少年事件

1 少年事件とは

少年事件とは、20歳未満の者が犯してしまった刑法令違反や、14歳未満の者で刑罰法令違反をした場合、現に犯罪をしていなくても将来罪を犯す可能性があると考えられている20歳未満の者について審判を行うものです。

この審判とは通常の刑事裁判とは異なります。裁判官が主体となって少年や関係者から話を聞いて、少年に対する処分を決める場です。審判の場においては検察官がいないことが通常です。また、少年のプライバシーに配慮するために、非公開の場で行われています。

審判は「懇切を旨として、和やかに」(少年法22条1項)なされるものと法律で定められています。少年に対して自己の犯罪や非行について反省を深めて今後の生活を改めるための場であり、非行について少年を責め立てる場ではないということです。

ここから見えてくるものとして、少年事件は少年を裁くというよりも少年の更生に重きを置いた手続きであることです。後述しますが、少年事件は少年が立ち直るためにどうすべきかという点に重点が置かれています。

とはいえ、まずは、事件を調べつ必要がありますので、成人事件と同様、警察が捜査を行います。この段階では少年と成人は同じ扱いを受けますので、同じ留置施設に入れられる可能性もあります。また、警察官、検察官から取調べを受けるという点でも成人と同じです。もっとも留置施設が別になるなど、少年として特別の配慮がなされることはあります。

少年事件が検察官のもとへ送られると、犯罪委の嫌疑がある事件については全て家庭裁判所に送られます。成人の刑事事件のように「不起訴」という処分がないため、事件は全て家庭裁判所が一度受け持ちます。

つまり、成人とは異なり早期示談=不起訴とはならないということです。

その上で、家庭裁判所は、審判を行うかどうかの判断をします。少年が既に深く反省していて犯罪の被害も軽く、改めて審判を開く必要がないと判断されれば、審判不開始決定がなされます。これがなされた段階で、事件は終了し、身体拘束をされていた場合は直ちに解放されます。

一方、審判が開始されると、審判期日が開かれ、裁判官が証拠を見て、少年や関係者の話を聞いて、少年に対する処分を決めます。処分の内容としては、少年院送致、保護観察処分、不処分、検察官送致(いわゆる逆送)などがあります。

少年事件は成人の事件のような不起訴処分はありません。また、捜査段階では少年も成人も同じ扱いを受けてしまいますので、仮に身体拘束された場合にはすみやかに身柄解放のために活動しなければなりません。

少年事件でお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。少年事件について知識と経験のある弁護士がスピード感を持って対応いたします。

 

2 事件が起きてからの弁護

少年が14歳以上であった場合、逮捕、勾留などの身柄拘束については成人と同じ手続きとなります。被疑者が少年であっても、逮捕されてから最大72時間は家族と面会することはできません。少年は逮捕、勾留されてしまった場合、成人よりもショックを受けたり不安定になっていたりします。弁護士が接見に向かうことで、今後の手続きについて知って安心することができたり、家族が心配して弁護士を派遣してくれていることを知ることができたりします。

学校へ通っていた場合には、学校との調整も必要になります。身体拘束が長期間にわたってしまった場合、事件のことを学校に知られてしまったり、退学などの処分を受けてしまったりすることがあります。しかし、事件の内容や学校との関係によっては、学校に協力を求めることもできます。少年事件の手続きの目的は、少年の更生にありますので、事件後も学校に在籍できるということは少年の更生にとって大きなプラスの要素として働くことがあります。学校との対応についても弁護士を通して行うことでスムーズに行うことができ、少年の更生のために学校の協力を得られやすい場合もあります。

また、身体拘束されていない事件であっても事件の原因について見つめなおしていかなければなりません。刑法犯を起こしてしまう少年の生活環境には問題のあることが多くあります。周りの大人や家族の方のサポートも得ながら、家庭内でその問題を取り除くことで、矯正施設に送る必要はないと判断されることにも繋がります。このような問題の把握と解決には長い時間をかけたコミュニケーションが必要な場合がありますので、早期から活動が必要です。

事件後、審判の前に少年が抱えていた問題を解消することができれば審判不開始の処分がなされ直ちに事件を終了させることも目指せます。

窃盗や暴力事件など、被害者のいる事件については成人の事件と同様示談をすることが可能です。早期の被害回復を行うことで早期の身柄解放も可能となりますし、十分な反省を示すことにも繋がります。

共犯事件が多いという少年事件特徴から、少年自身と周りの非行グループとの関わりについても改善が必要です。人間関係を完全に断ってしまうのか、非行に巻き込まれない程度の距離を維持するのか、本人によっても非常に難しい問題となりますが、再犯防止の観点からもこうした人間関係を整理することは重要です。

 

3 審判に向けた弁護

審判の場においては当該少年について「非行」を行った事実はあるのか、非行をしたとするとどの程度、保護すべきなのかについての判断がなされます。

非行に関する事実は成人の刑事事件と同様に、犯罪事実について審理します。少年事件については成人の事件以上に冤罪の危険が大きくあります。少年は周りの大人に対して迎合しやすく、取調べにおいても取調官の誘導的な質問に対しても答えてしまい、結果として嘘の自白調書が作られてしまう可能性が極めて高いからです。警察官も少年事件においては配慮することとされていますが、少年自身が罪を認めなければいけないと思い込んでしまうこともあります。

少年が取調べを受けるにあたっては成人以上に弁護士の丁寧なサポートが必要です。弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事・少年事件を専門的に取り扱う弁護士が未成人のお子様の取調べにも迅速かつ丁寧に対応いたします。非行事実について認めているようでも、非行の一部については身に覚えがないという場合、その否認によって最終的な処分の内容が大きく変わることもあります。取調べにおいてもどのように対応するか、弊所の弁護士が処分の見通しと併せてご説明いたします。少年事件でお困りの方は一度ご相談ください。

非行事実があると裁判所が判断した場合、要保護性、つまり、少年を少年院に送ったり更生施設に送ったりして更生させる必要があるかどうか、という点を判断します。

この判断においては少年が事件を起こしてしまった原因について深く探らなければなりません。警察においては、この保護性についての捜査は十分に行われないため、家庭裁判所は家庭裁判所調査官を通じて、家族や学校から少年についての詳しい情報を集めます。

観護措置といって、少年の生活状況や心理状況を詳しく調べるための措置を取ることもあります。観護措置では多くの場合、「少年鑑別所」という施設に少年の身柄を移し、そこで約一か月間、面談や心理テストなどを行って、少年に関するより詳細な情報を集めます。これらの情報を元に保護性が判断されていきます。

観護措置は鑑別所で行われるものである点においては少年にとって不利益にもなりますが、一度環境を変えて静かに自分自身を見つめなおすことによって少年自身の問題解決のヒントが見つかる期間にもなります。

観護措置が取られたとしてもどのように対応するのか弁護士とよく相談して決めなければなりません。

また、審判の前に試験観察という処分を目指すこともできます。これは、家庭裁判所による審判の前に、少年に調査官を付して社会で生活させるもので、少年についてより十分な調査をさせることができます。この調査を行う中で、調査官に対して少年を施設に送る必要はないと分かってもらうことができれば、保護観察や不処分を獲得できることもあります。

審判に向けては家庭裁判所のみならず、家族・弁護人側でも準備が必要です。少年が社会に戻ってきた際の環境の整備が何よりも重要です。どのような準備が必要となるのかは事件によって多種多様ですが、被害者との示談や、会社・学校などとの調整はほとんどの事件において必要となります。少年が家族や弁護士と面会を重ねていくことで自ら更生のための足掛かりをつかむこともあります。

一般的な少年事件において審判が開始された場合、少年院送致となる割合は約一割程度ですが、強盗罪などの場合は初犯であっても少年院送致となる可能性が高くあります。ですが、初めて犯してしまった罪により、少年院へ入ることが本当に後の更生のために必要なものであるかどうかは検討が必要です。少年院送致を回避するためには、事件直後から弁護士がついて審判に向けた活動を行う必要があります。

重い罪名の事件であっても弁護士をはじめご両親や周囲の人の助けを得て本人が更生を目指すことができるのであれば少年院を回避することも可能かもしれません。

少年事件においては事件が起きてから審判に至るまで、迅速かつ密度の濃い活動が必須です。福島県の少年事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご連絡ください。弊所では、福島県内の事件について、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う弁護士による無料の法律相談を行っています。関係者が福島県で逮捕されてしまった場合でも、最短当日に、弁護士が直接留置場や少年鑑別所へ出張面会してアドバイスする初回接見サービスもご用意しています。

 

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