Archive for the ‘刑事事件’ Category

いん行の罪と逮捕回避

2020-04-25

いん行の罪と逮捕回避

いん行の罪と逮捕回避について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所静岡支部が解説します。

~ケース~

福島県須賀川市に住む会社員のAさん(33歳)は、SNSを通じて知り合ったVさん(16歳)と淫行目的で会い、同市内のホテルでVさんといん行しました。その後もAさんはVsなんと連絡を取り続けていましたが、Vさんの行動を不審に思ったVさんの両親が須賀川警察署に相談。同警察署の警察官が補導巡回中のところVさんを発見、補導したことでAさんとのいん行の件が発覚しました。Aさんはその直後、Vさんから「警察に補導された」とのメールを受けましたが、そのメールがVさんとのやり取りの最後のメールとなりました。Aさんはいん行の件が警察にバレて逮捕されるのではないかと不安で夜も眠れない日が続き、いん行に強い弁護士に無料法律相談を申し込むことに決めました。
(フィクションです)

~いん行の罪~

いん行の罪は、各都道府県の青少年健全育成条例に規定されています。
条例によっていん行の罪が成立する要件は異なるものの、青少年(18歳未満の者。ただし、婚姻している者は除く、としている条例も多いです。)に対して

・いん行
・わいせつな行為

をしてはならない、ということは共通しているのではないでしょうか?
判例によれば「いん行」とは「広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきではなく、青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性行為類似行為」とされています。
これからすると、「いん行」とは

・性交又は性交類似行為

とされていることに注意が必要です。
ここで「性交類似行為」とは何を意味するのか明確な基準はありませんが、性交と同一視できるような口腔性交、肛門性交は性交類似行為に当たるでしょう。
また、性交類似行為に当たらなくても「わいせつな行為」に当たる可能性もあります。
そして、判例は
・威迫、欺罔、困惑などの手段を用いた性交又は性交類似行為
・青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為
もいん行に当たるとしています。

「青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っている」かどうかは、
・行為者と青少年との年齢差
・行為者と青少年との関係性
・行為者と青少年とが知り合った経緯
・知り合ってから淫行に至るまでの経緯、動機
・淫行の内容、頻度
・交際ややり取りの内容
などを詳細に検討する必要があるでしょう。

~知情性推定規定~

いん行の罪が成立するには、行為者が相手方を青少年、つまり18歳未満の者と認識している(故意がある)必要があります。
しかし、条例では青少年の保護から、

・年齢につき認識がなくても、過失がない場合以外は認識があるものとする

という規定を設けています。
これを知情性推定規定といいます。
あくまで推定ですから、行為者が「過失がない」ことを立証できた場合は反対に「認識がない」とされます。
「過失がない」とは年齢確認につき相当な注意義務を払っていた場合をいいます。

~逮捕を回避するには~

逮捕を回避する確実な方法はありませんが、逮捕される可能性を大きく下げる方法はあります。

=被害者と示談する=

被害者と示談することができれば、被害者に警察に被害届を提出しないことを約束していただける可能性があります。警察に被害届が提出されなければ、警察があなたが援助交際をした事実を認知することはなく、捜査に動きだすことはありません。したがって、逮捕を回避することができます。なお、示談交渉を円滑に進めるためには刑事事件における示談交渉に慣れた弁護士に任せましょう。

=警察に出頭(自首)する=

警察に出頭(自首)すれば、捜査機関側から「捜査に協力的な人間だ」と思われ、事件は在宅のまま、つまり逮捕されないまま捜査が進められる可能性が高まります。出頭(自首)の際には、身元引受人等の上申書を提出するなどして逮捕回避に努めなければなりません。また、出頭(自首)するといっても様々な不安が出てきますから、そのような場合は弁護士からアドバイスをもらい、不安であれば弁護士に付き添ってもらいましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、いん行の罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は,まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。

児童買春の発覚の経緯

2020-04-23

児童買春の発覚の経緯

児童買春が発覚する経緯について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

~ケース~

福島県郡山市に住む会社員のAさんはSNSで知り合った当時17歳の少女Vさんとと出会うことになりました。そこで、Aさんはこの際にVさんと性行しまおうと財布に5万円を入れ出かけ、Vさんに援助交際を申し込んだところ、承諾されたため近所のホテルへ行きました。そして、AさんはVさんに現金3万円を渡した上でVさんと性行しました。その後、AさんはVさんにメールを送り続けましたが、Vさんからの返信はありませんでした。「Vさんに何かあったのではないか?」「もちかしたら警察に逮捕されたのではないか?」と不安になったAさんは、「Vさんに対する児童買春の件が警察にばれ、逮捕されるかもしれない」などと不安になり、今後、どう行動、対応していけばよいか尋ねるため、弁護士に無料法律相談を申し込みました。
(事実を基に作成したフィクションです。)

~援助交際は児童買春の罪に当たる~

児童買春の罪は、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下、法律)の4条に規定されています。

第4条
 児童買春をした者は、5年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。

そして、法律2条2項では「児童買春」を、

児童等に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的欲求好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう)をすること

と定義されています。

~児童買春の発覚の経緯~

児童買春は、少女の補導などから発覚するケースが目立ちます。
そのほかにも、

・少女の保護者が、少女の非行や異変に気付き、少女に問いただしたところ援助交際が発覚し警察に通報、相談した場合
・警察がサイバーパトロールで少女の援助交際の書き込みを見つけた場合
・少女が性病等で病院を受診し、病院から警察へ通報された場合
・あなたが少女と一緒にいるところを警察官から職務質問を受けた場合
・少女が別人との児童買春の件で、警察で事情聴取を受けていたところ、本件(あなたの件)についても話した場合

などから発覚するケースも考えられます。
そして、逮捕につながるのは、大抵、少女の携帯電話やスマートフォンにあなたにつながる情報(電話番号、メールアドレス、アカウント情報、顔写真等)が残っている場合が多いです。
少女の補導などから児童買春がいつ発覚するかは分かりません。
不安な方は早め早めに対応されることをお勧めいたします。

~逮捕前の弁護活動~

逮捕前、呼び出し前に弁護士ができることとしては様々ありますが、代表的なものを挙げるとすれば

1 警察への自首、出頭への付添い
→自首に当たるかどうかも含めて適切な方法を判断します。
2 取調べのアドバイス
→取調べには様々な権利が認められています。
3 被害児童の保護者との示談交渉(被害児童が判明し、当該被害児童、保護者が連絡先等の開示に同意いただけた場合)
→当事者で交渉することはまず不可能です。弁護士にお任せください。
4 逮捕に備えてのアドバイス、活動
→逮捕回避に向けた具体的なアドバイスもいたします。

などがございます。
弁護士は逮捕されてからしか選べないということはありません。むしろ、逮捕前に選任し、はやめはやめの対策を講じておくことが様々なリスクを軽減させることに繋がります。繰り返しますが、不安な方ははやめはやめに弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。24時間、無料法律相談初回接見サービスの予約受付を承っております。

睡眠薬を飲ませ傷害罪で逮捕

2020-04-13

睡眠薬を飲ませ傷害罪で逮捕

他人の飲み物に睡眠薬を入れて飲ませ、傷害罪で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

【事例】
福島県二本松市内の病院甲に勤務する医師Aは、日頃からストレスを抱えて生きており、憂さ晴らしのため自己の勤務先である同病院の地下保管庫において保管してある睡眠薬を持ち出しました。

そして、帰宅途中にAは知人Bと偶然街中で出会いました。
AはBのことを普段から疎ましく思っていてかつストレスからムシャクシャしていた為、たまたま会ったこの機会に睡眠薬を使ってBのことを痛めつけてやろうと考えました。

そこで、Aは同市内飲食店に連れ込んでBの飲み物にこれを混入させ様子を見ていました。
すると、1時間もたたないうちにBは意識障害を伴う急性薬物中毒の症状を発症し周囲の人の通報で病院に救急搬送されました。

その後Aは、福島県二本松警察署の警察官によって、傷害の容疑で逮捕されました。(このストーリーはフィクションです)

~傷害罪とは~

睡眠薬を飲ませて薬物中毒にさせたAさん。
傷害罪が成立する可能性があります。

刑法204条
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

「傷害」とは、人の生理的機能を害することとされています。
そして、殴る蹴るなどの直接的な暴行の他、無形的方法による場合も「傷害」に該当すると考えられています。

たとえば、感染症に罹患させる行為、連日ラジオの音声等を大音量で鳴らし続け慢性頭痛症等を生ぜしめた行為、ストーカー行為や嫌がらせ電話で精神疾患に追い込む行為、近年話題になっているセクシュアルハラスメント行為等に起因する外傷後ストレス障害(PTSD)を負わせる行為も一定の範囲で「傷害」に該当すると考えられています。

今回用いられた睡眠薬も、意識障害や筋弛緩作用を伴う急性薬物中毒の症状を生じさせるので、「傷害」に該当するでしょう。

そのため、Aの行為には傷害罪が成立すると考えられます。

また、今回Aは医師でありながら自己の勤務先である病院甲の地下保管庫に保管している睡眠薬を持ち出しているため窃盗罪(235条)または業務上横領罪(253条)も成立する可能性があります。

~刑事事件の手続きの流れ~

犯罪をしたとして逮捕されると、最初に最大3日間、警察署等で身体拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるなどとして検察官が請求し、裁判官が許可すれば、さらに10日間勾留(こうりゅう)と呼ばれる身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。

弁護士としては、勾留を防いで早期に釈放されるよう、逃亡や証拠隠滅のおそれがないといえる理由をまとめた意見書を提出するなどの弁護活動を行います。
釈放されれば、自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けるという流れになるでしょう。

勾留された場合はその期間の最後に、勾留されなかった場合は捜査が終わり次第、検察官が被疑者を刑事裁判にかけるか(起訴)、かけないか(不起訴)の判断をします。

このうち起訴には①正式起訴②略式起訴があります。
①正式起訴されると刑事裁判が開かれ、事件によって懲役刑の実刑判決や執行猶予判決、罰金刑の判決を受けたり、まれに無罪判決がなされることになります。
一方、②略式起訴は比較的軽い事件でなされることが多いです。
法廷での刑事裁判は開かれず、簡単な手続で罰金を納付して終わるということになります。

弁護士としては、被害者に謝罪・賠償して示談を結ぶなど、有利になる事情を集めて、出来るだけ軽い結果で終わるように弁護活動をします。

~弁護士にご相談ください~

あなたやご家族が何らかの犯罪をしたとして逮捕されたり、取調べを受けたといった場合、いつ釈放されるのか、どれくらいの刑罰を受けるのか、仕事への影響など不安だらけだと思います。
ぜひ一度、弁護士にご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスのご利用を、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。

住居侵入罪、強制わいせつ致傷罪、強盗罪で逮捕

2020-04-10

住居侵入罪、強制わいせつ致傷罪、強盗罪で逮捕

【事例】
福島県伊達市在住の男性Aは、過去のトラブルから恨みを抱いたB女に対し、わいせつ行為をしようとその帰宅を狙いB女宅に押し入り、顔面への殴打、ガムテープの顔面への貼付、両手首を縛り上げる等の暴行を行い、反抗ができない状態にした上でわいせつ行為をしました。
この際、B女はケガもしてしまいました。
その後、AはBをそのままにして立ち去る際に財布が落ちていたのを発見しこれを持ち去りました。
一週間後、B女が被害届を提出し、Aは警察官によって住居侵入罪、強制わいせつ致傷罪、強盗罪逮捕されました。
(このストーリーはフィクションです)

~住居侵入罪~

今回のストーリーでは、

①住居侵入罪(刑法130条前段)
②強制わいせつ致傷罪(刑法181条1項、176条)
③強盗罪(236条1項)

が成立する可能性がありますので、順番に解説していきます。
まずは、住居侵入罪から。

刑法130条
正当な理由がないのに人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

Aの行為は、赤く色付けした部分に該当します。
つまり、Aはわいせつ行為をする目的だったので「正当な理由がない」状態で、B女宅という「人の住居」に、B女の意思に反して立ち入っているので「侵入」しているといえます。

したがって住居侵入罪が成立するでしょう。

~強制わいせつ致傷罪~

続いて、強制わいせつ致傷罪について見ていきましょう。

刑法176条
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
刑法181条1項
第百七十六条、第百七十八条第一項若しくは第百七十九条第一項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は三年以上の懲役に処する。

AはB女に対し、顔面への殴打等の「暴行…を用いてわいせつな行為をした」ので、強制わいせつ罪が成立します。

その際、B女がケガをしてしまったので、強制わいせつ致傷罪が成立することになります。
刑罰も無期懲役または3年以上の有期懲役(上限は20年)です。
被害者死亡の場合を含めた規定ではありますが、ケガをさせた場合は、させない場合よりもぐっと重く処罰される可能性があるわけです。

~強盗罪~

最後に、強盗罪について見ていきましょう。

刑法236条1項
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。

今回のAは、財布を奪う目的で暴行をしたわけではありません。
しかし、わいせつ目的で行った暴行により、すでにB女が反抗できない状態になっています。
この状態を利用する形で財布を持ち去っているので、「暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者」であることに違いはなく、強盗罪が成立すると判断される可能性は十分考えられます。

~逮捕後の手続きの流れ~

犯罪をしたとして逮捕されると、最初に最大3日間、警察署等で身体拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるなどとして検察官が請求し、裁判官が許可すれば、さらに10日間勾留(こうりゅう)と呼ばれる身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。

勾留期間が終われば刑事裁判が始まり、保釈が認められない限り身体拘束が続くことになります。

~弁護士にご相談ください~

また、出来るだけ判決を軽くするためには、被害者の方に謝罪・賠償して示談を結ぶことが重要です。
しかし、性犯罪の被害者の方々にとって、加害者本人はもちろん、その家族と示談の話をするのは心理的負担が大きく、応じてくれない可能性が高いです。
しかし弁護士を挟むことにより、示談に応じてくれる可能性を上げることができますし、適切な内容・金額での示談締結の可能性も上げることができます。

さらに、ご本人は厳しい取調べにどう対応したらよいかわからないと思います。
弁護士は逮捕中の被疑者と面会(接見)する権利を有しており、取調べや裁判に向けたアドバイスできますし、家族の方からの伝言を伝えることなどもできます。

ぜひ一度ご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には刑事事件と少年事件の専門家である弁護士が多く在籍しているため、迅速かつ適切な対応が可能となっています。
逮捕されている事件では初回接見のご利用を、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では、事務所での無料法律相談のご利用をお待ちしております。

落書き・ビラ貼りによる建造物損壊罪で逮捕

2020-04-07

落書き・ビラ貼りによる建造物損壊罪で逮捕

公衆トイレに落書きやビラ貼りをして、建造物損壊罪の容疑逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事例】
福島県福島市に住むAさんは,日ごろのいらだちから,同市内の公園の公衆トイレに,スプレー缶で「税金泥棒」「福島市長は辞任しろ」等と落書きし,また,役所に反感を示すような内容のビラを30枚ほど貼り付けました。
監視カメラの映像からAさんの犯行と特定され,Aさんは福島県福島警察署の警察官により,建造物損壊罪の疑いで逮捕されました。
(フィクションです)

~建造物損壊罪とは~

公衆トイレに落書きやビラ貼りをしたAさん。
建造物損壊罪という犯罪が成立する可能性があります。

刑法260条
「他人の建造物……を損壊した者は,5年以下の懲役に処する」

あまり聞きなじみのない犯罪かもしれませんが、簡単に言えば,他人所有の建物を壊した場合に成立する罪です。

一般にもよく知られる器物損壊罪は,「前三条に規定するもののほか,他人の物を損壊し……者は,三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する」(261条)となっています。
建造物損壊罪の方が懲役の上限が長く、罰金で済む可能性もないため、より重い犯罪ということになります。
損壊の対象が物よりも一般的には価値が高い建造物であることや、中にいる人に危険が及ぶ可能性があるといった理由により,器物損壊罪よりも重い刑罰が定められています。

~壊してないけど~

今回、Aさんは公衆トイレを物理的に壊したわけではありませんが,それでも建造物損壊罪は成立するのでしょうか。

ここでは、条文に出てきた「損壊」という言葉の意味が問題となります。
建造物損壊罪における「損壊」には、建造物を物理的に破壊した場合の他に,建物の効用を害する一切の行為が含まれると解釈されています。
つまり、物理的に壊れていなくても、建造物としての利用が困難になれば、建造物としての効用が害されているわけなので「損壊」に当たり、建造物損壊罪が成立することになるわけです。

今回のような公衆トイレの場合には、落書きやビラ貼りがなされても、トイレとして利用することができるので、効用を害していないといえる気もします。
しかし,公衆トイレに大きな落書きがなされた事件で最高裁判所は,落書きが「損壊」にあたると判断しています(最決平成18年1月17日刑集60巻1号29項)。

この判例は,わかりやすく言うと,

・外観・美観に工夫が凝らされ誰でも利用しやすい状態だった公衆トイレが,大きな落書きによって汚い・治安が悪そうといった印象を与えるなど,利用することに抵抗感ないし不快感を与えるような状態となっている
・しかもすぐに消せる落書きではなく,原状回復にはある程度費用がかかるなど相当な困難が伴う落書きだった

といった事情により、きれいで誰でも利用しやすい公衆トイレとしての効用を害しているので,「損壊」に当たると判断したものといえるでしょう。

この判例は,トイレへの落書きが常に「損壊」に当たると言っているわけではありません。
しかしこの判例によれば,今回のAさんの事例においても,公衆トイレが元々どのような外観であったか、落書きやビラの大きさ・ビラの枚数・その内容がどうだったか,簡単に消したり剥がしたりできるかといった事情によっては,自由に使える公衆トイレとしての効用を害しているとして建造物損壊罪が成立する可能性があるということになります。

~弁護士にご相談ください~

このように法律の世界では,一般的な使われ方とは微妙に異なる意味で言葉が使われたり,その言葉に該当するかどうかの判断のために多くの事情を考慮しなければならないなど、難しい面があります。
それゆえ,一般の方が犯罪にならないと思っていたことが犯罪だった,ということもあります。

そしてご自身やご家族が何らかの犯罪で逮捕されたり取調べを受けた場合には,刑事手続がどのように進んでいくのか,いつ釈放されるのか,どれくらいの刑罰を受けるのか,示談はどうやって行えばよいのかなど,不安だらけだと思います。

事件解決に向けてサポートしてまいりますので,まずは一度ご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では初回接見のご利用を、逮捕されていない場合やすでに釈放されている場合には、事務所での無料法律相談のご利用をお待ちしております。

強制わいせつ罪で示談

2020-01-16

強制わいせつ罪で示談

強制わいせつ罪示談について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【ケース】

Aさんは,午後8時頃に福島県伊達市内を歩いていたところ,うっすらと制服姿の女性Vさんの姿が目に入りました。
Aさんらが歩いていたところは人気が少なく,なおかつ街頭もあまりない薄暗い場所でした。
そこで,Aさんはわいせつな行為をしようとVさんに近づき,背後から口を押えて「静かにしないと殺す」と言いました。
そのうえで,Vさんのスカートの下から手を入れ,Vさんの陰部に指を挿入しました。
数秒して,Aさんはふと我に返って大変なことをしたと思い,「すみません」と言ってその場を離れました。
後日,被害届を受けた伊達警察署が捜査を開始し,Aさんは強制わいせつ罪の疑いで逮捕されました。
Aさんから依頼を受けた弁護士は,示談を行うべくVさんの両親と連絡を取ることにしました。
(フィクションです。)

【強制わいせつ罪について】

刑法(一部抜粋)
第百七十六条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

強制わいせつ罪は,暴行・脅迫を手段としてわいせつな行為をした場合に成立する可能性のある罪です。
ただし,被害者が13歳未満の者であれば,わいせつな行為のみをもって強制わいせつ罪が成立します。

強制わいせつ罪における暴行・脅迫は,相手方の犯行を困難にする程度のものを指すと考えられています。
つまり,暴行・脅迫が簡単に抵抗できるような弱いものであれば,わいせつな行為があったとしても強制わいせつ罪は成立しない可能性があるということです。
とはいえ,実際の裁判においては,暴行・脅迫が強制わいせつ罪に値するほど強度のものだったと比較的容易に認定される傾向があります。
このあたりの認定については,「そこまで強い暴行・脅迫じゃなかったから大丈夫だろう」と安易に考えるべきではないと言えるでしょう。

次に,「わいせつな行為」の意義については,裁判例において「いたずらに性欲を刺激・興奮させ,かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し,もって善良な性的道義観念に反する行為」を意味すると判断されています。
陰部に指を入れる行為は,一般的に「わいせつな行為」に当たるとされる可能性が高いです。

上記事例では,AさんがVさんに対し,背後から口を押えて「静かにしないと殺す」と言ったうえで,陰部に指を入れるというわいせつな行為に及んでいます。
そうすると,Aさんに強制わいせつ罪が成立する可能性は高いでしょう。

【示談の難しさ】

上記事例のような強制わいせつ事件で自ら示談をしようとするのは,率直に言って相当の困難がつきまといます。

まず,通り魔のようなかたちで見ず知らずの者に強制わいせつ罪を犯した場合,逮捕の可能性が相当な高さになることが見込まれます。
もし逮捕されてしまうと,示談締結に向けた被害者との接触は当然ながら不可能となってしまいます。

また,仮に逮捕されなかった,あるいは親族などに示談を任せる場合も,今度は被害者がどこの誰なのか知ることができないという問題が立ちはだかります。
一応捜査機関に「示談したい」という意向を伝えることは考えられますが,加害者本人やその親族などの頼みとなると,それに応じて連絡先を教えてくれるかどうかは分かりません。

そして,何らかの手段で被害者と示談交渉を行えたとしても,常に交渉の決裂や不十分な合意といったリスクはつきまといます。
最悪の場合,こちらとしては示談金を払って合意を取り交わしたつもりだったのに,そのことを効果的に証明する手立てが何もなく全てが水の泡となることもありえます。

以上のようなリスクは,弁護士であればその可能性を下げる,あるいは完全に遮断することが期待できます。
特に強制わいせつ事件示談は何かとデリケートなので,やはり弁護士に依頼するのが賢明でしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,刑事事件に強い弁護士は,どのような事件でも示談の締結に向けて全力を尽くします。
ご家族などが強制わいせつ罪の疑いで逮捕されたら,刑事事件少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
(無料法律相談のご予約はこちら

傷害致死罪で情状弁護

2019-12-17

傷害致死事件で情状弁護

傷害致死罪情状弁護について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【ケース】

福島県福島市に住むAさんは、以前から近所に住むVさんと折り合いが悪く、たびたびお互いに悪態をつくなどしていました。
ある日、AさんはVさんから「お前なんていつでも殺せるからな」と言われ、「それができるならやってみろよ。いくじなし」と挑発しました。
すると、Vさんが突如Aさんの首を絞めてきたため、焦ったAさんはVさんを蹴り飛ばしました。
そして、Vさんに馬乗りになったうえ、胸倉を掴んで道路に頭を叩きつけました。
その現場に福島警察署の警察官が居合わせ、Aさんを傷害罪の疑いで現行犯逮捕しました。
その後、搬送先の病院でVさんの死亡が確認されたことから、Aさんの嫌疑は傷害致死罪へと切り替えられました。
Aさんから依頼を受けた弁護士は、情状弁護を行うべくすぐに準備に取り掛かりました。
(フィクションです。)

【傷害致死罪について】

刑法(一部抜粋)
第二百五条 身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、三年以上の有期懲役に処する。

傷害致死罪は、他人に傷害を負わせ、その結果として他人が死亡した場合に成立する可能性のある罪です。
わざと行った行為により他人を死亡させる点では、殺人罪と共通する点があると言えます。
殺人罪との最大の違いは、端的に言って行為のときに殺意があったかどうかです。
もう少しかみ砕くと、殺人罪は「殺そうと思って殺した」というケースで成立するのに対し、傷害致死罪は「殺すつもりはなかったが結果的に死亡した」というケースで成立します。
ただし、取調べや裁判でこのような供述をしたからといって、そこから直ちに殺人罪傷害致死罪かが決まるわけではありません。
人の内心は目に見えないものなので、被疑者・被告人の供述だけでなく客観的な事情も踏まえて判断が下されます。
たとえば、包丁で被害者の胸部を複数回刺したという場合、殺意があったと評価され、傷害致死罪ではなく殺人罪が成立すると考えられます。

【情状弁護という手段】

情状弁護」という言葉を聞きなれない方は多くいらっしゃるかもしれません。
ですが、情状弁護は、法廷においてはごくありふれたものだと言うことができます。
その内容とは、罪を犯したこと自体は認めているケース(つまり自白事件)において、被告人に有利な事情を主張することで少しでも刑を軽くする、というものです。
日本の刑事事件は大半が自白事件なので、自然と法廷における弁護活動も情状弁護となることが多いと言えます。

それでは、上記事例で情状弁護を行ううえで、どのような事情が重要となるでしょうか。
第一に、AさんがVさんに対して暴行を働くに至った経緯が挙げられるかと思います。
今回のケースでは、Vさんによる暴行がAさんの挑発に起因すること、AさんがVさんに馬乗りになってまで暴行を加えています。
そうすると、正当防衛であり犯罪が成立しないと主張するのはおそらく難しいです。
ですが、それでも過剰防衛の範疇ではあったと主張して、刑の減軽を求めることが考えられます。
また、上記事例では明記されていませんが、犯行以外の事情も情状弁護を行ううえでやはり重要となります。
たとえば、Aさんに前科がないこと、事件後に真摯な反省が見られること、Vさんの家族に謝罪や賠償を行ったこと、などが考えられます。

以上のような主張は、単に法廷で陳述するだけではなく、陳述を認めてもらうに値する証拠もなければ十分な効果を発揮できません。
効果的な情状弁護を行うのであれば、やはり弁護士への依頼が不可欠と言っても過言ではないでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が、一つ一つの事案を丹念に検討して情状弁護の主張を組み立てます。
傷害致死罪を疑われたら、刑事事件少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
(無料法律相談のご予約はこちら

強要罪で勾留決定に対する準抗告

2019-11-29

強要罪と勾留決定に対する準抗告について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【ケース】

Aさんは、福島県会津若松市内のコンビニで弁当を買った際、従業員のVさんが割り箸をつけなかったことに怒りを覚えました。
そのことをVさんに指摘したところ、Vさんはしぶしぶ謝罪するような態度を見せたことから、Aさんは激怒して土下座を要求しました。
Vさんは、Aさんに「てめえいい加減にせんとしばくぞ」などと言われたことから、さすがにまずいと思い土下座をしました。
後日、Vさんが会津若松警察署に被害届を提出したことがきっかけとなり、Aさんは強要罪および威力業務妨害罪の疑いで逮捕されました。
その後Aさんは勾留されることになったため、弁護士は勾留決定に対する準抗告を行うことにしました。
(フィクションです)

【強要罪について】

刑法第二百二十三条
生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。
3 前二項の罪の未遂は、罰する。

暴行や脅迫を手段として、他人に本来行う必要のない行為を無理やり行わせた場合、強要罪が成立する可能性があります。
最近時々見られる土下座強要も、それに至る過程で脅迫や暴行が加えられていれば、強要罪が成立すると考えられます。

強要罪は、他人の自由な意思決定を妨げることを問題視する罪だとされています。
そのため、手段となる暴行や脅迫は、相手方を畏怖させるに足りる程度のものでなければならないと考えられています。
また、たとえ暴行や脅迫がその程度に至っていたとしても、それと結果との間に因果関係が存在する必要があります。
ですので、たとえば被害者が憐れみの情を感じて行為に及んだ場合は、強要罪の成立が否定されることとなります。

【勾留決定に対する準抗告とは】

被疑者として逮捕されると、その後72時間以内に引き続き身体拘束をするかどうか決定されることになります。
この逮捕に続く身体拘束は勾留と呼ばれ、その期間は10日から20日と相当程度長期に及びます。
勾留決定に至る過程では、検察官による勾留請求および裁判官による勾留決定が必ず行われます。
こうした過程において、弁護士は検察官や裁判官に勾留しないよう働きかけたり、勾留決定後にその判断を争ったりすることができます。

勾留決定に対する準抗告とは、裁判官が行った勾留決定に対して、その判断が不当であるとして不服を申し立てる手続です。
勾留決定に対する準抗告のメリットは、本来勾留が行われるべきでないケースで勾留が行われた場合に、果たしてその判断が正しいのか改めて審査してもらえる点です。
勾留請求に対する判断は1名の裁判官が行うのに対し、勾留決定に対する準抗告は3名の裁判官が行うことになります。
そのため、勾留決定に対する準抗告の方が、より判断の慎重さが保たれていると言うことができます。

勾留決定に対する準抗告が認容されると、もともとの判断である勾留決定が取り消される結果、勾留中の被疑者は直ちに釈放されることになります。
ただ、一度勾留が妥当として勾留請求が下されている以上、その判断が覆されることはそう多くありません。
もし勾留決定に対する準抗告を行うのであれば、刑事事件に精通した弁護士にきちんと依頼することをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、釈放を実現した実績のある弁護士が、逮捕された方の釈放を目指して的確な弁護活動を行います。
ご家族などが強要罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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放火罪で保釈

2019-11-27

放火罪と保釈について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【ケース】

福島県の会社に勤めるAさんは、新入社員のVさんがちやほやされているのに嫉妬し、Vさんに嫌がらせをしてやりたいと考えました。
そこで、Aさんは従業員用のロッカーにあったVさんの服に火をつけ、ロッカーに入っていた物を燃やしました。
幸いにも従業員のひとりが早期に出火を発見したため、そう燃え広がらないうちに鎮火されました。
その後通報により警察が駆けつけ、Aさんは事情聴取ののち建造物等以外放火罪の疑いで北海道猪苗代警察署に逮捕されました。
Aさんはその後起訴されたため、弁護士に保釈を依頼しました。
(フィクションです。)

【建造物等以外放火罪について】

第百十条
放火して、前二条に規定する物以外の物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者は、一年以上十年以下の懲役に処する。

物を燃やすことで成立する放火罪には、①現住(現在)建造物等放火罪、②非現住建造物等放火罪、③建造物等以外放火罪の3つに分かれます。
そもそも、放火罪にいう「建造物等」とは、建造物、汽車、電車、艦船、炭坑を指します。
そのため、建造物等放火罪は、この4つ以外の物を放火した場合に限って成立するということになります。

建造物等放火罪の成立を認めるには、建造物等以外を放火したことで「公共の危険」が生じたと言えなければなりません。
この「公共の危険」とは、不特定または多数人の生命・身体・財産に対する危険だと考えられています。
そのため、たとえば火の大きさや周辺に存在する物からして、対象物以外に被害を与える危険性が認められないケースでは、建造物等以外放火罪は成立しないと考えられます。
この場合には、対象物の効用を害したとして器物損壊罪が成立する可能性があります。

上記事例では、Aさんがロッカーの中にあるVさんの服に火をつけ、Vさんの物を燃やしています。
そのため、Aさんは「放火」によって「焼損」を生じさせたと言えます。
加えて、犯行現場は他の従業員の物が入ったロッカーが並ぶロッカールームであり、人の出入りも当然にありえたと考えられます。
そうすると、「公共の危険」も発生していることから、Aさんは建造物等以外放火罪として1年以上10年以下の懲役が科されるおそれがあります。

【保釈による身柄解放】

放火罪は重大な犯罪であるため、捜査機関に発覚すれば逮捕および勾留の可能性はかなり高いと言えます。
そして、もし勾留中に起訴されると、被疑者勾留が被告人勾留へと切り替わり、最低でも2か月は身体拘束が伸びてしまいます。

そうした事態に陥った際、身柄解放を実現する有力な手段として保釈の請求が考えられます。
保釈とは、裁判所に対して指定された金額の金銭を預けることで、一時的に被告人を釈放する手続を指します。
保釈の最大の強みは、起訴前に釈放を実現できなかった事件においても、釈放を実現できる可能性がある点です。
保釈の際に預ける金銭は、証拠隠滅や逃亡などを図ると没収される担保のような役割を持ちます。
そして、その金額は不審な行動を抑制するに足る高額なものとなっているので、そうした行動には出ないだろうと考えられて釈放が認められやすいのです。

ただし、保釈を認めてもらうには、その前段階として保釈請求が認容される必要があります。
保釈請求に当たっては、法律の専門家である弁護士の視点が重要となることは否定できません。
ですので、保釈を目指すのであれば、保釈請求を含めて弁護士に事件を依頼することをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が、長期間拘束されている方の保釈の実現に全力で取り組みます。
ご家族などが放火罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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建造物損壊罪で示談

2019-11-25

建造物損壊罪と示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【ケース】

北海道紋別郡に住むAさんは、隣の住宅に住んでいるVさん宅からの騒音にうっぷんが溜まっていました。
ある日、Aさんは遂に騒音に耐え切れなくなり、Vさん宅のガラス戸に向かって拳大の石を投げつけました。
これによりガラス戸が割れたことから、VさんはAさんが犯人であることを突き止めたうえで北海道遠軽警察署に被害届を出しました。
焦ったAさんは、弁護士に示談を依頼することにしました。
(フィクションです。)

【建造物損壊罪について】

刑法
第二百六十条
他人の建造物又は艦船を損壊した者は、五年以下の懲役に処する。よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

建造物損壊罪は、器物損壊罪や文書毀棄罪と並ぶ毀棄・隠匿の罪の一つです。
建造物損壊罪における「損壊」とは、器物損壊罪と同様、財物の効用を害する一切の行為だと考えられています。
そのため、建物の一部が欠けるような行為にとどまらず、たとえば塗料で建物を汚す行為なども建造物損壊罪となる余地があります。

また、建造物のうちどこまでを建造物損壊罪の対象にするかという点は争いがあります。
たとえば、建物の壁の損壊が建造物損壊罪に当たることは理解できるかと思いますが、壊さずとも付け外しができる網戸を損壊した場合はどうかといった具合です。
裁判例は、損壊された物の物理的構造だけでなくその機能も重視すべきだとしており、過去に取り外し可能な住居の玄関ドアも建造物損壊罪の対象になると判断しました。

器物損壊罪の法定刑が①3年以下の懲役、②30万円以下の罰金、③拘留、④科料であるのに対し、建造物損壊罪の法定刑は5年以下の懲役です。
こうした法定刑の違いは、刑法260条が掲げる対象物の重大性から生じていると考えられます。
損壊したのが建造物の一部かどうかで、科される刑がかなり異なってくる点には注意しておきましょう。

【示談の重要性】

建造物損壊罪は、人の建造物を損壊する点で個人の財産を侵害する罪です。
こうした罪を犯した場合については、被害者との示談の成立が非常に重要な意味を持ちます。
というのも、たとえ国家が刑事責任の追及を担っているとしても、被害者がそれを望んでいない場合にまで処罰を行うのは疑問だと考えられているからです。
示談とは、事件の当事者が謝罪や被害弁償などに関する取り決めを行うことで、当事者間において事件が解決したことを確認する行為です。
そのため、内容の差はあれ、示談の存在は被害者の許しを推認させる事情となり、それが国家による刑罰権の行使を控えさせる事情となるのです。

ただ、そうした大きな効果を持つだけに、示談の締結およびそのための示談交渉には慎重に臨まなければなりません。
万が一対応を誤れば、示談交渉の決裂や、実が伴わない形だけの示談の締結といった事態に陥りかねません。
もし示談を希望するのであれば、示談交渉の経験を有する弁護士に任せるのが得策です。
弁護士による示談は、①交渉決裂のリスクを抑えられる、②円滑に示談交渉を進められる、③中身のある示談書を作成できるといった強みがあります。
こうした強みは刑事事件において大きなものなので、示談のことで悩んだらぜひ弁護士に相談してみましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、示談の経験豊富な弁護士が、自身のノウハウを駆使して的確な示談交渉を行います。
建造物損壊罪を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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