1 児童福祉法違反となる場合
児童(18歳未満)との性交渉や性行為と類似した行為(「淫行」)については児童福祉法違反として10年以下の懲役又は300万円以下の罰金が科されます(児童福祉法60条1項、34条1項6号)。
淫行として処罰の対象になるのは、教員としての立場や親としての立場等、成年者が児童に対する影響力があることを利用して性行為などをした場合です。
児童がある程度合意していたり、児童側から性行為などを誘引したりしたとしても、児童福祉法違反になる場合があることになります。
このような影響を及ぼさず児童と淫行した場合には次の各都道府県の淫行条例違反(青少年健全育成条例違反)となります。
また、実の監護者の場合、監護者性交罪(刑法179条2項)というより重い罪が成立することになります。
2 淫行条例違反となる場合
買春や子に対する立場を利用した場合でなくとも、未成年者との性交や性交に類似する行為は、青少年健全育成条例の違反となります。各都道府県によって定め方は異なりますが、福島県の場合は2年以下の懲役又は100万円以下の罰金が定められています。非親告罪ですので、児童の告訴などがなくても逮捕、起訴される可能性はあります。
18歳未満の者と性交をした相手が同じ18歳未満の者であった場合には、罰則の対象とはされていません。また、結婚を前提としたような真剣な交際をしている男女である場合、性交があったとしても条例違反とはなりません。
青少年健全育成条例が罰則の対象としているのは、みだらな性交等であるためです。たとえば、神奈川県の青少年育成保護条例では、みだらな性行為を結婚を前提としない単に欲望を満たすためのみに行う性交と定義しています。他の都道府県においても同様の解釈がなされています。
多くの都道府県において、性交の相手が18歳未満の者であったことについて全く知らなかった場合には条例違反としては罰せられませんが、知らなかったことについて過失があった場合には条例違反となります。福島県の青少年育成保護条例にも過失がある場合には処罰する旨の規定が存在します。過失があったかどうかは、淫行があった時の青年の容姿や言動などから判断されることになります。
争いになることが多い点であり、弁護士が入って争うことが多いポイントでもあります。
3 児童福祉法違反、淫行条例違反の場合の弁護
いずれについても、被害者とされる18歳未満の児童がいますので、その両親と示談することが重要になります。
ただし、自分の子供が性行為を行ったというものなので、金額面でも感情面でも示談をまとめるのが難しい場合があります。当人同士で示談しようとすると更に問題が複雑化してしまう場合もありますので、事件の当事者ではない弁護士が交渉に当たる必要があります。
また、児童福祉法違反の場合、被害者と被疑者が非常に近い関係にあることもありますので、逮捕・勾留される可能性があります。逮捕後の取調べにおいては供述を元に調書が作成されますが、調書は警察官が作る物ですので供述とニュアンスが異なる場合があります。些細な言葉遣いであっても、その違いから、児童に対する影響力を利用したかどうかの判断が分かれることもあります。
淫行条例違反で逮捕勾留された場合であっても同様です。取調べにおいて、児童が18歳未満だとは知らなかった、と供述していたとしても、調書では違う言葉遣いがされていることもあります。18歳であることを知らなかったため無罪の主張がなしえたのに不利な調書が作成されてしまったがために無罪の主張が難しくなってしまう場合もあります。
そのため、早期に弁護士のアドバイスの下で調書を作成する必要がります。
逮捕されてしまった場合にはすぐに弁護士と連絡を取るように警察官に申し出ましょう。弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所ではご依頼から最短即日で弁護士が接見に赴く「初回接見」を行っています。弁護士から、取調べの対応方法の相談を受けられることで不利な調書を作られる危険を回避できます。
警察から取り調べのために呼び出された場合でも、刑事事件に強い弁護士による同行サービスも行っています。調書を作成したが内容に不利な点がないかどうか、その場で弁護士と相談することができます。
福島県の淫行・児童福祉法違反事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご連絡ください。弊所では、福島県内の様々な性犯罪について、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う弁護士による無料の法律相談を行っています。関係者が福島県で逮捕勾留されている場合でも、最短当日に、弁護士が直接留置場や拘置所へ出張面会してアドバイスする初回接見サービスもご用意しています。