Archive for the ‘財産犯罪’ Category
「物」を奪わずとも強盗罪に、1項強盗と2項強盗の違い
1項強盗と2項強盗について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
参考事件
無職のAさんは、福島県二本松駅付近でタクシーを呼び止めて乗車しました。
Aさんが指定した場所にタクシーが到着しドアが開くと、Aさんはお金を払わずにタクシーを降車しました。
タクシーの運転手はすぐにAさんに「支払いがまだです。」と呼び止めて降車しましたが、Aさんは運転手を突き飛ばすと走ってその場から逃走しました。
その後、タクシー強盗として二本松警察署が捜査を進め、しばらくしてAさんは強盗罪の容疑で逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)
強盗罪の種類
参考事件でAさんは強盗罪で逮捕されていますが、金品を奪ったわけではないので強盗罪であることに違和感を覚える方もいるかもしれません。
しかし、まず刑法第236条第1項には「暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。」と定められていますが、同条第2項には「前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。」と定められています。
「財産上不法の利益」とは例えばレストランで注文した料理の代金を免れる等、サービスの対価を払わないといったことを指しています。
そして参考事件のAさんは、運転手を突き飛ばすという暴行を用いて逃走し、タクシー料金の支払いを免れているため、刑法第236条第2項の強盗罪がします。
これらの条文が違うそれぞれの強盗罪は、財物を強取する方を1項強盗、財産上不法の利益を得る方を2項強盗とそれぞれ呼称されます(2項強盗は他にも利益強盗、強盗利得罪と呼ばれることもあります)。
執行猶予の条件
2項強盗は「同項と同様とする。」と定められているため、法定刑は「5年以上の有期懲役」となります。
罰金刑が定められていない強盗罪は起訴されてしまうと必ず刑事裁判が開かれることになり、そのまま有罪となってしまえば刑務所へ服役することになってしまいます。
執行猶予も取り付ける条件の1つが「3年以下の懲役」の言い渡しになっているため、このままでは実刑判決は免れません。
処分を軽減し執行猶予を取り付けるためにも、速やかに強盗事件などの刑事事件の知識と経験が豊富な弁護士に相談し、弁護活動を依頼することが重要です。
強盗事件の際は相談を
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件を含む刑事事件を専門に取り扱っている法律事務所です。
当事務所はフリーダイヤル「0120-631-881」にて、初回であれば無料の法律相談や、逮捕されている方のもとに直接弁護士が赴く初回接見サービスをご予約いただけます。
強盗事件を起こしてしまった方、またはご家族が強盗事件の当事者となってしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へお気軽にご相談ください。
無銭飲食で逮捕、適用される詐欺罪の条文
無銭飲食と詐欺罪の条文について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
参考事件
福島県郡山市に訪れた無職のAさんは、飲食店に入るとビールやそのおつまみ等を合計で1万円以上を注文して食べました。
財布を持っていないAさんは店員に「お金をATMまで下ろしに行ってきます」と嘘をついて飲食店を出ると、そのまま逃走しました。
いつまで待ってもAさんが帰って来ないことを不安に思い、店員が警察に通報してAさんが無銭飲食したことが分かりました。
そしてAさんは郡山警察署の捜査によって身元が判明し、詐欺罪の容疑で逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)
無銭飲食による詐欺
Aさんの逮捕容疑となったのは刑法第246条第1項に「人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。」と定められている詐欺罪です。
「人を欺いて」とありますが、これに該当する行為には一定の流れが必要になります。
まず被疑者(犯人)による欺罔行為(欺く行為)が最初にあり、その欺く行為によって被害者に錯誤(勘違い・思い違い)が引き起こされます。
そしてその誤った情報に基づいた財産の処分行為が行われ、被疑者が財物や財産上の利益を得ます。
この流れが因果的に繋がっている時、詐欺罪が適用されます。
参考事件の場合、まずAさんが料理等を注文していますが、この注文で店側はAさんに代金を支払う意思と能力があると錯誤が引き起こされているので、この時点でAさんは欺罔行為をしたことになります。
そして錯誤状態の店側がAさんに財物である料理等を交付しているためAさんは詐欺罪となります。
もしAさんが財布を持ってきたと思っており、会計時に財布がないことに気付いて参考事件のように嘘ついて逃げた場合、Aさんは財物を交付させる際には欺罔行為を行っていなので、刑法第246条第1項は適用されません。
この場合、Aさんが「お金を下ろしてくる」と店員を欺き、代金の支払いを免れるという財産上の利益を得たことになるので、適用されるのは刑法第246条第2項の「前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。」と定められた詐欺罪になります。
第1項の「財物を交付」させた場合が1項詐欺、第2項の「財産上不法の利益を得」た場合が2項詐欺と呼称されます。
2項詐欺には「同項と同様とする」とあるため、どちらの無銭飲食をした場合でも法定刑は「10年以下の懲役」となります。
店舗との示談交渉
無銭飲食をしてしまった場合の弁護対応の1つは、飲み食いした料理の代金を支払って被害弁償を行う示談交渉が挙げられます。
しかし、個人で示談交渉を行うこともできますが、被害者が会社などの個人でない場合は弁護士がいなければ示談交渉には応じないと言われてしまうケースもあります。
また、詐欺罪には懲役刑のみが定められているため、起訴され有罪となれば刑務所へ服役することになる可能性もあります。
しかし早期に弁護対応を開始できれば、不起訴での事件終了も視野に入ります。
そのためなるべく速やかに弁護士に相談し、弁護活動を依頼することが重要です。
詐欺事件に強い弁護士事務所
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件を含む刑事事件を専門に取り扱っている法律事務所です。
当事務所では初回無料の法律相談、逮捕された方のもとに弁護士が直接伺う初回接見サービスなどを実施しています。
無銭飲食をしてしまった、またはご家族が詐欺罪で逮捕されてしまった場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所のフリーダイヤル「0120-631-881」へ、お気軽にご相談ください。
拾った財布を警察に届けずネコババ 遺失物等横領罪か窃盗罪か
拾った財布を警察に届けずネコババした事件を参考に、遺失物等横領罪と窃盗罪の違いについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
参考事件
福島県白河市に住んでいる会社員のAさんは、家への帰り道で財布が落ちていることに気付きました。
財布の中身を確認すると10万円近い現金が入っていたため、Aさんは拾った財布を警察に届け出ずにネコババしました。
財布の持ち主は白河警察署に遺失届を提出していたらしく、Aさんは警察に呼び出され取調べを受けることになりました。
逮捕はされませんでしたが、Aさんは遺失物横領罪になるのか窃盗罪になるかと分からず不安で、弁護士事務所に相談することにしました。
(この参考事件はフィクションです。)
窃盗罪
窃盗罪は、「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と刑法235条に定められています。
この条文の窃取とは、他人が占有(物に対する事実上の支配・管理)する財物を、占有者の意思に反して、自己または第三者に占有を移すことを意味します。
しかし、参考事件の財布はAさんが発見した時点では落とし物であるため、既に持ち主の占有が離れた物と見なすことができます。
その場合、Aさんは窃盗罪ではなく遺失物等横領罪が成立する可能性が高いでしょう。
遺失物等横領罪
遺失物等横領罪は刑法254条に「遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。」と定められています。
遺失物とは、占有者の意思によらずに占有が離れ誰の占有にも属さない物、つまり「落とし物」のことです。
漂流物はその中でも水中、水面に存在する物を言います。
その他占有を離れた他人の物は、店員が間違って多く渡したお釣り、風で飛ばされた洗濯物等が該当します。
そのため参考事件の落とし物である財布は遺失物であるため、Aさんには遺失物等横領罪が適用される可能性が高いでしょう。
刑事事件に詳しい弁護士事務所
遺失物等横領罪と窃盗罪は状況次第では区別が難しい時もあり、参考事件のような事件を起こしてしまった場合に事態を把握するには、専門の弁護士に相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う弁護士事務所です。
当事務所では初回無料の法律相談の他、逮捕された方のもとに直接弁護士が赴く初回接見サービスをご利用いただけます。
遺失物等横領罪、窃盗罪で取調べを受けた方、または家族が逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所のフリーダイヤル「0120-631-881」へ、お気軽にご連絡ください。
強盗事件を起こして逮捕、強盗罪と強盗致傷罪の違いについて
強盗罪および強盗致傷罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
参考事件
福島県双葉郡に住んでいる大学生のAさんは、遊ぶためのお金が欲しいと思い強盗を計画し、夕方頃に家を出ました。
Aさんは帰宅中のサラリーマンを見つけると、周りに人がいないことを確認し、後ろから後頭部を殴りました。
そしてサラリーマンが倒れると腹を複数蹴るなどし、バックを奪いとってAさんは逃走しました。
襲われたサラリーマンは被害にあったことを双葉警察署に相談し、その後の捜査でAさんの身元が判明しました。
1週間後、Aさんは強盗罪の容疑で逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)
強盗罪
参考事件でAさんの逮捕容疑となったのは、刑法第236条第1項に「暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。」と定められた強盗罪です。
手段とされる暴行と脅迫は、相手方の反抗を不能もしくは困難にする程度が求められます。
暴行・脅迫が反抗できない程度のものであるかは具体的な状況から各事情を総合的に見て判断されますが、夜に人通りのない場所で複数回蹴りを加える行為は、危険で強度が高い暴行と判断されやすいです。
脅迫は害を加える旨を告知する必要がありますが、これは害悪の発生が行為者によって実現可能な範疇にあることが求められます。
強盗致傷罪
参考事件の被害者がもし強盗の手段である暴行・脅迫によって負傷すれば、強盗致傷罪が成立します。
強盗致傷罪は傷害の故意はなかったが、被害者が怪我を負った場合に成立する罪で、傷害の故意があった場合は強盗傷人罪が成立します(どちらも適用されるのは刑法第240条ですが、強盗傷人罪の方が罪が重くなる傾向にあります)。
強盗致傷罪の法定刑は「無期又は6年以上の懲役」であり、強盗罪よりもさらに重いだけでなく、裁判員裁判の対象となる重大な犯罪です。
強盗事件の弁護活動
強盗罪および強盗致傷罪は非常に重い罰が規定されていますが、弁護活動によって減刑を目指すことが可能です。
強盗事件は被害者が存在する事件であるため、被害者と示談を締結することが減刑のためのポイントです。
ですが、警察・検察が被害者の連絡先を被疑者に教えることはまずありません。
しかし弁護士が間に入り、被疑者に連絡先を教えないことを条件にすることで、示談交渉が可能になることは多くあります。
強盗事件の当事者となってしまった場合、なるべく早期に強盗事件の知識と経験が豊富な弁護士に弁護活動を依頼することが重要です。
強盗事件の際は弁護士に相談を
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高校生に対するカツアゲし 恐喝罪で逮捕
恐喝罪となるカツアゲ行為について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
参考事件
福島県南相馬市に住んでいる大学生のAさんは、アルバイトをクビになってお金に困っていました。そんな中Aさんは、誰からお金を恐喝することを企て、その相手を探して市内を徘徊していたところ、公園に一人でいる高校生と目が合いました。Aさんは、この高校生に近寄り「何見てるんや。喧嘩売ってんのか?」と凄み、怯える高校生に対して「許して欲しかったら金を出せぇ。」と言いながら、高校生のおなかを殴ったのです。
すると高校生がカバンから財布を取り出したので、Aさんんはその財布を奪って「今日はこれで勘弁してやるわ。」と言って、その場を離れました。
この事件を起こして数週間後、Aさんは恐喝罪で警察に逮捕されてしまいました。(この参考事件はフィクションです。)
恐喝罪
カツアゲと呼ばれる行為は、人を脅して金銭などを巻き上げることを意味します。
参考事件のAさんの行為は、典型的なカツアゲ行為で、この行為は刑法第249条第1項に定められた「恐喝罪」となります。
刑法第249条第1項は「人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。」と、恐喝罪を定義しています。
恐喝罪における「恐喝」の手段は、主に暴行や脅迫が用いられますが、これらの程度は反抗を抑圧するには至らない程度だとされています。そして、これらの恐喝行為によって畏怖した相手から、金銭などの交付を受け、それを受け取ると恐喝罪が成立します。
この暴行・脅迫が、相手方の反抗を抑圧するほどの激しいものだった場合は、恐喝罪ではなく強盗罪(刑法第236条)が成立する可能性が高くなります。
参考事件のAさんの行為態様であれば、恐喝罪となる可能性が高いでしょう。
また、恐喝によって財物の交付ではなく「財産上の利益」を得た場合は、刑法第249条第2項の恐喝罪となります。
刑法第249条第2項の恐喝罪は、例えばお金を借りている債務者が債権者を恐喝し、支払いを免れた場合に成立します。
どちらの恐喝罪も、法定刑は同じ「10年以下の懲役」となっています。
恐喝罪の弁護対応
恐喝罪の法定刑には罰金刑が定められておらず、懲役も10年以下であるため、起訴された場合は無罪か、執行猶予を得なければ刑務所に服役しなければなりません。
そのためには、恐喝行為を認めている場合の弁護活動では、被害者との示談交渉が非常に重要となり、被害者との示談成立によって、起訴前であれば不起訴を、そして起訴後であれば執行猶予を目指すことになるでしょう。
恐喝事件に詳しい弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件および少年事件を中心に取り扱う弁護士事務所です。
当事務所では初回無料の法律相談や、逮捕・勾留された方のもとに直接弁護士が伺う初回接見サービスをご利用いただけます。
どちらもフリーダイヤル「0120-631-881」で、24時間ご予約を受け付けておりますので、恐喝事件を起こしてしまった方、またはご家族が逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に、是非、ご連絡ください。
受け子が逮捕、特殊詐欺における役割
特殊詐欺で犯人が担う役割について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
参考事件
福島県郡山市に住んでいる大学生のAさんは、SNSから応募して闇バイトの受け子をしていました。
Aさんは指示役の架け子から、職場の同僚を装って被害者宅へ現金を受け取りに行くように指示を受けました。
指示通り被害者宅に行き、被害者から現金を受け取ろうとしましたが、被害者は騙されたふりをしていて、事前に警察官を呼んでいました。
そのままAさんは待ち伏せしていた郡山警察署の警察官に、詐欺罪の容疑で現行犯逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)
特殊詐欺
参考事件のAさんは、特殊詐欺の受け子をしていました。
特殊詐欺とは、被害者と直接対面しない方法(電話など)を使い、親族などを装って被害者を信用させ、銀行口座へ振り込ませるなどの方法で現金を不特定多数から騙し取る犯罪のことです。
基本的に特殊詐欺は、複数の犯人がそれぞれの役割を担って計画を実行します(全ての役割を1人が担うこともあります)。
ここでは参考事件を基本にそれぞれの役割を解説していきます。
まず、会社の上司や銀行員などを装い被害者に電話をかけて、自宅に会社の同僚や警察官などが向かうと言って騙す「架け子」という役割があります。
直接動くことはないので逮捕リスクが低く、参考事例のように指示役が担っているパターンもあります。
次に、信頼できる人物を騙って現金やキャッシュカードを受け取る役割が、Aさんの担った「受け子」です。
直接被害者に会う役割であることから、参考事件のように待ち伏せによって逮捕されるリスクがあるため、SNSなどで募集された一般の方が担うことがほとんどです。
参考事件には登場しませんが、キャッシュカードを騙し取る事件の場合に、口座から現金を引き出す「出し子」という役割も存在します。
出し子は受け子と同じく募集された者が担うことが多く、受け子と兼任することもあります。
現金を引き出す際に、監視カメラに顔が映る可能性が高いことから、こちらも逮捕リスクが高い役割になります。
詐欺罪の弁護対応
特殊詐欺は組織だって行われる犯罪であることから、悪質と判断されやすい犯罪です。
闇バイトの受け子は、犯罪者グループに都合よく利用されただけであっても、実行犯として犯罪の重要な役割を担ったと判断されます。
詐欺罪は「10年以下の懲役」が刑罰であるため、前科のない初犯であっても、実刑が下され刑務所に服役する可能性が高くなります。
実刑を避けるためには執行猶予の獲得が必要であり、そのためには被害者との示談交渉などの弁護活動を、詐欺事件について詳しい弁護士に依頼することが重要です。
詐欺事件に詳しい弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を中心に取り扱う弁護士事務所です。
当事務所ではフリーダイヤル「0120-631-881」で、初回無料の法律相談や、逮捕・勾留された方のもとに直接弁護士が伺う初回接見サービスのご予約を24時間体制で受け付けております。
特殊詐欺に加担してしまった方、または受け子をしたことでご家族が逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に、お気軽にご連絡ください。
空き巣で逮捕 住居侵入罪と窃盗罪の牽連犯
空き巣事件で逮捕された事件を参考に、住居侵入と窃盗の牽連犯について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
参考事件
福島県須賀川市に住んでいる無職のAさんは、生活費が底をつきかけ焦っていました。
ある日、Aさんが須賀川市内を歩いていると、アパートの部屋の鍵をかけずに外出する住民を偶然見かけました。
魔が差したAさんはその施錠されていない部屋に侵入し、現金の他、貴金属などを盗んで部屋を出ました。
事件を起こしてからしばらくして、アパートに設置されている防犯カメラ映像が決め手となって、Aさんは、須賀川警察署に住居侵入罪と窃盗罪の容疑で逮捕されました。
(参考事件はフィクションです。)
住居侵入罪
住居侵入罪は刑法第130条に定められています。
正当な理由がないのに、人の住居に侵入した時に適用されるのが住居侵入罪です。
居住者の許可を得るなど、正当な理由がなく、居住者の意思に反して人が日常生活を送る住居に入ることが、住居侵入罪における侵入です。
窃盗罪
窃盗罪は刑法第235条に定められています。
窃盗罪が適用されるのは、他人の財物を窃取した場合です。
窃取とは、他人の所有物をその占有者(物の事実上の管理者・支配者)の意思に反して、自己または第三者に占有を移すことです。
また、他人の物を自分の物にしてしまおうという不法領得の意思も、窃盗罪の成立には必要となります。
牽連犯
空き巣事件のように、複数の犯罪の間に、一方が他方の手段、もしくは一方が他方の結果という関係にある場合、それを「牽連犯」と言います。
参考事件の場合、Aさんは住居に侵入し、その後窃盗を行っているため、Aさんの行為は住居侵入罪と窃盗罪の牽連犯と言えます。
牽連犯は実行した犯罪のうち、最も重い法定刑から処分が決定されます。
住居侵入罪の法定刑は「3年以下の懲役又は10万円以下の罰金」であるのに対して、窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」ですので、空き巣事件を起こしたAさんに適用されるのは、窃盗罪の法定刑が適用されます。
刑事事件の手続き
刑事事件に適用される手続きなどは、一般には知られていないことが多くあり、どういった刑事責任を負うのかは、専門的な知識がなければ判断が困難です。
そのため刑事事件を起こしてしまった場合、早期に全貌を把握するためにも刑事事件の知識と経験が豊富な弁護士にアドバイスを求めることが重要です。
刑事事件に詳しい弁護士事務所
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う弁護士事務所です。
当事務所では初回であれば無料でご利用いただける法律相談の他、逮捕・勾留された方のもとに弁護士が直接伺う初回接見サービスを実施しています。
窃盗事件などを起こしてしまった方、またはご家族が住居侵入罪などで逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へ、お気軽にご連絡ください。
偽装事故で保険金詐欺 関与した6人を詐欺容疑で逮捕
交通事故を偽装し保険会社から保険金を騙し取ったとして、関与した6人が詐欺容疑で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
昨年3月、ショッピングセンターにおいて、車3台が絡む交通事故を偽装し、保険会社から保険金53万円を騙し取った保険詐欺事件で、関与した6人が詐欺罪の疑いで逮捕されました。
記事によりますと、逮捕されたのは偽装事故の当事者だけでなく、事故で負った治療名目で通院した整骨院で治療費を水増しして保険金を騙し取ろうとしたとして、柔道整復師に男も詐欺未遂容疑で逮捕されてます。
今回の事件は、保険会社が不審に思い警察に相談したことで発覚したようです。
保険金詐欺
今回の事件のように、交通事故を装って保険会社から保険金を騙し取ると詐欺罪となります。
詐欺罪は刑法第246条に規定されている犯罪で、法定刑は「10年以下の懲役」となっています。
起訴されて有罪となった場合は、この法定刑内の刑事罰が科せられることになりますが、判決が言い渡されるまでに、騙し取った保険金を保険会社に返還する等していた場合は、執行猶予が付いて、刑務所への服役を免れれる可能性があります。
詐欺罪で逮捕されると…(接見禁止)
今回のように、複数人が関与している詐欺事件で警察に逮捕されると、勾留の決定と同時に接見禁止となる可能性が非常に高いです。
接見禁止となった場合、基本的には弁護士以外との面会や、物品の授受が禁止されます。
接見禁止は、面会や手紙を通じて共犯者と口裏を合わせることを阻止するための措置です。
ただ弁護士が裁判官に働きかけることで、家族だけなど、一部の接見禁止を解除できる場合があるので、逮捕されている方の接見禁止を希望される方は、弁護士に相談することをお勧めします。
詐欺事件に強い弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、詐欺事件などの刑事事件の弁護活動を専門にしている法律事務所です。
ご家族が詐欺罪で警察に逮捕された方は、早期に弁護士を選任することによって、釈放が早まったり、不起訴を獲得できたり、また起訴されて有罪となってしまった場合でも、執行猶予を獲得できたり等と、多くのメリットがございますので、まずは専門の弁護士にご相談ください。
万引きの再犯 「執行猶予取消し」か「再度の執行猶予」か
執行猶予中の万引き事件を参考に、執行猶予の取消しと、再度の執行猶予について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
参考事件
福島県南会津郡に住むAさんは、1年前に万引き事件で執行猶予判決を受け、現在はその執行猶予期間中です。
そんな中、Aさんは再び万引き事件を起こして、福島県南会津警察署に検挙されてしまいました。
今回の事件は、万引きした商品が安価で、お店に代金を支払ったことから逮捕は免れることができましたが、執行猶予中であるAさんは、「執行猶予取消し」か「再度の執行猶予」か、どちらになるのか非常に不安です。
(フィクションです)
刑の全部の執行猶予の取消し
刑の全部の執行猶予の言渡しを受けたにもかかわらず、その執行猶予が取り消される場合があります。
刑の全部の執行猶予の取消事由には、必要的取消事由と裁量的取消事由とがあります。
必要的取消事由
①猶予の期間中に更に罪を犯して禁固以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき。
②猶予の言渡し前に犯した他の罪について禁固以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき。
③猶予の言渡し前に他の罪について禁固以上の刑に処せられたことが発覚したとき。
裁量的取消事由
①猶予の期間内に更に罪を犯し、罰金に処せられたとき。
②刑法第25条の2第1項(保護観察の付与)の規定により保護観察に付せられたものが遵守すべき事項を遵守せず、その事情が重いとき。
③猶予の言渡し前に他の罪について禁固以上の刑に処せられ、その刑の全部の執行を猶予されたことが発覚したとき。
必要的取消事由に該当する場合には、刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消さなければなりません。
上記ケースの場合には、執行猶予期間中の万引きですので、この万引き(窃盗罪)について刑の全部について執行猶予が言い渡されない限り、前の事件で言い渡された刑の執行猶予が取り消されてしまうことになります。
ですので、今回の事件においても、実刑を回避するためには、「再度の執行猶予」を獲得する必要があるのです。
再度の執行猶予
再度の執行猶予が認められる要件は、次の①から④の全てを満たす必要があります。
①以前に刑の全部の執行猶予が付された懲役または禁錮の判決を受けていること。
②執行猶予期間中に、1年以下の懲役または禁錮の判決を受ける場合であること。
③情状に特に酌量すべきものがあること。
④保護観察中に罪を犯したものではないこと。
再度の執行猶予に付すか否かは裁判官の裁量によりますので、上の要件全てを満たした場合であっても、必ずしも再度の執行猶予が付されるわけではありません。
また、執行猶予期間中に再び罪を犯しているのですから、反省が足りていないと考えられるでしょう。
ですので、再度の執行猶予が認められるのは、非常に限られたケースであると言えます。
執行猶予について詳しく知りたい方は
執行猶予は、刑務所への服役を免れれる最後のチャンスでもあります。
執行猶予中の犯行であっても、わずかではありますが、再び執行猶予を獲得できる可能性があるので、執行猶予中に再犯を犯してしまった方は、是非一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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万引きから事後強盗罪に。早期の弁護対応の重要性
事後強盗事件を起こしてしまった場合の刑事事件の手続と刑事責任について、あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
【刑事事件例】
仙台市太白区在住のAさんは、仕事帰りに立ち寄ったコンビニエンスストアで、飲料水など数点を万引きしてしまいました。
店外に出たAさんは、店の従業員から「代金を支払っていない商品がありますよね」と呼び止められました。
Aさんは逃げだそうとしましたが、従業員ともみ合いになり転倒させてしまいました。
Aさんは通報により駆けつけた仙台南警察署の警察官に、事後強盗罪で現行犯逮捕されてしまいました。
(実際に報道された事例を基にしています)
【事後強盗罪の法定刑】
事件例でのAさんは事後強盗罪で逮捕されています。刑法238条は事後強盗罪について、「窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる」と定めています。
窃盗とは窃盗犯人のこと、すなわち窃盗罪(刑法235条)を起こした犯人(被疑者)を指します。
事後強盗罪が成立するには、窃盗犯人が財物を得てこれを取り返されることを防ぐ目的、逮捕を免れる目的、罪跡を隠滅する目的のいずれかを有している必要があります。
暴行又は脅迫の程度は、強盗罪(刑法236条)の場合と同様に、被害者の反抗を抑圧するに足りる程度のものが求められます。
強盗として論ずるとは、強盗罪と同じ法定刑(5年以上の有期懲役)で処罰されることを意味します。
Aさんは万引きをしているため窃盗犯人にあたり、従業員から逃げる際に暴行に及んでいるため、少なくとも財物を得てこれを取り返されることを防ぐ目的や逮捕を免れる目的が認められるため、事後強盗罪が成立する可能性があります。
【事後強盗罪と万引きの関係】
事後強盗罪は上記の要件を満たした場合に成立しますが、刑事事件例のAさんのように、万引きが発覚して逃げ出そうとした際に暴行に及んでしまったというケースが少なからず見られます。
問題は、窃盗罪である万引き(10年以下の懲役又は50万円以下の罰金)と比べて、事後強盗罪となってしまうと極めて罪が重くなってしまうことです。
窃盗罪であれば、法定刑に懲役刑と罰金刑が定められているため、事情によっては罰金で済むこともありますが、事後強盗罪は強盗罪と同様の法定刑となるため、最低でも5年以上の懲役刑が科されます。
すなわち、ひとたび起訴されてしまうと、減刑理由がない限り、たとえ初犯であっても執行猶予はつかず、刑務所に服役することになってしまいます。
他方、万引きから派生した事後強盗罪の場合、示談が成立すれば不起訴になる余地もあります。
ただし、逮捕・勾留されている身柄事件の場合、検察官が処分を決めるまでの時間は限られているため、速やかに示談を成立させる必要があります。
限られた期間に有利な形で示談を成立させるためには、刑事事件の経験豊富な弁護士に、速やかに弁護対応をしてもらう必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に取扱う弁護士事務所として、事後強盗罪を含む様々な事件に取り組み、数多くの示談を成立させてきました。
福島県内で、ご家族が事後強盗罪によって逮捕されてしまいお困りの方は、ぜひ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部へご連絡ください。
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