裁判員制度とは、一定の重大犯罪について、国民(有権者)の中から選任された裁判員が裁判官ととともに、刑事裁判に関与する日本独自の制度のことです。
抽選で選ばれた国民が裁判員として、裁判に参加し、最終的に被告人が有罪であるか否か、有罪であれば懲役〇年などのような刑の重さを決めて判決とします。
原則として裁判官3名と裁判員6名の合議体で、裁判官と裁判員が十分に合議した上で、多数決によって決められます。
この裁判員制度が導入された理由は、これまでの裁判例の蓄積から成り立っている裁判実務の感覚が国民の感覚にあっているのかどうかを司法側がきちんと判断することが必要だと考えたからです。
裁判員制度の対象となる事件は、①法定刑に死刑または無期刑を含む事件と、②短期1年以上の法定刑が定められている犯罪のうち故意の犯罪行為で人を死亡させた事件です。
たとえば、殺人罪、強盗致死傷罪、傷害致死罪、不同意性交致死傷罪(旧:強制性交等致死傷罪)、不同意わいせつ致死傷罪(旧:強制わいせつ致死傷罪)、保護責任者遺棄致死罪、現住建造物等放火罪などが挙げられます。
裁判員は、法律の専門家ではない一般の方が選任されます。
そのため、裁判員にはできるだけ負担をかけないようにとの配慮がされています。
例えば、裁判員対象事件では、必ず公判前整理手続が実施されます。
公判前整理手続とは、公判手続の前に、弁護人、検察官、裁判官の三者で、争点や証拠を整理する手続のことです。
つまり法律家が事前に事件を整理し、裁判員にとって分かりやすく、判断がしやすい状況で公判を迎えることが必要であると考えています。
審理の期間はおおよそ1~2週間が目安となっています。
裁判員裁判における公判前整理手続において、弁護士は、一般の方にもわかりやすい形でより明確な主張と立証の準備をすることになります。
裁判員選任手続において、被告人に対して個人的な恨みを抱いている人、犯罪行為について過度な厳罰化の意向を有している人などが裁判員に選任されると、被告人にとっては公平でなく不当な裁判が行われる可能性が高くなります。
したがって,弁護士としては,裁判員の選任手続に関与し、裁判員候補者の中に不公平な裁判をするおそれのある人がいないかチェックして、そのような人が裁判員に選ばれることを阻止するといった手段で公正な人選がなされるよう注意をしていくこととなります。
もっとも、原則として被告人との関係者は裁判員にならないよう専任の時点で厳しく審査されています。
裁判員は一般の方から選任されるため、仕事をしている方にとって負担の大きな仕事になります。
裁判員選任は、原則として辞退できませんが、以下にあたる場合は、辞退することができます。
①70歳以上の人
②学生、生徒
③一定のやむを得ない理由があって、裁判員の職務を行うことや裁判所に行くことが困難な人。
やむを得ない理由としては、例えば、以下のようなものがあります。
- 重い病気又はケガ
- 親族・同居人の介護・養育
- 事業上の重要な用務を自分で処理しないと著しい損害が生じるおそれがある
- 父母の葬式への出席など社会生活上の重要な用務がある
- 妊娠中又は出産の日から8週間を経過していない
- 重い病気又はケガの治療を受ける親族・同居人の通院・入退院に付き添う必要がある
- 妻・娘の出産に立ち会い、又はこれに伴う入退院に付き添う必要がある
- 住所・居所が裁判所の管轄区域外の遠隔地にあり、裁判所に行くことが困難である。
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