【事例解説】会社から支給されたクレジットカードを私的に使って、業務上横領罪となったケース

業務上横領罪と執行猶予について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

福島県福島市に住んでいる会社員のAさんは、同市内にある勤め先の会社から、交通費を支払うためのクレジットカードを支給されていました。
しかしAさんは、会社から支給されたクレジットカードを仕事と関係ない個人的な移動でも、公共交通機関を利用する際に使用していました。
その後、会社側がAさんのクレジットカードの利用回数と移動の報告が合わないことに気付きました。
最初は報告ミスかと思われましたが、Aさんが私的にクレジットカードを使用していたことがわかり、会社が警察に通報しました。
そしてAさんは、福島北警察署業務上横領罪の容疑で逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)

業務上横領罪

横領の罪業務上横領罪遺失物等横領罪、(単純横領罪といった3種類が刑法に定められています。
刑法第253条が業務上横領罪の条文で、その内容は「業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。」となっています。
業務上横領罪における業務とは、「人が社会生活上の地位に基づき、反復継続して行う行為」を意味しています。
仕事はもちろんのこと、給与の発生しないボランティアや慣例などの行為も「業務」となります。
占有」とは物に対する事実的支配のことで、この条文における「占有」は業務上の委託信頼関係に基づく財物の支配も意味しており、物理的な所持だけでなく、財産の処分権限などの法的支配関係も含んでいます。
参考事件のクレジットカードは、仕事の移動で使用する目的で支給されているため、その用途以外に使う権限はAさんにありません。
よって会社の業務の際に使用するべきクレジットカードを私的に使ったAさんの行為は、業務上横領罪に該当します。
業務上横領罪の法定刑は上記の通り「10年以下の懲役」です。
他の横領の罪は、(単純横領罪が「5年以下の懲役」、遺失物等横領罪が「1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料」が刑罰です。
他と比べ業務上横領罪の刑罰が重いのは、業務関係に基づくものの横領が犯人と多数人との間の信頼関係を破るものである点において、法益侵害の範囲が広いと考えられているためです。

執行猶予

執行猶予とは刑の執行を一定期間猶予し、その期間中に問題を起こさなければ刑の執行を免除するというものです。
執行猶予は付けるための条件があり、そのうちの1つが「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」の言い渡しです。
業務上横領罪の刑罰は「10年以下の懲役」になっているため、3年を超える懲役が言い渡される可能性もあります。
懲役を3年以下に抑えて執行猶予を獲得するためには、減刑のための弁護活動を行う必要があります。
横領事件では示談交渉が重要ですが、会社に対する示談交渉の場合、弁護士がいなければ示談が行えないこともあります。
横領事件の際、執行猶予の獲得を目指す場合は、弁護士に弁護活動の依頼をすることをお勧めします。

横領事件に強い弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件および少年事件を中心に取り扱っています。
当事務所は、初回であれば無料の法律相談の他、逮捕された方のもとへ直接弁護士が伺う初回接見サービスをご利用いただけます。
どちらのご予約もフリーダイヤル「0120-631-881」にて24時間ご予約を受け付けております。
横領の罪で事件を起こしてしまった方、またはご家族が業務上横領罪の容疑で逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へ、お気軽にご連絡ください。

 

無料相談ご予約・お問い合わせ

 

ページの上部へ戻る

トップへ戻る

電話番号リンク 問い合わせバナー