公務執行妨害罪で早期釈放

Aさんは、福島県双葉郡内を自転車で走行していたところ、路上に警察官が乗っていると見られる1台のパトカーが停まっているのを目にしました。
Aさんは過去に職務質問を受けたことがあり、その際に警察官の態度が気に入らなかったことを根に持っていたことから、パトカーに向かって拳大の石を投げました。
Aさんはすぐにその場を去りましたが、パトカーに追跡されたのち公務執行妨害罪の疑いで双葉警察署に現行犯逮捕されました。
Aさんから依頼を受けた弁護士は、勾留の阻止による釈放の実現を目指すことにしました。
(フィクションです)

【公務執行妨害罪について】

公務執行妨害罪は、公務員が職務を執行するに当たり、その公務員に対して暴行または脅迫を加えた場合に成立する可能性のある罪です。
ここで言う「公務員」とは、刑法において「国又は地方公共団体の職員その他法令により公務に従事する議員、委員その他の職員」と定義されています。
公務執行妨害罪が問題となるケースは警察官を対象とするものが多くありますが、この定義から公務員であれば広く対象になるということになります。

公務執行妨害罪の保護の主眼は公務の円滑な執行であって、公務員個人の身体の安全ではありません。
そのため、公務執行妨害罪における「暴行」は、必ずしも公務員が直接に受けることを要しないと考えられています。
上記事例では、Aさんがパトカーに向かって石を投げており、これが車内にいた警察官に当たったわけではありません。
ですが、このような行為でも公務の円滑な執行を阻害する危険性は認められ、「暴行」に当たると考えられます。
そうすると、Aさんには公務執行妨害罪が成立し、2年以下の懲役または30万円以下の罰金が科されるおそれがあります。

また、上記行為によりパトカーの車体が凹むなどした場合、公務執行妨害罪とは別に器物損壊罪が成立する余地もあります。
器物損壊罪は個人の財産を害する罪であり、公務執行妨害罪とは保護の対象が異なります。
加えて、暴行罪や脅迫罪とは異なり、器物損壊罪については公務執行妨害罪に当たる行為に通常含まれるとも言えません。
これらの事情から、公務執行妨害罪とは別個に評価すべきだと考えられているのです。

【勾留阻止による早期釈放】

ある事件で逮捕されたからといって、そこから直ちに長期の身体拘束が決定するというわけではありません。
刑事事件における身体拘束は逮捕と勾留に分かれ、前者は最長72時間、後者は最長20日間(起訴されれば別)と定められています。
その趣旨は、身体拘束を短期と長期に分けてそれぞれ手続を定めることで、被疑者の自由剥奪の是非を慎重に検討する点にあります。

勾留に至るまでの手続は、大きく分けて①警察署で行うもの、②検察庁で行うもの、③裁判所で行うものの3段階があります。
各段階においては、次のステップとして①’検察庁送致、②’勾留請求、③’勾留決定が予定されており、各機関はその前に身体拘束継続の当否を検討することになります。
そこで、弁護士としては、それぞれの段階(基本的には②’③’の前)で被疑者を勾留しないよう意見を述べることになります。
勾留の要件は逃亡と証拠隠滅のおそれの2大柱なので、被疑者の態度や家族の監督などによりフォローするのが通常です。

勾留を阻止するのとしないのとでは、身体拘束の長さに数十日の違いが出ます。
事案により難易に差はありますが、早期釈放の可能性がある以上は弁護士に勾留の阻止をお願いしてみるのが得策でしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件の経験豊富な弁護士が、勾留の阻止を実現すべく主張を尽くします。
ご家族などが公務執行妨害罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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