中学生が器物損壊罪で取調べ

福島県双葉郡所在の中学校に通うAさん(15歳)は、「いじり」と称して自身が所属する野球部の後輩Vさんに様々な嫌がらせをしていました。
部活の大会が目前に迫ったある日、AさんはVさんを困らせようと考え、野球のユニフォーム一式を旧校舎にあるトイレの掃除用具入れに入れました。
VさんはAさんが犯人だと気づかず必死にユニフォームを探しましたが、結局見つかったのは大会の翌々日でした。
のちに周囲の発言などからAさんが犯人であることが明らかとなり、Aさん宅にVさんの母親から「双葉警察署に行きますから」という連絡がありました。
以上の経緯をAさんの両親から聞いた弁護士は、器物損壊罪が成立する可能性があることを指摘したうえで、保護処分について説明しました。
(フィクションです。)

【窃盗罪と器物損壊罪の区別】

あまりイメージが湧かないかもしれませんが、実は窃盗罪器物損壊罪はよく似た点がある罪と言えます。
まず、器物損壊罪の条文は以下のとおりです。

刑法(一部抜粋)
第二百六十一条 前三条に規定するもの(※)のほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
※建造物、艦船および特定の文書

他人の物を「損壊」し、または「傷害」した者とあります。
後者は他人の動物傷つける場合を想定しており、今回注目するのは前者です。
器物損壊罪における「損壊」とは、物の効用を害する一切に行為を指すと考えられています。
つまり、文字どおり物を壊す行為のみならず、物を隠す行為についても「損壊」に含まれる余地があるのです。
ここで窃盗罪に目を向けると、窃盗罪はご存知のように他人の物を盗むというものです。
他人の物を持ち去った場合、それが盗む目的か隠す目的かは外見から分かるものではありません。
そのため、窃盗罪器物損壊罪は必ずしも明瞭に区別できるとは限らないというわけです。
これらを区別する基準は、犯人の行動や発言から推測できる犯人の意図がどのようなものだったかによります。
簡単に言うと、物を使用したり売却したりして利益を得るつもりであれば窃盗罪に、そうではなく単に持ち主による物の使用を妨げるつもりであれば器物損壊罪に当たります。
上記事例のAさんは、ユニフォームの使用を妨げて嫌がらせをするつもりだった以上、器物損壊罪が成立すると考えられます。

【少年事件における保護処分の概要】

「少年」(少年法では20歳未満の者)が起こした刑事事件については、少年事件として成人とは異なる手続に付されるのが原則です。
少年事件と通常の刑事事件とでは様々な違いがありますが、大きな違いの一つとして最終的に下される処分の内容が挙げられます。
少年事件として取り扱われた場合、成人と違って刑罰を受けることはなく、代わりに保護処分という措置を受けることになるのが基本です。
保護処分にはいくつか種類がありますが、いずれも適切な教育を通した少年の更生が最も重視されている点で共通しています。

保護処分は審判(通常の刑事事件で言う裁判に相当)によって決まり、①少年院送致、②児童養護施設・児童自立支援施設送致、③保護観察、の3つがあります。
まず、少年院送致は、少年を本来の生活圏から離して少年院で生活させるというものです。
少年院では、学校と同じような教育を受けつつ規律ある生活を送り、少年に根ざした犯罪傾向の除去などに取り組みます。
次に、児童養護施設・児童自立支援施設送致は、児童の保護に主眼を置く施設で少年を生活させるというものです。
少年院送致や後述の保護観察に比べて保護の色彩が強く、たとえば虐待を行う親からの隔離が必要な場合などに選択されやすいと言えます。
最後に、保護観察は、少年を本来の生活圏に置きつつ定期的に経過を見守るというものです。
施設への収容が求められないため、比較的自由に過ごすことができるのが特徴と言えるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、少年事件に強い弁護士が、最適な保護処分を目指して少年ひとりひとりと真摯に向き合います。
お子さんが器物損壊罪を疑われたら、刑事事件少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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