Archive for the ‘財産犯罪’ Category

【事例解説】借金があると嘘を吐いて振り込ませたインターネット上の詐欺事件。弁護士が重要になる示談交渉

2024-05-18

詐欺事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

福島県二本松市に住んでいる会社員のAさんは、SNS上でVさんと知り合いました。
AさんはVさんと親交を深めると、「実は借金をしてしまって困っているんだ」と嘘を言いました。
Vさんは協力したいと言ったため、AさんはVさんに自身の口座番号を教えて20万円を振り込むように言いました。
VさんはAさんの口座に振り込みましたが、その後Aさんと連絡が取れなくなり、Vさんは不審に思って警察に相談しました。
その後、二本松警察署の捜査によってAさんの身元が割れ。詐欺罪の疑いでAさんは逮捕されることになりました。
(この参考事件はフィクションです。)

詐欺事件

詐欺罪刑法に定められた非常に重大な犯罪です
刑法第246条第1項には、「人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。」と規定されています。
人を欺いて」とは欺罔行為を行うということであり、詐欺罪の成立にはこれが必要不可欠です。
欺罔行為(欺く行為)とは、誤った情報をあえて提供し、被害者に誤った判断基準を思い抱かせる行為のことです。
この欺罔行為によって被害者が錯誤(思い違い、勘違い)に陥り、被害者がその誤った情報をもとに財産の処分行為を行います。
これらの行為が因果関係を持った一連の流れとしてあり、結果として行為者または第三者が実財物か財産上の利益を取得することで、詐欺罪は成立します。
参考事件の場合、AさんはVさんに「借金がある」と言う嘘を吐いており、これが欺罔行為にあたります。
そしてVさんはその情報によって錯誤に陥り、現金20万円を振り込む財産の処分行為を行っているため、Aさんには詐欺罪が適用されました。

インターネットの詐欺事件

詐欺罪の刑罰は「10年以下の懲役」であり、罰金刑が定められていない非常に重いものになっています。
詐欺事件は被害者が存在する事件であるため、重要なのは被害者との示談交渉です。
示談が締結できれば刑罰を軽くするように求めることができ、事件の内容や金額にもよりますが、不起訴処分の獲得も視野に入ります。
しかし、参考事件のようなインターネットを利用した詐欺事件では、被害者の連絡先を知らないことがほとんどです。
警察は基本的に被害者の情報を教えることはありませんが、弁護士限りで連絡を取ることを条件にすれば、弁護士が連絡先を聞き、示談交渉が進められるようになる可能性があります。
仮に被害者の連絡先を知っていたとしても、詐欺事件にあったことで被害者が警戒し、連絡を取ってもらえない可能性が高いです。
詐欺事件において、示談交渉で間に入る弁護士の存在は非常に重要です。
被害者との示談交渉をお考えの際は、刑事事件に詳しい弁護士に依頼することをお勧めいたします。

刑事事件に詳しい法律事務所

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件及び少年事件を中心に取り扱っている法律事務所です。
当事務所では、初回であれば無料の法律相談逮捕されている方のもとへ直接弁護士が赴く初回接見サービスをご利用いただけます。
フリーダイヤルは24時間365日、ご予約が可能です。
参考事件のように詐欺事件を起こしてしまった方、または詐欺罪の容疑で逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所のフリーダイヤル「0120-631-881」へ、是非、ご連絡ください。

【事例解説】コンビニ強盗の際に負傷者を出し強盗致傷罪、裁判員裁判が開かれる事件とは

2024-05-11

強盗致傷罪と裁判員裁判について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

福島県郡山市に住んでいる会社員のAさんは、包丁を持って夜中家を出ました。
客のいないコンビニに入ると、店員に対して包丁を出し「金を出してバッグに入れろ」と脅しました。
そして店員が現金を入れ終えたのでバッグをとろうとすると、裏手から現れた別の店員がAさんから包丁を取り上げようとしました。
Aさんは店員を振りほどこうと暴れ、その際に店員は包丁で手に怪我を負いましたが、Aさんは店員に取り押さえられました。
店員が警察に通報し、ほどなく郡山北警察署の警察官が現れ、Aさんは強盗致傷罪の疑いで現行犯逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)

強盗事件

強盗致傷罪の解説の前に、まずは同じく刑法に定められた強盗罪の解説をします。
強盗罪刑法第236条第1項に「暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。」と定められ、続く第2項には「前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。」と定められています。
この場合の暴行・脅迫は、相手方の反抗を抑圧するに足りる程度の強度のものである必要があり、凶器を見せての脅迫は反抗を抑圧すると判断されます。
Aさんは包丁を持って脅迫し、現金を要求しているため、この時点で第1項強盗罪に該当します。
しかし、Aさんは持っていた包丁で店員の手に怪我を負わせたため、強盗致傷罪が成立しました。
刑法第240条は「強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。」と定めており、この「負傷させたとき」が強盗致傷罪です(「死亡させたとき」は強盗致死罪になります)。
また、故意に人を負傷、死亡された場合はそれぞれ強盗傷人罪強盗殺人罪になり、より刑罰も重いものになります。
Aさんの場合、振りほどこうとした際に店員が怪我をしたケースであることから、傷害の故意はないと判断され強盗致傷罪にとどまりました。

裁判員裁判

強盗致傷罪の刑罰には「無期の懲役」が含まれており、この場合に裁判が開かれると、裁判員裁判となります。
裁判員裁判は、国内からランダムに選出され裁判員となった一般の方が、裁判に参加する形式の裁判です。
その形式上、法律に詳しくない方が選出されるため、他の裁判には無い手続きが多くなります。
裁判員裁判では公判の前に裁判官、検察官、弁護士が集まり、事件の争点をわかりやすくするための手続きをとります。
これを公判前整理手続と言います。
弁護士はこの他にも、裁判員の選出に立ち会ったりもします。
これは不公平な裁判となってしまわないよう、裁判員候補者をチェックするためです。
通常の裁判にない手続きも多ため、強盗致傷罪のように裁判員裁判となる事件では、裁判員制度にも詳しい弁護士が必要です。

裁判員裁判に強い弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件に特化している法律事務所です。
当事務所はフリーダイヤル「0120-631-881」にて、初回であれば無料の法律相談逮捕・勾留された方へ直接弁護士が伺う初回接見サービスのご予約を受け付けております。
フリーダイヤルは24時間365日対応していますので、強盗致傷罪で逮捕された、または裁判員裁判対象事件の当事者となってしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へ、是非、ご相談ください。

窃盗事件を起こして逮捕、窃盗を行うために他の犯罪に該当したらその刑罰はどうなるのか

2024-04-13

窃盗罪の他、器物損壊罪と建造物侵入罪、そして牽連犯について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

福島県石川郡に住んでいる会社員のAさんは、無人販売店を訪れていました。
Aさんは店内に取り付けてある料金箱の留め具を壊し、壁から外してそのまま料金箱を持って無人販売店を去りました。
その後事件は警察に通報され、石川警察署の捜査でAさんが事件を起こしたとわかり、身元も判明しました。
そしてAさんは窃盗罪の容疑で逮捕されることになりました。
Aさんには建造物侵入罪器物損壊罪の容疑もかけられています。
(この参考事件はフィクションです。)

窃盗罪

料金箱を盗んだAさんは窃盗罪だけでなく、刑法に定められたその他の罪も適用されました。
まず、窃盗罪刑法235条に「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と定められています。
窃取とは持ち主の意思に反して、財物を自己または第三者に物の占有(物に対する実質的な支配)を移すことを意味しています。
参考事件の場合、仮に盗んだ料金箱に現金が入っていなかったとして窃盗罪になります。
これは料金箱自体が商品代金を入れる目的で設置されているため、店主や店員が占有している物と判断できるからです。
そのためAさんには窃盗罪が適用されました。
そしてAさんには、さらに器物損壊罪建造物侵入罪の容疑もあります。

器物損壊罪と建造物侵入罪

物を損壊させると適用されるのが、器物損壊罪です。
Aさんは料金箱を持ち去る際に、留め具を壊して外しています。
そのため、物を壊したAさんに器物損壊罪が適用されました。
そして次に建造物侵入罪です。
建造物侵入罪は、正当な理由もなく建造物に侵入すると適用されます。
開かれている店舗に入るのであれば「侵入」とは言えないのではないかと考える方もいると思われますが、Aさんの場合、店に入る際に買い物をする意思はありませんでした。
買い物をするつもりで入ってきたのであればそれは「正当な理由」であるといえますが、盗みを目的として店舗に入るのであれば、それは「侵入」していると判断されます。
以上のことからAさんには窃盗罪の他、器物損壊罪建造物侵入罪が成立しました。

牽連犯

Aさんは盗みを目的として無人販売店に侵入し、料金箱の留め具を壊して料金箱を盗んでいます。
このように2つ以上の犯罪行為の間に、一方が他方の手段であるか、他方が一方の結果であるという関係が存在する場合、これを牽連犯と言います(刑法第54条)。
牽連犯は、それぞれの刑罰の中から、最も重い刑を適用します。
参考事件の場合、窃盗罪の他はそれぞれ、器物損壊罪は「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」、建造物侵入罪は「3年以下の懲役又は10万円以下の罰金」が刑罰となっています。
そのため、Aさんに適用されるのは「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」である窃盗罪の刑罰です。
刑事事件では牽連犯のように、あまり一般的ではない用語が使われることも珍しくありません。
刑事事件を起こしてしまった際は、自身の刑罰がどうなるのか予測を立てるためにも、弁護士のアドバイスをもらうため法律相談を受けてみましょう。

刑事事件の際はご相談ください

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件(および少年事件)を中心に取り扱う法律事務所です。
当事務所では初回の法律相談を、無料で実施しております。
逮捕(または勾留)されている方には、弁護士が直接留置施設に伺う初回直接接見サービスをご利用いただけます。
どちらのご予約も年中無休、24時間体制で対応しておりますので、ご家族が窃盗事件を起こして逮捕されてしまった方、窃盗罪器物損壊罪建造物侵入罪などの容疑がかかっている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所のフリーダイヤル「0120-631-881」へ、お気軽にご相談ください。

会社のお金を横領、経理の立場を利用した業務上横領罪で逮捕

2024-03-02

業務上横領罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

福島県いわき市に住んでいる会社員のAさんは、同市内にある会社で経理を担当していました。
Aさんは不正に自分の口座に現金を振り込むなどして会社のお金を横領していました。
しかし、用途不明の支出があったことから会社が調査を行い、結果、Aさんのした横領が発覚しました。
会社は警察に被害届を提出し、その後Aさんは業務上横領罪の疑いでいわき東警察署に逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)

業務上横領罪

業務上横領罪は、刑法に3種類が定められた横領の罪の1つです。
横領の罪は他に、(単純)横領罪遺失物等横領罪が定められています。
刑法第253条がその業務上横領罪を規定しており、その内容は「業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。」となっています。
この条文における「業務」は、「人が社会生活上の地位に基づき、反復継続して行う行為」のことであり、ボランティアや慣例といった仕事ではない行為もここでは「業務」に該当します。
そして「占有」とは物に対する事実的支配を意味しています。
業務上横領罪においては、物理的な所持だけでなく財産の処分権限などの法的支配関係も含んでおり、業務上の委託信頼関係に基づく財物の支配も「占有」に入ります。
Aさんは会社から経理としてお金の管理を任せられており、これは業務上Aさんが占有している会社の財物です。
そのため会社のお金を許可なく動かし、自身の口座に振り込んだAさんの行為は、業務上横領罪に該当します。

業務上横領罪は「10年以下の懲役」という非常に重い刑罰が規定されています。
これは業務上横領罪が犯人と多数人の信頼関係を破るものであり、その法益侵害は範囲が広く深刻だと判断されているからです。
(単純)横領罪が「5年以下の懲役」であり、遺失物等横領罪が「1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料」であることから、その他の横領の罪と比べ業務上横領罪の罰則規定が厳しいものであることが分かります。

執行猶予の獲得

刑法第25条には執行猶予を獲得する条件が定められており、その中には「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡し」というものがあります。
業務上横領罪は、会社の処罰感情が強くなりやすく横領した金額が多いほど言い渡される処分が重くなりやすいことから、3年以下の拘禁刑で済まないケースも珍しくありません。
しかし弁護士に依頼し示談交渉などの弁護活動を行うことで、減刑による執行猶予の獲得を目指すことができます。
また、会社などの法人に対する示談交渉は、弁護士を通さないなら受けられない場合もあります。
そのため業務上横領罪で事件を起こしてしまった際は、示談交渉の知識と経験が豊富な弁護士に弁護活動を依頼することをお勧めいたします。

業務上横領事件の際はご相談ください

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件、少年事件を中心に取り扱っている弁護士事務所です。
当事務所では初回無料でご利用いただける法律相談の他、逮捕されてしまった方のもとに弁護士が直接赴く初回接見サービスを実施しております。
どちらのご予約もフリーダイヤル「0120-631-881」にて、24時間受け付けております。
業務上横領罪で事件を起こしてしまった方、またはご家族が業務上横領罪の疑いで逮捕、勾留されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所のへ、是非、ご相談ください。

事故を起こしたと偽り、保険金を騙し取る保険金詐欺

2024-01-13

保険金詐欺と詐欺罪の条文について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

福島県相馬市に住んでいる会社員のAさんは、自身の所有している自動車を土手の下に落として保険会社に連絡しました。
そしてAさんは単独事故を装い、保険会社から修理費として自動車保険金を騙し取りました。
しかしその後も保険会社は事故の調査を続けていたため、事故と言うには不自然な点を見つけ、警察に相談していました。
その後、Aさんが事故にあった訳ではないと分かり、Aさんは詐欺罪の疑いで相馬警察署に逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)

保険金詐欺

Aさんのした行為は保険金詐欺と呼ばれるものです。
これは事故や災害にあったと装い、保険会社から保険金を騙し取る詐欺事件の俗称となります。
保険金詐欺にはその名の通り、刑法に定められた詐欺罪が適用されます。
現金を騙し取るタイプの詐欺事件に成立する詐欺罪は「人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。」とある刑法第246条第1項詐欺罪です。
現金などの財物を騙し取った場合に成立するもので、1項詐欺と呼ばれます。
財物ではなく財産上の利益を得る、例えば有料のサービスを受けた後に代金の支払いを免れる詐欺事件には、「前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。」と定められた刑法第246条第2項が成立します。
こちらは1項詐欺と区別して2項詐欺と呼ばれています。
どちらの詐欺罪にしても、「人を欺く」こと、つまり欺罔行為が要件です。
欺罔行為とは、財産処分の判断の基礎となる重要な事項に関して、思い違いや勘違い(錯誤)を生じさせる行為のことです。
この欺罔行為によって生じた錯誤から、被害者が財産の処分行為を行い、その結果として行為者または第三者が財物または財産上の利益を取得に繋がる。
この一連の流れが存在する時に詐欺罪は成立します。
参考事件の場合、まず保険会社に対して事故にあったと嘘をついたAさんの欺罔行為があります。
そして保険会社にAさんが事故にあったという錯誤が発生し、保険金を渡すという財産の処分行為が行われました。
以上のことから、Aさんの逮捕容疑は1項詐欺に該当する詐欺罪になります。

詐欺事件の弁護活動

詐欺罪の刑罰は、罰金刑のない「10年以下の懲役」という重いものになっているため、減刑や執行猶予がなければ刑務所へ服役になる可能性が高いです。
そのため被害者と示談交渉を行い、示談を締結して減刑や執行猶予を目指すことが重要ですが、保険金詐欺の場合、被害者は会社になります。
個人ではなく、会社などの法人に対して示談交渉を行う場合、弁護士がいなければ示談交渉に応じてもらえないこともあります。
個人での示談が可能であっても、弁護士は示談交渉の知識と経験が豊富なため、依頼することでよりスムーズな示談締結が望めます。
参考事件のような詐欺事件の際は、詐欺事件に詳しい弁護士に相談し、アドバイスを求めることが大切です。

刑事事件を扱う弁護士事務所

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を中心に取り扱う弁護士事務所です。
当事務所ではフリーダイヤル「0120-631-881」にて、初回であれば無料の法律相談逮捕・勾留された方のもとに弁護士が直接伺う初回接見サービスのご予約を、24時間体制で受け付けております。
保険金詐欺の当事者となってしまった、またはご家族が詐欺罪の容疑で逮捕されてしまった場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所のへ、是非、ご相談ください。

暴行されたことを理由に慰謝料を請求し、恐喝罪となって逮捕

2023-12-23

恐喝罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

福島県白河市に住んでいる会社員のAさんは、同僚のVさんと口喧嘩になった際に顔を殴られました。
そのことでAさんはVさんに、「警察に通報する、金を払えば水に流してやる」と言って脅しました。
VさんはAさんの要求を呑みましたが、友人に脅されたことを相談し、警察に被害届を出すことに決めました。
その後、Aさんは恐喝罪の疑いで白河警察署に逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)

恐喝罪

恐喝罪刑法に定められた犯罪であり、Aさんに適用されたのは「人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。」と定められた刑法第249条第1項の条文です。
この条文でいう「恐喝」とは、暴行または脅迫を手段として被害者を畏怖させ、その畏怖した心理状態で財物を交付させることを意味します。
また、財物以外の利益(サービスの提供など)を要求する場合は刑法第249条第2項に定められた「前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。」の条文が適用されます。
この暴行と脅迫は、被害者の反抗を抑圧するほどの強度を持たない、つまり抵抗ができないほどのものではない必要があります。
暴行・脅迫が反抗を抑圧する強度である場合は、より重い罪である強盗罪刑法第236条)が適用されてしまうことになります。
例えば、生命・身体・自由・名誉・財産に対し害を加える旨を告知して金品を要求する脅迫を行えば恐喝罪となりますが、ナイフなどの凶器を示しながら上記の脅迫を行った場合は強盗罪となります。
参考事件の場合、AさんはVさんに暴力を振るわれているため、実際に暴行罪または傷害罪で被害届を出すことはできます。
しかし、脅迫の内容はそれ自体が違法である必要はなく、財物を交付させるための不当な手段として用いれば、違法でなくとも恐喝罪となります。
そのため被害届を提出することをほのめかし、金銭を要求したAさんには、恐喝罪が成立します。

恐喝罪の弁護活動

恐喝罪は刑罰に罰金刑の定めがないため、有罪判決となってしまうと刑務所に服役する可能性が高い非常に重い犯罪です。
実刑判決を避けるためには被害者に対して被害額の弁償などを行い、示談を締結することが重要です。
しかし、恐喝事件はその性質上被害者が恐怖心を抱きやすく、連絡しても示談交渉に応じてもらえないことも考えられます。
そのため示談交渉の知識と経験が豊富な弁護士に相談し、弁護活動を依頼することが、スムーズに示談を締結させるための鍵です。

示談交渉は弁護士にお任せを

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件および少年事件を中心に扱っている弁護士事務所です。
初回であれば無料の法律相談逮捕・勾留されている方のもとに弁護士が直接伺う初回接見サービスなどを、当事務所ではご利用いただけます。
ご予約はどちらもフリーダイヤル「0120-631-881」にて受け付けておりますので、恐喝事件を起こしてしまった方、またはご家族が恐喝罪の疑いで逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所のへ、是非、ご相談ください。

盗んだ後に暴行・脅迫、窃盗に留まらず強盗事件に

2023-10-28

事後強盗罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

福島県伊達市に住んでいる大学生のAさんは、市内にある公園で置き忘れのカバンを発見しました。
Aさんはカバンの中にあった財布を取り出し、中身を確認すると現金を抜き取って懐に入れました。
しかし、そこにカバンの持ち主であるVさんが戻ってきて、Aさんが現金を盗ったことを指摘し、返すように要求しました。
焦ったAさんはVさんを蹴り、Vさんが倒れたところを確認するとその場から逃走しました。
その後、Vさんは警察に事件のことを通報しました。
しばらくして伊達警察署の捜査によりAさんの身元が判明し、Aさんは事後強盗罪の容疑で逮捕されました。

(この参考事件はフィクションです。)

事後強盗罪

前回のブログで一般的なイメージの強盗事件とは少し違った強盗事件を紹介しました。
そして今回もあまり一般に馴染みのない強盗事件を紹介したいと思います。
それが参考事件にもある事後強盗罪です。
刑法第238条には「窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。」と定められており、これが事後強盗罪の条文です。
強盗罪は暴行・脅迫を用いて財物や財産上の利益を得ようとすると適用される犯罪であり、手段として暴行や脅迫が使われます(刑法第236条)。
その強盗罪とは順序が逆になるのが事後強盗罪であり、まずは窃盗にあたる行為が最初にあります。
そして盗んだ物を守るために逃走、または窃盗を行った証拠の隠滅を図ろうとして暴行・脅迫が行われる、これが事後強盗罪の適用される流れになります。

示談交渉の重要性

事後強盗罪の条文には「強盗として論ずる。」と定められています。
そのため法定刑は強盗罪と同じ「5年以上の有期懲役」となり、実刑判決となるリスクの高い犯罪です。
被害者が存在する事件の場合、刑務所への服役を避けるためには示談交渉が重要になります。
被害者と示談を締結することができれば、減刑の可能性は高まり、執行猶予の獲得が視野に入ります。
しかし、参考事件のように被害者が知り合いなどでない場合、個人で連絡を取って示談することはほぼ不可能であり、警察も被害者の連絡先を犯人に教えることもまずありえません。
そのためスムーズに示談交渉を進めるためには、刑事事件に詳しい弁護士に弁護活動を依頼することが必要です。

強盗事件の際は相談を

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件を含む刑事事件を専門に取り扱っている法律事務所です。
当事務所はフリーダイヤル「0120-631-881」にて、初回であれば無料の法律相談や、逮捕されている方のもとに直接弁護士が赴く初回接見サービスをご予約いただけます。
強盗事件を起こしてしまった方、またはご家族が強盗事件の当事者となってしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へお気軽にご相談ください。

「物」を奪わずとも強盗罪に、1項強盗と2項強盗の違い

2023-10-21

1項強盗と2項強盗について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

無職のAさんは、福島県二本松駅付近でタクシーを呼び止めて乗車しました。
Aさんが指定した場所にタクシーが到着しドアが開くと、Aさんはお金を払わずにタクシーを降車しました。
タクシーの運転手はすぐにAさんに「支払いがまだです。」と呼び止めて降車しましたが、Aさんは運転手を突き飛ばすと走ってその場から逃走しました。
その後、タクシー強盗として二本松警察署が捜査を進め、しばらくしてAさんは強盗罪の容疑で逮捕されました。

(この参考事件はフィクションです。)

強盗罪の種類

参考事件でAさんは強盗罪で逮捕されていますが、金品を奪ったわけではないので強盗罪であることに違和感を覚える方もいるかもしれません。
しかし、まず刑法第236条第1項には「暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。」と定められていますが、同条第2項には「前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。」と定められています。
「財産上不法の利益」とは例えばレストランで注文した料理の代金を免れる等、サービスの対価を払わないといったことを指しています。
そして参考事件のAさんは、運転手を突き飛ばすという暴行を用いて逃走し、タクシー料金の支払いを免れているため、刑法第236条第2項強盗罪がします。
これらの条文が違うそれぞれの強盗罪は、財物を強取する方を1項強盗、財産上不法の利益を得る方を2項強盗とそれぞれ呼称されます(2項強盗は他にも利益強盗強盗利得罪と呼ばれることもあります)。

執行猶予の条件

2項強盗は「同項と同様とする。」と定められているため、法定刑は「5年以上の有期懲役」となります。
罰金刑が定められていない強盗罪は起訴されてしまうと必ず刑事裁判が開かれることになり、そのまま有罪となってしまえば刑務所へ服役することになってしまいます。
執行猶予も取り付ける条件の1つが「3年以下の懲役」の言い渡しになっているため、このままでは実刑判決は免れません。
処分を軽減し執行猶予を取り付けるためにも、速やかに強盗事件などの刑事事件の知識と経験が豊富な弁護士に相談し、弁護活動を依頼することが重要です。

強盗事件の際は相談を

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件を含む刑事事件を専門に取り扱っている法律事務所です。
当事務所はフリーダイヤル「0120-631-881」にて、初回であれば無料の法律相談や、逮捕されている方のもとに直接弁護士が赴く初回接見サービスをご予約いただけます。
強盗事件を起こしてしまった方、またはご家族が強盗事件の当事者となってしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へお気軽にご相談ください。

無銭飲食で逮捕、適用される詐欺罪の条文

2023-10-07

無銭飲食と詐欺罪の条文について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

福島県郡山市に訪れた無職のAさんは、飲食店に入るとビールやそのおつまみ等を合計で1万円以上を注文して食べました。
財布を持っていないAさんは店員に「お金をATMまで下ろしに行ってきます」と嘘をついて飲食店を出ると、そのまま逃走しました。
いつまで待ってもAさんが帰って来ないことを不安に思い、店員が警察に通報してAさんが無銭飲食したことが分かりました。
そしてAさんは郡山警察署の捜査によって身元が判明し、詐欺罪の容疑で逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)

無銭飲食による詐欺

Aさんの逮捕容疑となったのは刑法第246条第1項に「人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。」と定められている詐欺罪です。
人を欺いて」とありますが、これに該当する行為には一定の流れが必要になります。
まず被疑者(犯人)による欺罔行為(欺く行為)が最初にあり、その欺く行為によって被害者に錯誤(勘違い・思い違い)が引き起こされます。
そしてその誤った情報に基づいた財産の処分行為が行われ、被疑者が財物や財産上の利益を得ます。
この流れが因果的に繋がっている時、詐欺罪が適用されます。
参考事件の場合、まずAさんが料理等を注文していますが、この注文で店側はAさんに代金を支払う意思と能力があると錯誤が引き起こされているので、この時点でAさんは欺罔行為をしたことになります。
そして錯誤状態の店側がAさんに財物である料理等を交付しているためAさんは詐欺罪となります。

もしAさんが財布を持ってきたと思っており、会計時に財布がないことに気付いて参考事件のように嘘ついて逃げた場合、Aさんは財物を交付させる際には欺罔行為を行っていなので、刑法第246条第1項は適用されません。
この場合、Aさんが「お金を下ろしてくる」と店員を欺き、代金の支払いを免れるという財産上の利益を得たことになるので、適用されるのは刑法第246条第2項の「前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。」と定められた詐欺罪になります。
第1項の「財物を交付」させた場合が1項詐欺第2項の「財産上不法の利益を得」た場合が2項詐欺と呼称されます。
2項詐欺には「同項と同様とする」とあるため、どちらの無銭飲食をした場合でも法定刑は「10年以下の懲役」となります。

店舗との示談交渉

無銭飲食をしてしまった場合の弁護対応の1つは、飲み食いした料理の代金を支払って被害弁償を行う示談交渉が挙げられます。
しかし、個人で示談交渉を行うこともできますが、被害者が会社などの個人でない場合は弁護士がいなければ示談交渉には応じないと言われてしまうケースもあります。
また、詐欺罪には懲役刑のみが定められているため、起訴され有罪となれば刑務所へ服役することになる可能性もあります。
しかし早期に弁護対応を開始できれば、不起訴での事件終了も視野に入ります。
そのためなるべく速やかに弁護士に相談し、弁護活動を依頼することが重要です。

詐欺事件に強い弁護士事務所

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件を含む刑事事件を専門に取り扱っている法律事務所です。
当事務所では初回無料の法律相談逮捕された方のもとに弁護士が直接伺う初回接見サービスなどを実施しています。
無銭飲食をしてしまった、またはご家族が詐欺罪で逮捕されてしまった場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所のフリーダイヤル「0120-631-881」へ、お気軽にご相談ください。

拾った財布を警察に届けずネコババ 遺失物等横領罪か窃盗罪か

2023-08-19

拾った財布を警察に届けずネコババした事件を参考に、遺失物等横領罪と窃盗罪の違いについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

福島県白河市に住んでいる会社員のAさんは、家への帰り道で財布が落ちていることに気付きました。
財布の中身を確認すると10万円近い現金が入っていたため、Aさんは拾った財布を警察に届け出ずにネコババしました。
財布の持ち主は白河警察署に遺失届を提出していたらしく、Aさんは警察に呼び出され取調べを受けることになりました。
逮捕はされませんでしたが、Aさんは遺失物横領罪になるのか窃盗になるかと分からず不安で、弁護士事務所に相談することにしました。
(この参考事件はフィクションです。)

窃盗罪

窃盗罪は、「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と刑法235条に定められています。
この条文の窃取とは、他人が占有(物に対する事実上の支配・管理)する財物を、占有者の意思に反して、自己または第三者に占有を移すことを意味します。
しかし、参考事件の財布はAさんが発見した時点では落とし物であるため、既に持ち主の占有が離れた物と見なすことができます。
その場合、Aさんは窃盗罪ではなく遺失物等横領罪が成立する可能性が高いでしょう。

遺失物等横領罪

遺失物等横領罪刑法254条に「遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。」と定められています。
遺失物とは、占有者の意思によらずに占有が離れ誰の占有にも属さない物、つまり「落とし物」のことです。
漂流物はその中でも水中、水面に存在する物を言います。
その他占有を離れた他人の物は、店員が間違って多く渡したお釣り、風で飛ばされた洗濯物等が該当します。
そのため参考事件の落とし物である財布は遺失物であるため、Aさんには遺失物等横領罪が適用される可能性が高いでしょう。

刑事事件に詳しい弁護士事務所

遺失物等横領罪窃盗罪は状況次第では区別が難しい時もあり、参考事件のような事件を起こしてしまった場合に事態を把握するには、専門の弁護士に相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う弁護士事務所です。
当事務所では初回無料の法律相談の他、逮捕された方のもとに直接弁護士が赴く初回接見サービスをご利用いただけます。
遺失物等横領罪窃盗罪で取調べを受けた方、または家族が逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所のフリーダイヤル「0120-631-881」へ、お気軽にご連絡ください。

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