身代わり出頭で犯人隠避罪

身代わり出頭で犯人隠避罪

Aさんは、福島県内の高速道路を走行していた際、自車がオービスに反応したことに気づきました。
1週間後、Aさんはスピード違反の疑いで富岡警察署から呼び出しを受けたことから、知人のBさんに身代わり出頭をお願いしました。
Bさんは了承して出頭しましたが、身代わり出頭が発覚して犯人隠避罪の疑いで逮捕されました。
逮捕の知らせを受けてパニックになったAさんは、ひとまず弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

【身代わり出頭と犯人隠避罪】

ご存知の方も多いかと思いますが、警察署から呼び出しを受けた場合に他者を出頭させることは身代わり出頭と呼ばれます。
身代わり出頭の主な動機は、頼む側としては違反の事実を隠蔽するため、引き受ける側としては人助けをするためというのが多いのではないでしょうか。
ですが、こうした動機から軽率に身代わり出頭を頼んだり引き受けたりすると、犯人隠避罪という重大な罪に関与することになるのです。

【身代わり出頭をした者の罪】

まず、身代わり出頭を引き受けた者については、先述のとおり犯人隠避罪が成立する可能性があります。
犯人隠避罪は、罰金以上の刑に当たる罪を犯した者または拘禁中に逃走した者(以下、「犯人等」)を隠避させた場合に成立します。
ここで言う「隠避」とは、「蔵匿」(場所を提供してかくまうこと)以外の方法で警察などによる逮捕・発見を免れさせる行為を指します。

上記事例では、Bさんがスピード違反で呼び出しを受けたAさんとして警察署に出頭しています。
これにより、警察官はBさんをAさんと誤認し、Bさんを違反者として手続を進めるおそれがあったと言えます。
そうすると、Bさんによる身代わり出頭は「隠避」に当たると考えられます。
そして、スピード違反の法定刑は、道路交通法により6か月以下の懲役または10万円以下の罰金とされています。
以上から、Bさんには犯人隠避罪が成立し、3年以下の懲役または30万円以下の罰金が科されるおそれがあります。

【身代わり出頭を依頼した者の罪】

身代わり出頭を引き受けた者が犯人隠避罪を犯した場合、身代わり出頭を頼んだ者も犯人隠避罪の責任を問われる可能性が高いです。
刑事事件では、特定の犯罪を実行した者だけでなく、他人にその犯罪を実行する決意を生じさせた者も責任を負わせることになっています。
そうした犯罪の実行を決意させる行為は「教唆」と呼ばれ、刑法において「正犯の刑に科する」と定められています。

上記事例では、AさんがBさんに身代わり出頭を依頼し、それを了承したBさんが実際に身代わり出頭を行っています。
そうすると、Aさんは犯人隠避を「教唆」したとして犯人隠避教唆罪が成立し、3年以下の懲役または30万円以下の罰金が科されるおそれがあります。
ちなみに、事案の内容次第では、身代わり出頭をしたBさんより身代わり出頭を頼んだAさんの方が重い刑を科される可能性があります。
教唆犯であれば実行犯より刑が軽いとは限らない点に注意が必要です。

以上で見たように、身代わり出頭に関与すると、犯人隠避罪が成立して大変な事態に陥りかねません。
もし身代わり出頭に関与してしまったら、すぐに弁護士に相談して今後の見通しや取調べ対応などをお聞きください。
刑事事件に詳しい弁護士であれば、相談を受けた時点で最良の対応をお伝えすることができるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が、身代わり出頭犯人隠避罪を疑われた方のご相談も真摯にお聞きします。
犯人隠避罪を疑われたら、刑事事件少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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