中学生の業務妨害罪

福島県南会津郡に住む中学3年生のAさんは、夏休みに自宅で友人と遊んでいた際、じゃんけんで負けた人が罰ゲームをすることになりました。
その罰ゲームの内容は、近所にあるピザ屋に連絡し、適当な住所を言ってピザを5枚注文するというものでした。
じゃんけんの結果、Aさんが罰ゲームをすることになり、上記内容を実行しました。
その後、住所が存在しなかったことからピザ屋の店員が嘘だと気づき、南会津警察署に相談しました。
これにより、Aさんは偽計業務妨害罪の疑いで取調べを受けることになったため、Aさんの親が弁護士に今後の流れを聞きました。
(フィクションです)

【業務妨害罪について】

刑法233条は、「虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、…その業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する」と定めています。
また、234条において、「威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による」としています。
これらがいわゆる業務妨害罪の規定です。
業務妨害というと、店などの利益を低下させたことによる損害賠償を想定するかもしれませんが、上記のとおり刑事上の責任も問われる可能性があるのです。

先ほど引用した業務妨害罪の規定は、233条が偽計業務妨害罪、234条が威力業務妨害罪に関する規定です。
簡単に言えば、他人に対する嘘や他人による勘違いなどを利用するのが偽計業務妨害罪、暴行や怒号などを利用するのが威力業務妨害罪です。
条文には「業務を妨害した」とありますが、売上の低下や業務の停滞などの実害は必ずしも生じる必要がないと考えられています。
ですので、円滑な業務を妨げる危険性さえ認められれば、偽計や威力のみをもって業務妨害罪が成立する可能性があります。

上記事例では、Aさんがピザ屋に対し、適当な住所を言ってピザを注文しています。
このような行為は、本来ピザを注文するつもりがないのにそのように装うものであり、なおかつ本来不要な調理を求めるものです。
そうすると、「偽計」を用いて「業務を妨害した」として、Aさんの行為は偽計業務妨害罪に当たると言えるでしょう。
法定刑は3年以下の懲役または50万円以下の罰金ですが、後述のとおりAさんには刑罰が科されません。

【少年事件における処分】

罪を犯した者が20歳未満の者に当たる場合、少年事件として成年による通常の刑事事件とは異なる取り扱いがなされます。
以下では、上記事例のAさんについて、今後どのような流れで処分が下されるのか簡単に見ていきます。

まず、警察官と検察官が捜査を行う段階においては、基本的に通常の刑事事件と大きく異なりません。
取調べで捜査機関に呼び出されることもありますし、事案の内容によっては逮捕および勾留による身柄拘束がなされます。
ただし、長期の身柄拘束である勾留の請求については、「やむを得ない場合」でなければならないと少年法に定められています。

事件の捜査が終了すると、罪を犯したとされる少年は家庭裁判所に送致されることになります。
少年事件の場合、裁判で有罪となって刑罰を科されたり、逆に裁判が開かれず不起訴で事件が終了したりすることはありません。
これは種々の政策を通して少年の健全な育成を達成するという趣旨に則っており、少年事件最大の特徴と言えます。

事件の送致を受けた家庭裁判所は、面談などを通して少年の資質、性格、能力などを把握し、必要に応じて少年審判という裁判に代わる手続を行います。
少年審判が開かれた場合、①不処分、②保護観察、③児童自立支援施設または児童養護施設送致、④少年院送致のいずれかが選択されます。
②から④をまとめて保護処分と呼び、事件の内容や、その時点における少年の更生の可能性などを主に考慮して決定されます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、少年事件の経験豊富な弁護士が、少年事件に関する疑問に丁寧にお答えします。
お子さんが業務妨害罪を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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