Aさんは、福島県福島市にあるX株式会社の営業部に所属しています。
ある日、顧客のBさんのもとへ行ったAさんは、以前購入した資材の代金として300万円が入った封筒を預かりました。
Bさんからはそれを社長に渡すよう言われましたが、Aさんはパチンコや借金の返済などで300万円全額を費消してしまいました。
後日、社内でこのことが発覚し、Aさんは処分が決まるまで自宅謹慎を命じられました。
Aさんは、社長が横領事件として福島警察署に相談することも検討していると聞き、弁護士に刑事事件化を阻止できないか相談しました。
(フィクションです。)
【横領事件=横領罪?】
会社などの他人に属する金銭を自己のために費消する行為は、一般的に横領と呼ばれることが多いのではないでしょうか。
刑法には横領罪という罪が規定されていますが、一般的に横領事件と言われるものが全て横領罪に当たるわけではない点に注意が必要です。
キーワードは後述する「占有」です。
横領罪は、自己が「占有」する他人の物を横領した場合に成立するとされています。
「占有」というのは物に対する事実上または法律上の支配を指し、その有無は物の状態や占有をさせる者とする者との関係などの様々な事情を考慮して判断されます。
この点が難しいところで、事実上他人の物が手元にあるからといって、そこから直ちに他人の物を占有しているとは言えない場合があるのです。
たとえば、スーパーマーケットなどでレジを打つ店員には、レジスターの中にある金銭に対する占有が認められないと考えられます。
なぜなら、店員はレジスターの中の金銭をある程度自由に管理・処分できる立場にあるとは言えず、必ずしも物を支配しているとは言えないためです。
もし占有が認められなければ、他人が占有する物を窃取したとして、横領罪ではなく窃盗罪に当たる余地が出てきます。
成立する罪が異なれば、当然ながら予想される刑の重さも異なってきます。
横領罪の法定刑は、単純横領罪で5年以下、業務上横領罪で10年以下の懲役です。
一方、窃盗罪の法定刑は、10年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
単純横領罪の法定刑の上限が窃盗罪より低いのは、他人の物を自己の物にする誘引性があるからだとされています。
【事件化を阻止するには】
いずれの罪が成立するにせよ、横領事件を起こしてしまった以上、物の所有者を被害者とする罪を犯してしまったことには変わりありません。
その場合、被害者と示談を行うなどして刑事事件となるのを阻止し、刑罰を回避することが有効となります。
窃盗罪や横領罪は個人の利益を害する罪なので、捜査機関が刑事事件として取り扱うかどうかも基本的には被害者の意思にかかっています。
被害者の意思にかかわらず刑事事件として捜査が進められることは、よほど重大な事件でない限りありえないと考えて差し支えありません。
ですので、事件化を阻止するうえでは、被害届を出したりしないよう被害者と交渉することが重要と言えます。
事件化を阻止するうえで最良の手段は、やはり先ほど挙げた示談だと考えられます。
示談は当事者間において事件が解決したことを合意するものなので、示談の締結はお互いにとって事件が円満に終了したことの証となりえます。
それだけに被害者と上手く示談をまとめるのは決して簡単なことではありません。
少しでも不安であれば、示談のような代理を専門とする弁護士に事件を依頼するべきでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、これまで数多くの示談を締結してきた弁護士が、事件化阻止のためにできる限りのことを行います。
横領事件を起こしたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回法律相談:無料

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福島県の刑事事件・少年事件について、身柄拘束の阻止・早期の釈放や保釈、無実無罪の証明(冤罪の究明)、不起訴による刑罰回避、処罰の適正化など刑事事件・少年事件を中心に扱う経験豊かな弁護士が、自信をもって刑事弁護サービスをご提供いたします。
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