自転車事故で重過失傷害罪

福島県福島市に住む高校1年生のAさんは、近くのスーパーへ行こうと自転車を運転していました。
その際、ズボンのポケットに入れていたスマートフォンからLINEの通知音が鳴ったため、AさんはLINEを確認しようとスマートフォンを見ました。
すると、返信を入力していた際に突然「危ない」という声が聞こえ、正面に高齢の男性Vさんが立っていることに気づきました。
慌ててブレーキを掛けたAさんでしたが、不幸にもVさんと接触してしまい、Vさんに骨折などの怪我を負わせてしまいました。
この件で福島北警察署が現場に駆けつけ、Aさんは重過失傷害罪の疑いで福島北警察署にて取調べを受けることになりました。
そこで、Aさんの両親は示談について弁護士に相談しました。
(フィクションです。)

【重過失傷害罪について】

刑法(一部抜粋)
第二百十一条 業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。

重過失傷害罪は、刑法211条の後段にあるとおり、「重大な過失」によって人に怪我を負わせた場合に成立する可能性のある罪です。
ここで言う「重大な過失」とは、簡単に言うと不注意の程度が著しいことを指すと考えられています。
甚だしい不注意により結果が生じてさえいれば、生じた結果の軽重は問わない点に注意が必要です。
上記事例では、Aさんがスマートフォンを見ていたことでVさんに気づくのが遅れ、ブレーキが間に合わず接触して怪我を負わせています。
一般に、自転車の運転中に周囲に気を配るのは当然であり、それを怠った時点で落ち度があるという非難は避けられないかと思います。
加えて、Aさんにとって運転中にスマートフォンを見る必要性はなかったはずであり、更にLINEの返信となると意識が他にいかなくなることは容易に想定できます。
これらの事情からすれば、Aさんには「重大な過失」があったと認定されても不思議ではありません。
そうすると、これが原因でVさんに怪我をさせている以上、Aさんに重過失傷害罪が成立する可能性はあるでしょう。

【少年事件における示談】

刑事事件における示談とは、謝罪や被害弁償などにより当事者間で一応事件が解決したことを示す合意です。
主に被害者の納得という側面を捉えて、検察官や裁判官は示談の締結を理由に処分を軽くすることがよくあります。
そのため、一般的に示談は重要であり、事件によっては不起訴執行猶予になる可能性が飛躍的に高まります。

ただ、少年事件、すなわち未成年者が起こした刑事事件については、必ずしも示談をすれば丸く収まるというわけではない点に注意が必要です。
少年事件において最終的に目指すところは、心身が未成熟である少年に適切な措置を施し、更生を促すなどして健全な育成を実現することです。
この点から、成人が起こした通常の刑事事件と比べて、少年本人の反省や将来性がより重視されるようになっています。
このような観点から示談を考察した場合、その効力は通常の刑事事件ほど大きくはないと言えます。
なぜなら、示談は形式的には謝罪を含みますが、結局のところ重視されているのは被害者が受けた損害の補填だからです。
示談の締結と少年の反省とは、論理必然的につながるようなものではありません。
特に、未成年者が与えた損害は保護者が補填するのが通常なので、場合によっては未成年者に一切の損失はないということになります。
そのため、示談から少年の反省の程度などを汲み取ることができず、結果的に効果が限定的なものと評価されやすいというわけです。

以上の点を含め、少年事件において最良の結果を目指すためには、事件の内容や少年の人柄などに応じた多種多様な活動を行うことが大切となります。
ですので、少年事件については弁護士に相談するのが得策でしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、少年事件に強い弁護士が、示談を含めて少年ひとりひとりに合わせた最適な付添人活動を行います。
お子さんが重過失傷害罪を疑われたら、刑事事件少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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