10月, 2019年
公文書偽造罪で執行猶予①
公文書偽造罪と執行猶予について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
今回の記事では、を取り扱います。
【ケース】
福島県郡山市に住むAさんは、スピード違反により免許証の効力が停止され、運転しようにも免許がない状態でした。
ある日、Aさんが市内を歩いていたところ、道路に免許証が落ちているのを見かけました。
そこで、免許証の顔写真、氏名、生年月日、住所を自身のものに貼り替え、あたかも自らの免許証であるかのような物を作成しました。
Aさんはそれを携帯して運転していましたが、検問の際に偽造した運転免許証であることを見破られ、公文書偽造罪などの疑いで郡山警察署に逮捕されました。
Aさんと接見した弁護士は、執行猶予について説明しました。
(フィクションです。)
【文書偽造罪とは】
文書偽造罪は、本来存在しない文書を作成したり、既に存在する文書の内容に変更を加えたりした場合に成立する可能性のある罪です。
そうした文書の作成または変更をまとめて文書偽造罪と言うこともありますが、刑法においては具体的な行為の内容により成立する罪が異なります。
今回は、公文書を偽造したケースを題材に①公文書偽造罪、②公文書変造罪、③偽造文書行使罪について説明します。
【公文書偽造罪について】
公文書偽造罪が成立するのは、「公文書」を「偽造」した場合です。
まず、「公文書」とは、公務所または公務員が作成した文書を指します。
上記事例で対象となっている運転免許証は、各都道府県の公安委員会が発行していることから、「公文書」に当たると考えられます。
次に、「偽造」については、作成権限のない者が他人名義で文書を作成することを指すというのが一つの理解です。
上記事例において、Aさんは免許証の記載に変更を加えています。
第一に、Aさんに免許証の作成権限がないことは明らかかと思います。
第二に、記載の変更の程度に鑑みると、Aさんによる記載の変更は、もはや新たな文書の作成と同等だと評価できます。
そうすると、Aさんの行為は「偽造」に当たるでしょう。
以上より、Aさんには公文書偽造罪が成立すると考えられます。
ちなみに、免許証には「福島県公安委員会」というかたちで押印がなされているのが通常であるため、今回偽造されたのは有印公文書ということになります。
有印公文書偽造罪の罰則は1年以上10年以下の懲役、無印公文書偽造罪の罰則は2年以下の懲役または30万円以下の罰金なので、今回は公文書偽造罪の中で重い方と言えるでしょう。
【公文書変造罪について】
「変造」という言葉をあまり聞いたことがない方も多いかもしれません。
変造とは、簡単に言うと程度の軽い文書偽造です。
「既存の申請な文書の非本質的部分に変更を加えること」などと説明されます。
公文書を変造した場合、公文書変造罪が成立する可能性があります。
罰則は公文書偽造罪と同様ですが、偽造の程度が軽い点は最終的な処分を決めるに当たって有利に考慮される可能性があります。
【偽造文書行使罪について】
以上に加え、偽造した公文書を他人に閲覧させ、またはそれが可能な状態に置いた場合、公文書偽造罪と併せて偽造公文書行使罪が成立する可能性があります。
文書偽造事件というのは他人に文書を示したがゆえに発覚することが多いので、公文書偽造罪と偽造文書行使罪がセットで成立するケースは多いことが見込まれます。
その場合、公文書偽造罪のみが成立するケースと比べ、当然ながら処分は重くなるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が、個々の事案に応じて文書偽造罪の成否を的確に判断します。
ご家族などが文書偽造罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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公然わいせつ罪で逮捕
福島県伊達市に住むAさんは、露出癖を持っており、過去に公然わいせつ罪で罰金刑を受けたことがありました。
その後1年程度は何事もなく過ごしていたAさんでしたが、仕事のストレスから再び露出をしたくなり、深夜に自宅近くの公園で性器を露出しました。
その様子を近隣住民が目撃して警察に通報したことで、Aさんは公然わいせつ罪の疑いで伊達警察署に逮捕されました。
Aさんと接見した弁護士は、公然わいせつ罪の前科があることを聞かされ、Aさんの要望で裁判を回避するための弁護活動を行うことにしました。
(フィクションです。)
【公然わいせつ罪について】
刑法(一部抜粋)
第百七十四条 公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
公然わいせつ罪は、公の場でわいせつな行為に及んだ際に成立する可能性のある罪です。
まず、条文にある「公然と」とは、不特定は多数の者がわいせつな行為を認識できる状態にあることを指します。
注意すべき点は、飽くまでも「認識できる」という点が肝要であり、実際に不特定または多数の者が認識したかどうかは問われないことです。
ですので、たとえ上記事例においてAさんの行為を目撃したのが1人だったとしても、現場が公園である以上「公然と」に当たると考えられます。
次に、「わいせつな行為」とは、いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、もって善良な性的道義観念に反するもの、と裁判例で定義されています。
このような定義から、何が「わいせつな行為」に当たるかは、その時々の社会の認識なども踏まえて事案ごとに判断されると考えられます。
実務上、上記事例のような性器の露出は「わいせつな行為」に当たるものとして扱われています。
以上から、Aさんには公然わいせつ罪が成立する可能性が高いでしょう。
ちなみに、身体の一部の露出であって公然わいせつ罪に当たらないようなものについては、別途軽犯罪法違反に当たる余地があります。
その場合の罰則は、拘留(1日以上30日未満の拘置)または科料(1000円以上1万円未満の金銭の徴収)という軽いものとなっています。
【裁判を回避するための弁護活動】
ある事件で起訴されて裁判を受けることになると、公衆の傍聴が許されている公開の法廷で審理が行われます。
そうすると、裁判への出廷を求められる結果、心身共に負担が生じることが懸念されます。
そのような負担を避けるために、裁判を回避するための弁護活動が考えられます。
裁判を避ける第一の方法として、事件を不起訴で終了させることが挙げられます。
ただ、公然わいせつ罪は社会全体を害する性質を持つことから、目撃者と示談を行うなどしても簡単に不起訴になるとは限りません。
加えて、上記事例のように公然わいせつ罪の前科があるとなると、その問題はより深刻化するのが通常です。
そこで、裁判を避ける第二の方法として、いわゆる略式罰金で終了させることが挙げられます。
略式罰金は、比較的単純な事件について、書面の上で簡易・迅速に審理を行う裁判の形式です。
罰金刑を科すのが相当とされる事案の多くは、この略式罰金により秘密裏に処理されているというのが実情です。
公然わいせつ罪については、初犯であれば略式罰金になる可能性が高いかと思いますが、繰り返したとなると当然裁判に至るリスクは生じます。
もし再び略式罰金による裁判の回避を目指すのであれば、弁護士に依頼して再犯防止策を講じるなどの弁護活動が重要となるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が、裁判を回避したいなどのご要望に沿えるよう手を尽くします。
ご家族などが公然わいせつ罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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自転車事故で重過失傷害罪
福島県福島市に住む高校1年生のAさんは、近くのスーパーへ行こうと自転車を運転していました。
その際、ズボンのポケットに入れていたスマートフォンからLINEの通知音が鳴ったため、AさんはLINEを確認しようとスマートフォンを見ました。
すると、返信を入力していた際に突然「危ない」という声が聞こえ、正面に高齢の男性Vさんが立っていることに気づきました。
慌ててブレーキを掛けたAさんでしたが、不幸にもVさんと接触してしまい、Vさんに骨折などの怪我を負わせてしまいました。
この件で福島北警察署が現場に駆けつけ、Aさんは重過失傷害罪の疑いで福島北警察署にて取調べを受けることになりました。
そこで、Aさんの両親は示談について弁護士に相談しました。
(フィクションです。)
【重過失傷害罪について】
刑法(一部抜粋)
第二百十一条 業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。
重過失傷害罪は、刑法211条の後段にあるとおり、「重大な過失」によって人に怪我を負わせた場合に成立する可能性のある罪です。
ここで言う「重大な過失」とは、簡単に言うと不注意の程度が著しいことを指すと考えられています。
甚だしい不注意により結果が生じてさえいれば、生じた結果の軽重は問わない点に注意が必要です。
上記事例では、Aさんがスマートフォンを見ていたことでVさんに気づくのが遅れ、ブレーキが間に合わず接触して怪我を負わせています。
一般に、自転車の運転中に周囲に気を配るのは当然であり、それを怠った時点で落ち度があるという非難は避けられないかと思います。
加えて、Aさんにとって運転中にスマートフォンを見る必要性はなかったはずであり、更にLINEの返信となると意識が他にいかなくなることは容易に想定できます。
これらの事情からすれば、Aさんには「重大な過失」があったと認定されても不思議ではありません。
そうすると、これが原因でVさんに怪我をさせている以上、Aさんに重過失傷害罪が成立する可能性はあるでしょう。
【少年事件における示談】
刑事事件における示談とは、謝罪や被害弁償などにより当事者間で一応事件が解決したことを示す合意です。
主に被害者の納得という側面を捉えて、検察官や裁判官は示談の締結を理由に処分を軽くすることがよくあります。
そのため、一般的に示談は重要であり、事件によっては不起訴や執行猶予になる可能性が飛躍的に高まります。
ただ、少年事件、すなわち未成年者が起こした刑事事件については、必ずしも示談をすれば丸く収まるというわけではない点に注意が必要です。
少年事件において最終的に目指すところは、心身が未成熟である少年に適切な措置を施し、更生を促すなどして健全な育成を実現することです。
この点から、成人が起こした通常の刑事事件と比べて、少年本人の反省や将来性がより重視されるようになっています。
このような観点から示談を考察した場合、その効力は通常の刑事事件ほど大きくはないと言えます。
なぜなら、示談は形式的には謝罪を含みますが、結局のところ重視されているのは被害者が受けた損害の補填だからです。
示談の締結と少年の反省とは、論理必然的につながるようなものではありません。
特に、未成年者が与えた損害は保護者が補填するのが通常なので、場合によっては未成年者に一切の損失はないということになります。
そのため、示談から少年の反省の程度などを汲み取ることができず、結果的に効果が限定的なものと評価されやすいというわけです。
以上の点を含め、少年事件において最良の結果を目指すためには、事件の内容や少年の人柄などに応じた多種多様な活動を行うことが大切となります。
ですので、少年事件については弁護士に相談するのが得策でしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、少年事件に強い弁護士が、示談を含めて少年ひとりひとりに合わせた最適な付添人活動を行います。
お子さんが重過失傷害罪を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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飲酒運転で略式罰金
福島県福島市に住むAさんは、学生時代の友人と飲み会をすることになり、車で市内の居酒屋へ行きました。
その日は翌日が休日だったため、車で寝てから翌朝帰宅しようと考えていました。
飲み会が終わった頃には午前2時を過ぎており、Aさんは予定どおり車内で5時間程度の睡眠をとりました。
そして、朝になって帰宅しようと運転した際、左折する際に誤って物損事故を起こしてしまいました。
Aさんの通報で現場に駆けつけた警察官は、Aさんから酒の匂いがすることに気づいて呼気検査を行いました。
そうしたところ、数値が0.2を示したことから、Aさんは飲酒運転の疑いで福島警察署の捜査を受けることになりました。
Aさんから相談を受けた弁護士は、最終的な処分が略式罰金となる可能性が高いと説明しました。
(フィクションです。)
【飲酒運転について】
一般的に、飲酒運転はその名のとおり酒を飲んで運転する行為を指すかと思います。
飲酒運転は道路交通法が定める罪の一つですが、この罪には2種類があることはご存知でしょうか。
その2種類とは、①酒気帯び運転と②酒酔い運転と言われるものです。
以下では、それぞれについて概要を説明します。
①酒気帯び運転
酒気帯び運転は、飲酒した運転手の様子に関係なく、身体に一定程度以上のアルコールを保有した状態で運転した場合に成立します。
具体的なアルコールの基準値は、血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラムまたは呼気1リットルにつき0.15ミリグラムです。
実務においては呼気検査の方が多い傾向にあるので、基準値のうち重要なのは0.15ミリグラムの方と言えます。
罰則は3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
②酒酔い運転
酒酔い運転は、「アルコールの影響で正常な運転ができないおそれがある状態」で運転した場合に成立します。
酒気帯び運転のように基準値が定められているわけではありませんが、検知の結果も考慮要素の一つに当たると考えられます。
それに加えて、飲酒運転の疑いがある運転手に対し、警察官が挙動を観察するなどして判断するものと思われます。
たとえば、質問に正しく答えられているか、歩行の際に千鳥足になっていないか、といった点が見られることになるでしょう。
罰則は5年以下の懲役または100万円以下の罰金となっています。
【略式罰金について】
飲酒運転の罰則は、数ある道路交通法違反の中でも重い部類に属します。
そのため、複数回行えば裁判に至る可能性が飛躍的に高まります。
一方、初犯の場合については、いわゆる略式罰金というかたちで裁判を行うことなく終了することも多いのが実情です。
以下では、略式罰金の意味や、略式罰金を受け入れることによるメリットとデメリットについて説明します。
なお、多くの交通違反に課される反則金の制度(いわゆる青切符)は、以下の略式罰金と異なるため注意が必要です。
略式罰金とは、略式手続という特殊な裁判手続により下される罰金刑のことです。
通常の裁判との最大の違いは、裁判所の法廷ではなく書面上で審理が行われる点です。
略式罰金制度の主眼は、軽微かつ簡素な事件を迅速に処理し、被告人や関係機関の負担の軽減を図るというものです。
そのため、わざわざ法廷で裁判を行ったりせず、公衆の目に触れない書面の上だけで有罪・無罪の判断と刑罰の決定を速やかに行うことになるのです。
上記のような特徴を持つ略式罰金は、被告人にとって裁判に伴う肉体的・精神的負担が軽いというメリットがあると言えます。
ただ、迅速な処理の意識は、ともすれ慎重な判断を欠くことにつながりかねません。
そこで、略式罰金とする場合は被疑者の同意が必要となること、一定期間内であれば正式裁判を要求できること、の2点が定められています。
特に、きちんと争うことで無罪になる可能性が高いのであれば、敢えて略式罰金を受け入れないというのも一つの手でしょう。
自身の事案について疑問を抱かれたら、ぜひ弁護士にその旨ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が、豊富な知識と経験に基づき略式罰金に関するご相談をお受けします。
飲酒運転を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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恐喝罪で逮捕~不起訴を目指す~
恐喝罪と不起訴について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【ケース】
福島県相馬市に住むAさんは、普段からお金に困っていたことから、交際相手であるBさんと美人局を行うことにしました。
その具体的な内容は次のようなものでした。
①Bさんが既婚者のふりをしつつ男性に近づき、肉体関係を持とうと男性をラブホテルに誘う
②男性が誘いに乗って肉体関係を持ったあと、ラブホテルを出たところで偶然を装ってAさんが鉢合わせる
③Aさんが男性に対して身分証の提示などを要求し、「会社に言うぞ」などと脅して金銭を受け取る
こうした行為を数回行ったところ、相馬警察署が事件を把握し、Aさんらを恐喝罪の疑いで逮捕しました。
接見に来た弁護士は、Aさんに不起訴について説明しました。
(フィクションです。)
【恐喝罪について】
第二百四十九条 人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
恐喝罪は、暴行または脅迫を加えて他人に財産を交付させた場合に成立する可能性のある罪です。
上記条文にあるように、お金や物だけでなく、形のない利益も対象となります。
具体的には、タクシーで目的地まで運転させる、借金を帳消しにする、などのものが考えられます。
恐喝罪の成立要件である暴行・脅迫は、客観的に見て相手方の反抗を抑圧するに至らない程度のものを指すとされています。
砕けた言い方をすると、「抵抗の余地がないわけではないが簡単ではない」という程度です。
こうした暴行・脅迫の程度は、同じく暴行・脅迫により財産を交付させる強盗罪と区別するための基準となります。
強盗罪の場合は相手方の反抗を抑圧するに至る程度の暴行・脅迫が必要なので、それに至らなければ恐喝罪が成立するに過ぎないということになります。
上記事例では、Aさんが被害者に対して、不倫したことを暴露する旨脅して金銭を要求しています。
この場合、最終的に凶器を持ち出した、激しい暴行に及んだ、といった著しい事情の変化がない限り、脅迫はさほど強度のものではないと評価できます。
そうすると、Aさんには恐喝罪が成立することになるでしょう。
ちなみに、Bさんは脅迫したり金銭を要求したりしたわけではありませんが、Aさんと同様に恐喝罪の責任を負う可能性が高いと考えられます。
【不起訴の可能性】
上記事例において、Aさんらが不起訴になる可能性はあるのでしょうか。
前提として、不起訴とは、裁判を行うことなく検察庁の段階で事件を終了させることを指します。
ある事件について裁判を行うかどうかは基本的に検察官に委ねられており、その検察官が様々な事情を考慮して起訴するか不起訴にするか決めることになります。
不起訴となれば刑罰を受けるどころか裁判すら開かれないので、不起訴の可能性があるかどうかは重大な事柄です。
一般に、恐喝罪のように個人の権利や利益を害する罪については、被害者との示談により不起訴となる可能性が少なからずあります。
ただ、上記事例に関して言うと、不起訴を目指すうえで以下の点が懸念されると考えられます。
まず、事件の内容が悪質だと評価されやすい点が挙げられます。
いわゆる美人局の共犯事件という都合上、複数人で人の弱みに付け込む卑劣な手口である、犯行が計画的である、被害者が複数に及び被害総額が嵩んでいる、といった否定的な評価が下されがちでしょう。
次に、被害者全員との示談に困難が伴う点が挙げられます。
仮に不起訴を目指すのであれば、検察官が起訴の判断を下す前に全員と示談しなければなりません。
それを限られた時間の中で行うのは、一般の方はもちろん弁護士であっても難易度が高いものです。
以上の難点を考慮したうえで不起訴を目指す場合、弁護士への依頼は必須と言っても過言ではありません。
不起訴の可能性を少しでも高めるなら、ぜひ弁護士に一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が、不起訴に向けて可能な限り手を尽くします。
ご家族などが恐喝罪の疑いで逮捕をされたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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中学生が器物損壊罪で取調べ
福島県双葉郡所在の中学校に通うAさん(15歳)は、「いじり」と称して自身が所属する野球部の後輩Vさんに様々な嫌がらせをしていました。
部活の大会が目前に迫ったある日、AさんはVさんを困らせようと考え、野球のユニフォーム一式を旧校舎にあるトイレの掃除用具入れに入れました。
VさんはAさんが犯人だと気づかず必死にユニフォームを探しましたが、結局見つかったのは大会の翌々日でした。
のちに周囲の発言などからAさんが犯人であることが明らかとなり、Aさん宅にVさんの母親から「双葉警察署に行きますから」という連絡がありました。
以上の経緯をAさんの両親から聞いた弁護士は、器物損壊罪が成立する可能性があることを指摘したうえで、保護処分について説明しました。
(フィクションです。)
【窃盗罪と器物損壊罪の区別】
あまりイメージが湧かないかもしれませんが、実は窃盗罪と器物損壊罪はよく似た点がある罪と言えます。
まず、器物損壊罪の条文は以下のとおりです。
刑法(一部抜粋)
第二百六十一条 前三条に規定するもの(※)のほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
※建造物、艦船および特定の文書
他人の物を「損壊」し、または「傷害」した者とあります。
後者は他人の動物傷つける場合を想定しており、今回注目するのは前者です。
器物損壊罪における「損壊」とは、物の効用を害する一切に行為を指すと考えられています。
つまり、文字どおり物を壊す行為のみならず、物を隠す行為についても「損壊」に含まれる余地があるのです。
ここで窃盗罪に目を向けると、窃盗罪はご存知のように他人の物を盗むというものです。
他人の物を持ち去った場合、それが盗む目的か隠す目的かは外見から分かるものではありません。
そのため、窃盗罪と器物損壊罪は必ずしも明瞭に区別できるとは限らないというわけです。
これらを区別する基準は、犯人の行動や発言から推測できる犯人の意図がどのようなものだったかによります。
簡単に言うと、物を使用したり売却したりして利益を得るつもりであれば窃盗罪に、そうではなく単に持ち主による物の使用を妨げるつもりであれば器物損壊罪に当たります。
上記事例のAさんは、ユニフォームの使用を妨げて嫌がらせをするつもりだった以上、器物損壊罪が成立すると考えられます。
【少年事件における保護処分の概要】
「少年」(少年法では20歳未満の者)が起こした刑事事件については、少年事件として成人とは異なる手続に付されるのが原則です。
少年事件と通常の刑事事件とでは様々な違いがありますが、大きな違いの一つとして最終的に下される処分の内容が挙げられます。
少年事件として取り扱われた場合、成人と違って刑罰を受けることはなく、代わりに保護処分という措置を受けることになるのが基本です。
保護処分にはいくつか種類がありますが、いずれも適切な教育を通した少年の更生が最も重視されている点で共通しています。
保護処分は審判(通常の刑事事件で言う裁判に相当)によって決まり、①少年院送致、②児童養護施設・児童自立支援施設送致、③保護観察、の3つがあります。
まず、少年院送致は、少年を本来の生活圏から離して少年院で生活させるというものです。
少年院では、学校と同じような教育を受けつつ規律ある生活を送り、少年に根ざした犯罪傾向の除去などに取り組みます。
次に、児童養護施設・児童自立支援施設送致は、児童の保護に主眼を置く施設で少年を生活させるというものです。
少年院送致や後述の保護観察に比べて保護の色彩が強く、たとえば虐待を行う親からの隔離が必要な場合などに選択されやすいと言えます。
最後に、保護観察は、少年を本来の生活圏に置きつつ定期的に経過を見守るというものです。
施設への収容が求められないため、比較的自由に過ごすことができるのが特徴と言えるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、少年事件に強い弁護士が、最適な保護処分を目指して少年ひとりひとりと真摯に向き合います。
お子さんが器物損壊罪を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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