高校生が通貨偽造罪で逮捕

福島県田村郡に住むAさん(16歳)は、両親がお金に厳しく、月に1000円程度しか小遣いがありませんでした。
そのため、友人からの遊びの誘いをいつも断っており、そのたびにお金が満足に使えないことを疎ましく思っていました。
そこで、自宅のプリンターを用いて1万円札をカラーで印刷し、それを財布に入れていました。
ある日、Aさんがその偽札を使ってコンビニで買い物をしたところ、その翌日に店員が偽札であることに気づいて警察に通報しました。
これにより、家宅捜索が行われたうえで、Aさんは通貨偽造罪の疑いで田村警察署に逮捕されました。
逮捕の知らせを受けたAさんの母親は、少年院に行くことになるのか弁護士に尋ねました。
(フィクションです)

【通貨偽造罪について】

通貨偽造罪は、「行使の目的」で通貨(日本で使用できる硬貨や紙幣)を「偽造」した場合に成立する可能性のある罪です。
簡単に言えば偽物のお金をつくった際に成立する罪ですが、少し複雑な罪なので詳しく解説していきます。

まず、「行使の目的」とは、偽造したものを真正な通貨として流通させる目的を指します。
このことから、たとえば学校の授業の教材として利用するために偽札をつくった場合には、通貨偽造罪は成立しないと考えられます。
次に、「偽造」とは、権限のない者が通貨に似た見た目のものを作成することを指します。
ただし、既にある通貨に加工を加えた場合は「偽造」ではなく「変造」となり、通貨偽造罪ではなく通貨変造罪に当たります。
とはいえ、罪名こそ違えど法定刑は同じなので、この違いが処分の結果に大きく影響するケースは多くないでしょう。

上記事例のAさんは、買い物などに使用する目的で、1万円札をカラープリントしています。
そうすると、「行使の目的」で「通貨」を「偽造」したと言えることから、Aさんには通貨偽造罪が成立すると考えられます。
更に、これをコンビニで使用していることから、偽造通貨行使罪も併せて成立することが見込まれるでしょう。
ちなみに、仮にAさんによる偽造が雑で、偽札の出来が一般人を誤信させるに至らないものだった場合、通貨偽造罪は成立しない余地が出てきます。
ただ、その場合には、通貨及証券模造取締法という法律により別途罰せられる可能性があるため注意が必要です。

【少年院送致とは】

上記事例のAさんは少年(20歳未満の者)であることから、通常の刑事事件ではなく少年事件として手続が進む可能性が高いです。
少年事件の特色というのはいくつか挙げられますが、中でも最も重要なのは最終的な処分です。
少年事件の場合、少年に適切な措置を施して正しい道へ導くという趣旨から、刑罰ではなく保護処分というものが行われることになっています。
この保護処分には、①少年院送致、②児童養護施設・児童自立支援施設送致、③保護観察、の3つがあります。
また、こうした保護処分以外に、そもそも保護処分を決めるための審判すら開かない審判不開始、審判の結果何らの保護処分にも付しない不処分というものもあります。

上記保護処分のうち、一般的に知名度が高く、なおかつ避けたいという声が多いのはやはり少年院送致ではないかと思います。
少年院送致とは、少年を少年院に収容し、そこでの生活を通して健全な育成を目指すというものです。
一般的に、非行に及ぶ傾向が強いなど要保護性が大きい少年に対して行われます。
こうした点から、少年院送致を避けるためには、少年院に行かずとも少年の更生が目指せると言えるような環境を整えることが重要です。
そうした環境整備のことを含め、少しでも不安があればぜひ弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、少年事件の経験豊富な弁護士が、少年院に行かせたくないというご要望に沿えるよう全力を尽くします。
お子さんが通貨偽造罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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