大学3年生のAさんは、福島県喜多方市に住むVさん(17歳)と出会い、やがて交際するようになりました。
Vさんは母子家庭でしたが、アルコール依存症でたびたび暴力を振るう母親のことを嫌っていました。
ある夜、Aさん宅を突然Vさんが訪ね、「もうお母さんと一緒に暮らせない。Aと一緒にいたい」と懇願されました。
そこで、AさんはVさん宅に「今日はうちに泊まらせます」という留守電を入れ、Vさんと同居することにしました。
そうしたところ、数日後に喜多方警察署の警察官がAさん宅を訪ね、Aさんは未成年者誘拐罪の疑いで逮捕されました。
逮捕の知らせを受けたAさんの両親は、なんとか不起訴にならないか弁護士に聞いてみました。
(フィクションです)
【未成年者略取罪・未成年者誘拐罪について】
刑法(一部抜粋)
第二百二十四条 未成年者を略取し、又は誘拐した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。
「誘拐」という言葉を聞くと、他人を騙して、あるいは力づくで連れ去るという行為を想像される方が多いのではないかと思います。
刑法において、こうした行為は犯罪として規定されています。
ただし、上記条文にもあるように、刑法上は「略取」と「誘拐」という言葉を用い、それぞれ区別しています。
「略取」と「誘拐」の共通点として、相手方を本来の生活圏から自己または第三者の実力支配下に移転させ、移動の自由を奪う行為であることが挙げられます。
ですが、「略取」は暴行や脅迫を手段とするのに対し、「誘拐」は欺罔(欺くこと)や誘惑を手段とするものです。
未成年者略取罪であれ未成年者誘拐罪であれ法定刑は変わりませんが、他の罪が成立する可能性や事件の悪質性の程度には関わってくるため注意が必要です。
ちなみに、略取・誘拐した未成年者を一定の場所に閉じ込めた場合、監禁罪が併せて成立する余地も出てきます。
その場合、複数の罪で責任を追及されることから、当然ながら処分は重くなることが見込まれるでしょう。
【不起訴を目指すことは可能か】
未成年者略取罪・未成年者誘拐罪における「未成年者」とは、20歳未満の者を指します。
そして、この罪は、未成年者の自由だけでなく保護者の監護権をも保護するものとされています。
つまり、保護者も未成年者略取罪・未成年者誘拐罪の被害者と言える存在であり、未成年者の承諾があったからといって直ちに無罪となるわけではないのです。
もっとも、未成年者の同意があったことは、処分を決めるに際して考慮されることはありえます。
そこで、その点を含む被疑者に有利な事情を主張して、不起訴を目指すということが考えられます。
上記事情以外の有利な事情として、第一に挙げられるのは保護者との示談です。
先述のとおり保護者も被害者となりうることから、その被害者から許しをもらうというのは処分に影響を及ぼす可能性が高いです。
ただ、上記事例のように保護者に問題がある場合、そこまで示談の締結にこだわらなくてよいこともあります。
なぜなら、検察官が起訴か不起訴かの判断を下すに当たり、罪を犯すに至った原因の一端が被害者(保護者)にあることを考慮する可能性は十分あるからです。
もし保護者に問題があるなどの事情からやむを得なかったと主張するのであれば、その経緯を詳細にまとめることも重要となるでしょう。
以上のように、未成年者略取罪・未成年者誘拐罪を疑われたケースでは、個々の事案により処分の見通しや行うべき主張などが異なってきます。
ですので、不起訴に関するご相談を含め、不安があればぜひ弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に詳しい弁護士が、ひとりひとりの事案に合わせて不起訴の可能性を緻密に検討します。
ご家族などが未成年者誘拐罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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