保護観察

保護観察とは、少年を少年院に収容することなく、社会の中で生活させながら、保護観察所の指導監督および補導援護という社会内処遇(有志の一般の方との対話を通じた反省、振り返り)により、少年の改善更生を目的として行う保護処分のことです。

少年院送致や施設送致といった保護処分との最大の違いは、少年が日常生活を送ることができるという点です。

保護観察の期間は、原則として、少年が20歳に達するまでとされています(更生保護法66条)。

ですが、実際の運用上期間はある程度柔軟に対応されていて、十分な更生が見られる場合短い期間で終了することもあります。

 

・保護観察の類型

保護観察は犯した犯罪の種類や審判の結果により次の種類の判断が下ることになります。

 

1 一般保護観察

一般事件(交通事件以外の事件)によって保護観察に付された少年で、短期処遇勧告がなされていない少年。保護観察に付されてから約1年を経過し、3ヶ月以上継続して成績が良好であれば、解除が検討されます。

 

2 一般短期保護観察

一般事件により保護観察に付された少年で、短期処遇勧告がなされた少年です。

保護観察に付されてから6ヶ月以上7ヶ月以内の期間に解除が検討されます。10ヶ月以内に解除できないときは、保護観察決定をした家庭裁判所の意見を聞いた上で、一般保護観察に切り替えられます。

 

3 交通保護観察

交通関係事件で保護観察に付された少年で、短期処遇勧告がなされていない少年です。約6ヶ月経過後に解除が検討され、一般保護観察よりも短期間で解除する運用となっています。

 

4 交通短期保護観察

交通関係事件で保護観察に付された少年で、短期処遇勧告がなされた少年です。約3ヶ月以上4ヶ月以内に解除が検討され、6ヶ月を超えて解除できないときは、保護観察決定をした家庭裁判所の意見を聞いた上で、交通保護観察に切り替えられます。

 

・特定少年の特例

20歳未満の少年のうち18歳以上は特定少年と呼ばれ(少年法62条1項)、保護観察に付するときは6カ月又は2年と審判において決定します(少年法64条1項1号・2号)。ただし、法定刑が罰金刑以下の刑に当たる事件については、6カ月の保護観察のみ付することができます(少年法64条1項ただし書)。

 

・ 保護観察の内容

通常、月に1回か2回、担当の保護司や保護観察官を訪れて、近況を報告します。保護司等は、少年の更生のため、少年と面接して助言や指導をし、就職先を探す手助けをしたりします。

また、少年には遵守事項が与えられ、これに従うよう指導監督がなされます。保護観察者ごとに定められる特別遵守事項と保護観察の対象者全員が遵守する必要のある一般遵守事項があります。

 

・一般遵守事項について

一般遵守事項は法定されており、

  1. 再び犯罪をすることがないよう、又は非行をなくすよう健全な生活態度を保持すること。
  2. 次に掲げる事項を守り、保護観察官及び保護司による指導監督を誠実に受けること。
    イ 保護観察官又は保護司の呼出し又は訪問を受けたときは、これに応じ、面接を受けること。
    ロ 保護観察官又は保護司から、労働又は通学の状況、収入又は支出の状況、家庭環境、交友関係その他の生活の実態を示す事実であって指導監督を行うため把握すべきものを明らかにするよう求められたときは、これに応じ、その事実を申告し、又はこれに関する資料を提示すること。
  3. 保護観察に付されたときは、速やかに、住居を定め、その地を管轄する保護観察所の長にその届出をすること(第三十九条第三項(第四十二条において準用する場合を含む。)又は第七十八条の二第一項において準用する第六十八条の七第一項の規定により住居を特定された場合及び次条第二項第五号の規定により宿泊すべき特定の場所を定められた場合を除く。)。
  4. 前号の届出に係る住居(第三十九条第三項(第四十二条及び第四十七条の三において準用する場合を含む。)又は第六十八条の七第一項(第七十八条の二第一項において準用する場合を含む。)の規定により住居を特定された場合には当該住居、次号の転居の許可を受けた場合には当該許可に係る住居)に居住すること(次条第二項第五号の規定により宿泊すべき特定の場所を定められた場合を除く。)。
  5. 転居(第四十七条の二の決定又は少年法第六十四条第二項の規定により定められた期間(以下「収容可能期間」という。)の満了により釈放された場合に前号の規定により居住することとされている住居に転居する場合を除く。)又は七日以上の旅行をするときは、あらかじめ、保護観察所の長の許可を受けること。

という遵守事項を守らなければなりません。

遵守事項を守ることができなかった場合、場合によっては保護観察所から家庭裁判所へと連絡がいき、少年院送致という結果になることもあります。特に、2年の保護観察処分に付されている特定少年の場合は、少年院送致となる可能性が高くなっています(特定保護観察処分少年。更生保護法68条の2)。そのため、十分に注意して保護観察を全うする必要があります。

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