処分を獲得することも可能であり、弁護士がいれば示談交渉がより速やかに締結するためのサポートを受けることができます。
そのため詳しく先の見通しをたて、円滑に示談を進めるためにも、交通事件などに詳しい弁護士に相談することがお勧めです。

交通事件に詳しい弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件を含む刑事事件を専門に取り扱っている法律事務所です。
当事務所では初回であれば無料の法律相談や、逮捕された方のもとに弁護士が直接赴く初回接見サービスをご利用いただくことができます。
ひき逃げ事件を起こしてしまった、またはご家族が道路交通法違反の容疑で逮捕されてしまった場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご連絡ください。
フリーダイヤル「0120-631-881」にて、ご予約をお待ちしております。

無銭飲食で逮捕、適用される詐欺罪の条文

2023-10-07

無銭飲食と詐欺罪の条文について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

福島県郡山市に訪れた無職のAさんは、飲食店に入るとビールやそのおつまみ等を合計で1万円以上を注文して食べました。
財布を持っていないAさんは店員に「お金をATMまで下ろしに行ってきます」と嘘をついて飲食店を出ると、そのまま逃走しました。
いつまで待ってもAさんが帰って来ないことを不安に思い、店員が警察に通報してAさんが無銭飲食したことが分かりました。
そしてAさんは郡山警察署の捜査によって身元が判明し、詐欺罪の容疑で逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)

無銭飲食による詐欺

Aさんの逮捕容疑となったのは刑法第246条第1項に「人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。」と定められている詐欺罪です。
人を欺いて」とありますが、これに該当する行為には一定の流れが必要になります。
まず被疑者(犯人)による欺罔行為(欺く行為)が最初にあり、その欺く行為によって被害者に錯誤(勘違い・思い違い)が引き起こされます。
そしてその誤った情報に基づいた財産の処分行為が行われ、被疑者が財物や財産上の利益を得ます。
この流れが因果的に繋がっている時、詐欺罪が適用されます。
参考事件の場合、まずAさんが料理等を注文していますが、この注文で店側はAさんに代金を支払う意思と能力があると錯誤が引き起こされているので、この時点でAさんは欺罔行為をしたことになります。
そして錯誤状態の店側がAさんに財物である料理等を交付しているためAさんは詐欺罪となります。

もしAさんが財布を持ってきたと思っており、会計時に財布がないことに気付いて参考事件のように嘘ついて逃げた場合、Aさんは財物を交付させる際には欺罔行為を行っていなので、刑法第246条第1項は適用されません。
この場合、Aさんが「お金を下ろしてくる」と店員を欺き、代金の支払いを免れるという財産上の利益を得たことになるので、適用されるのは刑法第246条第2項の「前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。」と定められた詐欺罪になります。
第1項の「財物を交付」させた場合が1項詐欺第2項の「財産上不法の利益を得」た場合が2項詐欺と呼称されます。
2項詐欺には「同項と同様とする」とあるため、どちらの無銭飲食をした場合でも法定刑は「10年以下の懲役」となります。

店舗との示談交渉

無銭飲食をしてしまった場合の弁護対応の1つは、飲み食いした料理の代金を支払って被害弁償を行う示談交渉が挙げられます。
しかし、個人で示談交渉を行うこともできますが、被害者が会社などの個人でない場合は弁護士がいなければ示談交渉には応じないと言われてしまうケースもあります。
また、詐欺罪には懲役刑のみが定められているため、起訴され有罪となれば刑務所へ服役することになる可能性もあります。
しかし早期に弁護対応を開始できれば、不起訴での事件終了も視野に入ります。
そのためなるべく速やかに弁護士に相談し、弁護活動を依頼することが重要です。

詐欺事件に強い弁護士事務所

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件を含む刑事事件を専門に取り扱っている法律事務所です。
当事務所では初回無料の法律相談逮捕された方のもとに弁護士が直接伺う初回接見サービスなどを実施しています。
無銭飲食をしてしまった、またはご家族が詐欺罪で逮捕されてしまった場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所のフリーダイヤル「0120-631-881」へ、お気軽にご相談ください。

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