Archive for the ‘財産犯罪’ Category

【事例解説】会社から支給されたクレジットカードを私的に使って、業務上横領罪となったケース

2025-03-15

業務上横領罪と執行猶予について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

福島県福島市に住んでいる会社員のAさんは、同市内にある勤め先の会社から、交通費を支払うためのクレジットカードを支給されていました。
しかしAさんは、会社から支給されたクレジットカードを仕事と関係ない個人的な移動でも、公共交通機関を利用する際に使用していました。
その後、会社側がAさんのクレジットカードの利用回数と移動の報告が合わないことに気付きました。
最初は報告ミスかと思われましたが、Aさんが私的にクレジットカードを使用していたことがわかり、会社が警察に通報しました。
そしてAさんは、福島北警察署業務上横領罪の容疑で逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)

業務上横領罪

横領の罪業務上横領罪遺失物等横領罪、(単純横領罪といった3種類が刑法に定められています。
刑法第253条が業務上横領罪の条文で、その内容は「業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。」となっています。
業務上横領罪における業務とは、「人が社会生活上の地位に基づき、反復継続して行う行為」を意味しています。
仕事はもちろんのこと、給与の発生しないボランティアや慣例などの行為も「業務」となります。
占有」とは物に対する事実的支配のことで、この条文における「占有」は業務上の委託信頼関係に基づく財物の支配も意味しており、物理的な所持だけでなく、財産の処分権限などの法的支配関係も含んでいます。
参考事件のクレジットカードは、仕事の移動で使用する目的で支給されているため、その用途以外に使う権限はAさんにありません。
よって会社の業務の際に使用するべきクレジットカードを私的に使ったAさんの行為は、業務上横領罪に該当します。
業務上横領罪の法定刑は上記の通り「10年以下の懲役」です。
他の横領の罪は、(単純横領罪が「5年以下の懲役」、遺失物等横領罪が「1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料」が刑罰です。
他と比べ業務上横領罪の刑罰が重いのは、業務関係に基づくものの横領が犯人と多数人との間の信頼関係を破るものである点において、法益侵害の範囲が広いと考えられているためです。

執行猶予

執行猶予とは刑の執行を一定期間猶予し、その期間中に問題を起こさなければ刑の執行を免除するというものです。
執行猶予は付けるための条件があり、そのうちの1つが「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」の言い渡しです。
業務上横領罪の刑罰は「10年以下の懲役」になっているため、3年を超える懲役が言い渡される可能性もあります。
懲役を3年以下に抑えて執行猶予を獲得するためには、減刑のための弁護活動を行う必要があります。
横領事件では示談交渉が重要ですが、会社に対する示談交渉の場合、弁護士がいなければ示談が行えないこともあります。
横領事件の際、執行猶予の獲得を目指す場合は、弁護士に弁護活動の依頼をすることをお勧めします。

横領事件に強い弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件および少年事件を中心に取り扱っています。
当事務所は、初回であれば無料の法律相談の他、逮捕された方のもとへ直接弁護士が伺う初回接見サービスをご利用いただけます。
どちらのご予約もフリーダイヤル「0120-631-881」にて24時間ご予約を受け付けております。
横領の罪で事件を起こしてしまった方、またはご家族が業務上横領罪の容疑で逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へ、お気軽にご連絡ください。

【事例解説】特殊詐欺事件の出し子が窃盗罪で逮捕、詐欺罪ではなく窃盗罪が適用された理由

2025-02-01

特殊詐欺事件と窃盗罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

福島県いわき市に来ていた無職のAさんは、特殊詐欺事件に加担し、出し子を担っていました。
受け子からキャッシュカードを受け取ったAさんはコンビニのATMに行き、現金を引き出しました。
そしてある日、Aさんの自宅に警察官が訪ねて来ました。
警察官はコンビニでATMを使用しているAさんの写真を出して、「ここに写っているのはあなたで間違いないですね」と聞きました。
Aさんは自分であることを認め、警察官はAさんを窃盗罪の容疑でいわき東警察署に逮捕しました。
(この参考事件はフィクションです。)

特殊詐欺事件

特殊詐欺事件とは電話やハガキなどの対面しない方法を用いて、公的な組織などの信頼が置ける人物と装って被害者に接触し、現金などを不特定多数から騙し取る犯罪です。
特殊詐欺はほとんどの場合、単独ではなく複数の犯人たちがそれぞれの役割を担って実行されます。
有名なものに「受け子」があり、被害者の自宅に直接行き、現金やキャッシュカードを被害者から受け取る役割になっています。
電話を使った特殊詐欺では「架け子」という役割があり、電話で被害者を騙す役割を担います。
Aさんが担当した「出し子」とは、ATMから現金を引き出す役割です。
この出し子は逮捕リスクが高くなっています。
ATMが設置されている場所には必ず防犯カメラも設置されており、ATM自体にも操作をする人の顔を撮影するカメラが設置されています。
そのためAさんのように防犯カメラの映像から身元を特定されやすくなっています。
受け子の場合も、被害者と直接会うことから逮捕リスクも高く、末端が使い捨てとして担っていることがほとんどです。
この2つの役割と違い、架け子は顔を知られる可能性が低く逮捕リスクもほぼないため、特殊詐欺の指示役が担うことが多くなっています。

詐欺罪ではなく窃盗罪

参考事件は特殊詐欺を扱った内容ですが、Aさんは窃盗罪で逮捕されてます。
これを不思議に思うかもしれませんが、刑法詐欺罪が成立するには特定の条件を満たす必要があります。
その1つが人を欺く行為であり、受け子や架け子は信頼できる人物を騙って人を欺き、現金などを奪うため詐欺罪が成立します。
出し子は人のキャッシュカードを使ってATMから現金を引き出しますが、途中に人を騙す過程がありません。
そのため参考事件でAさんには詐欺罪を成立しませんでした。
しかし、人のキャッシュカードを使って現金を奪っていることから、Aさんには刑法第235条に「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と定められた窃盗罪が成立しました。
このように、刑事事件は一般的にイメージされる罪とは異なった罪が成立することもあるため、正しく自身の置かれた状況を把握するためにも、特殊詐欺事件に加担してしまった場合は弁護士に相談しましょう。

特殊詐欺に詳しい弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件と少年事件を中心に扱っている法律事務所です。
当事務所のフリーダイヤル「0120-631-881」では、初回無料の法律相談逮捕された方のもとへ弁護士が直接伺う初回接見サービスをご予約いただけます。
フリーダイヤルは24時間、365日対応可能です。
特殊詐欺事件に加担してしまった、または窃盗罪の容疑でご家族が逮捕されてしまった、このような時は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所のへ、是非、ご連絡ください。

【事例解説】落ちているサイフを拾って遺失物等横領罪で逮捕、事情聴取を受ける前に法律事務所へ

2024-11-23

遺失物等横領罪と事情聴取について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

福島県白河市に住んでいる大学生のAさんは、マンションの敷地内でサイフが落ちていることに気付きました。
中を確認したところ、10万円以上の現金が入っており、Aさんはそのままサイフを懐に入れて持ち去りました。
翌日、サイフを落としたことに気付いた持ち主のVさんは管理人に相談し、監視カメラを確認してもらいました。
そこにはAさんが拾ったサイフを仕舞うところが写っており、Vさんは警察に被害届を提出しました。
後日、Aさんの自宅に警察官が訪れ事情を聞いたところ、Aさんは犯行を認めました。
そしてAさんは遺失物等横領罪の容疑で、白河警察署に連行されることになりました。
(この参考事件はフィクションです。)

遺失物等横領罪

横領の罪は刑法に3種類定められており、その1つが遺失物等横領罪であり、占有離脱物横領罪とも呼称されます。
刑法254条遺失物等横領罪の条文であり、内容は「遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。」となっています。
占有」とは、物に対する事実上の支配、管理を指す言葉です(物理的に所有していることだけでなく、土地の権利を持つことも占有していると言えます)。
そしてその占有が占有者の意思によらず離れ、誰の占有にも属さなくなったものが「遺失物」です。
その中でも水中、水面にあるのが「漂流物」であり、「占有を離れた他人の物」は電車に置き忘れた荷物や鍵を掛けずに長期間放置された自転車などが該当します。
そのような占有を離れた他人の物を、不法に自分の物のように扱う(不法領得の意思)ことで遺失物等横領罪は成立します。
Aさんの場合、もともとの持ち主が意図せず落としたサイフを、自分の物にしようとしたため遺失物等横領罪になりました。

事情聴取

警察に連行された場合、警察署で事情聴取を受けることになります。
事情聴取で受け答えした内容は全て供述調書にまとめられるため、ここで話したことは証拠として使われます。
警察の捜査にも影響するため発言は慎重にならなければなりませんが、刑事事件に慣れていない限りは正確な対応も分かりません。
事情聴取に呼ばれている際はその前に、法律相談を受けることがお勧めです。
Aさんのようにすぐ連行される場合もありますが、後ほど連絡すると言われて事情聴取は後日行われることも多いです。
また、事情聴取は1回で終わらないこともあり、1度帰っていいと言われてまた呼ばれることもあります。
事情聴取で適切な対応をとるためにも、まずは弁護士に相談し、事情聴取で何を答えればいいかを事前に対策しておきましょう。

事情聴取に詳しい弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件および少年事件に特化している法律事務所です。
当事務所では、初回であれば無料で法律相談をご利用いただけます。
また、逮捕されている方には、その方に弁護士が直接面会に伺う初回接見サービスを実施しています。
どちらもフリーダイヤル「0120-631-881」にて、24時間ご予約が可能です。
事情聴取を受ける予定の方や、ご家族が遺失物等横領罪の疑いで逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へ、お気軽にご相談ください。

【事例解説】通行人の手荷物を奪おうとした窃盗事件、いわゆるひったくりに適用される条文について

2024-10-05

ひったくりに適用される条文について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

福島県相馬市に住んでいる大学生のAさんは、フルフェイスのヘルメットをかぶって、夕方に自転車で外出しました。
その後、手にカバンを持った女性Vさんを発見すると、後ろから近付きバッグを奪いました。
しかし、Vさんが「ひったくり」と大声を出したことで、Aさんの逃走先にいた通行人が犯行に気付きました。
そして立ちふさがって自転車を止めると、逃げようとするAさんを取り押さえ、警察に通報しました。
しばらくして警察官が現場に駆け付け、Aさんは相馬警察署に逮捕されることになりました。
(この参考事件はフィクションです。)

窃盗

歩行者に気付かれないよう近付き、持っている荷物を奪う窃盗事件がひったくりです。
ひったくりに適用されることが多いのは、刑法窃盗罪です。
刑法第235条がその条文で、「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と定められています。
財物」とは、所有権の対象となる有体物はほぼ該当します。
ただし、「電気」もこの条文では財物に含まれる他、経済的にも主観的にも価値が認められないものは財物に含まれないなどの例外もあります。
そして「窃取」とは、他人の財物に対する占有を、自身または第三者に転移させることです。
占有とは、財物に対する実質的な支配および管理を意味し、窃取による占有の転移は、占有者に意思に反して行われている必要があります。
そのため、Vさんの持っているバッグ(および中に入っている物)という財物を、Vさんの意思に反して窃取しようとしたAさんには、窃盗罪が成立します。
しかし、ひったくりに必ず窃盗罪が成立するわけではなく、事件の内容次第では強盗罪が成立します。

強盗

刑法第236条第1項には「暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。」と、強盗罪が定められています。
参考事件の場合、AさんがVさんを突き飛ばしたり、荷物を手放さなかったVさんを引きずったりして荷物を奪っていれば、この条文の「暴行」の要件を満たします。
また、刑法第240条は「強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。」とあります。
つまり、この暴行によって被害者が怪我を負ってしまうと、より重い強盗致傷罪が成立します。
さらに、窃盗罪に比べると強盗事件は逮捕されやすい傾向にあり、逮捕された後に勾留も付きやすく、勾留も長引きやすくなります。
そのため早期の釈放を目指すのであれば、弁護士の存在は必須と言えます。
ひったくりで逮捕されてしまった場合、速やかに弁護士に弁護活動を依頼することが重要です。

ひったくりに詳しい弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件および少年事件を中心に取り扱っています。
当事務所では初回であれば無料の法律相談逮捕または勾留中の方のもとへ弁護士が直接赴く初回接見サービスをご利用いただけます。
ご予約はフリーダイヤル「0120-631-881」にて、24時間体制で受け付けております。
ひったくり窃盗事件を起こしてしまった、またはご家族が強盗罪強盗致傷罪で逮捕されてしまった際は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へ、お気軽にご連絡ください。

【事例解説】借りたレンタカーを返さず乗り回し横領罪で逮捕、一般的なイメージと異なる横領の定義

2024-09-07

横領罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

福島県郡山市に住んでいる無職のAさんは、レンタカー会社からレンタカーを借りていました。
レンタカーの返却期限が迫っていましたが、Aさんはレンタカー会社に連絡せず、その後もレンタカーを乗り回し続けました。
レンタカーを貸していたレンタカー会社は、返却期限を1週間過ぎても返却に現れないAさんのことを不審に思いました。
そしてAさんに電話をしても出なかったため、警察に相談することにしました。
その後、郡山北警察署の警察官がAさんのもとを訪れ、横領罪の容疑でAさんを逮捕しました。
(この参考事件はフィクションです。)

横領罪

横領事件と聞くと、まず会社から現金を横領する事件だと思う人が大半だと思われます。
たしかに刑法はそのような横領の罪(業務上横領罪)も定めていますが、横領の対象は現金だけではありません。
刑法第252条第1項には「自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。」と横領罪単純横領罪)が定められています。
例えば窃盗罪は、他人が占有(管理・支配)している物をその占有者の意思に反して持ち出すと成立します。
しかし横領罪は、自分が占有しているが他人の物、つまり預けられたものを持ち出した時に成立します。
そのことから横領罪では、あくまで他人に物であり、委託信任関係に基づいて自己に占有された物を対象にしています。
一時的に他人から借りている、管理を任されている物であれば現金以外でもよく、不動産なども横領罪における「他人の物」に含まれます。
Aさんの場合、まずレンタカー会社と契約し、一時的にレンタカーを借りている状態です。
にも関わらずその期間を過ぎても返さないのであればそれは横領行為であり、Aさんには横領罪が成立します。

弁護活動

横領罪は「5年以下の懲役」のみが定められています。
そのため罰金を支払って済ませることができず、起訴されてしまえば正式な裁判が開かれてしまいます。
裁判を避けるためには弁護士による弁護活動が必要です。
示談交渉は特に重要であり、被害者への謝罪と弁償を行い示談が締結できれば、不起訴処分の可能性もあります。
示談交渉は個人で行うことも可能です。
しかし、横領した本人が直接示談交渉をした場合、かえって拗れてしまうこともあります。
また、会社などの法人が被害者である場合、弁護士を通さなければ示談交渉には応じないと断られてしまうことも多々あります。
横領事件の際はまず弁護士に依頼し、弁護士を間に入れて示談交渉を進めることが、示談をスムーズに締結させる鍵と言えます。

まずは弁護士にご相談ください

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を中心に取り扱う法律事務所です。
当事務所のフリーダイヤルでは、初回無料の法律相談の他、逮捕・勾留されている方のもとへ弁護士が直接赴く初回接見サービスをご予約いただけます。
フリーダイヤルは24時間体制で、土、日、祝日も対応可能です。
横領事件の当事者となってしまった方、横領罪の容疑でご家族が逮捕・勾留中の方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所のフリーダイヤル「0120-631-881」へ、お気軽にご連絡ください。

【事例解説】ナイフを突きつけて脅す強盗事件での逮捕、強盗罪の種類と示談交渉で弁護士を入れるメリット

2024-08-10

強盗罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

福島県相馬郡に住んでいる会社員のAさんは、お金に困っていたことで強盗を計画していました。
Aさんはあまり使われない夜道で通行人Vさんを見つけると、相手の口を抑えて包丁を見せながら「サイフを出せ」と脅しました。
そしてVさんがサイフをバッグから出すと、Aさんはサイフを奪いそのまま逃走しました。
Aさんが逃げた後Vさんはすぐに警察に行き、被害届を提出しました。
相馬警察署が捜査を進めたところ、犯人はAさんであることが分かりました。
その後Aさんは強盗罪の容疑で逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)

強盗罪

Aさんの逮捕容疑になったのは、刑法に定められている強盗罪です。
刑法第236条1項には「暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。」と定められ、続く同条第2項には「前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。」と定められています。
強盗罪における暴行は人に対して有形力(物理力)を行使することで、脅迫は一般的に人を恐怖、畏怖させるに足りる害悪の告知をすることです。
これらはそれぞれ暴行罪脅迫罪になる行為と同じになります。
そしてこれらには相手方の反抗を抑圧するに足りる程度の強度が求められます。
先述のように刑法第236条における強盗罪は2つあり、それぞれ1項強盗2項強盗と呼ばれます。
1項強盗は物などの財物を奪うことで成立します。
2項強盗は財産上の利益が対象です。
財産上の利益とは財物ではない利益のことで、債権や料金の支払いを免れることが該当します。
例えばタクシーに乗ったにも関わらず、暴力を振るって支払いを免れた場合は、「財産上不法の利益を得」たと言えます。
Aさんの場合まず相手の口を抑えており、この行為は暴行と考えられます。
包丁を見せての脅しですが、凶器を示しての脅迫は相手方の反抗を抑圧するに足りるとされています。
そのためこれらの方法を用いてVさんからサイフという財物を奪ったAさんには刑法第236条第1項強盗罪が成立します。

示談交渉

強盗事件の弁護活動では、示談交渉が重要になります。
示談を締結することができれば、減刑が期待でき、執行猶予の獲得も目指すことができます。
しかし、参考事件のように全く面識のない通行人が被害者である場合、個人で被害者を調べて示談交渉を持ちかけるのは不可能に近いです。
また、警察が被害者の情報を明かすことは基本的にありません。
ですが弁護士であれば、弁護士限りで連絡を取り合うことを条件に警察から被害者の連絡先を聞くことができます。
また、最初は示談交渉を拒否している場合でも、弁護士が間に入るのであればと示談を進めることが可能になったケースもあります。
そのため示談の締結を目指すのであれば、弁護士に弁護活動を依頼し、示談交渉を進めることが重要です。

強盗罪に詳しい弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件と少年事件に特化している法律事務所です。
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フリーダイヤルは24時間、365日対応可能です。
強盗事件の当事者になってしまった方、強盗罪の疑いでご家族が逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へ、是非、ご相談ください。

【事例解説】借金があると嘘を吐いて振り込ませたインターネット上の詐欺事件。弁護士が重要になる示談交渉

2024-05-18

詐欺事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

福島県二本松市に住んでいる会社員のAさんは、SNS上でVさんと知り合いました。
AさんはVさんと親交を深めると、「実は借金をしてしまって困っているんだ」と嘘を言いました。
Vさんは協力したいと言ったため、AさんはVさんに自身の口座番号を教えて20万円を振り込むように言いました。
VさんはAさんの口座に振り込みましたが、その後Aさんと連絡が取れなくなり、Vさんは不審に思って警察に相談しました。
その後、二本松警察署の捜査によってAさんの身元が割れ。詐欺罪の疑いでAさんは逮捕されることになりました。
(この参考事件はフィクションです。)

詐欺事件

詐欺罪刑法に定められた非常に重大な犯罪です
刑法第246条第1項には、「人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。」と規定されています。
人を欺いて」とは欺罔行為を行うということであり、詐欺罪の成立にはこれが必要不可欠です。
欺罔行為(欺く行為)とは、誤った情報をあえて提供し、被害者に誤った判断基準を思い抱かせる行為のことです。
この欺罔行為によって被害者が錯誤(思い違い、勘違い)に陥り、被害者がその誤った情報をもとに財産の処分行為を行います。
これらの行為が因果関係を持った一連の流れとしてあり、結果として行為者または第三者が実財物か財産上の利益を取得することで、詐欺罪は成立します。
参考事件の場合、AさんはVさんに「借金がある」と言う嘘を吐いており、これが欺罔行為にあたります。
そしてVさんはその情報によって錯誤に陥り、現金20万円を振り込む財産の処分行為を行っているため、Aさんには詐欺罪が適用されました。

インターネットの詐欺事件

詐欺罪の刑罰は「10年以下の懲役」であり、罰金刑が定められていない非常に重いものになっています。
詐欺事件は被害者が存在する事件であるため、重要なのは被害者との示談交渉です。
示談が締結できれば刑罰を軽くするように求めることができ、事件の内容や金額にもよりますが、不起訴処分の獲得も視野に入ります。
しかし、参考事件のようなインターネットを利用した詐欺事件では、被害者の連絡先を知らないことがほとんどです。
警察は基本的に被害者の情報を教えることはありませんが、弁護士限りで連絡を取ることを条件にすれば、弁護士が連絡先を聞き、示談交渉が進められるようになる可能性があります。
仮に被害者の連絡先を知っていたとしても、詐欺事件にあったことで被害者が警戒し、連絡を取ってもらえない可能性が高いです。
詐欺事件において、示談交渉で間に入る弁護士の存在は非常に重要です。
被害者との示談交渉をお考えの際は、刑事事件に詳しい弁護士に依頼することをお勧めいたします。

刑事事件に詳しい法律事務所

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件及び少年事件を中心に取り扱っている法律事務所です。
当事務所では、初回であれば無料の法律相談逮捕されている方のもとへ直接弁護士が赴く初回接見サービスをご利用いただけます。
フリーダイヤルは24時間365日、ご予約が可能です。
参考事件のように詐欺事件を起こしてしまった方、または詐欺罪の容疑で逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所のフリーダイヤル「0120-631-881」へ、是非、ご連絡ください。

【事例解説】コンビニ強盗の際に負傷者を出し強盗致傷罪、裁判員裁判が開かれる事件とは

2024-05-11

強盗致傷罪と裁判員裁判について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

福島県郡山市に住んでいる会社員のAさんは、包丁を持って夜中家を出ました。
客のいないコンビニに入ると、店員に対して包丁を出し「金を出してバッグに入れろ」と脅しました。
そして店員が現金を入れ終えたのでバッグをとろうとすると、裏手から現れた別の店員がAさんから包丁を取り上げようとしました。
Aさんは店員を振りほどこうと暴れ、その際に店員は包丁で手に怪我を負いましたが、Aさんは店員に取り押さえられました。
店員が警察に通報し、ほどなく郡山北警察署の警察官が現れ、Aさんは強盗致傷罪の疑いで現行犯逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)

強盗事件

強盗致傷罪の解説の前に、まずは同じく刑法に定められた強盗罪の解説をします。
強盗罪刑法第236条第1項に「暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。」と定められ、続く第2項には「前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。」と定められています。
この場合の暴行・脅迫は、相手方の反抗を抑圧するに足りる程度の強度のものである必要があり、凶器を見せての脅迫は反抗を抑圧すると判断されます。
Aさんは包丁を持って脅迫し、現金を要求しているため、この時点で第1項強盗罪に該当します。
しかし、Aさんは持っていた包丁で店員の手に怪我を負わせたため、強盗致傷罪が成立しました。
刑法第240条は「強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。」と定めており、この「負傷させたとき」が強盗致傷罪です(「死亡させたとき」は強盗致死罪になります)。
また、故意に人を負傷、死亡された場合はそれぞれ強盗傷人罪強盗殺人罪になり、より刑罰も重いものになります。
Aさんの場合、振りほどこうとした際に店員が怪我をしたケースであることから、傷害の故意はないと判断され強盗致傷罪にとどまりました。

裁判員裁判

強盗致傷罪の刑罰には「無期の懲役」が含まれており、この場合に裁判が開かれると、裁判員裁判となります。
裁判員裁判は、国内からランダムに選出され裁判員となった一般の方が、裁判に参加する形式の裁判です。
その形式上、法律に詳しくない方が選出されるため、他の裁判には無い手続きが多くなります。
裁判員裁判では公判の前に裁判官、検察官、弁護士が集まり、事件の争点をわかりやすくするための手続きをとります。
これを公判前整理手続と言います。
弁護士はこの他にも、裁判員の選出に立ち会ったりもします。
これは不公平な裁判となってしまわないよう、裁判員候補者をチェックするためです。
通常の裁判にない手続きも多ため、強盗致傷罪のように裁判員裁判となる事件では、裁判員制度にも詳しい弁護士が必要です。

裁判員裁判に強い弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件に特化している法律事務所です。
当事務所はフリーダイヤル「0120-631-881」にて、初回であれば無料の法律相談逮捕・勾留された方へ直接弁護士が伺う初回接見サービスのご予約を受け付けております。
フリーダイヤルは24時間365日対応していますので、強盗致傷罪で逮捕された、または裁判員裁判対象事件の当事者となってしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へ、是非、ご相談ください。

窃盗事件を起こして逮捕、窃盗を行うために他の犯罪に該当したらその刑罰はどうなるのか

2024-04-13

窃盗罪の他、器物損壊罪と建造物侵入罪、そして牽連犯について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

福島県石川郡に住んでいる会社員のAさんは、無人販売店を訪れていました。
Aさんは店内に取り付けてある料金箱の留め具を壊し、壁から外してそのまま料金箱を持って無人販売店を去りました。
その後事件は警察に通報され、石川警察署の捜査でAさんが事件を起こしたとわかり、身元も判明しました。
そしてAさんは窃盗罪の容疑で逮捕されることになりました。
Aさんには建造物侵入罪器物損壊罪の容疑もかけられています。
(この参考事件はフィクションです。)

窃盗罪

料金箱を盗んだAさんは窃盗罪だけでなく、刑法に定められたその他の罪も適用されました。
まず、窃盗罪刑法235条に「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と定められています。
窃取とは持ち主の意思に反して、財物を自己または第三者に物の占有(物に対する実質的な支配)を移すことを意味しています。
参考事件の場合、仮に盗んだ料金箱に現金が入っていなかったとして窃盗罪になります。
これは料金箱自体が商品代金を入れる目的で設置されているため、店主や店員が占有している物と判断できるからです。
そのためAさんには窃盗罪が適用されました。
そしてAさんには、さらに器物損壊罪建造物侵入罪の容疑もあります。

器物損壊罪と建造物侵入罪

物を損壊させると適用されるのが、器物損壊罪です。
Aさんは料金箱を持ち去る際に、留め具を壊して外しています。
そのため、物を壊したAさんに器物損壊罪が適用されました。
そして次に建造物侵入罪です。
建造物侵入罪は、正当な理由もなく建造物に侵入すると適用されます。
開かれている店舗に入るのであれば「侵入」とは言えないのではないかと考える方もいると思われますが、Aさんの場合、店に入る際に買い物をする意思はありませんでした。
買い物をするつもりで入ってきたのであればそれは「正当な理由」であるといえますが、盗みを目的として店舗に入るのであれば、それは「侵入」していると判断されます。
以上のことからAさんには窃盗罪の他、器物損壊罪建造物侵入罪が成立しました。

牽連犯

Aさんは盗みを目的として無人販売店に侵入し、料金箱の留め具を壊して料金箱を盗んでいます。
このように2つ以上の犯罪行為の間に、一方が他方の手段であるか、他方が一方の結果であるという関係が存在する場合、これを牽連犯と言います(刑法第54条)。
牽連犯は、それぞれの刑罰の中から、最も重い刑を適用します。
参考事件の場合、窃盗罪の他はそれぞれ、器物損壊罪は「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」、建造物侵入罪は「3年以下の懲役又は10万円以下の罰金」が刑罰となっています。
そのため、Aさんに適用されるのは「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」である窃盗罪の刑罰です。
刑事事件では牽連犯のように、あまり一般的ではない用語が使われることも珍しくありません。
刑事事件を起こしてしまった際は、自身の刑罰がどうなるのか予測を立てるためにも、弁護士のアドバイスをもらうため法律相談を受けてみましょう。

刑事事件の際はご相談ください

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件(および少年事件)を中心に取り扱う法律事務所です。
当事務所では初回の法律相談を、無料で実施しております。
逮捕(または勾留)されている方には、弁護士が直接留置施設に伺う初回直接接見サービスをご利用いただけます。
どちらのご予約も年中無休、24時間体制で対応しておりますので、ご家族が窃盗事件を起こして逮捕されてしまった方、窃盗罪器物損壊罪建造物侵入罪などの容疑がかかっている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所のフリーダイヤル「0120-631-881」へ、お気軽にご相談ください。

会社のお金を横領、経理の立場を利用した業務上横領罪で逮捕

2024-03-02

業務上横領罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

福島県いわき市に住んでいる会社員のAさんは、同市内にある会社で経理を担当していました。
Aさんは不正に自分の口座に現金を振り込むなどして会社のお金を横領していました。
しかし、用途不明の支出があったことから会社が調査を行い、結果、Aさんのした横領が発覚しました。
会社は警察に被害届を提出し、その後Aさんは業務上横領罪の疑いでいわき東警察署に逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)

業務上横領罪

業務上横領罪は、刑法に3種類が定められた横領の罪の1つです。
横領の罪は他に、(単純)横領罪遺失物等横領罪が定められています。
刑法第253条がその業務上横領罪を規定しており、その内容は「業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。」となっています。
この条文における「業務」は、「人が社会生活上の地位に基づき、反復継続して行う行為」のことであり、ボランティアや慣例といった仕事ではない行為もここでは「業務」に該当します。
そして「占有」とは物に対する事実的支配を意味しています。
業務上横領罪においては、物理的な所持だけでなく財産の処分権限などの法的支配関係も含んでおり、業務上の委託信頼関係に基づく財物の支配も「占有」に入ります。
Aさんは会社から経理としてお金の管理を任せられており、これは業務上Aさんが占有している会社の財物です。
そのため会社のお金を許可なく動かし、自身の口座に振り込んだAさんの行為は、業務上横領罪に該当します。

業務上横領罪は「10年以下の懲役」という非常に重い刑罰が規定されています。
これは業務上横領罪が犯人と多数人の信頼関係を破るものであり、その法益侵害は範囲が広く深刻だと判断されているからです。
(単純)横領罪が「5年以下の懲役」であり、遺失物等横領罪が「1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料」であることから、その他の横領の罪と比べ業務上横領罪の罰則規定が厳しいものであることが分かります。

執行猶予の獲得

刑法第25条には執行猶予を獲得する条件が定められており、その中には「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡し」というものがあります。
業務上横領罪は、会社の処罰感情が強くなりやすく横領した金額が多いほど言い渡される処分が重くなりやすいことから、3年以下の拘禁刑で済まないケースも珍しくありません。
しかし弁護士に依頼し示談交渉などの弁護活動を行うことで、減刑による執行猶予の獲得を目指すことができます。
また、会社などの法人に対する示談交渉は、弁護士を通さないなら受けられない場合もあります。
そのため業務上横領罪で事件を起こしてしまった際は、示談交渉の知識と経験が豊富な弁護士に弁護活動を依頼することをお勧めいたします。

業務上横領事件の際はご相談ください

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当事務所では初回無料でご利用いただける法律相談の他、逮捕されてしまった方のもとに弁護士が直接赴く初回接見サービスを実施しております。
どちらのご予約もフリーダイヤル「0120-631-881」にて、24時間受け付けております。
業務上横領罪で事件を起こしてしまった方、またはご家族が業務上横領罪の疑いで逮捕、勾留されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所のへ、是非、ご相談ください。

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