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自動運転システム故障で過失運転致死傷罪?
自動運転システム故障で過失運転致死傷罪?
運転支援システムの故障により事故が起きた場合、過失運転致死傷罪は成立するのでしょうか。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【事例】
Aさんは福島県二本松市内の高速道路を走行中、前の車に追突してしまい、1人を死亡させ、もう1人にケガをさせてしまいました。
Aさんの運転していた車には、車間距離等を計測して一定の間隔を保ちながら走行できる運転支援システム(クルーズコントロール)が搭載されていました。
しかし事故当時このシステムが故障しており、Aさんも寝ぼけながら運転していたため本件の事故が起こってしまいました。
Aさんはどのような罪に問われるのでしょうか。
(このケースはフィクションです。)
~過失運転致死傷罪が成立するか~
近年、AI技術の向上に伴い自動車運転の自動化が急速に進んでいます。
各メーカーの見立てによれば、2025年頃には完全な自動運転機能を搭載した自動車の一般での実用化の可能性も高いとのことです。
このような自動化は、運転能力の不十分な者、たとえば免許返納を考えるような高齢者や、四肢に障がいのある方などにも自動車による移動を可能にするものであり、ますますの発展が望まれるところです。
しかし同時に、運転の自動化は法律的に難しい問題をいくつも抱えています。
本件のような、運転補助システムが正常に働かず結果として事故が起きてしまった場合に、事故の刑事責任を運転者に問うべきかが議論の的となっています。
通常、居眠りなどで交通事故を起こして相手に死亡や負傷させた場合、過失運転致死傷罪が成立します。
「過失」とは簡単に言えば不注意です。
不注意で事故を起こし、他人を死傷させると、最大で7年の懲役が科される可能性があります(自動車運転処罰法5条)。
(*スピード違反や飲酒等危険な運転による場合はさらに重い罪が科されます)
では、本件でAさんは過失運転致死傷罪は成立するのでしょうか。
本事例では、Aさんの車のクルーズコントロールシステムが正常に作動しませんでした。
しかし、正常に作動することを前提に運転していたのですから、寝ぼけながら運転していたとしても、刑事責任を負わなくてもいいのではないかとも思えます。
しかし、最近似たような事例において、事故直前の被告は前方注視が困難なほど強い眠気に襲われており、そのような場合には運転を中止する義務があったとした裁判例が存在します(横浜地裁令和2年3月31日判決)。
同判決は「中止義務に違反した被告の過失は相当に重い」とすら述べています。
とすれば本ケースでも、Aさんに過失運転致死傷罪が成立する可能性があるということです。
なお、この判決は、被告の車が停止等しなかったことは「システムの故障か機能の限界かは判然としない」という事実認定を前提にしています。
つまり、システムの故障が原因であっても、そもそもの性能の限界が原因であっても、上手くシステムが作動せずに事故が起きた場合には、運転者が責任を問われる可能性があるということになります。
システムを過信せずに運転する必要があるということになります。
ただしこの判決は、あくまでもこの事故の事情を前提とした判断です。
つまり、当時の道路や車の走行状況、掲載されていたシステムの性能、運転者の不注意の程度、その他すべての事故当時の具体的状況を前提に、過失ありという判断がなされているということです。
当然、居眠りなどしていなければ責任を問われない可能性もあります。
また今後、自動運転システムの性能自体も向上を続け、いずれは運転席に人がいないような自動運転車も実現されるでしょう。
完全自動運転の自動車では、搭乗者に刑事責任は問えない、という結論になる可能性も否定できません。
~弁護士にご相談ください~
私たちの事務所には、交通事故を含む刑事事件を専門にする弁護士のみが在籍しています。
運転サポートシステムの関わる事故はもちろんですが、それだけでなく、刑事事件に関してお困りのことがあれば、初回は無料で相談に乗っていますので、ぜひご連絡ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所でした。
人身事故の弁護活動
~ケース~
愛知県蟹江町在住のAさんは仕事の帰り道,乗用車を運転中に脇道から自転車に乗って飛び出してきたVさんと接触してしまった。
Aさんはその場で警察と救急車を呼び,交通事故の処理を行った。
Aさんは愛知県蟹江警察署に過失運転致傷罪の疑いで調書を取られ,後日また呼び出すと伝えられ釈放された。
Vさんは診断の結果,全治1カ月の骨折を負っていた。
今後,どうなるか不安になったAさんは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の無料法律相談を利用した。
(フィクションです)
~過失運転致傷罪~
交通事故を起こしてしまった場合,通常,自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(略称:自動車運転処罰法)違反となります。
法律の内容は,刑法に規定されていた自動車の運転により人を死傷させる行為に対する刑罰の規定を独立させたものとなっています。
全6条の条文で構成されており,自動車や無免許運転の定義,事故の類型や法定刑を定めています。
Aさんの起こしてしまった過失運転致傷罪は第5条で以下の様に定められています。
(過失運転致死傷)
第5条
自動車の運転上必要な注意を怠り,よって人を死傷させた者は,七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし,その傷害が軽いときは,情状により,その刑を免除することができる。
今回のケースでAさんはその場で警察と救急車を呼んでいますので過失運転致傷罪のみが成立すると考えられます。
なお,交通事故を起こしてしまった場合に警察や救急車をその場で呼ばなかった場合,道路交通法の救護義務などに違反することになります。
これらはいわゆる「ひき逃げ」と呼ばれるもので,逮捕・勾留のリスクも増加してしまいます。
また,悪質であるとみなされ,刑事裁判となってしまう可能性も高くなります。
Vさんの怪我は全治1カ月ですので傷害が軽いとはいえません。
そのため,但し書きにある刑の免除規定を適用することはできないでしょう。
~弁護活動~
人身事故に限らず,交通事故を起こしてしまった場合の弁護活動として第一に身柄拘束の回避が挙げられます。
逮捕・勾留といった身柄拘束がされるかは捜査機関の判断によりますが,事故直後に自発的に警察などに通報していれば逃亡のおそれなどがないと判断され,逮捕・勾留といった身柄拘束がされない可能性が高くなります。
一方で,警察等に通報せずにその場から去ってしまう,「ひき逃げ」をしてしまうと逃亡したことになってしまいので,逮捕・勾留されるリスクは高くなります。
身柄拘束の回避として,検察官に勾留しないように意見書を出したり,勾留されてしまった場合に裁判所に勾留に対する準抗告を申し立てることが考えられます。
ただし,交通事故で勾留が認められた場合,準抗告が認容されない可能性が高くなっています。
交通事故では被害者の方と示談を成立させ,「加害者を許す」という宥恕があるかどうかが最終的な結果に大きく影響します。
過失運転致傷罪では示談を成立させ宥恕があるという場合には実刑判決となる可能性が低くなります。
示談をし宥恕があれば怪我の程度によっては起訴されず,起訴猶予となる場合もあります。
今回のケースでは全治1ヵ月の骨折という決して軽くない怪我をしてしまっていますので,起訴猶予とならない可能性もあります。
しかし,示談をし宥恕があれば罰金刑となる可能性も高いでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は刑事事件専門の法律事務所です。
人身事故を起こしてしまったというケースで示談を成立させ,宥恕を頂き,起訴猶予の不起訴となった事例も多く手掛けて参りました。
人身事故を起こしてしまった方は一人で悩まずにまずは0120-631-881までご相談ください。
事務所での無料法律相談や,警察署などでの初回接見のご予約を24時間年中無休で受け付けています。
自転車事故で重過失傷害罪
福島県福島市に住む高校1年生のAさんは、近くのスーパーへ行こうと自転車を運転していました。
その際、ズボンのポケットに入れていたスマートフォンからLINEの通知音が鳴ったため、AさんはLINEを確認しようとスマートフォンを見ました。
すると、返信を入力していた際に突然「危ない」という声が聞こえ、正面に高齢の男性Vさんが立っていることに気づきました。
慌ててブレーキを掛けたAさんでしたが、不幸にもVさんと接触してしまい、Vさんに骨折などの怪我を負わせてしまいました。
この件で福島北警察署が現場に駆けつけ、Aさんは重過失傷害罪の疑いで福島北警察署にて取調べを受けることになりました。
そこで、Aさんの両親は示談について弁護士に相談しました。
(フィクションです。)
【重過失傷害罪について】
刑法(一部抜粋)
第二百十一条 業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。
重過失傷害罪は、刑法211条の後段にあるとおり、「重大な過失」によって人に怪我を負わせた場合に成立する可能性のある罪です。
ここで言う「重大な過失」とは、簡単に言うと不注意の程度が著しいことを指すと考えられています。
甚だしい不注意により結果が生じてさえいれば、生じた結果の軽重は問わない点に注意が必要です。
上記事例では、Aさんがスマートフォンを見ていたことでVさんに気づくのが遅れ、ブレーキが間に合わず接触して怪我を負わせています。
一般に、自転車の運転中に周囲に気を配るのは当然であり、それを怠った時点で落ち度があるという非難は避けられないかと思います。
加えて、Aさんにとって運転中にスマートフォンを見る必要性はなかったはずであり、更にLINEの返信となると意識が他にいかなくなることは容易に想定できます。
これらの事情からすれば、Aさんには「重大な過失」があったと認定されても不思議ではありません。
そうすると、これが原因でVさんに怪我をさせている以上、Aさんに重過失傷害罪が成立する可能性はあるでしょう。
【少年事件における示談】
刑事事件における示談とは、謝罪や被害弁償などにより当事者間で一応事件が解決したことを示す合意です。
主に被害者の納得という側面を捉えて、検察官や裁判官は示談の締結を理由に処分を軽くすることがよくあります。
そのため、一般的に示談は重要であり、事件によっては不起訴や執行猶予になる可能性が飛躍的に高まります。
ただ、少年事件、すなわち未成年者が起こした刑事事件については、必ずしも示談をすれば丸く収まるというわけではない点に注意が必要です。
少年事件において最終的に目指すところは、心身が未成熟である少年に適切な措置を施し、更生を促すなどして健全な育成を実現することです。
この点から、成人が起こした通常の刑事事件と比べて、少年本人の反省や将来性がより重視されるようになっています。
このような観点から示談を考察した場合、その効力は通常の刑事事件ほど大きくはないと言えます。
なぜなら、示談は形式的には謝罪を含みますが、結局のところ重視されているのは被害者が受けた損害の補填だからです。
示談の締結と少年の反省とは、論理必然的につながるようなものではありません。
特に、未成年者が与えた損害は保護者が補填するのが通常なので、場合によっては未成年者に一切の損失はないということになります。
そのため、示談から少年の反省の程度などを汲み取ることができず、結果的に効果が限定的なものと評価されやすいというわけです。
以上の点を含め、少年事件において最良の結果を目指すためには、事件の内容や少年の人柄などに応じた多種多様な活動を行うことが大切となります。
ですので、少年事件については弁護士に相談するのが得策でしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、少年事件に強い弁護士が、示談を含めて少年ひとりひとりに合わせた最適な付添人活動を行います。
お子さんが重過失傷害罪を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
(無料法律相談のご予約はこちら)
飲酒運転で略式罰金
福島県福島市に住むAさんは、学生時代の友人と飲み会をすることになり、車で市内の居酒屋へ行きました。
その日は翌日が休日だったため、車で寝てから翌朝帰宅しようと考えていました。
飲み会が終わった頃には午前2時を過ぎており、Aさんは予定どおり車内で5時間程度の睡眠をとりました。
そして、朝になって帰宅しようと運転した際、左折する際に誤って物損事故を起こしてしまいました。
Aさんの通報で現場に駆けつけた警察官は、Aさんから酒の匂いがすることに気づいて呼気検査を行いました。
そうしたところ、数値が0.2を示したことから、Aさんは飲酒運転の疑いで福島警察署の捜査を受けることになりました。
Aさんから相談を受けた弁護士は、最終的な処分が略式罰金となる可能性が高いと説明しました。
(フィクションです。)
【飲酒運転について】
一般的に、飲酒運転はその名のとおり酒を飲んで運転する行為を指すかと思います。
飲酒運転は道路交通法が定める罪の一つですが、この罪には2種類があることはご存知でしょうか。
その2種類とは、①酒気帯び運転と②酒酔い運転と言われるものです。
以下では、それぞれについて概要を説明します。
①酒気帯び運転
酒気帯び運転は、飲酒した運転手の様子に関係なく、身体に一定程度以上のアルコールを保有した状態で運転した場合に成立します。
具体的なアルコールの基準値は、血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラムまたは呼気1リットルにつき0.15ミリグラムです。
実務においては呼気検査の方が多い傾向にあるので、基準値のうち重要なのは0.15ミリグラムの方と言えます。
罰則は3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
②酒酔い運転
酒酔い運転は、「アルコールの影響で正常な運転ができないおそれがある状態」で運転した場合に成立します。
酒気帯び運転のように基準値が定められているわけではありませんが、検知の結果も考慮要素の一つに当たると考えられます。
それに加えて、飲酒運転の疑いがある運転手に対し、警察官が挙動を観察するなどして判断するものと思われます。
たとえば、質問に正しく答えられているか、歩行の際に千鳥足になっていないか、といった点が見られることになるでしょう。
罰則は5年以下の懲役または100万円以下の罰金となっています。
【略式罰金について】
飲酒運転の罰則は、数ある道路交通法違反の中でも重い部類に属します。
そのため、複数回行えば裁判に至る可能性が飛躍的に高まります。
一方、初犯の場合については、いわゆる略式罰金というかたちで裁判を行うことなく終了することも多いのが実情です。
以下では、略式罰金の意味や、略式罰金を受け入れることによるメリットとデメリットについて説明します。
なお、多くの交通違反に課される反則金の制度(いわゆる青切符)は、以下の略式罰金と異なるため注意が必要です。
略式罰金とは、略式手続という特殊な裁判手続により下される罰金刑のことです。
通常の裁判との最大の違いは、裁判所の法廷ではなく書面上で審理が行われる点です。
略式罰金制度の主眼は、軽微かつ簡素な事件を迅速に処理し、被告人や関係機関の負担の軽減を図るというものです。
そのため、わざわざ法廷で裁判を行ったりせず、公衆の目に触れない書面の上だけで有罪・無罪の判断と刑罰の決定を速やかに行うことになるのです。
上記のような特徴を持つ略式罰金は、被告人にとって裁判に伴う肉体的・精神的負担が軽いというメリットがあると言えます。
ただ、迅速な処理の意識は、ともすれ慎重な判断を欠くことにつながりかねません。
そこで、略式罰金とする場合は被疑者の同意が必要となること、一定期間内であれば正式裁判を要求できること、の2点が定められています。
特に、きちんと争うことで無罪になる可能性が高いのであれば、敢えて略式罰金を受け入れないというのも一つの手でしょう。
自身の事案について疑問を抱かれたら、ぜひ弁護士にその旨ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が、豊富な知識と経験に基づき略式罰金に関するご相談をお受けします。
飲酒運転を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
(無料法律相談のご予約はこちら)
無免許運転で略式罰金
福島県耶麻郡在住のAさんは、過去に複数回スピード違反を行ったことで、60日の免許停止処分が下されました。
それにもかかわらず、自宅から徒歩10程度の距離にあるコンビニへ行く際、車を運転して行きました。
その途中、他の車と軽く接触する事故を起こし、警察が駆けつけたことで運転したことが発覚してしまいました。
事故の相手方に怪我はありませんでしたが、Aさんは無免許運転の疑いで猪苗代警察署にて取調べを受けることになりました。
Aさんから相談を受けた弁護士は、最終的に略式罰金で終わる可能性が高いと説明しました。
(フィクションです)
【無免許運転について】
車や原付を運転する場合、車両に応じて運転免許を取得しなければなりません。
その運転免許がない状態で運転した場合、道路交通法が定める無免許運転に当たります。
以下では、意外と知られていない無免許運転の詳細について解説します。
道路交通法64条1項は「…公安委員会の運転免許を受けないで(…)、自動車又は言動付自転車を運転してはならない」と定めています。
そして、同法117条の2の2において、上記規定に違反して無免許運転をした場合に3年以下の懲役または50万円以下の罰金を科すとしています。
ここで注意すべきは、この無免許運転に当たる場合というのが、元から運転免許を取得していないという場合に限られない点です。
先ほどは省略しましたが、同法64条1項には「運転免許の効力が停止されている場合を含む」と明記されています。
つまり、いわゆる免停により一時的に運転できないに過ぎない場合であっても、車を運転すれば無免許運転に当たるということです。
上記事例のAさんも、60日間の免停期間中に運転している以上、無免許運転の罪の成否を争うのは難しいと言えるでしょう。
ちなみに、無免許運転と区別が必要な違反として免許証の不携帯が挙げられます。
こちらは免許証が車内や懐中になかったというものであり、罰則も2万円以下の罰金または科料(1000円以上1万円以下の金銭の納付)という軽微なものです。
加えて、いわゆる青切符による簡易・迅速な処理が可能であることから、赤切符を切られて刑事事件として処理される無免許運転とは大きく異なると言えるでしょう。
【略式罰金による事件の終了】
無免許運転の処分がどうなるかは、実際のところ事案の内容や前科の有無などにより様々です。
ですが、無免許運転の罪のみで捜査され、なおかつ初犯であれば、20万円から30万円程度の罰金刑となることが多いでしょう。
事案の内容からして100万円以下の罰金刑を科すのが相当である場合、略式起訴(略式手続)という特殊な処理をされることがよく見られます。
略式罰金とは、通常こうした特殊な手続により科される罰金刑のことを指します。
略式罰金の最大の特徴は、裁判官が書面に基づき事件の審理を行う点です。
本来であれば、検察官が起訴をした場合は裁判所の法廷で審理が行わなければなりません。
ですが、全ての事件を法廷で審理するとなると、被告人、検察官、裁判官のいずれにとっても負担となります。
そこで、被告人の同意が得られた事件については、より簡単な手続で裁判を行うというわけです。
略式罰金に同意する際に留意すべき点として、捜査機関が作成した証拠に沿って事実認定が行われるということが挙げられます。
ですので、もし事実関係に争いがあるということであれば、敢えて通常の裁判を希望して無罪などを目指すのも選択肢の一つです。
ただ、この希望は一定期間が経過すると受け付けてもらえなくなるので、悩んだらお早めに弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件のプロである弁護士が、略式罰金に応じるべきか多角的な視点から検討します。
無免許運転を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回法律相談:無料
無免許運転で略式罰金
福島県耶麻郡在住のAさんは、過去に複数回スピード違反を行ったことで、60日の免許停止処分が下されました。
それにもかかわらず、自宅から徒歩10程度の距離にあるコンビニへ行く際、車を運転して行きました。
その途中、他の車と軽く接触する事故を起こし、警察が駆けつけたことで運転したことが発覚してしまいました。
事故の相手方に怪我はありませんでしたが、Aさんは無免許運転の疑いで猪苗代警察署にて取調べを受けることになりました。
Aさんから相談を受けた弁護士は、最終的に略式罰金で終わる可能性が高いと説明しました。
(フィクションです)
【無免許運転について】
車や原付を運転する場合、車両に応じて運転免許を取得しなければなりません。
その運転免許がない状態で運転した場合、道路交通法が定める無免許運転に当たります。
以下では、意外と知られていない無免許運転の詳細について解説します。
道路交通法64条1項は「…公安委員会の運転免許を受けないで(…)、自動車又は言動付自転車を運転してはならない」と定めています。
そして、同法117条の2の2において、上記規定に違反して無免許運転をした場合に3年以下の懲役または50万円以下の罰金を科すとしています。
ここで注意すべきは、この無免許運転に当たる場合というのが、元から運転免許を取得していないという場合に限られない点です。
先ほどは省略しましたが、同法64条1項には「運転免許の効力が停止されている場合を含む」と明記されています。
つまり、いわゆる免停により一時的に運転できないに過ぎない場合であっても、車を運転すれば無免許運転に当たるということです。
上記事例のAさんも、60日間の免停期間中に運転している以上、無免許運転の罪の成否を争うのは難しいと言えるでしょう。
ちなみに、無免許運転と区別が必要な違反として免許証の不携帯が挙げられます。
こちらは免許証が車内や懐中になかったというものであり、罰則も2万円以下の罰金または科料(1000円以上1万円以下の金銭の納付)という軽微なものです。
加えて、いわゆる青切符による簡易・迅速な処理が可能であることから、赤切符を切られて刑事事件として処理される無免許運転とは大きく異なると言えるでしょう。
【略式罰金による事件の終了】
無免許運転の処分がどうなるかは、実際のところ事案の内容や前科の有無などにより様々です。
ですが、無免許運転の罪のみで捜査され、なおかつ初犯であれば、20万円から30万円程度の罰金刑となることが多いでしょう。
事案の内容からして100万円以下の罰金刑を科すのが相当である場合、略式起訴(略式手続)という特殊な処理をされることがよく見られます。
略式罰金とは、通常こうした特殊な手続により科される罰金刑のことを指します。
略式罰金の最大の特徴は、裁判官が書面に基づき事件の審理を行う点です。
本来であれば、検察官が起訴をした場合は裁判所の法廷で審理が行わなければなりません。
ですが、全ての事件を法廷で審理するとなると、被告人、検察官、裁判官のいずれにとっても負担となります。
そこで、被告人の同意が得られた事件については、より簡単な手続で裁判を行うというわけです。
略式罰金に同意する際に留意すべき点として、捜査機関が作成した証拠に沿って事実認定が行われるということが挙げられます。
ですので、もし事実関係に争いがあるということであれば、敢えて通常の裁判を希望して無罪などを目指すのも選択肢の一つです。
ただ、この希望は一定期間が経過すると受け付けてもらえなくなるので、悩んだらお早めに弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件のプロである弁護士が、略式罰金に応じるべきか多角的な視点から検討します。
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人身事故で逮捕
Aさんは、福島県いわき市を自動車で走行していた際、交差点で右折をしようとしました。
その日は悪天候で視界がよくありませんでしたが、Aさんは急いでいたため周囲の確認を怠りました。
これにより、Aさんは横断歩道を渡っていた自転車の存在に気づくのが遅れ、ブレーキが間に合わず自転車と追突していまいました。
自転車は奥に倒れ、乗っていたVさんが怪我をしてしまったことから、すぐにAさんの通報で救急車と警察が駆けつけました。
その後、Aさんは過失運転致傷罪の疑いでいわき南警察署に逮捕されたため、弁護士に示談を依頼することにしました。
(フィクションです)
【過失運転致傷罪について】
不注意によって他人に傷害を負わせた場合、刑法が定める過失傷害罪が成立する可能性があります。
ですが、その傷害が自動車によるものである場合は、「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」(略称:自動車運転処罰法)という法律が適用されます。
自動車運転処罰法は、過去に自動車による悲惨な交通事故が相次いだことから、自動車の危険性を特に重く見て定められた法律です。
この法律の中で最も基本的と言うべき罪は、自動車過失運転致死傷罪です。
自動車運転処罰法第5条
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
刑法に規定された過失傷害罪の罰則が30万円以下の罰金(下限1万円)または科料(1000円以上1万円未満の金銭の徴収)であるのに対し、過失運転致死傷罪の罰則は上記のとおり重いものです。
そのため、自己の原因が自動車か否かは、刑事事件において大きく異なると言えます。
更に、特定の危険な運転行為によって人身事故を起こすと、危険運転致死傷罪として更に重く罰せられる可能性が出てきます。
そうした可能性がある危険運転の例としては、飲酒運転、著しいスピード違反、わざとと見られかねないような信号無視などがあります。
【弁護士による示談】
たとえ過失により生じた人身事故であっても、上記のような罪が成立する可能性がある以上、刑事事件として進められることは当然ありえます。
その結果として生じる刑事上の責任は、たとえば慰謝料の支払いといった民事上の責任とは異なります。
そのため、場合によっては、刑事事件として罰金刑や懲役刑を受けたうえで多額の損害賠償を請求されるということもありえます。
そこで、人身事故を起こした場合についても、弁護士を介入させて示談を行うということが考えられます。
示談とは、被害者に対して謝罪や被害弁償などを行う合意であり、当事者間の同意のもと行われるものです。
その内容には具体的な慰謝料の額を盛り込むのが殆どであるため、示談を締結して示談金を支払えば、後で紛争が蒸し返されるリスクはかなり抑えられます。
それだけでなく、事件の当事者間で示談が成立すると、捜査機関や裁判所としては厳しく処罰することに消極的になります。
それにより、不起訴や執行猶予といった良い結果に行きつく可能性が高まるのです。
ただ、人身事故のケースでは保険会社が被害弁償などを行うことが多いため、弁護士による示談交渉が必ずしも最適とは限りません。
なぜなら、弁護士が出てきたことで争う姿勢があると誤解され、角が立つ可能性が否定できないからです。
とはいえ、そうしたケースにおいても、弁護士がいることで取調べ対応の把握や余計なトラブルの回避といった恩恵を受けることはできるでしょう。
弁護士に相談して損をすることはないと断言できるので、人身事故を起こしたらまずは弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に詳しい弁護士が、様々な態様の人身事故について示談をはじめとする的確な弁護活動を行います。
ご家族などが人身事故を起こして逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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