Archive for the ‘性犯罪’ Category
いん行の罪と逮捕回避
いん行の罪と逮捕回避
いん行の罪と逮捕回避について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所静岡支部が解説します。
~ケース~
福島県須賀川市に住む会社員のAさん(33歳)は、SNSを通じて知り合ったVさん(16歳)と淫行目的で会い、同市内のホテルでVさんといん行しました。その後もAさんはVsなんと連絡を取り続けていましたが、Vさんの行動を不審に思ったVさんの両親が須賀川警察署に相談。同警察署の警察官が補導巡回中のところVさんを発見、補導したことでAさんとのいん行の件が発覚しました。Aさんはその直後、Vさんから「警察に補導された」とのメールを受けましたが、そのメールがVさんとのやり取りの最後のメールとなりました。Aさんはいん行の件が警察にバレて逮捕されるのではないかと不安で夜も眠れない日が続き、いん行に強い弁護士に無料法律相談を申し込むことに決めました。
(フィクションです)
~いん行の罪~
いん行の罪は、各都道府県の青少年健全育成条例に規定されています。
条例によっていん行の罪が成立する要件は異なるものの、青少年(18歳未満の者。ただし、婚姻している者は除く、としている条例も多いです。)に対して
・いん行
・わいせつな行為
をしてはならない、ということは共通しているのではないでしょうか?
判例によれば「いん行」とは「広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきではなく、青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性行為類似行為」とされています。
これからすると、「いん行」とは
・性交又は性交類似行為
とされていることに注意が必要です。
ここで「性交類似行為」とは何を意味するのか明確な基準はありませんが、性交と同一視できるような口腔性交、肛門性交は性交類似行為に当たるでしょう。
また、性交類似行為に当たらなくても「わいせつな行為」に当たる可能性もあります。
そして、判例は
・威迫、欺罔、困惑などの手段を用いた性交又は性交類似行為
・青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為
もいん行に当たるとしています。
「青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っている」かどうかは、
・行為者と青少年との年齢差
・行為者と青少年との関係性
・行為者と青少年とが知り合った経緯
・知り合ってから淫行に至るまでの経緯、動機
・淫行の内容、頻度
・交際ややり取りの内容
などを詳細に検討する必要があるでしょう。
~知情性推定規定~
いん行の罪が成立するには、行為者が相手方を青少年、つまり18歳未満の者と認識している(故意がある)必要があります。
しかし、条例では青少年の保護から、
・年齢につき認識がなくても、過失がない場合以外は認識があるものとする
という規定を設けています。
これを知情性推定規定といいます。
あくまで推定ですから、行為者が「過失がない」ことを立証できた場合は反対に「認識がない」とされます。
「過失がない」とは年齢確認につき相当な注意義務を払っていた場合をいいます。
~逮捕を回避するには~
逮捕を回避する確実な方法はありませんが、逮捕される可能性を大きく下げる方法はあります。
=被害者と示談する=
被害者と示談することができれば、被害者に警察に被害届を提出しないことを約束していただける可能性があります。警察に被害届が提出されなければ、警察があなたが援助交際をした事実を認知することはなく、捜査に動きだすことはありません。したがって、逮捕を回避することができます。なお、示談交渉を円滑に進めるためには刑事事件における示談交渉に慣れた弁護士に任せましょう。
=警察に出頭(自首)する=
警察に出頭(自首)すれば、捜査機関側から「捜査に協力的な人間だ」と思われ、事件は在宅のまま、つまり逮捕されないまま捜査が進められる可能性が高まります。出頭(自首)の際には、身元引受人等の上申書を提出するなどして逮捕回避に努めなければなりません。また、出頭(自首)するといっても様々な不安が出てきますから、そのような場合は弁護士からアドバイスをもらい、不安であれば弁護士に付き添ってもらいましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、いん行の罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は,まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。
児童買春の発覚の経緯
児童買春の発覚の経緯
児童買春が発覚する経緯について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
~ケース~
福島県郡山市に住む会社員のAさんはSNSで知り合った当時17歳の少女Vさんとと出会うことになりました。そこで、Aさんはこの際にVさんと性行しまおうと財布に5万円を入れ出かけ、Vさんに援助交際を申し込んだところ、承諾されたため近所のホテルへ行きました。そして、AさんはVさんに現金3万円を渡した上でVさんと性行しました。その後、AさんはVさんにメールを送り続けましたが、Vさんからの返信はありませんでした。「Vさんに何かあったのではないか?」「もちかしたら警察に逮捕されたのではないか?」と不安になったAさんは、「Vさんに対する児童買春の件が警察にばれ、逮捕されるかもしれない」などと不安になり、今後、どう行動、対応していけばよいか尋ねるため、弁護士に無料法律相談を申し込みました。
(事実を基に作成したフィクションです。)
~援助交際は児童買春の罪に当たる~
児童買春の罪は、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下、法律)の4条に規定されています。
第4条
児童買春をした者は、5年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。
そして、法律2条2項では「児童買春」を、
児童等に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的欲求好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう)をすること
と定義されています。
~児童買春の発覚の経緯~
児童買春は、少女の補導などから発覚するケースが目立ちます。
そのほかにも、
・少女の保護者が、少女の非行や異変に気付き、少女に問いただしたところ援助交際が発覚し警察に通報、相談した場合
・警察がサイバーパトロールで少女の援助交際の書き込みを見つけた場合
・少女が性病等で病院を受診し、病院から警察へ通報された場合
・あなたが少女と一緒にいるところを警察官から職務質問を受けた場合
・少女が別人との児童買春の件で、警察で事情聴取を受けていたところ、本件(あなたの件)についても話した場合
などから発覚するケースも考えられます。
そして、逮捕につながるのは、大抵、少女の携帯電話やスマートフォンにあなたにつながる情報(電話番号、メールアドレス、アカウント情報、顔写真等)が残っている場合が多いです。
少女の補導などから児童買春がいつ発覚するかは分かりません。
不安な方は早め早めに対応されることをお勧めいたします。
~逮捕前の弁護活動~
逮捕前、呼び出し前に弁護士ができることとしては様々ありますが、代表的なものを挙げるとすれば
1 警察への自首、出頭への付添い
→自首に当たるかどうかも含めて適切な方法を判断します。
2 取調べのアドバイス
→取調べには様々な権利が認められています。
3 被害児童の保護者との示談交渉(被害児童が判明し、当該被害児童、保護者が連絡先等の開示に同意いただけた場合)
→当事者で交渉することはまず不可能です。弁護士にお任せください。
4 逮捕に備えてのアドバイス、活動
→逮捕回避に向けた具体的なアドバイスもいたします。
などがございます。
弁護士は逮捕されてからしか選べないということはありません。むしろ、逮捕前に選任し、はやめはやめの対策を講じておくことが様々なリスクを軽減させることに繋がります。繰り返しますが、不安な方ははやめはやめに弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスの予約受付を承っております。
住居侵入罪、強制わいせつ致傷罪、強盗罪で逮捕
住居侵入罪、強制わいせつ致傷罪、強盗罪で逮捕
【事例】
福島県伊達市在住の男性Aは、過去のトラブルから恨みを抱いたB女に対し、わいせつ行為をしようとその帰宅を狙いB女宅に押し入り、顔面への殴打、ガムテープの顔面への貼付、両手首を縛り上げる等の暴行を行い、反抗ができない状態にした上でわいせつ行為をしました。
この際、B女はケガもしてしまいました。
その後、AはBをそのままにして立ち去る際に財布が落ちていたのを発見しこれを持ち去りました。
一週間後、B女が被害届を提出し、Aは警察官によって住居侵入罪、強制わいせつ致傷罪、強盗罪で逮捕されました。
(このストーリーはフィクションです)
~住居侵入罪~
今回のストーリーでは、
①住居侵入罪(刑法130条前段)
②強制わいせつ致傷罪(刑法181条1項、176条)
③強盗罪(236条1項)
が成立する可能性がありますので、順番に解説していきます。
まずは、住居侵入罪から。
刑法130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
Aの行為は、赤く色付けした部分に該当します。
つまり、Aはわいせつ行為をする目的だったので「正当な理由がない」状態で、B女宅という「人の住居」に、B女の意思に反して立ち入っているので「侵入」しているといえます。
したがって住居侵入罪が成立するでしょう。
~強制わいせつ致傷罪~
続いて、強制わいせつ致傷罪について見ていきましょう。
刑法176条
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
刑法181条1項
第百七十六条、第百七十八条第一項若しくは第百七十九条第一項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は三年以上の懲役に処する。
AはB女に対し、顔面への殴打等の「暴行…を用いてわいせつな行為をした」ので、強制わいせつ罪が成立します。
その際、B女がケガをしてしまったので、強制わいせつ致傷罪が成立することになります。
刑罰も無期懲役または3年以上の有期懲役(上限は20年)です。
被害者死亡の場合を含めた規定ではありますが、ケガをさせた場合は、させない場合よりもぐっと重く処罰される可能性があるわけです。
~強盗罪~
最後に、強盗罪について見ていきましょう。
刑法236条1項
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。
今回のAは、財布を奪う目的で暴行をしたわけではありません。
しかし、わいせつ目的で行った暴行により、すでにB女が反抗できない状態になっています。
この状態を利用する形で財布を持ち去っているので、「暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者」であることに違いはなく、強盗罪が成立すると判断される可能性は十分考えられます。
~逮捕後の手続きの流れ~
犯罪をしたとして逮捕されると、最初に最大3日間、警察署等で身体拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるなどとして検察官が請求し、裁判官が許可すれば、さらに10日間、勾留(こうりゅう)と呼ばれる身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。
勾留期間が終われば刑事裁判が始まり、保釈が認められない限り身体拘束が続くことになります。
~弁護士にご相談ください~
また、出来るだけ判決を軽くするためには、被害者の方に謝罪・賠償して示談を結ぶことが重要です。
しかし、性犯罪の被害者の方々にとって、加害者本人はもちろん、その家族と示談の話をするのは心理的負担が大きく、応じてくれない可能性が高いです。
しかし弁護士を挟むことにより、示談に応じてくれる可能性を上げることができますし、適切な内容・金額での示談締結の可能性も上げることができます。
さらに、ご本人は厳しい取調べにどう対応したらよいかわからないと思います。
弁護士は逮捕中の被疑者と面会(接見)する権利を有しており、取調べや裁判に向けたアドバイスできますし、家族の方からの伝言を伝えることなどもできます。
ぜひ一度ご相談いただければと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には刑事事件と少年事件の専門家である弁護士が多く在籍しているため、迅速かつ適切な対応が可能となっています。
逮捕されている事件では初回接見のご利用を、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では、事務所での無料法律相談のご利用をお待ちしております。
強制わいせつ罪で示談
強制わいせつ罪で示談
強制わいせつ罪と示談について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【ケース】
Aさんは,午後8時頃に福島県伊達市内を歩いていたところ,うっすらと制服姿の女性Vさんの姿が目に入りました。
Aさんらが歩いていたところは人気が少なく,なおかつ街頭もあまりない薄暗い場所でした。
そこで,Aさんはわいせつな行為をしようとVさんに近づき,背後から口を押えて「静かにしないと殺す」と言いました。
そのうえで,Vさんのスカートの下から手を入れ,Vさんの陰部に指を挿入しました。
数秒して,Aさんはふと我に返って大変なことをしたと思い,「すみません」と言ってその場を離れました。
後日,被害届を受けた伊達警察署が捜査を開始し,Aさんは強制わいせつ罪の疑いで逮捕されました。
Aさんから依頼を受けた弁護士は,示談を行うべくVさんの両親と連絡を取ることにしました。
(フィクションです。)
【強制わいせつ罪について】
刑法(一部抜粋)
第百七十六条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
強制わいせつ罪は,暴行・脅迫を手段としてわいせつな行為をした場合に成立する可能性のある罪です。
ただし,被害者が13歳未満の者であれば,わいせつな行為のみをもって強制わいせつ罪が成立します。
強制わいせつ罪における暴行・脅迫は,相手方の犯行を困難にする程度のものを指すと考えられています。
つまり,暴行・脅迫が簡単に抵抗できるような弱いものであれば,わいせつな行為があったとしても強制わいせつ罪は成立しない可能性があるということです。
とはいえ,実際の裁判においては,暴行・脅迫が強制わいせつ罪に値するほど強度のものだったと比較的容易に認定される傾向があります。
このあたりの認定については,「そこまで強い暴行・脅迫じゃなかったから大丈夫だろう」と安易に考えるべきではないと言えるでしょう。
次に,「わいせつな行為」の意義については,裁判例において「いたずらに性欲を刺激・興奮させ,かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し,もって善良な性的道義観念に反する行為」を意味すると判断されています。
陰部に指を入れる行為は,一般的に「わいせつな行為」に当たるとされる可能性が高いです。
上記事例では,AさんがVさんに対し,背後から口を押えて「静かにしないと殺す」と言ったうえで,陰部に指を入れるというわいせつな行為に及んでいます。
そうすると,Aさんに強制わいせつ罪が成立する可能性は高いでしょう。
【示談の難しさ】
上記事例のような強制わいせつ事件で自ら示談をしようとするのは,率直に言って相当の困難がつきまといます。
まず,通り魔のようなかたちで見ず知らずの者に強制わいせつ罪を犯した場合,逮捕の可能性が相当な高さになることが見込まれます。
もし逮捕されてしまうと,示談締結に向けた被害者との接触は当然ながら不可能となってしまいます。
また,仮に逮捕されなかった,あるいは親族などに示談を任せる場合も,今度は被害者がどこの誰なのか知ることができないという問題が立ちはだかります。
一応捜査機関に「示談したい」という意向を伝えることは考えられますが,加害者本人やその親族などの頼みとなると,それに応じて連絡先を教えてくれるかどうかは分かりません。
そして,何らかの手段で被害者と示談交渉を行えたとしても,常に交渉の決裂や不十分な合意といったリスクはつきまといます。
最悪の場合,こちらとしては示談金を払って合意を取り交わしたつもりだったのに,そのことを効果的に証明する手立てが何もなく全てが水の泡となることもありえます。
以上のようなリスクは,弁護士であればその可能性を下げる,あるいは完全に遮断することが期待できます。
特に強制わいせつ事件の示談は何かとデリケートなので,やはり弁護士に依頼するのが賢明でしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,刑事事件に強い弁護士は,どのような事件でも示談の締結に向けて全力を尽くします。
ご家族などが強制わいせつ罪の疑いで逮捕されたら,刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
(無料法律相談のご予約はこちら)
公然わいせつ罪と釈放
公然わいせつ罪と釈放について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【ケース】
Aさん(18歳)は、福島県南会津郡の路上において、性的欲求を満たすために下半身を露出しました。
そして、たまたまその場を通りかかったVさんに対し、自身の性器を見せつけてその反応を楽しみました。
後日、Aさん宅を南会津警察署の警察官が訪ね、「ちょっと聞きたいことがある」と言ってAさんに任意同行を申し出ました。
その後、Aさんの両親は「息子さんを公然わいせつ罪の疑いで逮捕しました」との連絡を受けたため、弁護士に釈放を依頼することにしました。
【公然わいせつ罪について】
第百七十四条
公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
公然わいせつ罪は、公の場でわいせつな行為をした場合に成立する可能性のある罪です。
公然わいせつ罪における「公然」とは、不特定または多数人が認識できる状態を指します。
実際に不特定または多数人がわいせつな行為を認識する必要はないので、たとえば人通りの殆どないような場所でも「公然」に当たると考えられます。
また、「わいせつ」の意味については強制わいせつ罪と同様とされています。
ただし、強制わいせつ罪が基本的に他人に向けられたわいせつな行為を問題とするのに対し、公然わいせつ罪は必ずしもそうとは限りません。
ですので、たとえば公の場で性器を露出したに過ぎず、それをことさら他人に見せつけたりしなかったとしても、公然わいせつ罪は成立する可能性があります。
ちなみに、公の場において、暴行や脅迫を手段として他人にわいせつな行為を行った場合、強制わいせつ罪と公然わいせつ罪の両方が成立する余地があります。
もしそうなれば、罪の重さは公然わいせつ罪単体と比べてかなり重くなるでしょう。
【公然わいせつ事件における釈放の可能性】
上記事例では、Aさんの年齢が20歳未満であることから、通常の刑事事件ではなく少年事件となります。
少年事件は刑罰を科すのが目的ではないため、最終的に各犯罪で定められた刑が科されるわけではありません。
とはいえ、法定刑の重さは罪の重大性に比例するため、少年事件においても意味を持つことは当然あります。
法定刑の重さに左右される事柄の一つとして、逮捕および釈放の可能性が挙げられます。
公然わいせつ罪の法定刑は比較的軽いことから、事件としての重大性はさほど高いわけではありません。
そのため、公然わいせつ事件における逮捕の可能性は低く、仮に逮捕されたとしても釈放を実現できる可能性は高い傾向にあります。
公然わいせつ事件では、たとえ逮捕されてもそれに続く勾留が行われず、逮捕後72時間以内という比較的短い期間で釈放されることもよくあります。
ただ、事件の内容次第では、勾留によって更に10日から20日身体拘束が継続する可能性も否定しきれません。
そうしたケースでは、やはり釈放を含めて弁護士に事件を依頼するのが得策です。
法律の専門家である弁護士は、個々の事案を法的な観点から分析し、被疑者の不利益を考慮した説得的な主張をすることができます。
そのため、弁護士に事件を依頼すれば、逮捕中の被疑者に対する安易な勾留を抑制することが期待できるでしょう。
もし公然わいせつ事件でなかなか釈放されないと思ったら、ぜひ一度弁護士に相談してみてください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件の豊富な経験を有する弁護士が、自身の知識と経験を武器に釈放の実現を目指します。
お子さんが公然わいせつ罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
(無料法律相談のご予約はこちら)
公然わいせつ罪で逮捕
福島県伊達市に住むAさんは、露出癖を持っており、過去に公然わいせつ罪で罰金刑を受けたことがありました。
その後1年程度は何事もなく過ごしていたAさんでしたが、仕事のストレスから再び露出をしたくなり、深夜に自宅近くの公園で性器を露出しました。
その様子を近隣住民が目撃して警察に通報したことで、Aさんは公然わいせつ罪の疑いで伊達警察署に逮捕されました。
Aさんと接見した弁護士は、公然わいせつ罪の前科があることを聞かされ、Aさんの要望で裁判を回避するための弁護活動を行うことにしました。
(フィクションです。)
【公然わいせつ罪について】
刑法(一部抜粋)
第百七十四条 公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
公然わいせつ罪は、公の場でわいせつな行為に及んだ際に成立する可能性のある罪です。
まず、条文にある「公然と」とは、不特定は多数の者がわいせつな行為を認識できる状態にあることを指します。
注意すべき点は、飽くまでも「認識できる」という点が肝要であり、実際に不特定または多数の者が認識したかどうかは問われないことです。
ですので、たとえ上記事例においてAさんの行為を目撃したのが1人だったとしても、現場が公園である以上「公然と」に当たると考えられます。
次に、「わいせつな行為」とは、いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、もって善良な性的道義観念に反するもの、と裁判例で定義されています。
このような定義から、何が「わいせつな行為」に当たるかは、その時々の社会の認識なども踏まえて事案ごとに判断されると考えられます。
実務上、上記事例のような性器の露出は「わいせつな行為」に当たるものとして扱われています。
以上から、Aさんには公然わいせつ罪が成立する可能性が高いでしょう。
ちなみに、身体の一部の露出であって公然わいせつ罪に当たらないようなものについては、別途軽犯罪法違反に当たる余地があります。
その場合の罰則は、拘留(1日以上30日未満の拘置)または科料(1000円以上1万円未満の金銭の徴収)という軽いものとなっています。
【裁判を回避するための弁護活動】
ある事件で起訴されて裁判を受けることになると、公衆の傍聴が許されている公開の法廷で審理が行われます。
そうすると、裁判への出廷を求められる結果、心身共に負担が生じることが懸念されます。
そのような負担を避けるために、裁判を回避するための弁護活動が考えられます。
裁判を避ける第一の方法として、事件を不起訴で終了させることが挙げられます。
ただ、公然わいせつ罪は社会全体を害する性質を持つことから、目撃者と示談を行うなどしても簡単に不起訴になるとは限りません。
加えて、上記事例のように公然わいせつ罪の前科があるとなると、その問題はより深刻化するのが通常です。
そこで、裁判を避ける第二の方法として、いわゆる略式罰金で終了させることが挙げられます。
略式罰金は、比較的単純な事件について、書面の上で簡易・迅速に審理を行う裁判の形式です。
罰金刑を科すのが相当とされる事案の多くは、この略式罰金により秘密裏に処理されているというのが実情です。
公然わいせつ罪については、初犯であれば略式罰金になる可能性が高いかと思いますが、繰り返したとなると当然裁判に至るリスクは生じます。
もし再び略式罰金による裁判の回避を目指すのであれば、弁護士に依頼して再犯防止策を講じるなどの弁護活動が重要となるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が、裁判を回避したいなどのご要望に沿えるよう手を尽くします。
ご家族などが公然わいせつ罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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盗撮事件と余罪
福島県福島市に住むAさんは、スマートフォンを購入したのを機に盗撮を行うようになりました。
ある日、Aさんは盗撮をしようと市内の書店へ行き、スカートを履いた20代の女性Vさんの下着を盗撮しました。
その様子を店員が目撃しており、Aさんは店内の事務所に連れていかれたうえで警察に通報されました。
ほどなくして福島警察署の警察官が駆けつけ、Aさんは福島県迷惑行為等防止条例違反(盗撮)の疑いで逮捕されました。
Aさんと接見した弁護士は、Aさんから余罪について聞かれました。
(フィクション)
【盗撮事件において成立しうる罪】
盗撮事件を起こした場合、成立する可能性のある罪として以下のようなものが考えられます。
①各都道府県迷惑防止条例違反の罪
盗撮の規制は、各都道府県が制定する条例に規定が置かれています。
福島県においては、福島県迷惑行為等防止条例6条1項2号がそれに当たります。
福島県迷惑行為等防止条例(一部抜粋)
第6条 何人も、公共の場所又は公共の乗物における他人に対し、みだりに、著しいしゅう恥心又は不安を覚えさせるような次に掲げる行為をしてはならない。
(2) 着衣等で覆われている他人の下着又は身体をのぞき見し、又は撮影すること。
ポイントになるのは、①公共の場所や乗物における盗撮であること、②衣服に覆われた下着や素肌などを対象とする盗撮であること、の2点です。
ただし、②に当たらない盗撮であっても、条例6条1項3号の「卑わいな言動」に当たる場合があります。
罰則は、通常の場合6か月以下の懲役または50万円以下の罰金、常習の場合1年以下の懲役または100万円以下の罰金です。
②建造物侵入罪
建造物侵入罪は、正当な理由なく他人が看守する建造物に侵入した場合に成立する可能性のある罪です。
盗撮をするつもりで建造物に立ち入った場合、当然ながら管理者の意思に反すると考えられるため、正当な理由なく侵入したとして建造物侵入罪に当たると考えられます。
罰則は、3年以下の懲役または10万円以下の罰金です。
上記①②は両方とも成立するものであり、その場合はいずれか一方のみが成立する場合に比べて当然に罪が重くなります。
【余罪は立件されるか】
盗撮事件は、性犯罪であること、犯行が秘密裏になされることなどの事情から、余罪があるケースが少なくありません。
そのため、ある1件で捜査を受けた場合に、発覚していなかった他の盗撮まで立件されるのではないかと心配される方は多くいらっしゃいます。
盗撮事件に限りませんが、捜査機関は必ずしも全ての犯罪を立件するわけではありません。
事件の重大性、被疑者の身元、犯罪立証の難易などの様々な事情を考慮して、特定の一部だけを立件することもあります。
盗撮事件を例に挙げると、警察に通報されて問題となったもののみをピックアップし、スマートフォンなどに画像がある他の件はデータの削除にとどめる、といったかたちです。
そのため、たとえ盗撮事件を起こして捜査を受けることになっても、その際に発覚した過去の盗撮も全て立件されるとは限らないのです。
余罪が立件されるかどうかは、被疑者の態度や供述の内容などにもある程度左右されるものです。
ですので、弁護士から取調べ対応を聞くなどしておけば、余罪の立件を抑えられる可能性もあります。
余罪の立件の有無は不起訴の当否や刑の重さに直結するため、その点の対応をきちんとしておくことは重要でしょう。
余罪に関して少しでも不安な点があれば、できる限り捜査の初期段階で弁護士に聞いておくことをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に特化した弁護士が、不起訴の実現を目指して様々な角度から事件にアプローチします。
ご家族などが盗撮の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回法律相談:無料
痴漢が強制わいせつ罪に
Aさんは、福島県いわき市内を走行する電車の中で、中学生のVさんに対する痴漢を企てました。
Aさんによる痴漢は、最初こそお尻を軽く触る程度の軽いものでしたが、やがて下着に手を入れて陰部に触れるというものに至りました。
こうした痴漢が行われていることに周囲の乗客が気づき、Aさんは途中で降車させられたうえで警察に通報されました。
ほどなくしていわき南警察署の警察官が駆けつけ、Aさんを強制わいせつ罪の疑いで逮捕しました。
Aさんと接見した弁護士は、この後に想定される事件の流れを説明しました。
(フィクションです)
【痴漢に成立する罪】
「痴漢」という言葉は、法令に明確な定義があるわけではありません。
痴漢の態様として第一に考えられるのは、他人の胸や尻などに触れるというものです。
こうした行為については、各都道府県が定める迷惑防止条例により罰せられる可能性が高いです。
福島県においても福島県迷惑行為等防止条例が存在し、上記のような痴漢に対する規制として以下のような規定が置かれています。
福島県迷惑行為等防止条例(一部抜粋)
第6条 何人も、公共の場所又は公共の乗物における他人に対し、みだりに、著しいしゅう恥心又は不安を覚えさせるような次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 着衣等の上から、又は直接他人の身体に触れること。
この規定に違反した場合、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金(常習であれば1年以下の懲役または100万円以下の罰金)が科されるおそれがあります。
更に、痴漢の態様が陰部を触るなど悪質であれば、上記の罪ではなく刑法が定める強制わいせつ罪が成立する可能性が出てきます。
刑法(一部抜粋)
第百七十六条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
「わいせつな行為」とは、いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、もって善良な性的道義観念に反する行為を指します。
痴漢の内容が身体の表面に手を触れる程度に収まらなければ、「わいせつな行為」として強制わいせつ罪に当たる余地が出てくるのです。
【逮捕後の事件の流れ】
逮捕後の事件の流れは、法律に従っておおよそ定型的なものになっています。
まず、警察に逮捕されてから48時間以内に、事件に対する弁解を聞かれたり、留置のための手続が行われたりします。
その後、殆どの場合身柄が検察庁へ送致され、身柄が受理されてから24時間以内に検察官が再び弁解を聞くことになります。
以上の手続の結果、検察官がより長期の身体拘束を行うべきだと判断すれば、裁判所に対して勾留請求を行います。
勾留請求を受けた裁判官は、事件の記録に目を通すとともに被疑者に対して簡単な質問を行い、勾留が妥当だと考えると勾留決定を下します。
こうして行われる勾留は、最低でも10日間、更に延長により最長20日間行われます。
以上から、逮捕されると最長23日間も身体拘束が続くおそれがあります。
そればかりか、検察官が起訴を選択すれば、被疑者勾留から被告人勾留へと切り替わって月単位で身体拘束が続いてしまいます。
こうした身体拘束の継続を避けるためには、被疑者・被告人の身元引受人の確保や、被害者との示談交渉などを行いつつ、釈放のための弁護活動を行うことが大切です。
逮捕された方にとっては一日一日が苦痛かと思いますので、お早めに弁護士への依頼をご検討ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が、事件の流れを予測して的確な弁護活動を行います。
ご家族などが痴漢の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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準強制性交等罪で逮捕
Aさんは、福島県河沼郡にあるバーにて一人でお酒を飲んでいた際、同じく一人で飲んでいた女性Vさんと仲良くなりました。
Aさんがバーを出ると、それに続いてVさんも出てきたことから、「よければこれからうちでもう少し飲まない?」と声を掛けました。
Vさんがそれに応じたことから、すぐ近くのAさん宅でお酒を飲んだところ、Vさんは酔いつぶれて寝てしまいました。
チャンスだと思ったAさんは、寝ているVさんの服を脱がせ、Vさんと性行為に及びました。
Vさんは目を覚まし、Aさんをはねのけて無言でAさん宅を出ました。
その後、Aさんは準強制性交等罪の疑いで会津坂下警察署に逮捕されたことから、弁護士が初回接見に行きました。
(フィクションです)
【準強制性交等罪について】
かつて強姦罪と呼ばれていた罪は、最近の刑法改正によって強制性交等罪という名称に改められました。
上記事例でAさんが疑われたのは、準強制性交等罪というものです。
刑法第百七十八条
2 人の心身喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、もしくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条(注:177条の強制性交等罪。5年以上の有期懲役)の例による。
準強制性交等罪は、何らかの事情(暴行および脅迫を除く)で被害者が抵抗できない状態にあることを利用して「性交等」を行う罪です。
「心神喪失」はそもそも性交等の事実が認識できない状態を、「抗拒不能」は性交等の事実が認識できるものの抵抗ができない状態を指します。
前者の例としては泥酔や熟睡、後者の例としては手足が縛られていたり恐怖に支配されていたりすることが挙げられます。
ただし、暴行または脅迫により心神喪失や抗拒不能に陥らせた場合、暴行・脅迫により性交等に及んだとして強制性交等罪に当たると考えられます。
また、「性交等」には、性器同士を接触させる通常の性交だけでなく、男性器を口で弄ぶ口腔性交と肛門に男性器を挿入して行う肛門性交も含まれます。
上記事例では、Aさんが泥酔して熟睡しているVさんに対し、服を脱がせて性行為を行っています。
このような行為は、「心神喪失」であることを利用して「性交等」に及んだと言えることから、Aさんには準強制性交等罪が成立するでしょう。
【弁護士による接見のメリット】
身体拘束された被疑者・被告人は、接見等禁止という決定が出ていない限り、一応誰とでも面会することができます。
ただし、弁護士以外の者が行う一般面会には、主に逃亡や証拠隠滅を防止する必要性から種々の制限が設けられています。
以下では、弁護士とそれ以外の者とでどのような違いがあるか見ていきます。
①面会が可能な時期や日時
一般面会の場合、原則として長期の身体拘束である勾留が決定した後でなければできません。
また、日時と時間も決まっており、だいたい平日の朝から夕方までで1日1回15分程度です。
これに対し、弁護士は逮捕直後であればいつでも面会でき、面会の時間も制限されていないというのが原則です。
②立会人の要否
一般面会には警察署の職員が立ち会うことになっており、話の内容次第(たとえば事件の詳細)では会話を遮られることもあります。
一方、弁護士は立会人なくして面会が可能であるため、逃亡や証拠隠滅の援助にならない限り何でも話すことができます。
たとえば、今後の弁護活動に関わる余罪の有無や内容についても、警察署の職員がいないことで心置きなく話せるでしょう。
③面会の場所
逮捕中の被疑者・被告人は、基本的に警察署の留置施設にいますが、必要に応じて検察庁や裁判所へ行くことがあります。
その場合、検察庁や裁判所内での一般面会は許されていないため、面会をすることはできません。
ですが、弁護士に関しては、充実した弁護活動の要請から一定の範囲で面会が許されています。
警察署での面会に比べると自由が制限されていますが、それでも捜査や裁判の直前あるいは直後にアドバイスを受けられる点で有益と言えます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に詳しい弁護士が、逮捕された方が少しでも安心できるよう必要に応じて接見を行います。
ご家族などが準強制性交等罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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児童ポルノで逮捕
福島県白河市にあるコンビニで店長を務めるAさんは、コンビニ内にある従業員用の更衣室に小型カメラを仕掛け、着替えを行う従業員を盗撮していました。
Aさんのコンビニでは近くの高校に通う16歳から18歳の女子高校生が働いており、その女子高校生らも被害者となっていました。
この盗撮の事実が従業員に発覚し、Aさんは児童ポルノ製造の疑いで白河警察署に逮捕されました。
事件の依頼を受けた弁護士は、すぐにAさんと初回接見を行いました。
(フィクションです)
【盗撮で児童ポルノ製造に?】
Aさんのように着替えを盗撮した場合、各都道府県が定める迷惑防止条例違反として罰せられるケースが通常かと思います。
ですが、盗撮の対象が児童(18歳未満の者)であれば、児童ポルノ製造の罪として罰せられる可能性があります。
児童ポルノに関する規制は、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」に定められています。
まず、「児童ポルノ」とは、以下の全てを満たすものを指します。
①写真、電磁的記録(データ)に係る記録媒体その他の物
②次のいずれかの姿態をした児童を見ることができるもの
・当事者の一方または双方を児童とする性交やその類似行為
・児童の「性器等」(性器、肛門、乳首)を触ったり、児童に「性器等」を触らせたりする行為(性欲を刺激・興奮させるものに限る)
・衣服の全部または一部を着けていない児童であって、性的な部位(「性器等」とその周辺部位)の露出や強調を伴うもの(性欲を刺激・興奮させるものに限る)
要するに、児童を当事者とするわいせつな行為や、下着姿だったり裸だったりする児童を記録したものが、「児童ポルノ」に該当すると考えられます。
そのうえで、上記のような児童の姿態を盗撮した場合、ひそかに児童ポルノを製造したとして罰せられることになります。
罰則は、児童ポルノの所持などと同様、3年以下の懲役または300万円以下の罰金です。
18歳以上の者に対する盗撮であれば、自治体により若干のばらつきはあるものの、おおむね6か月か1年以下の懲役または100万円か50万円以下の罰金で収まります。
このことから、児童ポルノ製造に当たる盗撮が重く見られていることが分かるかと思います。
【厳罰を避けるには】
昨今、児童買春や児童ポルノに関する罪に対する社会の目は厳しい傾向にあります。
それに盗撮が重なるとなると、有罪となった場合の刑は重くなってもなんら不思議ではありません。
そこで、少しでも刑を減軽するために、たとえば以下のような対応をすることが重要となってきます。
①被害者との示談
盗撮による児童ポルノ製造は、他の児童買春や児童ポルノに関する罪とは決定的に違う点があります。
それは、盗撮という事件の性質上、基本的に児童が児童ポルノの製造に同意していない点です。
このことは、事件の悪質性を高める一要素である一方、被害者(の保護者)との示談の締結が最終的な処分により影響しやすいという意味を持ちます。
たとえ示談をしても児童ポルノ製造の事実は動きませんが、それでもやはり示談の成否が量刑に作用する重大な事情であることは否定しがたいでしょう。
②再犯防止に向けた活動
児童ポルノに関する罪を含め、性犯罪というのは基本的に性的嗜好の歪みが原因とされています。
それだけに再犯率も比較的高く、量刑を検討する裁判官としては再犯防止策が講じられているかどうかを気にすることが見込まれます。
そこで、カウンセリングを受けるなどして、更生の意思があることを裁判官にきちんとアピールすることも重要です。
口だけならなんとでも言えるので、実際に行動してその記録を残す必要があります。
以上から分かるように、一口に児童ポルノに関する罪を犯したとは言っても、実際には一つ一つの事案、そしてひとりひとりに応じた活動が大切となります。
ベストな対応をするために、少しでも不安があればぜひ弁護士を活用しましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が、依頼者様の将来も見据えて弁護活動のプランを立てます。
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