公文書偽造罪と執行猶予について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
今回の記事では、を取り扱います。
【ケース】
福島県郡山市に住むAさんは、スピード違反により免許証の効力が停止され、運転しようにも免許がない状態でした。
ある日、Aさんが市内を歩いていたところ、道路に免許証が落ちているのを見かけました。
そこで、免許証の顔写真、氏名、生年月日、住所を自身のものに貼り替え、あたかも自らの免許証であるかのような物を作成しました。
Aさんはそれを携帯して運転していましたが、検問の際に偽造した運転免許証であることを見破られ、公文書偽造罪などの疑いで郡山警察署に逮捕されました。
Aさんと接見した弁護士は、執行猶予について説明しました。
(フィクションです。)
【文書偽造罪とは】
文書偽造罪は、本来存在しない文書を作成したり、既に存在する文書の内容に変更を加えたりした場合に成立する可能性のある罪です。
そうした文書の作成または変更をまとめて文書偽造罪と言うこともありますが、刑法においては具体的な行為の内容により成立する罪が異なります。
今回は、公文書を偽造したケースを題材に①公文書偽造罪、②公文書変造罪、③偽造文書行使罪について説明します。
【公文書偽造罪について】
公文書偽造罪が成立するのは、「公文書」を「偽造」した場合です。
まず、「公文書」とは、公務所または公務員が作成した文書を指します。
上記事例で対象となっている運転免許証は、各都道府県の公安委員会が発行していることから、「公文書」に当たると考えられます。
次に、「偽造」については、作成権限のない者が他人名義で文書を作成することを指すというのが一つの理解です。
上記事例において、Aさんは免許証の記載に変更を加えています。
第一に、Aさんに免許証の作成権限がないことは明らかかと思います。
第二に、記載の変更の程度に鑑みると、Aさんによる記載の変更は、もはや新たな文書の作成と同等だと評価できます。
そうすると、Aさんの行為は「偽造」に当たるでしょう。
以上より、Aさんには公文書偽造罪が成立すると考えられます。
ちなみに、免許証には「福島県公安委員会」というかたちで押印がなされているのが通常であるため、今回偽造されたのは有印公文書ということになります。
有印公文書偽造罪の罰則は1年以上10年以下の懲役、無印公文書偽造罪の罰則は2年以下の懲役または30万円以下の罰金なので、今回は公文書偽造罪の中で重い方と言えるでしょう。
【公文書変造罪について】
「変造」という言葉をあまり聞いたことがない方も多いかもしれません。
変造とは、簡単に言うと程度の軽い文書偽造です。
「既存の申請な文書の非本質的部分に変更を加えること」などと説明されます。
公文書を変造した場合、公文書変造罪が成立する可能性があります。
罰則は公文書偽造罪と同様ですが、偽造の程度が軽い点は最終的な処分を決めるに当たって有利に考慮される可能性があります。
【偽造文書行使罪について】
以上に加え、偽造した公文書を他人に閲覧させ、またはそれが可能な状態に置いた場合、公文書偽造罪と併せて偽造公文書行使罪が成立する可能性があります。
文書偽造事件というのは他人に文書を示したがゆえに発覚することが多いので、公文書偽造罪と偽造文書行使罪がセットで成立するケースは多いことが見込まれます。
その場合、公文書偽造罪のみが成立するケースと比べ、当然ながら処分は重くなるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が、個々の事案に応じて文書偽造罪の成否を的確に判断します。
ご家族などが文書偽造罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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