盗撮事件と余罪

福島県福島市に住むAさんは、スマートフォンを購入したのを機に盗撮を行うようになりました。
ある日、Aさんは盗撮をしようと市内の書店へ行き、スカートを履いた20代の女性Vさんの下着を盗撮しました。
その様子を店員が目撃しており、Aさんは店内の事務所に連れていかれたうえで警察に通報されました。
ほどなくして福島警察署の警察官が駆けつけ、Aさんは福島県迷惑行為等防止条例違反(盗撮)の疑いで逮捕されました。
Aさんと接見した弁護士は、Aさんから余罪について聞かれました。
(フィクション)

【盗撮事件において成立しうる罪】

盗撮事件を起こした場合、成立する可能性のある罪として以下のようなものが考えられます。

①各都道府県迷惑防止条例違反の罪
盗撮の規制は、各都道府県が制定する条例に規定が置かれています。
福島県においては、福島県迷惑行為等防止条例6条1項2号がそれに当たります。

福島県迷惑行為等防止条例(一部抜粋)
第6条 何人も、公共の場所又は公共の乗物における他人に対し、みだりに、著しいしゅう恥心又は不安を覚えさせるような次に掲げる行為をしてはならない。
(2) 着衣等で覆われている他人の下着又は身体をのぞき見し、又は撮影すること。

ポイントになるのは、①公共の場所や乗物における盗撮であること、②衣服に覆われた下着や素肌などを対象とする盗撮であること、の2点です。
ただし、②に当たらない盗撮であっても、条例6条1項3号の「卑わいな言動」に当たる場合があります。
罰則は、通常の場合6か月以下の懲役または50万円以下の罰金、常習の場合1年以下の懲役または100万円以下の罰金です。

②建造物侵入罪
建造物侵入罪は、正当な理由なく他人が看守する建造物に侵入した場合に成立する可能性のある罪です。
盗撮をするつもりで建造物に立ち入った場合、当然ながら管理者の意思に反すると考えられるため、正当な理由なく侵入したとして建造物侵入罪に当たると考えられます。
罰則は、3年以下の懲役または10万円以下の罰金です。

上記①②は両方とも成立するものであり、その場合はいずれか一方のみが成立する場合に比べて当然に罪が重くなります。

【余罪は立件されるか】

盗撮事件は、性犯罪であること、犯行が秘密裏になされることなどの事情から、余罪があるケースが少なくありません。
そのため、ある1件で捜査を受けた場合に、発覚していなかった他の盗撮まで立件されるのではないかと心配される方は多くいらっしゃいます。

盗撮事件に限りませんが、捜査機関は必ずしも全ての犯罪を立件するわけではありません。
事件の重大性、被疑者の身元、犯罪立証の難易などの様々な事情を考慮して、特定の一部だけを立件することもあります。
盗撮事件を例に挙げると、警察に通報されて問題となったもののみをピックアップし、スマートフォンなどに画像がある他の件はデータの削除にとどめる、といったかたちです。
そのため、たとえ盗撮事件を起こして捜査を受けることになっても、その際に発覚した過去の盗撮も全て立件されるとは限らないのです。

余罪が立件されるかどうかは、被疑者の態度や供述の内容などにもある程度左右されるものです。
ですので、弁護士から取調べ対応を聞くなどしておけば、余罪の立件を抑えられる可能性もあります。
余罪の立件の有無は不起訴の当否や刑の重さに直結するため、その点の対応をきちんとしておくことは重要でしょう。
余罪に関して少しでも不安な点があれば、できる限り捜査の初期段階で弁護士に聞いておくことをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に特化した弁護士が、不起訴の実現を目指して様々な角度から事件にアプローチします。
ご家族などが盗撮の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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