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【事例解説】他人の家の表札に黒いペンキを塗って器物損壊罪、在宅事件での注意点について

2025-06-07

器物損壊罪と在宅事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

福島県石川郡に住んでいる大学生のAさんは、大学で仲の悪いVさんに嫌がらせをしようと思いました。
AさんはVさんの自宅に訪れ、スプレーを取り出すと表札に塗料をかけ、そのまま逃走しました。
自宅に帰ってきたVさんは、表札に塗料で汚れていることに気付きました。
そしてVさんは警察に被害届を提出し、その後の捜査によってAさんが犯行に及んだことがわかりました。
後日、Aさんは器物損壊罪の疑いで、石川警察署に呼び出されることになりました。
(この参考事件はフィクションです。)

器物損壊罪

器物損壊罪について刑法第261条は、「前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。」と定めています。
前3条」とは同じく刑法にある公用文書等毀棄罪私用文書等毀棄罪建造物等損壊罪(及び建造物等損壊致死傷罪)を定めた第258条第259条第260条を指しています。
器物損壊罪における損壊・傷害とは、物の効用を害する一切の行為とされています。
他人の物」の中には他人が所有している不動産である土地も含まれています。
ペットなども「他人の物」に含まれており、動物が対象になった事件では損壊ではなく傷害と言われます。
効用を害すれば器物損壊罪になりますが、その効用を回復することが容易である程度の損壊ならば、器物損壊罪にはなりません。
つまり器物損壊罪が成立するには、回復に相当の時間とコストがかかる損壊・傷害が必要になります。
参考事件では人の所有している家の表札に、塗料がかけられています。
これは破壊されていないため、器物損壊罪ではないと思う方もいるかもしれません。
しかし先述の通り、破壊されていなくとも、効用が害されているのであれば損壊に該当します。
そしてペンキを落とすのは容易ではないため、Aさんには器物損壊罪が成立します。

在宅事件

Aさんは警察署に後日呼ばれることになりましたが、まだ逮捕はされていません。
刑事事件は必ず逮捕されるわけではなく、「裁判官は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、検察官又は司法警察員(警察官たる司法警察員については、国家公安委員会又は都道府県公安委員会が指定する警部以上の者に限る。次項及び第201条の2第1項において同じ。)の請求により、前項の逮捕状を発する。ただし、明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、この限りでない。」と定められた刑事訴訟法第199条第2項の規定により、身体拘束の必要性がなければ逮捕に至りません。
このような身体拘束をせずに捜査が進む事件を、在宅事件と言います。
刑事事件では、勾留されてから国が弁護士を選任する国選弁護人の制度があります。
勾留とは逮捕期間の延長に近いもので、在宅事件は当然ながら勾留が付きません。
そのため国選弁護人は利用できませんが、個人で依頼する私選弁護人を立てることはできます。
弁護士がいれば不起訴処分の獲得を目指して弁護活動を行うことができ、前科の回避が望めます。
弁護士に依頼すれば事件をよりスムーズに終わらせることができるため、在宅事件であっても弁護士に相談することがお勧めです。

器物損壊罪に詳しい弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を中心に扱っている法律事務所です。
当事務所では、初回であれば無料でご利用いただける法律相談逮捕、勾留された方のもとに直接弁護士が赴く初回接見サービスを実施しています。
ご予約は24時間・365日対応しております。
在宅事件で捜査されている方、ご家族が器物損壊罪の疑いで逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所のフリーダイヤル「0120-631-881」へ、是非、ご連絡ください。

【事例解説】ヘロインの所持が発覚して逮捕、適用される条文で変わる麻薬取締法違反の刑罰

2025-05-31

麻薬取締法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

福島県東白川郡に住んでいる会社員のAさんは、買ったヘロインをカバンに入れて持ち歩いていました。
カバンは職場にも持ち込んでおり、ある日Aさんは同僚にカバンからヘロインを取り出すところを見られてしまいました。
同僚は粉末状のものを持っていたAさんを不審に思い、上司に相談しました。
そして上司は、警察にAさんが薬物を持っているかもしれないと通報しました。
その後、警察がAさんの捜査に乗り出し、Aさんの持つ粉末状のものはヘロインであることが分かりました。
そのままAさんは、麻薬取締法違反の容疑で棚倉警察署に逮捕されてしまいました。
(この参考事件はフィクションです。)

ヘロイン

ヘロイン麻薬及び向精神薬取締法(以下、麻薬取締法と呼称)で取り締まられている、ケシを原料とした麻薬です。
麻薬取締法第12条第1項は、「ジアセチルモルヒネ、その塩類又はこれらのいずれかを含有する麻薬(以下「ジアセチルモルヒネ等」という。)は、何人も、輸入し、輸出し、製造し、製剤し、小分けし、譲り渡し、譲り受け、交付し、施用し、所持し、又は廃棄してはならない。ただし、麻薬研究施設の設置者が厚生労働大臣の許可を受けて、譲り渡し、譲り受け、又は廃棄する場合及び麻薬研究者が厚生労働大臣の許可を受けて、研究のため、製造し、製剤し、小分けし、施用し、又は所持する場合は、この限りでない。」と定めており、ヘロインはこの「ジアセチルモルヒネ等」に該当します。
そして麻薬取締法第64条の2第1項には「ジアセチルモルヒネ等を、みだりに、製剤し、小分けし、譲り渡し、譲り受け、交付し、又は所持した者は、10年以下の懲役に処する。」とあります。
そのため、ヘロインを所持したAさんには、麻薬取締法違反が成立します。
また、「ジアセチルモルヒネ等」以外の麻薬は所持した場合、7年以下の懲役(麻薬取締法第66条)となっているため、ヘロインによる麻薬取締法違反は、他の麻薬に適用される麻薬取締法違反よりも重い罪になっています。

身柄拘束

逮捕されてしまうと、取調べを受けながら最長で72日間、身体拘束が続く可能性があります。
そして捜査機関が、より長い期間身体拘束をする必要があると判断すれば裁判所に勾留請求を行います。
勾留が認められると10日間、延長されると20日身体拘束が継続されます。
つまり身体拘束されると、連絡を制限され常時監視された状態で取調べを受ける日々が、最大23日間続くことになります。
そのような事態を回避するためには、早期の釈放を目指す弁護活動を弁護士に依頼することが重要です。
弁護士がいれば、証拠隠滅や逃亡の危険がないことを示す証拠を集め身体拘束は不要であると、弁護士を通して主張することができます。
薬物犯罪は逮捕のリスクが高く、逮捕後の勾留も長引きやすい傾向があるため、薬物犯罪を起こしてしまった際は速やかに弁護士に弁護活動を依頼しましょう。

麻薬取締法違反に詳しい弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、薬物犯罪を含む刑事事件、少年事件を中心に扱っている法律事務所です。
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ご予約は24時間体制で、365日対応可能です。
薬物犯罪を起こしてしまった方、ご家族が麻薬取締法違反の疑いで逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所のフリーダイヤル「0120-631-881」へ、是非、ご連絡ください。

【事例解説】「進行を制御することが困難な高速度」で運転して交通事故、危険運転致傷罪となる要件

2025-05-24

危険運転致傷罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

福島県田村郡に住んでいる会社員のAさんは、最高速度が60キロの道路で80キロ近いスピードを出して車を運転していました。
そのままAさんはカーブした道路に差し掛かり、曲がろうとしました。
しかし、ハンドルを切ることができず、対向車線から走ってきたVさんの車に接触してしまいました。
そして事故を目撃した通行人が警察に通報しました。
しばらくして警察官が現れ、Vさんが怪我を負ったことも発覚し、Aさんは危険運転致傷罪の疑いで田村警察署に現行犯逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)

進行を制御することが困難な高速度

自動車運転処罰法(正式名称:自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律)とは、悪質かつ危険な一定の運転行為を取り締まるための法律です。
参考事件に適用されたのは、自動車運転処罰法第2条に「次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は15年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は1年以上の有期懲役に処する。」と定められた危険運転致傷罪(および危険運転致死罪)の条文です。
次に掲げる行為」は第1号から第8号まであり、飲酒運転に関するものや信号無視に関する物などその内容も様々です。
参考事件でAさんに適用されたのは、第2号の「その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為」です。
ここでは何キロ以上がその速度に該当するのか具体的に規定されていません。
しかし判例では第2号に該当する速度を、「速度が速すぎるため自動車を道路の状況に応じて進行させることが困難な速度をいい、具体的には、そのような速度での走行を続ければ、道路の形状、路面の状況などの道路の状況、車両の構造、性能等の客観的事実に照らし、あるいは、ハンドルやブレーキの操作のわずかなミスによって、自車を進路から逸脱させて事故を発生させることになるような速度をいうと解される。」としています(東京高等裁判所判決平成22年12月10日)。
参考事件の場合、最高速度を超えたスピードを出し、ハンドルを上手く切れずに事故を起こしているため、Aさんは「進行を制御することが困難な高速度」で車を運転したと判断できます。
そしてその結果、事故にあったVさんは怪我を負っているため、Aさんに危険運転致傷罪が成立しました。

示談交渉

危険運転致傷罪の条文には罰金刑の規定がありません。
そのため有罪になってしまうと実刑となり、刑務所に服役する可能性があります。
執行猶予を獲得し実刑を避けるには、示談交渉が重要になります。
しかし、参考事件のように悪質な運転のせいで怪我を負った被害者は、怒りから処罰感情が強くなり、示談交渉が拗れてしまう可能性もあります。
スムーズに示談を締結するためには、弁護士を間に入れ、弁護士限りで連絡をとり、示談交渉を進めることがお勧めです。
速やかに被害者と示談交渉を進めたい方は、弁護士に相談し、示談交渉の依頼することがお勧めです。

危険運転致傷罪に詳しい弁護士

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ご予約は24時間体制で、365日対応可能です。
危険運転致傷罪で事件を起こしてしまった方、ご家族が危険運転致傷罪の疑いで逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所のフリーダイヤル「0120-631-881」へ、是非、ご連絡ください。

【事例解説】会社の部下に対して立場を利用し性行為を要求、適用される不同意性交等罪の条文

2025-05-17

不同意性交等罪と示談交渉について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

福島県会津若松市に住んでいる会社員のAさんは、同じ会社の部下であるVさんに対して好意がありました。
AさんはVさんに対して「付き合ってくれるならクビにはしない」、「昇進したいでしょ」と言って性交を要求しました。
そしてAさんとVさんは2人で一緒に市内にあるホテルを訪れ、そこで性交に及びました。
後日Vさんは、Aさんに性交を強要されたと警察に被害届を提出しました。
そしてAさんは不同意性交等罪の容疑で、会津若松警察署に逮捕されることになりました。
(この参考事件はフィクションです。)

不同意性交等罪

不同意性交等罪刑法第177条に定められています。
この条文では同じく刑法に定められた不同意わいせつ罪の各号に掲げた「行為又は事由その他これらに類する行為又は事由」によって、「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部若しくは物を挿入する行為であってわいせつなものをした者」に不同意性交等罪が適用されるとしています。
この不同意わいせつ罪の各号は第1号から第8号まであり、その内容も「暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。」や「アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。」等様々です。
参考事件の場合、適用される可能性が高いのは第8号の「経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。」です。
Aさんは昇進や解雇を仄めかして、Vさんに性交を要求しています。
それによってVさんは同意しない意思を表明することが困難な状態になり、断り切れず性交に及んだため、Aさんは不同意性交等罪が成立します。
不同意性交等罪の刑罰は、「婚姻関係の有無にかかわらず、5年以上の有期拘禁刑」となっています。

示談交渉

被害者がいる事件で重要な弁護活動は示談交渉です。
示談締結することができれば、減刑を求めることができ、執行猶予の獲得も考えられます。
示談交渉は個人で行うこともできます。
しかし性犯罪の場合、被害者が怖がって会ってもらえず示談交渉ができない、会えたとしてもかえって拗れてしまい示談交渉が上手くまとまらない可能性もあります。
そこで弁護士を間に入れて、弁護士限りの連絡で示談交渉を進める手があります。
また、示談交渉を被害者が断っていたが、弁護士を立てたことで示談交渉が進められるようになったケースも存在します。
スムーズに示談締結するためにも、刑事事件に詳しい弁護士に相談し、示談交渉を依頼しましょう。

不同意性交等罪に詳しい弁護士

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不同意性交等罪で事件を起こしてしまった方、ご家族が不同意性交等罪の容疑で逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所のフリーダイヤル「0120-631-881」へ、是非、ご連絡ください。

【事例解説】空き家に放火したことで非現住建造物等放火罪、執行猶予を獲得するための条件

2025-05-10

非現住建造物等放火罪と執行猶予について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

福島県いわき市に住んでいる大学生のAさんは、大学生活によってストレスを抱えていました。
ストレスを発散したいと思っていたAさんは、大学の帰り道に何年も使われていない木造の空き家があったことを思い出しました。
Aさんは夜中に空き家に出かけ、その空き家に火を放ちました。
火の手が上がったため通行人が火事に気付いて通報し、火は消し止められました。
その後、警察の捜査によって放火したのはAさんであることが分かり、Aさんの身元も特定されました。
そしてAさんは非現住建造物等放火罪の容疑で、いわき中央警察署に逮捕されることになりました。
(この参考事件はフィクションです。)

非現住建造物等放火罪

非現住建造物等放火罪刑法第9章にあり、その条文は「放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱坑を焼損した者は、2年以上の有期懲役に処する。」と定められた刑法第109条第1項です。
ここでいう「住居」とは、人が起臥寝食のため使用している場所、日常生活を営むための建物です。
建造物」は屋根のある壁もしく柱に支持された、土地に定着して人が出入りできる家屋やその他建築物を指します。
焼損」とは、建物に燃え移った火が、ライターやマッチ等の媒介物を離れても燃焼し続ける状態にあることを意味します。
全焼している必要まではなく建物の一部だけが燃えた場合でも、非現住建造物等放火罪となります。
参考事件の場合、木造の空き家に放火し、火の手が上がるほどに建物を焼損させているため、Aさんには非現住建造物等放火罪が適用されました。
また、仮に人が中にいない建物に放火しても、その場所が普段住居として使用されている場合は、非現住建造物等放火罪ではなく現住建造物等放火罪が成立します。

執行猶予

非現住建造物等放火罪は刑罰の下限が2年ですが、上限の記載はありません。
そのため3年以上の懲役刑になってしまう可能性があります。
懲役が3年以上になってしまう際のデメリットに、執行猶予の取り付けができなくなることがあげられます。
執行猶予とは刑罰が執行されるのを一定期間猶予し、その期間中に問題を起こさなければ刑の執行を免除することです。
そして刑法第25条では「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」の言い渡しが執行猶予を取り付けられる条件になっています。
つまり、事件の内容次第では懲役が3年を超えてしまい執行猶予が取り付けられません。
そのため刑罰を3年以下の懲役にするためにも、弁護士による弁護活動が重要です。
執行猶予の獲得を目指す際には、弁護活動を弁護士に依頼することをお勧めします。

まずは弁護士に弁護士しましょう

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非現住建造物等放火罪で事件を起こしてしまった方、ご家族が非現住建造物等放火罪の容疑で逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へ、是非、ご連絡ください。

【事例解説】人を殴り飛ばして怪我をさせた傷害事件、傷害致死罪になった場合どれだけ罪は重くなるか

2025-05-03

傷害罪と傷害致死罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

福島県耶麻郡に住んでいる会社員のAさんは、会社から帰る途中で酔っぱらっている男性Vさんに話しかけられました。
Vさんに絡まれてイライラしたAさんは、Vさんのことを殴り飛ばしました。
Vさんはフェンスにぶつかって動かなくなり、不安を覚え近付いたAさんはVさんが血を流していることに気付きました。
Aさんは119番にかけ、ほどなく救急車が駆け付けました。
Vさんの命に別状はありませんでしたが、Aさんは傷害罪の容疑で猪苗代警察署に逮捕されてしまいました。
(この参考事件はフィクションです。)

傷害

Aさんの逮捕容疑は刑法第204条に定められた傷害罪ですが、場合によって同じく刑法に定められた傷害致死罪が適用されてもおかしくありませんでした。
まず傷害罪は、「人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」といった内容になっています。
傷害とは人の生理的機能に傷害を与えることや、健康状態を広く不良に変更することです。
そのため怪我を負わせるといった行為は典型的な傷害となりますが、病気にかからせる行為もこの条文では傷害として扱われます。
また、人の意識作用に障害を与えることも含まれるため、眠らせる、気絶させるといった行為も傷害罪の範疇です。
参考事件ではVさんがAさんに殴り飛ばされたことで血を流す怪我を負っているため、傷害罪が適用されました。
幸いVさんの命に別状はありませんでしたが、仮にこういった事件で被害者の方が亡くなってしまった場合は、傷害罪ではなく傷害致死罪が適用されます。
傷害致死罪刑法第205条に「身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、3年以上の有期懲役に処する。」と定められており、罰金刑が無く懲役も下限が3年と非常に重いものになっています。
もちろん、人の死亡という結果にならず傷害罪に留まったとしても、傷害の程度によっては刑罰が懲役3年を超えることはあり得ます。

執行猶予

刑の執行を一定期間猶予し、その期間中に問題を起こさなければ刑の執行を免除する制度を執行猶予と言います。
この執行猶予は付けるための条件が刑法第25条にあり、その条件のうち1つは「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」の言い渡しになっています。
傷害罪は懲役が3年以上になり執行猶予の取り付けができなくなる可能性があり、傷害致死罪は懲役の下限が3年であるため、そのままでは執行猶予の条件を満たせません。
しかし、弁護活動によって刑罰を3年以下にすることができれば、執行猶予を獲得できます。
そのため重要になるのは示談交渉ですが、参考事件のように知り合いでない他人が被害者である場合、連絡先がわからず示談交渉ができないケースもあります。
しかし弁護士に依頼すれば、警察に被害者の連絡先を聞くことができ、示談交渉が進められる可能性が高まります。
執行猶予の獲得を目指す場合は、速やかに弁護士と相談し、示談交渉を依頼しましょう。

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【事例解説】飲食店で料金の支払いをせずに逃走し詐欺罪が成立、無銭飲食が詐欺罪となる理由

2025-04-26

詐欺罪と事情聴取について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

福島県喜多方市に住んでいる無職のAさんは、ファミリーレストランに入店しました。
そこでAさんは料理や飲み物などを注文し、5000円以上の食事をしました。
食べ終わった後、Aさんは会計をせずに店を出ました。
その後、会計せずに帰ったAさんに気付いた店員が、「食い逃げされた」と警察に通報しました。
警察が捜査を進めた結果、Aさんが犯人であることがわかり、ほどなくして身元も特定されました。
そしてAさんは詐欺罪の容疑で、喜多方警察署に連行されることになりました。
(この参考事件はフィクションです。)

食い逃げ

食い逃げ無銭飲食といった飲食店で料金を払わない行為には、刑法に定められた詐欺罪が適用されます。
詐欺罪が適用されることに違和感を覚える人もいるかもしれませんが、これは詐欺罪の条文に理由があります。
刑法第246条第1項に「人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。」とあり、これが参考事件に適用された条文です。
人を欺いて」とありますが、詐欺罪が成立するためにはまず犯人による欺罔行為(欺く行為)が必要です。
その欺罔行為によって被害者が錯誤(勘違い・思い違い)し、錯誤した状態で財産の処分行為が行われます。
その行為によって犯人・第三者が財物を得るといった一連の流れがある時、詐欺罪が成立します。
Aさんは料理を注文していますが、この注文が店側に対して代金を支払う意思があると伝えていると判断されます。
そして店側が「Aさんに代金を払う意思・能力がある」と錯誤し、財物である料理や飲み物を提供しました。
そのためAさんは「人を欺いて財物を交付させた」として詐欺罪が成立します。

事情聴取

Aさんは警察署に連行されましたが、このまま逮捕されるとは限りません。
逮捕された場合、まずは警察署で事情聴取を受けることになります。
事件のことを詳しく聞かれることになりますが、事情聴取では話した内容が全て供述調書としてまとめられます。
供述調書はその後の捜査にも影響し、裁判の際は証拠として使われる重大なものです。
そのため事情聴取では慎重な発言が求められますが、ほとんどの人は事情聴取が初めてで、上手く話すことができないことが多いでしょう。
事情聴取後に警察が、逮捕の必要性はないと判断すれば釈放はされますが、また事情聴取で呼び出されることもあります。
警察署に行く前に対策を立てることができれば、事情聴取でも適切に対応することができるため、事情聴取を受ける際は事前に弁護士からアドバイスを受けることがお勧めです。

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どちらのご予約も平日だけでなく、土・日・祝日も、24時間対応可能です。
詐欺罪の容疑でご家族が逮捕されてしまった・事情聴取のため警察署に呼び出されてしまった、このような時は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へ、お気軽にご相談ください。

【事例解説】タバコ状の大麻を吸っているところを警察に見つかり、麻薬取締法違反で逮捕

2025-04-19

麻薬取締法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

福島県南会津郡に住んでいる大学生のAさんは、インターネットでタバコ状の大麻を購入しました。
そしてAさんは夜中に外に散歩に行き、公園で大麻を吸いました。
そこに巡回中の警察官が現れ、タバコに違和感を覚えて職務質問をしました。
吸っているのがタバコか検査したいと言われ、Aさんは吸っているのが大麻であると認めました。
そのままAさんは、麻薬取締法違反の容疑で南会津警察署に逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)

麻薬取締法違反

麻薬取締法は略称で、正式名称は麻薬及び向精神薬取締法と言います。
この法律では大麻が麻薬に分類されているため、大麻を所持していたり、大麻を使用していたりする場合は麻薬取締法違反になります(大麻の定義自体は大麻取締法に「大麻草及びその製品」と定められています)。
麻薬取締法第28条は一部の例外を除き、「麻薬取扱者、麻薬診療施設の開設者又は麻薬研究施設の設置者でなければ、麻薬を所持してはならない。」としています。
Aさんは麻薬取扱者でも、麻薬所持の許可を受けた者でもありません。
そのためAさんにはこの条文が適用され、麻薬取締法違反が成立します。
そして麻薬取締法第66条第1項には「ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬を、みだりに、製剤し、小分けし、譲り渡し、譲り受け、又は所持した者(第69条第4号若しくは第5号又は第70条第5号に規定する違反行為をした者を除く。)は、7年以下の懲役に処する。」と定められています。
大麻は「ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬」であるため、大麻の所持には「7年以下の懲役」が科せられます。
さらにAさんは大麻を使用していますが、麻薬取締法第66条の2第1項には「第27条第1項又は第3項から第5項までの規定に違反した者は、7年以下の懲役に処する。」とあります。
麻薬取締法第27条では、特定の場合や業種を除いて麻薬の使用が禁じられているため、大麻の使用にも「7年以下の懲役」が科せられます。

併合罪

大麻の所持と使用は、それぞれ条文の違う麻薬取締法違反です。
このような2個以上の犯罪が成立する場合、併合罪となる可能性があります。
刑法第47条には併合罪における刑罰の決め方が定められており、「併合罪のうちの2個以上の罪について有期の懲役又は禁錮に処するときは、その最も重い罪について定めた刑の長期にその2分の1を加えたものを長期とする。ただし、それぞれの罪について定めた刑の長期の合計を超えることはできない。」となっています。
使用と所持の麻薬取締法違反はどちらも「7年以下の懲役」であるため、7年の懲役に7年の2分の1を加えた10年6月以下の懲役が、Aさんの刑罰になります。
麻薬取締法違反はそもそも刑罰が重い犯罪ですが、併合罪となってさらに刑罰が加算される可能性もあります。
そのため麻薬取締法違反となってしまった場合、自身の置かれた状況を正しく把握するためにも、弁護士に相談することが重要です。

まずは弁護士に弁護士しましょう

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件および少年事件を中心に取り扱う法律事務所です。
当事務所のフリーダイヤル「0120-631-881」では、初回無料でご利用いただける法律相談逮捕された方のもとに弁護士が直接伺う初回接見サービスをご予約いただけます。
どちらのご予約も平日だけでなく、土、日、祝日も、24時間対応可能です。
大麻の所持や使用で事件を起こしてしまった、麻薬取締法違反の容疑でご家族が逮捕されてしまった、このような時は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へ、お気軽にご相談ください。

【事例解説】速度超過の反則金を納めず出頭にも応じなかったため逮捕、罰金と反則金はどう違うか

2025-04-12

速度超過の道路交通法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

福島県南相馬市に住んでいる会社員のAさんは、制限速度を超えるスピードで車を走らせていました。
そこをパトロールしていたパトカーに見つかってしまったため、Aさんは警察官に止められました。
そしてAさんは速度超過となり、反則金を支払うことになりました。
Aさんの自宅に警察からの通知が来ていましたが、Aさんは反則金を支払わず、出頭要請にも忙しいからと応じませんでした。
しばらくして南相馬警察署の警察官がAさんの自宅にやって来て、道路交通法違反の容疑でAさんを逮捕しました。
(この参考事件はフィクションです。)

スピード違反

制限速度を超えて運転した場合、テレビや新聞などではスピード違反と呼ぶことが多いですが、これはメディアでのみ使われる表現です。
スピード違反速度超過が法的な表現で、道路交通法に違反(飲酒運転スピード違反)している場合は罪名が道路交通法違反なります。
速度超過について、道路交通法22条第1項は「車両は、道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、その他の道路においては政令で定める最高速度をこえる速度で進行してはならない。」と定めています。
この道路交通法違反に科せられる刑罰は「6月以下の懲役又は10万円以下の罰金」です(道路交通法第118条第1項第1号)。
また、「過失により第1項第1号の罪を犯した者は、3月以下の禁錮又は10万円以下の罰金に処する。」と道路交通法第118条第3項は定めています。

反則金

参考事件でAさんは反則金を支払うことになっていますが、これは先述の道路交通法違反における罰金とは違うものです。
交通犯罪の場合、軽い違反であれば反則金を支払うことで刑罰を免れることができるため、反則金は刑罰の代わりに支払うものとなります。
この反則金は罰金とは違い前科にはなりませんが、違反点数は引かれることになります。
Aさんのように出頭要請に応じずに支払いをしないでいると、警察が動いて前科になる刑罰を科されてしまう可能性が高いです。
軽めの道路交通法違反でも、逮捕されてしまうと身体拘束され、警察から取調べを受けることになります。
逮捕、そして勾留されてしまうと会社も休まなければならず、失職のリスクもあります。
そのため逮捕されてしまい釈放を求める時は、弁護士の存在が重要です。
弁護士がいれば、裁判所にはたらきかけることで早期の釈放を目指したり、取り調べを受ける際のアドバイスを受けたりすることができます。
Aさんのように反則金の納付をしなかったことで逮捕されたりした場合は、早期釈放のためにも速やかに弁護士に依頼することをお勧めします。

まずは弁護士に弁護士しましょう

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件および少年事件を中心に取り扱う法律事務所です。
当事務所のフリーダイヤル「0120-631-881」では、初回無料でご利用いただける法律相談逮捕された方のもとに弁護士が直接伺う初回接見サービスをご予約いただけます。
どちらのご予約も平日だけでなく、土、日、祝日も、24時間対応可能です。
速度超過で事件を起こしてしまった、道路交通法違反の容疑でご家族が逮捕されてしまった、このような時は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へ、お気軽にご相談ください。

【事例解説】マッサージをした際にマッサージと称してわいせつな行為をし、不同意わいせつ罪で逮捕

2025-04-05

同意があっても不同意わいせつ罪になるケースついて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

福島県相馬市に住んでいる会社員のAさんは、同じ会社の後輩であるVさんと話していました。
Vさんから身体が凝っていると聞いたため、Aさんは「この前にテレビで良いマッサージを知った」とマッサージを提案しました。
Vさんはマッサージをお願いし、AさんはVさんをマッサージしましたが、その際に「これもよく効く」と腰回りやお尻を触りました。
その後、VさんはAさんからどのテレビ番組で紹介されていたか聞きましたが、Aさんは答えられませんでした。
不審に思ったAさんが警察に相談し、その後、被害届を提出しました。
しばらくして相馬警察署の警察官がAさんの自宅にやって来て、不同意わいせつ罪の容疑でAさんを逮捕しました。
(この参考事件はフィクションです。)

不同意わいせつ罪

不同意わいせつ罪は特定の行為を用いて「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者」に適用される、刑法に定められた犯罪です。
この特定の行為は8種類あり、暴行または脅迫を行う、アルコールまたは薬物を摂取させる、社会的または経済的な地位に基づく影響力を憂慮させる、と内容も様々です。
しかし、AさんはVさんに許可を得てから触っているため、「同意しない意思を形成」していません。
しかし、不同意わいせつ罪を定めた刑法第176条には、同意があっても適用される不同意わいせつ罪も定められています。
刑法第176条第2項がその条文で、「行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、わいせつな行為をした者も、前項と同様とする。」とあります。
AさんはVさんにマッサージをすることに同意はしましたが、マッサージと称してわいせつな行為をしたため、不同意わいせつ罪が成立します。
また、刑法第176条第3項も同意があっても適用される不同意わいせつ罪になっていて、こちらは「16歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者」に適用されます。

逮捕

Aさんのように逮捕されてしまうと、身体拘束され警察署で取調べを受けることになります。
そして警察は取調べをしながら、事件を検察に送致するかを48時間以内に決定します。
事件が検察へ送致されると、検察も取調べをしながら24時間以内に裁判所に勾留請求をするか決定します。
勾留請求され裁判所がそれを認めると、原則10日間、場合によっては追加でさらに10日間身体拘束が継続されることになります。
身体拘束中は外部との連絡を制限され、その状態で取調べを受けることになり精神的にも疲弊します。
加えて通勤や通学もできないため、解雇や退学のリスクが生じます。
このような身体拘束による不利益を回避するためには、弁護士による弁護活動が必要です。
検察官や裁判所に対して意見書を提出するなど、弁護士がいれば身体拘束しないように働きかけることができます。
そのため身体拘束を回避したい場合は、速やかに弁護士に相談し、弁護活動を依頼しましょう。

まずは弁護士に弁護士しましょう

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当事務所は、初回であれば無料の法律相談逮捕された方のもとに弁護士が直接伺う初回接見サービスをご提供しています。
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