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痴漢が強制わいせつ罪に
Aさんは、福島県いわき市内を走行する電車の中で、中学生のVさんに対する痴漢を企てました。
Aさんによる痴漢は、最初こそお尻を軽く触る程度の軽いものでしたが、やがて下着に手を入れて陰部に触れるというものに至りました。
こうした痴漢が行われていることに周囲の乗客が気づき、Aさんは途中で降車させられたうえで警察に通報されました。
ほどなくしていわき南警察署の警察官が駆けつけ、Aさんを強制わいせつ罪の疑いで逮捕しました。
Aさんと接見した弁護士は、この後に想定される事件の流れを説明しました。
(フィクションです)
【痴漢に成立する罪】
「痴漢」という言葉は、法令に明確な定義があるわけではありません。
痴漢の態様として第一に考えられるのは、他人の胸や尻などに触れるというものです。
こうした行為については、各都道府県が定める迷惑防止条例により罰せられる可能性が高いです。
福島県においても福島県迷惑行為等防止条例が存在し、上記のような痴漢に対する規制として以下のような規定が置かれています。
福島県迷惑行為等防止条例(一部抜粋)
第6条 何人も、公共の場所又は公共の乗物における他人に対し、みだりに、著しいしゅう恥心又は不安を覚えさせるような次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 着衣等の上から、又は直接他人の身体に触れること。
この規定に違反した場合、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金(常習であれば1年以下の懲役または100万円以下の罰金)が科されるおそれがあります。
更に、痴漢の態様が陰部を触るなど悪質であれば、上記の罪ではなく刑法が定める強制わいせつ罪が成立する可能性が出てきます。
刑法(一部抜粋)
第百七十六条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
「わいせつな行為」とは、いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、もって善良な性的道義観念に反する行為を指します。
痴漢の内容が身体の表面に手を触れる程度に収まらなければ、「わいせつな行為」として強制わいせつ罪に当たる余地が出てくるのです。
【逮捕後の事件の流れ】
逮捕後の事件の流れは、法律に従っておおよそ定型的なものになっています。
まず、警察に逮捕されてから48時間以内に、事件に対する弁解を聞かれたり、留置のための手続が行われたりします。
その後、殆どの場合身柄が検察庁へ送致され、身柄が受理されてから24時間以内に検察官が再び弁解を聞くことになります。
以上の手続の結果、検察官がより長期の身体拘束を行うべきだと判断すれば、裁判所に対して勾留請求を行います。
勾留請求を受けた裁判官は、事件の記録に目を通すとともに被疑者に対して簡単な質問を行い、勾留が妥当だと考えると勾留決定を下します。
こうして行われる勾留は、最低でも10日間、更に延長により最長20日間行われます。
以上から、逮捕されると最長23日間も身体拘束が続くおそれがあります。
そればかりか、検察官が起訴を選択すれば、被疑者勾留から被告人勾留へと切り替わって月単位で身体拘束が続いてしまいます。
こうした身体拘束の継続を避けるためには、被疑者・被告人の身元引受人の確保や、被害者との示談交渉などを行いつつ、釈放のための弁護活動を行うことが大切です。
逮捕された方にとっては一日一日が苦痛かと思いますので、お早めに弁護士への依頼をご検討ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が、事件の流れを予測して的確な弁護活動を行います。
ご家族などが痴漢の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回法律相談:無料
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を取り扱う全国的な刑事総合法律事務所です。
福島県の刑事事件・少年事件について、身柄拘束の阻止・早期の釈放や保釈、無実無罪の証明(冤罪の究明)、不起訴による刑罰回避、処罰の適正化など刑事事件・少年事件を中心に扱う経験豊かな弁護士が、自信をもって刑事弁護サービスをご提供いたします。
当事務所では、365日24時間体制で無料法律相談・初回接見サービスのご予約をお電話にて受け付けております。依頼者様のご意向や疑問に真摯に耳を傾け、最良の解決を目指します。お困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。
横領事件で示談
Aさんは、福島県いわき市にあるスーパーマーケットにて、2年近くアルバイトをしていました。
Aさんの業務の内容は、レジ打ちや商品の補充など多岐にわたっていました。
そんなAさんは、アルバイトを始めて数か月が経った頃から、バックヤードで管理されている酒や嗜好品を横領するようになりました。
そうした行為を続けていたところ、在庫の減りが早いのを店長が不審に思い、監視カメラの映像を確認したことで発覚に至りました。
これによりAさんは解雇され、横領事件としていわき東警察署に届け出たこと、被害品相当の額はきっちり返済してもらうことを店長から伝えられました。
焦ったAさんは、弁護士に示談を依頼することにしました。
(フィクションです)
【横領事件は横領罪?】
会社などからお金や商品を着服したというケースは、横領事件としてたびたび見聞することかと思います。
上記事例においても、Aさんの行為が横領事件として警察署に届け出られています。
実は、こうしたケースにおいて必ず横領罪が成立するとは限りません。
以下では、横領罪の内容に触れながらその理由を説明します。
まず、横領罪には、①単純(委託物)横領罪、②業務上横領罪、③占有離脱物横領罪、の3種類があります。
このうち、多くの横領事件において問題となるのは①②です。
①②の横領罪は、いずれも自己が「占有」する他人の物を「横領」した場合に成立する可能性のある罪です。
「占有」「横領」という2つの言葉は、いずれも他人の委託を受けて物を預かっていることが前提となっています。
ポイントとなるのはここで、多くの事例において、具体的にどのような関係にあれば「占有」「横領」と言えるかが問題となります。
手がかりとなるのは、当事者間の信頼関係がどの程度か、物を預かった人にどのような権限が与えられているか、という点です。
上記事例では、品出しなどを行うアルバイトのAさんが、店のバックヤードから商品を横領しています。
Aさんの業務内容は単なる品出しであり、商品棚の在庫が減った際に商品を補充する程度の行為しか認められていないと考えられます。
そうすると、Aさんの商品に対する支配は「占有」に値せず、横領罪ではなく窃盗罪が成立する可能性があります。
横領罪の法定刑は10年以下の懲役、窃盗罪の法定刑は10年以下の懲役または50万円以下の罰金なので、どちらが成立するかは重要です。
【示談を行う場合の注意点】
横領事件に対する被害者の対応は様々です。
被害額相当を支払いさえすれば事件化しないというケースもあれば、刑事事件にしてきちんと償わせるというケースもあります。
横領事件で示談を行うに当たっては、注意すべき点がいくつかあります。
まず、示談を行うに当たり、被害者の主張する金額が自己の認識とおおむね一致しているかどうか確認することが挙げられます。
もし金額が自己の認識と大きく異なる場合、被害者に言われるがまま示談を行うべきかどうかは一考の余地があります。
また、刑事事件に至ったケースについては、具体的に示談の内容をどうするかも重要になります。
たとえば、単に被害額相当の金銭を支払っただけのケースと、それに迷惑料などを加えたうえで宥恕(被害者から許しをもらうこと)の合意までしたケースとでは、当然ながら捜査機関や裁判所の評価は違ってきます。
前科があったり金額が大きかったりして事件が重大になればなるほど、こうした示談の内容はより大きな意味を持つことになるでしょう。
もし示談の効力を最大限に発揮するのであれば、やはり弁護士に依頼するのが得策です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に詳しい弁護士が、一つ一つの事件に合わせて最良と言うに値する示談の締結を目指します。
横領事件を起こしてしまったら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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殺人未遂罪で逮捕
Aさんは、福島県いわき市において、交際相手であるVさんと同居しました。
ある日、AさんはVさんが浮気していることを知り、Vさんにどういうことなのか問い詰めました。
すると、Vさんが謝罪するどころか反発してきたことから、AさんはVさんの首を絞めました。
その際、Aさんは怒りで冷静さを失っており、Vさんを殺害しようなどとは思っていませんでした。
Vさんの苦しむ姿を見てAさんが咄嗟に手を離したところ、Vさんは「警察に行ってくる」とだけ言い残してAさん宅を出ました。
後日、Aさんは殺人未遂罪の疑いでいわき中央警察署に逮捕されました。
Aさんと初回接見を行った弁護士は、Aさんから黙秘権について質問を受けました。
(フィクションです)
【殺人未遂罪について】
刑法(一部抜粋)
第百九十九条 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
第二百三条 第百九十九条及…の罪の未遂は、罰する。
殺人未遂罪は、人を殺そうと行為に及んだものの、結果的に殺すに至らなかった場合に成立する可能性のある罪です。
本来、犯罪は特定の権利や利益を侵害した場合に成立するものであり、そうした結果が生じなければ犯罪として処罰されないのが原則です。
ですが、殺人未遂罪に関しては、殺人の危険を生じさせること自体が処罰に当たるとして規定が置かれています。
このように、未遂罪というのは特定の犯罪に限って存在し、全ての犯罪の未遂がもれなく罰せられるわけではありません。
殺人未遂罪と成立要件が重なる罪として、暴行罪と傷害罪が挙げられます。
これらの罪との区別は、①行為に人を殺す危険性が認められるか、②行為の際に殺すつもり(殺人の故意、殺意)があったか、の2点によります。
これらのいずれか一方でも欠ければ、殺人未遂罪は成立せず、上記の暴行罪か傷害罪が成立するにとどまるでしょう。
上記事例では、AさんがVさんの首を絞めているものの、AさんにVさんを殺すつもりがあったわけではありません。
そうすると、上記①は認められる一方、②は認められず、結果的に殺人未遂罪は成立しないと考えられます。
ただし、注意すべき点として、「殺すつもりはなかった」という供述から直ちに殺人の故意が否定されるわけではないことが挙げられます。
裁判において、人の内面は行為の内容や従前の関係などの客観的な事情から推認されるものです。
ですので、たとえ上記のような供述をしても、他の事情から殺人の故意が認定される可能性は拭えないのです。
【黙秘権の活用法】
日本国憲法とそれを受けた各種法律は、自己が刑事上の責任を問われる事項について供述を拒む権利を認めています。
これが黙秘権であり、刑事事件においては被疑者・被告人に認められている非常に重要な権利の一つと言えます。
黙秘権の内容はシンプルですが、その使いどころはなかなか難しいものです。
黙秘権を行使するメリットとして、被疑者・被告人本人の供述という有力な証拠を捜査機関に与えない点が挙げられます。
犯行に及んでいれば証拠不十分による不起訴や無罪を狙えますし、無実であれば虚偽の自白や誘導による誤った供述を回避できます。
一方で、黙秘権を行使するデメリットとして、捜査機関や裁判所に否定的な評価を与えるおそれがある点です。
たしかに黙秘権はれっきとした権利なのですが、それを行使すると「反省の態度が見られない」などと思われるのが実情です。
これにより、逮捕・勾留による長期の身柄拘束を招いたり、有罪となった際に刑が重くなったりすることがありえるのです。
以上の点から、黙秘権行使の是非を検討するに当たっては、個々の事案におけるメリットとデメリットを天秤にかける必要があります。
ですので、もし黙秘権の行使を検討されるのであれば、いったん弁護士に相談されることを強くおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件のプロである弁護士が、黙秘権に関するお悩みに対して的確なアドバイスを致します。
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中学生の業務妨害罪
福島県南会津郡に住む中学3年生のAさんは、夏休みに自宅で友人と遊んでいた際、じゃんけんで負けた人が罰ゲームをすることになりました。
その罰ゲームの内容は、近所にあるピザ屋に連絡し、適当な住所を言ってピザを5枚注文するというものでした。
じゃんけんの結果、Aさんが罰ゲームをすることになり、上記内容を実行しました。
その後、住所が存在しなかったことからピザ屋の店員が嘘だと気づき、南会津警察署に相談しました。
これにより、Aさんは偽計業務妨害罪の疑いで取調べを受けることになったため、Aさんの親が弁護士に今後の流れを聞きました。
(フィクションです)
【業務妨害罪について】
刑法233条は、「虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、…その業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する」と定めています。
また、234条において、「威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による」としています。
これらがいわゆる業務妨害罪の規定です。
業務妨害というと、店などの利益を低下させたことによる損害賠償を想定するかもしれませんが、上記のとおり刑事上の責任も問われる可能性があるのです。
先ほど引用した業務妨害罪の規定は、233条が偽計業務妨害罪、234条が威力業務妨害罪に関する規定です。
簡単に言えば、他人に対する嘘や他人による勘違いなどを利用するのが偽計業務妨害罪、暴行や怒号などを利用するのが威力業務妨害罪です。
条文には「業務を妨害した」とありますが、売上の低下や業務の停滞などの実害は必ずしも生じる必要がないと考えられています。
ですので、円滑な業務を妨げる危険性さえ認められれば、偽計や威力のみをもって業務妨害罪が成立する可能性があります。
上記事例では、Aさんがピザ屋に対し、適当な住所を言ってピザを注文しています。
このような行為は、本来ピザを注文するつもりがないのにそのように装うものであり、なおかつ本来不要な調理を求めるものです。
そうすると、「偽計」を用いて「業務を妨害した」として、Aさんの行為は偽計業務妨害罪に当たると言えるでしょう。
法定刑は3年以下の懲役または50万円以下の罰金ですが、後述のとおりAさんには刑罰が科されません。
【少年事件における処分】
罪を犯した者が20歳未満の者に当たる場合、少年事件として成年による通常の刑事事件とは異なる取り扱いがなされます。
以下では、上記事例のAさんについて、今後どのような流れで処分が下されるのか簡単に見ていきます。
まず、警察官と検察官が捜査を行う段階においては、基本的に通常の刑事事件と大きく異なりません。
取調べで捜査機関に呼び出されることもありますし、事案の内容によっては逮捕および勾留による身柄拘束がなされます。
ただし、長期の身柄拘束である勾留の請求については、「やむを得ない場合」でなければならないと少年法に定められています。
事件の捜査が終了すると、罪を犯したとされる少年は家庭裁判所に送致されることになります。
少年事件の場合、裁判で有罪となって刑罰を科されたり、逆に裁判が開かれず不起訴で事件が終了したりすることはありません。
これは種々の政策を通して少年の健全な育成を達成するという趣旨に則っており、少年事件最大の特徴と言えます。
事件の送致を受けた家庭裁判所は、面談などを通して少年の資質、性格、能力などを把握し、必要に応じて少年審判という裁判に代わる手続を行います。
少年審判が開かれた場合、①不処分、②保護観察、③児童自立支援施設または児童養護施設送致、④少年院送致のいずれかが選択されます。
②から④をまとめて保護処分と呼び、事件の内容や、その時点における少年の更生の可能性などを主に考慮して決定されます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、少年事件の経験豊富な弁護士が、少年事件に関する疑問に丁寧にお答えします。
お子さんが業務妨害罪を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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準強制性交等罪で逮捕
Aさんは、福島県河沼郡にあるバーにて一人でお酒を飲んでいた際、同じく一人で飲んでいた女性Vさんと仲良くなりました。
Aさんがバーを出ると、それに続いてVさんも出てきたことから、「よければこれからうちでもう少し飲まない?」と声を掛けました。
Vさんがそれに応じたことから、すぐ近くのAさん宅でお酒を飲んだところ、Vさんは酔いつぶれて寝てしまいました。
チャンスだと思ったAさんは、寝ているVさんの服を脱がせ、Vさんと性行為に及びました。
Vさんは目を覚まし、Aさんをはねのけて無言でAさん宅を出ました。
その後、Aさんは準強制性交等罪の疑いで会津坂下警察署に逮捕されたことから、弁護士が初回接見に行きました。
(フィクションです)
【準強制性交等罪について】
かつて強姦罪と呼ばれていた罪は、最近の刑法改正によって強制性交等罪という名称に改められました。
上記事例でAさんが疑われたのは、準強制性交等罪というものです。
刑法第百七十八条
2 人の心身喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、もしくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条(注:177条の強制性交等罪。5年以上の有期懲役)の例による。
準強制性交等罪は、何らかの事情(暴行および脅迫を除く)で被害者が抵抗できない状態にあることを利用して「性交等」を行う罪です。
「心神喪失」はそもそも性交等の事実が認識できない状態を、「抗拒不能」は性交等の事実が認識できるものの抵抗ができない状態を指します。
前者の例としては泥酔や熟睡、後者の例としては手足が縛られていたり恐怖に支配されていたりすることが挙げられます。
ただし、暴行または脅迫により心神喪失や抗拒不能に陥らせた場合、暴行・脅迫により性交等に及んだとして強制性交等罪に当たると考えられます。
また、「性交等」には、性器同士を接触させる通常の性交だけでなく、男性器を口で弄ぶ口腔性交と肛門に男性器を挿入して行う肛門性交も含まれます。
上記事例では、Aさんが泥酔して熟睡しているVさんに対し、服を脱がせて性行為を行っています。
このような行為は、「心神喪失」であることを利用して「性交等」に及んだと言えることから、Aさんには準強制性交等罪が成立するでしょう。
【弁護士による接見のメリット】
身体拘束された被疑者・被告人は、接見等禁止という決定が出ていない限り、一応誰とでも面会することができます。
ただし、弁護士以外の者が行う一般面会には、主に逃亡や証拠隠滅を防止する必要性から種々の制限が設けられています。
以下では、弁護士とそれ以外の者とでどのような違いがあるか見ていきます。
①面会が可能な時期や日時
一般面会の場合、原則として長期の身体拘束である勾留が決定した後でなければできません。
また、日時と時間も決まっており、だいたい平日の朝から夕方までで1日1回15分程度です。
これに対し、弁護士は逮捕直後であればいつでも面会でき、面会の時間も制限されていないというのが原則です。
②立会人の要否
一般面会には警察署の職員が立ち会うことになっており、話の内容次第(たとえば事件の詳細)では会話を遮られることもあります。
一方、弁護士は立会人なくして面会が可能であるため、逃亡や証拠隠滅の援助にならない限り何でも話すことができます。
たとえば、今後の弁護活動に関わる余罪の有無や内容についても、警察署の職員がいないことで心置きなく話せるでしょう。
③面会の場所
逮捕中の被疑者・被告人は、基本的に警察署の留置施設にいますが、必要に応じて検察庁や裁判所へ行くことがあります。
その場合、検察庁や裁判所内での一般面会は許されていないため、面会をすることはできません。
ですが、弁護士に関しては、充実した弁護活動の要請から一定の範囲で面会が許されています。
警察署での面会に比べると自由が制限されていますが、それでも捜査や裁判の直前あるいは直後にアドバイスを受けられる点で有益と言えます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に詳しい弁護士が、逮捕された方が少しでも安心できるよう必要に応じて接見を行います。
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未成年者誘拐罪で逮捕
大学3年生のAさんは、福島県喜多方市に住むVさん(17歳)と出会い、やがて交際するようになりました。
Vさんは母子家庭でしたが、アルコール依存症でたびたび暴力を振るう母親のことを嫌っていました。
ある夜、Aさん宅を突然Vさんが訪ね、「もうお母さんと一緒に暮らせない。Aと一緒にいたい」と懇願されました。
そこで、AさんはVさん宅に「今日はうちに泊まらせます」という留守電を入れ、Vさんと同居することにしました。
そうしたところ、数日後に喜多方警察署の警察官がAさん宅を訪ね、Aさんは未成年者誘拐罪の疑いで逮捕されました。
逮捕の知らせを受けたAさんの両親は、なんとか不起訴にならないか弁護士に聞いてみました。
(フィクションです)
【未成年者略取罪・未成年者誘拐罪について】
刑法(一部抜粋)
第二百二十四条 未成年者を略取し、又は誘拐した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。
「誘拐」という言葉を聞くと、他人を騙して、あるいは力づくで連れ去るという行為を想像される方が多いのではないかと思います。
刑法において、こうした行為は犯罪として規定されています。
ただし、上記条文にもあるように、刑法上は「略取」と「誘拐」という言葉を用い、それぞれ区別しています。
「略取」と「誘拐」の共通点として、相手方を本来の生活圏から自己または第三者の実力支配下に移転させ、移動の自由を奪う行為であることが挙げられます。
ですが、「略取」は暴行や脅迫を手段とするのに対し、「誘拐」は欺罔(欺くこと)や誘惑を手段とするものです。
未成年者略取罪であれ未成年者誘拐罪であれ法定刑は変わりませんが、他の罪が成立する可能性や事件の悪質性の程度には関わってくるため注意が必要です。
ちなみに、略取・誘拐した未成年者を一定の場所に閉じ込めた場合、監禁罪が併せて成立する余地も出てきます。
その場合、複数の罪で責任を追及されることから、当然ながら処分は重くなることが見込まれるでしょう。
【不起訴を目指すことは可能か】
未成年者略取罪・未成年者誘拐罪における「未成年者」とは、20歳未満の者を指します。
そして、この罪は、未成年者の自由だけでなく保護者の監護権をも保護するものとされています。
つまり、保護者も未成年者略取罪・未成年者誘拐罪の被害者と言える存在であり、未成年者の承諾があったからといって直ちに無罪となるわけではないのです。
もっとも、未成年者の同意があったことは、処分を決めるに際して考慮されることはありえます。
そこで、その点を含む被疑者に有利な事情を主張して、不起訴を目指すということが考えられます。
上記事情以外の有利な事情として、第一に挙げられるのは保護者との示談です。
先述のとおり保護者も被害者となりうることから、その被害者から許しをもらうというのは処分に影響を及ぼす可能性が高いです。
ただ、上記事例のように保護者に問題がある場合、そこまで示談の締結にこだわらなくてよいこともあります。
なぜなら、検察官が起訴か不起訴かの判断を下すに当たり、罪を犯すに至った原因の一端が被害者(保護者)にあることを考慮する可能性は十分あるからです。
もし保護者に問題があるなどの事情からやむを得なかったと主張するのであれば、その経緯を詳細にまとめることも重要となるでしょう。
以上のように、未成年者略取罪・未成年者誘拐罪を疑われたケースでは、個々の事案により処分の見通しや行うべき主張などが異なってきます。
ですので、不起訴に関するご相談を含め、不安があればぜひ弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に詳しい弁護士が、ひとりひとりの事案に合わせて不起訴の可能性を緻密に検討します。
ご家族などが未成年者誘拐罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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無免許運転で略式罰金
福島県耶麻郡在住のAさんは、過去に複数回スピード違反を行ったことで、60日の免許停止処分が下されました。
それにもかかわらず、自宅から徒歩10程度の距離にあるコンビニへ行く際、車を運転して行きました。
その途中、他の車と軽く接触する事故を起こし、警察が駆けつけたことで運転したことが発覚してしまいました。
事故の相手方に怪我はありませんでしたが、Aさんは無免許運転の疑いで猪苗代警察署にて取調べを受けることになりました。
Aさんから相談を受けた弁護士は、最終的に略式罰金で終わる可能性が高いと説明しました。
(フィクションです)
【無免許運転について】
車や原付を運転する場合、車両に応じて運転免許を取得しなければなりません。
その運転免許がない状態で運転した場合、道路交通法が定める無免許運転に当たります。
以下では、意外と知られていない無免許運転の詳細について解説します。
道路交通法64条1項は「…公安委員会の運転免許を受けないで(…)、自動車又は言動付自転車を運転してはならない」と定めています。
そして、同法117条の2の2において、上記規定に違反して無免許運転をした場合に3年以下の懲役または50万円以下の罰金を科すとしています。
ここで注意すべきは、この無免許運転に当たる場合というのが、元から運転免許を取得していないという場合に限られない点です。
先ほどは省略しましたが、同法64条1項には「運転免許の効力が停止されている場合を含む」と明記されています。
つまり、いわゆる免停により一時的に運転できないに過ぎない場合であっても、車を運転すれば無免許運転に当たるということです。
上記事例のAさんも、60日間の免停期間中に運転している以上、無免許運転の罪の成否を争うのは難しいと言えるでしょう。
ちなみに、無免許運転と区別が必要な違反として免許証の不携帯が挙げられます。
こちらは免許証が車内や懐中になかったというものであり、罰則も2万円以下の罰金または科料(1000円以上1万円以下の金銭の納付)という軽微なものです。
加えて、いわゆる青切符による簡易・迅速な処理が可能であることから、赤切符を切られて刑事事件として処理される無免許運転とは大きく異なると言えるでしょう。
【略式罰金による事件の終了】
無免許運転の処分がどうなるかは、実際のところ事案の内容や前科の有無などにより様々です。
ですが、無免許運転の罪のみで捜査され、なおかつ初犯であれば、20万円から30万円程度の罰金刑となることが多いでしょう。
事案の内容からして100万円以下の罰金刑を科すのが相当である場合、略式起訴(略式手続)という特殊な処理をされることがよく見られます。
略式罰金とは、通常こうした特殊な手続により科される罰金刑のことを指します。
略式罰金の最大の特徴は、裁判官が書面に基づき事件の審理を行う点です。
本来であれば、検察官が起訴をした場合は裁判所の法廷で審理が行わなければなりません。
ですが、全ての事件を法廷で審理するとなると、被告人、検察官、裁判官のいずれにとっても負担となります。
そこで、被告人の同意が得られた事件については、より簡単な手続で裁判を行うというわけです。
略式罰金に同意する際に留意すべき点として、捜査機関が作成した証拠に沿って事実認定が行われるということが挙げられます。
ですので、もし事実関係に争いがあるということであれば、敢えて通常の裁判を希望して無罪などを目指すのも選択肢の一つです。
ただ、この希望は一定期間が経過すると受け付けてもらえなくなるので、悩んだらお早めに弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件のプロである弁護士が、略式罰金に応じるべきか多角的な視点から検討します。
無免許運転を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を取り扱う全国的な刑事総合法律事務所です。
福島県の刑事事件・少年事件について、身柄拘束の阻止・早期の釈放や保釈、無実無罪の証明(冤罪の究明)、不起訴による刑罰回避、処罰の適正化など刑事事件・少年事件を中心に扱う経験豊かな弁護士が、自信をもって刑事弁護サービスをご提供いたします。
当事務所では、365日24時間体制で無料法律相談・初回接見サービスのご予約をお電話にて受け付けております。依頼者様のご意向や疑問に真摯に耳を傾け、最良の解決を目指します。お困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。
名誉毀損罪で示談
Aさんは、福島県会津若松市にある株式会社Xに務めており、同僚であるVさんを個人的に嫌っていました。
ある日、Vさんが昇進するということを知ったAさんは、Vさんに嫌がらせをして社内での評判を落としてやろうと思いました。
そこで、全くの事実無根であるにもかかわらず、社内に「Vは出世のためなら誰とでも寝るような尻軽女」という内容の貼り紙をしました。
この貼り紙の存在がVさんに伝わり、会津若松警察署に名誉毀損罪として被害届が出されました。
そのことを知ったAさんは、弁護士に示談を依頼することにしました。
(フィクションです)
【名誉毀損罪について】
刑法(一部抜粋)
第二百三十条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
名誉毀損罪は、簡単に言えば公の場で他人の名誉を毀損するような行為に及んだ場合に成立する可能性のある罪です。
民事上の損害賠償請求の方がなじみ深いかもしれませんが、刑事上の責任も上記のとおり存在しています。
名誉毀損罪の成立要件は、「公然と」「事実」を摘示し、人の名誉を「毀損」することです。
まず、「公然と」とは、名誉毀損の内容を不特定または多数人が認識できる状態にあることを指します。
ですので、認識できるのが特定かつ小数人に限られたのであれば、「公然と」とは言えないことになります。
また、飽くまでも認識できれば足りることから、実際に不特定または多数人が認識したかどうかは問いません。
次に、「事実」の摘示が必要であることにも注意が必要です。
たとえば、単に「馬鹿」と言った場合、それは事実ではなく評価に過ぎないことから、名誉毀損罪ではなく侮辱罪が問題になると考えられます。
最後に、「毀損」とは、他人の社会的評価を低下させるおそれのある状態を生じさせることを指します。
上記事例では、Aさんが会社内において「Vは出世のためなら誰とでも寝る尻軽女」という内容を周知しています。
ここでの「寝る」は一般的に性行為の事実だと解釈できることから、「事実」を摘示してVさんの名誉を「毀損」したと言えます。
こうした行為を社内で「公然と」行っているため、Aさんには名誉毀損罪が成立する可能性が高いでしょう。
【示談の効果】
示談とは、謝罪や賠償などをしたことにより、当事者間において事件が解決したことを確認する合意のことです。
名誉毀損罪を犯してしまっても、被害者と示談が締結できれば以下のようなかたちで事件を終わらせることが期待できます。
①警察が介入する前に示談をした場合
刑事事件の多くは、警察が犯罪の被害者からの申告を受けて捜査を開始することになります。
上記事例でもVさんの被害届を受けて警察が動くことになると考えられるため、一つの手段として被害届の提出前に示談を行うことが考えられます。
警察が介入する前に示談を締結し、事件を公にしない旨合意すれば、事件が刑事事件として立件されることなく終了させることができます。
②警察が介入した後で、検察官が起訴する前に示談をした場合
たとえ事件が警察に知られても、検察官が処分を下すまでは不起訴というかたちで事件が終了する可能性が残っています。
検察官は様々な事情を考慮して起訴する(裁判を行う)べきか決めるところ、名誉毀損罪については示談により不起訴となる余地があります。
特に、初犯であればいっそうその可能性は高くなるでしょう。
不起訴は事件の終了を意味するものであり、その後刑罰が科されて前科がつくことは基本的にありません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に特化した弁護士が、あらゆる事案において的確な示談交渉を行います。
名誉毀損罪を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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高校生が通貨偽造罪で逮捕
福島県田村郡に住むAさん(16歳)は、両親がお金に厳しく、月に1000円程度しか小遣いがありませんでした。
そのため、友人からの遊びの誘いをいつも断っており、そのたびにお金が満足に使えないことを疎ましく思っていました。
そこで、自宅のプリンターを用いて1万円札をカラーで印刷し、それを財布に入れていました。
ある日、Aさんがその偽札を使ってコンビニで買い物をしたところ、その翌日に店員が偽札であることに気づいて警察に通報しました。
これにより、家宅捜索が行われたうえで、Aさんは通貨偽造罪の疑いで田村警察署に逮捕されました。
逮捕の知らせを受けたAさんの母親は、少年院に行くことになるのか弁護士に尋ねました。
(フィクションです)
【通貨偽造罪について】
通貨偽造罪は、「行使の目的」で通貨(日本で使用できる硬貨や紙幣)を「偽造」した場合に成立する可能性のある罪です。
簡単に言えば偽物のお金をつくった際に成立する罪ですが、少し複雑な罪なので詳しく解説していきます。
まず、「行使の目的」とは、偽造したものを真正な通貨として流通させる目的を指します。
このことから、たとえば学校の授業の教材として利用するために偽札をつくった場合には、通貨偽造罪は成立しないと考えられます。
次に、「偽造」とは、権限のない者が通貨に似た見た目のものを作成することを指します。
ただし、既にある通貨に加工を加えた場合は「偽造」ではなく「変造」となり、通貨偽造罪ではなく通貨変造罪に当たります。
とはいえ、罪名こそ違えど法定刑は同じなので、この違いが処分の結果に大きく影響するケースは多くないでしょう。
上記事例のAさんは、買い物などに使用する目的で、1万円札をカラープリントしています。
そうすると、「行使の目的」で「通貨」を「偽造」したと言えることから、Aさんには通貨偽造罪が成立すると考えられます。
更に、これをコンビニで使用していることから、偽造通貨行使罪も併せて成立することが見込まれるでしょう。
ちなみに、仮にAさんによる偽造が雑で、偽札の出来が一般人を誤信させるに至らないものだった場合、通貨偽造罪は成立しない余地が出てきます。
ただ、その場合には、通貨及証券模造取締法という法律により別途罰せられる可能性があるため注意が必要です。
【少年院送致とは】
上記事例のAさんは少年(20歳未満の者)であることから、通常の刑事事件ではなく少年事件として手続が進む可能性が高いです。
少年事件の特色というのはいくつか挙げられますが、中でも最も重要なのは最終的な処分です。
少年事件の場合、少年に適切な措置を施して正しい道へ導くという趣旨から、刑罰ではなく保護処分というものが行われることになっています。
この保護処分には、①少年院送致、②児童養護施設・児童自立支援施設送致、③保護観察、の3つがあります。
また、こうした保護処分以外に、そもそも保護処分を決めるための審判すら開かない審判不開始、審判の結果何らの保護処分にも付しない不処分というものもあります。
上記保護処分のうち、一般的に知名度が高く、なおかつ避けたいという声が多いのはやはり少年院送致ではないかと思います。
少年院送致とは、少年を少年院に収容し、そこでの生活を通して健全な育成を目指すというものです。
一般的に、非行に及ぶ傾向が強いなど要保護性が大きい少年に対して行われます。
こうした点から、少年院送致を避けるためには、少年院に行かずとも少年の更生が目指せると言えるような環境を整えることが重要です。
そうした環境整備のことを含め、少しでも不安があればぜひ弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、少年事件の経験豊富な弁護士が、少年院に行かせたくないというご要望に沿えるよう全力を尽くします。
お子さんが通貨偽造罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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医療ミスで業務上過失傷害罪に
Aさんは、福島県東白川郡にあるX病院にて麻酔科医を務めています。
ある日、X病院で全身麻酔を用いて患者のVさんの手術をすることになり、Aさんはその麻酔を担当することになりました。
手術当日、Vさんに麻酔を導入したAさんは、別の業務があったことから手術室を後にしました。
それから30分程度して手術室に戻ったところ、麻酔用の医療機器に不具合が見つかり、Vさんに手足のしびれなどの後遺症が残りました。
この件で、Aさんは業務上過失傷害罪の疑いで棚倉警察署にて取調べを受けることになりました。
Aさんは、他に医師や看護師がいたことから自身の一連の行動に誤りはないと考えており、弁護士に事件を依頼して不起訴や無罪を目指すことにしました。
(フィクションです)
【医療ミスの際に問題となる罪】
医療ミスによって、医師が患者に本来予定されていなかった症状を生じさせた場合、業務上過失致死傷罪が成立する可能性があります。
刑法第211条(一部抜粋)
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。
業務上過失致死傷罪は、過失(簡単に言えば不注意)による死傷を罰する過失傷害罪および過失致死罪の加重類型です。
犯罪というのは原則として故意によるものを処罰するとされており、過失によるものの処罰というのは例外的です。
そのことから、過失傷害罪および過失致死罪については重い刑事責任を負わせるべきでないと考えられており、法定刑も故意の傷害罪や殺人罪に比べて著しく軽いものとなっています。
ですが、他人の身体・生命を脅かす仕事などを行っている者まで軽く処罰するとなると、社会において危険な活動が安易に行われてしまうおそれがあります。
そこで、業務上過失傷害罪という類型を創設し、通常の過失傷害罪より重く処罰するものとしているのです。
【不起訴や無罪を目指す】
医療ミスにより業務上過失致死傷罪を疑われた場合、最も問題となるのは過失の有無ではないかと思います。
先述のとおり、「過失」とは簡単に言えば不注意のことですが、刑事事件においてその認定は厳格に行われます。
具体的には、結果が想定できたか、結果阻止のためにどのような対応ができたか、その対応は期待できたか(難しくなかったか)、といった点が細かく検討されることになります。
仮に「過失」がなかったと判断されると、業務上過失致死傷罪の要件を満たさないことになり、裁判で無罪となります。
それだけでなく、検察官が不起訴処分を下し、有罪無罪の前にそもそも裁判が行われず終了するということもあります。
これは、検察官がある事件を起訴するかどうか決める際、裁判において有罪をほぼ確実に立証できるかを考慮するためです。
日本において有罪の立証率が高い原因の一つはこの点にあり、もし検察官が「過失と言えるか怪しい」と判断すれば、不起訴となる可能性は高まります。
以上の点を踏まえ、医療ミス事件における弁護士の役割の一つは、過失の有無を争って事件を不起訴または無罪に導くことだと言えます。
ただ、弁護士一般にとって医学というのは本来畑違いですから、弁護活動に際しては弁護士の力量が試される傾向にあります。
それに加えて、過失というのは法律論だけでなく事実の認定という面でも何かと難しい問題があります。
ですので、もし医療ミス事件の弁護活動を依頼するのであれば、刑事事件に関して相応の腕前を持つ弁護士を探すのが得策でしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に特化した弁護士が、豊富な知識と経験を駆使して不起訴や無罪を目指します。
ご家族などが医療ミスを起こして逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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福島県の刑事事件・少年事件について、身柄拘束の阻止・早期の釈放や保釈、無実無罪の証明(冤罪の究明)、不起訴による刑罰回避、処罰の適正化など刑事事件・少年事件を中心に扱う経験豊かな弁護士が、自信をもって刑事弁護サービスをご提供いたします。
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