Archive for the ‘性犯罪’ Category
淫行で逮捕
福島県二本松市に住むAさんは、SNSを通して中学生や高校生と接触し、直接会って遊ぶということを複数回繰り返していました。
遊びの内容はカラオケやドライブなどでしたが、一部の中高生とは車の中やラブホテルで性交をしていました。
ある日、その中高生のひとりが他の男性と一緒にいた際に補導され、二本松警察署が捜査を開始しました。
その結果、Aさんは福島県青少年健全育成条例違反(淫行)の疑いで逮捕されました。
Aさんの両親は、事件を依頼した弁護士から略式罰金について聞きました。
(フィクションです)
【淫行の罪について】
淫行とは、青少年(18歳未満の者)と行うみだらな行為やわいせつな行為を指します。
典型的なものだと、未成年(19歳以上の者を除く)との性交が挙げられます。
日本では、各都道府県が定める条例により規制されており、福島県においても福島県青少年健全育成条例が淫行の禁止を定めています。
淫行に関して特に注意すべき点は2つあります。
1点目は、相手方となる青少年が性交などに同意していても淫行に当たるということです。
淫行を規制する青少年健全育成条例の目的は、簡単に言えば健全な育成が妨げられないよう年青少年を保護することです。
この目的は社会秩序の維持という側面もあり、青少年が淫行に同意したからといって許されるものではないのです。
2点目は、性交などの際に対価があった場合、児童買春として罰せられる可能性が出てくるという点です。
児童買春は、お金などを対償として児童(18歳未満の者)とわいせつな行為に及ぶものであり、児童にとっては誘惑が強いものです。
そのため、淫行より重く見られており、取調べにおいても青少年を物で釣らなかったか厳しく追及されることが少なくありません。
福島県で淫行をした場合、2年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されるおそれがあります。
この罰則は、条例により科すことができる刑罰の範囲内では最も重いものです。
また、仮に無理やり行為に及べば強制わいせつ罪や強制性交等罪に、先述のとおりお金などの対価があれば児童買春の罪にもなりうることから、状況次第では更に重い刑が科されることもありえます。
【略式罰金とは何か】
淫行事件では、初犯でなおかつ件数が少なければ略式罰金で終わることがあります。
略式罰金とは、略式という例外的な手続で簡易・迅速に科す罰金刑のことです。
本来、ある罪を犯したとして刑罰を科すためには、裁判を行って有罪であることを厳格に認定しなければなりません。
ですが、全ての事件で裁判を行うとなると、犯罪を疑いがある被告人、犯罪を立証する検察官、判決を下す裁判官のいずれにとっても負担となります。
そこで、当事者間で主張に争いのない単純な事件を可能な限り簡単に処理すべく、略式罰金という制度が創設されました。
略式罰金による場合、検察官が被疑者に略式手続で問題ないか確認したあと、略式起訴をすることになります。
略式起訴があった事件については、裁判官がわざわざ裁判を開かず書面で審理をすることになるため、被告人から見れば心身の負担が少なくて済みます。
この点が略式罰金の大きなメリットと言えるでしょう。
ただ、略式起訴された事件の事実関係は、基本的に捜査機関がまとめた記録に沿って認定されることになります。
ですので、もし事実関係に争いがあって無罪などを目指すなら、敢えて略式罰金ではなく通常の裁判を希望してもよいでしょう。
もし略式罰金にしてもらうべきか判断に悩んだら、ぜひ弁護士に相談してみてください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に特化した弁護士が、略式罰金に応じるべきかどうかについて的確なアドバイスを致します。
ご家族などが淫行の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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強制わいせつ罪で逮捕
Aさんは、福島県伊達市内の路上において、中学2年生のVさんに対してわいせつな行為をしようと思いました。
そこで、AさんはVさんの口を押さえて「騒いだら殺す」と画面に表示させたスマートフォンを見せ、スカートの中に手を入れて下半身を触りました。
数分程度行為に及んだところで、Aさんは呆然としているVさんを置いてすぐにその場を逃走しました。
後日、Vさんが両親と伊達警察署に被害届を出し、Aさんは強制わいせつ罪の疑いで逮捕されました。
逮捕の知らせを受けたAさんの両親は、弁護士に示談を依頼することにしました。
(フィクションです)
【強制わいせつ罪について】
強制わいせつ罪は、暴行または脅迫を用いて「わいせつな行為」に及んだ場合に成立する可能性のある罪です。
暴行・脅迫を手段とすること、行為の内容がより悪質であることから、多くの痴漢に適用される迷惑防止条例違反の罪とは一線を画すと言えます。
強制わいせつ罪における「わいせつな行為」とは、裁判例において以下のように定義されています。
「いたずらに性欲を刺激・興奮させ、なおかつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、もって善良な性的道義観念に反する行為」
具体的な行為が「わいせつな行為」として強制わいせつ罪に当たるかどうかは、この定義を手掛かりに判断していくことになります。
実務上、「わいせつな行為」として認められやすいのは、膣に指を挿入する、胸を揉む、無理やりキスをする、などが挙げられます。
単に尻や胸に触れた程度でさほど悪質でなければ、先ほど述べた迷惑防止条例違反の罪が成立するにとどまる可能性が高いでしょう。
また、「わいせつな行為」の手段となる暴行・脅迫は、相手方の反抗を著しく困難にする程度のものである必要があるというのが通説的な見解です。
こうした文言からすると相当強度のものが必要のようにも思われますが、裁判例における認定は比較的緩やかな場合もあるため一概には言えません。
【示談の重要性】
強制わいせつ罪の法定刑は6か月以上10年以下の懲役であり、罰金刑がない点、上限が10年である点から決して軽くないものと言えます。
更に、仮にその機会に死亡または傷害の結果が生じた場合、強制わいせつ致死傷罪として無期懲役または3年以上の有期懲役(上限20年)が科される余地も出てきます。
強制わいせつ罪が上記のとおり重いことから、もし犯してしまえば裁判や実刑となるリスクは常に想定しなければなりません。
そのうえで、少しでも刑を減軽するのであれば、やはり被害者との示談が重要になります。
事件の性質上、示談交渉は難航することが予想されるので、弁護士をつけて対応することをおすすめします。
もしきちんと示談が締結できれば、場合によっては不起訴、もし裁判になっても高い確率で執行猶予となることが期待できます。
示談に関して注意すべきポイントとして、被害者がどのような心情を持っているかという点が挙げられます。
たとえ表面上は示談ができても、被害者が依然として強い処罰感情を抱いていれば示談の効果が薄れる可能性があります。
そのため、示談をするに当たっては、双方納得のうえで実のある合意を目指す必要があるのです。
そうした点は、事件の張本人やその家族ではなかなか目指しづらいというのが実情です。
示談の効力を少しでも多く裁判に反映させるために、示談交渉はぜひ弁護士に依頼しましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件のプロを自負する弁護士が、最善の結果を目指して真摯に示談交渉に取り組みます。
ご家族などが強制わいせつ罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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強制性交等罪で逮捕
福島県相馬市にある会社に勤めるAさんは、かねてから部下であるVさんに好意を抱いていました。
ある日、Aさんは仕事終わりにVさんを食事に誘い、食事を終えてから自宅に招きました。
Vさんはあまり気が乗りませんでしたが、直属の上司であるAさんの誘いを無碍にはできないと思い、Aさん宅へ行くことにしました。
Aさんは、Vさんが自身に気があると思い込み、Vさんと半ば無理矢理性行為に及びました。
後日、Vさんが相馬警察署に被害届を出したことで、Aさんは強制性交等罪の疑いで逮捕されました。
Aさんと接見した弁護士は、Vさんと示談したあと勾留取消しを請求することにしました。
(フィクションです。)
【強制性交等罪について】
強制性交等罪は、暴行または脅迫を手段として、相手方と無理やり「性交等」に及んだ場合に成立する可能性のある罪です。
かつては強姦罪という名称でしたが、平成29年の刑法改正により現在の名称に変更されました。
「性交等」には、通常の性交だけでなく、口腔や肛門を用いての性交も含まれます。
強姦罪だった頃はこれらの行為が強制わいせつ罪に過ぎなかったため、強制性交等罪により処罰範囲は広がったと言えます。
強制性交等罪における暴行・脅迫は、相手方の犯行を抑圧するに足りる程度のものを要すると考えられています。
暴行・脅迫がこの程度に至っているかどうかは、様々な事情を考慮して客観的に行われるものです。
そのため、暴行が殴る蹴るといった行為でなかったり、脅迫の内容が「騒いだら殺す」というものでなかったりした場合にも、暴行・脅迫が認定される可能性があるのです。
上記事例においても、Vさんによる抵抗が困難だったとして、Aさんに強制性交等罪が成立することはありうるでしょう。
強制性交等罪の法定刑は、5年以上の有期懲役(上限20年)という重いものです。
懲役刑を言い渡される場合、執行猶予となる余地があるのは懲役の期間が3年以下のときだけです。
そのため、刑の減軽事由となる何かしらの事情がなければ、執行猶予を実現するのは法律上不可能です。
一番有力な選択肢は示談なので、やはり示談交渉が肝になると言えるでしょう。
【勾留取消しによる釈放の可能性】
先ほど見たように、強制性交等罪の法定刑は重いため、逮捕・勾留の可能性は一般的に高いと言えます。
逮捕後に勾留される可能性は極めて高く、そのうえ起訴されることで身体拘束が数か月に及ぶことも十分ありえます。
勾留を解くための手段はいくつかありますが、今回は勾留取消しをご紹介します。
勾留取消しとは、現に勾留が行われている際に、途中でその勾留を打ち切って身柄解放を実現する手続です。
勾留取消しの最大の強みは、事件の進捗を加味して身体後続の継続の当否を判断してもらえる点です。
たとえば、勾留決定により10日間の身体拘束が決定し、それから数日経ったあとで示談が成立したとします。
通常であれば、10日間の勾留は既に決まっていることから、その勾留が終わるまで身柄解放を実現することはできません。
しかし、勾留取消しがあった場合には、勾留の期間中でも新たに生じた事情を考慮して身体拘束の当否を判断してもらえます。
これにより、勾留期間の満了を待たずして早期に釈放を実現することが可能となるのです。
勾留取消しに至るパターンとしては、①検察官または裁判官の判断を待つ、②弁護士が請求して裁判官に働きかける、の2つが考えられます。
これらのうち、①に関しては正直なところそれほど期待できるものではありません。
ですので、もし勾留取消しにより一日でも早い釈放を目指すのであれば、弁護士に事件を依頼するのが賢明と言えるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件の豊富な経験を持つ弁護士が、逮捕された方を勾留取消しなどで一日でも早く釈放します。
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盗撮で逮捕
Aさんは、福島県南相馬市にあるショッピングモールに行った際、エスカレーターに乗ろうとする女性Vさんの姿が目に入りました。
Vさんはスカートを着用していたため、AさんはスマートフォンをVさんのスカートに差し入れて下着を盗撮しました。
すると、Aさんの後ろにいたWさんが「今盗撮しましたよね」と声を掛けてきたため、Aさんは焦って逃亡を図りました。
ですが、他の買い物客に阻止され、やがて駆けつけた警察官により福島県迷惑行為等防止条例違反(盗撮)の疑いで逮捕されました。
南相馬警察署でAさんと接見した弁護士は、示談をして不起訴を目指すことにしました。
(フィクションです)
【盗撮の罪について】
ご存知の方も多いかと思いますが、私たちが日常生活で目にする犯罪の多くは、刑法という法律に定められています。
ですが、日頃目にしやすい犯罪の中でも、刑法以外の法令に規定されたものがいくつかあります。
盗撮は、そんな刑法以外の法令により罰せられる代表的な罪の一つと言うことができるでしょう。
盗撮について定められているのは、全国的に適用される法律ではなく、各自治体において適用される条例です。
福島県では、福島県迷惑行為等防止条例が盗撮に関する諸規定を置いています。
福島県迷惑行為等防止条例(一部抜粋)
第6条 何人も、公共の場所又は公共の乗物における他人に対し、みだりに、著しいしゅう恥心又は不安を覚えさせるような次に掲げる行為をしてはならない。
(2) 着衣等で覆われている他人の下着又は身体をのぞき見し、又は撮影すること。
引用した条文をご覧いただければ分かるように、ひそかに撮影する行為全般が禁止されているわけではなく、飽くまでも下着や身体の盗撮のみが禁止されています。
そのため、刑罰が科される盗撮というのも、上記のような態様の盗撮に限られるということになります。
罰則は、通常の場合6か月以下の懲役または50万円以下の罰金、常習の場合1年以下の懲役または100万円以下の罰金です。
【不起訴の可能性】
たとえ盗撮をして逮捕されたとしても、それにより刑罰を受けることが直ちに確定するというわけではありません。
刑罰というのは人の自由や財産などを侵害するものなので、被疑者・被告人の不利益も考えつつきちんと手順を踏んだうえで科されなければならないとされているのです。
刑事事件では、ある事件について裁判を行うかどうかを検察官が決定することになっています。
検察官が起訴を選択すれば裁判が行われる一方、不起訴を選択すれば事件はその時点で終了します。
そうなれば、逮捕・勾留による身体拘束が続いたり、裁判で有罪となって前科がついたりすることもなくなります。
ですので、刑事事件において、不起訴というのは最良の結果とも言うべきものでしょう。
不起訴の理由には数多くのものがありますが、特に多いものとして起訴猶予が挙げられます。
起訴猶予は被疑者の反省や事件への対応などを考慮するものであり、裁判で有罪にできる可能性が高いかどうかは基本的に関係ありません。
盗撮事件に関して言うと、犯行が悪質だったり盗撮の前科があったりしない限り、示談などの真摯な対応をすることで不起訴となる可能性が比較的高いと考えられます。
当然ながら、弁護士に事件を依頼すれば充実した弁護活動が期待できるので、不起訴の可能性を少しでも高めるなら依頼を躊躇する必要はないでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に特化した弁護士が、不起訴の実現を目指して様々な角度から事件にアプローチします。
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児童買春で逮捕
Aさんは、インターネットの掲示板で援助交際の希望と思しき書き込みを見つけては、書き込みをした児童と連絡を取って性行為に及んでいました。
性行為に際して、Aさんは児童に対して1万円から2万円の金銭を渡していました。
ある日、行為を終えたAさんがVさん(17歳)と福島県南会津郡内を歩いていたところ、警察官から職務質問を受けました。
これがきっかけで後に児童買春の事実が明らかとなり、Aさんは児童買春、児童ポルノ禁止法違反の疑いで南会津警察署に逮捕されました。
その後勾留を経て起訴されたAさんは、弁護士に保釈請求を依頼しました。
(フィクションです)
【児童買春について】
児童買春は、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」(以下、「法」)において禁止されています。
法が定義する児童買春とは、児童などに対して、対償を供与し、または供与の約束をして、児童(18歳未満の者)と性交等に及ぶ行為を指します。
そして、「性交等」には、①性交とその類似行為だけでなく、②自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門または乳首)を触る行為、③②と同様の目的で、児童に自己の性器等を触らせる行為も含まれます。
上記事例では、AさんがVさんを含む複数の児童に対し、1万円から2万円の金銭を支払ったうえで性行為に及んでいます。
このような行為は児童買春に当たると考えられ、Aさんには5年以下の懲役または300万円以下の罰金が科されるおそれがあります。
法定刑の重さから児童買春は重大事件と言え、逮捕される可能性も決して低くはないと考えてよいでしょう。
【保釈による釈放の可能性】
児童買春の疑いで逮捕されると、その後48時間以内に事件が検察庁に送致され、24時間以内に検察官が勾留請求をすべきか決めることになります。
検察官による勾留請求を受けて、裁判官が勾留を妥当だと判断すると、被疑者は勾留請求の日から最長20日間身柄が拘束されることになります。
そして、検察官が勾留中に起訴をすると、裁判が行われることになるとともに、被疑者は被告人となって勾留の期間が最低2か月延長されることになります。
被告に対する勾留は、最初の2か月を経過後1か月ごとに更新することとなっており、何もしなければ身体拘束が相当程度長期に及んでしまいます。
そこで、一日でも早く被告人の身柄を解放するには、保釈という手続が重要になってきます。
保釈とは、裁判所に対して指定された金銭を預けることで、一時的に身柄を解放してもらう手続のことです。
保釈の際に預けた金銭は、被告人が逃亡や証拠隠滅などを図った場合に没収されるおそれのあるものです。
そのため、金銭を無駄にしてまで逃亡などを図る可能性は低いだろうと考えられる結果、比較的容易に認められるのです。
また、起訴前の身柄解放活動と異なり、請求に回数制限がない点も魅力的です。
これにより、たとえば起訴直後に保釈請求が却下された場合において、裁判の終了間際に証拠隠滅のおそれがないとして再び保釈請求をするのが可能となっています。
児童買春は重大な事件ですが、保釈による身柄解放が認められるケースはよく見られます。
一日でも早い身柄解放を実現するなら、ぜひ弁護士に保釈請求を依頼してください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件の豊富な経験を有する弁護士が、逮捕された方のために保釈請求をはじめとする様々な活動に取り組みます。
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公然わいせつ罪で逮捕
公然わいせつ罪で逮捕
福島県耶麻郡猪苗代町在住のAさんは、以前から露出癖があり、過去に公然わいせつ罪で罰金刑を受けていました。
ある日、Aさんが自宅近くの公園で全裸になったところ、その様子を何者かに目撃されて通報されました。
Aさんは周囲に人がいないか注意していたため、こちらに向かってくるパトカーのサイレンが目に入って動揺しました。
すぐに近くの茂みに隠れたAさんでしたが、警察官に見つかり公然わいせつ罪の疑いで猪苗代警察署に逮捕されました。
Aさんの両親は、接見に行った弁護士に、前科がもたらす影響について聞いてみました。
(フィクションです)
【公然わいせつ罪について】
刑法第174条
公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
公然わいせつ罪は、その名のとおり「公然と」わいせつな行為をした場合に成立する可能性のある罪です。
「公然と」とは、不特定または多数人が認識できる状態にあることを指します。
ポイントとなるのは、実際に不特定または多数人が認識していなくとも、認識することが可能だったのであれば「公然と」の要件を満たすことです。
また、「わいせつな行為」とは、たとえば性器の露出や自慰行為などが挙げられます。
上記事例において、Aさんは全裸になった姿を何者かに目撃されています。
通常、公園という場は広く住民の利用が予定されており、Aさんの行為を不特定または多数人が認識できたと考えられます。
そうすると、仮に目撃者が一人だけだったとしても、Aさんの行為は「公然と」行われたものに当たるでしょう。
そして、全裸になるというのは、下半身の露出を伴うことから「わいせつな行為」に当たると考えて差し支えありません。
そうすると、Aさんには公然わいせつ罪が成立する可能性があります。
ちなみに、公然わいせつ罪として行われた行為が強制わいせつ罪にも当たった場合、これらの罪が両方成立する可能性が出てきます。
ただし、両罪の「わいせつな行為」が必ず一致するとは限らない点に注意が必要です。
たとえば、公の場で無理やりキスをした場合、強制わいせつ罪は成立しても公然わいせつ罪は成立しない可能性が高いです。
これは、社会一般の利益を害するという公然わいせつ罪の性質に基づくものです。
【前科が持つ意味】
「前科」という言葉は、刑法や刑事訴訟法などの法律には出てきません。
前科には複数の意味がありますが、以下では過去に何らかの犯罪で有罪となったことを意味する言葉として用います。
前科の存在自体は、日常生活を送るうえで他人が容易に知ることができるものではありません。
ですが、以下のようなかたちで生活に影響を及ぼすことがあります。
①刑事事件に関して
先ほど説明したように、前科は過去に罪を犯したことを示す事実です。
そのため、前科がある状態で再び刑事事件を起こした場合、反省の色が見られないなどとして処分が重くなるのが一般的です。
特に、執行猶予期間中などの直近で同種(たとえば同じ性犯罪)の前科がついていたとなると、処分の重さは明らかに違ってくることが見込まれます。
上記事例のAさんで言うと、過去の公然わいせつ罪では罰金刑でしたが、今回の公然わいせつ罪では懲役刑となる可能性が高まるでしょう。
②刑事事件以外に関して
前科には刑罰(執行猶予付きのものを含む)が伴うのが通常です。
そのため、一部の資格を取得することができなくなる可能性があります。
たとえば、地方公務員法には、「禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者」が職員になったり選考を受けたりできないと規定されています。
以上のとおり、前科は時に大きな足かせとなることがありえます。
前科がつくのを回避したり、前科の影響を少しでも薄めたりするなら、弁護士に依頼してきちんと対応することが重要になるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件の経験豊富な弁護士が、前科がもたらす影響について余すことなくお伝えいたします。
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痴漢で逮捕
痴漢で逮捕
福島県会津若松市在住のAさんは、市内を走行するバスに乗っていたところ、隣に女子中学生と思しきVさんが座りました。
そこで、Aさんは他の乗客から見えづらいのをいいことに、Vさんのお尻を数分間触り続けました。
他の乗客がVさんの様子に気づき、Aさんは途中で降車されて警察に通報されました。
その後、会津若松警察署の警察官が駆けつけ、Aさんは福島県迷惑防止条例違反(痴漢)の疑いで逮捕されました。
Aさんと接見した弁護士は、Vさんと示談をして不起訴を目指すことにしました。
(フィクションです)
【痴漢の罰則】
電車やバスなどで横行して社会問題となったことにより、現在では痴漢という言葉が広く知れ渡るようになりました。
痴漢とは、他人の身体を触るなどのいかがわしい行為を指す言葉として用いられます。
こうした痴漢に対しては、①各都道府県の迷惑防止条例違反または②刑法が定める強制わいせつ罪に当たる可能性があります。
①迷惑防止条例違反の罪
福島県では、他の都道府県と同様、迷惑防止条例が定められています。
福島県迷惑防止条例
第6条 何人も、公共の場所又は公共の乗物における他人に対し、みだりに、著しいしゅう恥心又は不安を覚えさせるような次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 着衣等の上から、又は直接他人の身体に触れること。
(2)~(3) 略
迷惑防止条例が定める痴漢の罪というと、一般的にこの規定を指すことになると考えられます。
行為態様としては後述の強制わいせつ罪より軽いものであり、罰則は6か月以下の懲役または50万円以下の罰金(常習は1年以下の懲役または100万円以下の罰金)となっています。
②強制わいせつ罪
痴漢の内容が身体を触る程度にとどまらない場合、上記迷惑防止条例違反ではなく強制わいせつ罪に問われる可能性が出てきます。
強制わいせつ罪は、①相手方の抵抗を困難にする暴行または脅迫と②わいせつな行為を以って成立します。
ただし、相手方が13歳未満の者であれば①の要件は不要となります。
わいせつな行為の例としては、膣や肛門に指を入れる、無理やりキスをする、激しく胸を揉む、といったものが比較的多く見られます。
強制わいせつ罪の罰則は6か月以上10年以下の懲役なので、痴漢の中でもかなり罪が重くなることが見込まれます。
【痴漢事件における示談】
痴漢事件においては、被害者と示談を締結して不起訴を目指すことが重要な活動の一つです。
そのためには示談交渉が不可欠ですが、交渉に当たっては注意すべき点があります。
まず、痴漢のような性犯罪の被害者は、示談交渉を円滑に行うのが困難な場合が多々あります。
被害者としては恐怖や怒りを覚えるのが通常であり、関わりたくないから交渉の一切を拒絶すると言われることも珍しくありません。
特に、上記事例のように被害者が未成年であれば、交渉の相手方が保護者となるためいっそう示談交渉をしづらくなります。
また、仮に示談交渉に着手できたとしても、足元を見られて過度に高い示談金を請求されることがあります。
相手方の心情からすれば無理もないかもしれませんが、それでもやはり線引きというものはあります。
以上のような難点は、弁護士が介入することで打破できる可能性が高いと言えます。
示談できれば不起訴になる可能性はぐっと高まるので、痴漢をしてしまったらすぐに弁護士に相談してください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件の経験豊富な弁護士が、一日でも早い示談の締結に向けて迅速に弁護活動を行います。
ご家族などが痴漢の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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強制わいせつ罪で保護観察
強制わいせつ罪で保護観察
高校2年生のAさんは、学校から帰る際に福島県伊達郡にある公園の前を通っていました。
公園からさほど遠くないところには小学校があり、公園は小規模ながらもその小学校の児童の遊び場となっていました。
ある日、Aさんがその公園の前を通りかかったところ、小学校低学年から中学年の女子児童Vさんが1人で遊んでいる姿が目に入りました。
そこで、Aさんは児童に「お医者さんごっこしよう」と声を掛け、児童の服を脱がせて胸や性器を触りました。
その現場を偶然通りかかった警察官が目撃し、Aさんは強制わいせつ罪の疑いで福島警察署川俣分庁舎に逮捕されました。
逮捕の知らせを受けたAさんの両親は、弁護士から「処分の見込みとしては保護観察の可能性もある」と説明を受けました。
(フィクションです。)
【強制わいせつ罪について】
強制わいせつ罪は、その名のとおり相手方に対して「わいせつな行為」を行った場合に成立する可能性のある罪です。
裁判例によれば、「わいせつ」とは、「いたずらに性欲を刺激または興奮させ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反すること」を指します。
「わいせつ」と言えるかどうか判断するには、具体的な行為をこの概念に当てはまるか検討する必要があります。
よくある例としては、胸を揉む、膣に指を入れる、無理やりキスをする、といったものが挙げられるかと思います。
強制わいせつ罪が成立するには、わいせつな行為の手段となる暴行または脅迫がなければならないのが原則です。
ただし、相手方が13歳未満の者であれば、例外的にわいせつな行為のみを以て強制わいせつ罪は成立します。
13歳未満の者は、性的意思決定を適切に行う能力が類型的に欠けていると考えられているからです。
上記事例では、AさんがVさんに対し、胸や性器を触るというわいせつな行為に及んでいます。
Aさんは「お医者さんごっこしよう」と声を掛けたに過ぎず、暴行や脅迫を加えたわけではありません。
ですが、Vさんは13歳未満の者に当たることから、先ほど説明したようにわいせつな行為のみを以て強制わいせつ罪が成立すると考えられます。
ちなみに、仮にAさんが性交に及んでいれば、強制わいせつ罪ではなく強制性交等罪となる余地が出てきます。
こちらについても、13歳未満の者が対象であれば暴行・脅迫は要しません。
【少年事件における保護観察】
罪を犯した者が少年(20歳未満の者)である場合、その事件は刑事事件ではなく少年事件となります。
通常の刑事事件では最終的に刑罰が科されるのに対し、少年事件では刑罰ではなく保護処分というものが行われます。
これは、少年の心身共に未成熟であることを考慮し、刑罰による制裁ではなく適切な指導・教育により非行を防止すべきであるという考えに基づきます。
少年に対して行うべき保護処分は、家庭裁判所での調査とそれに続く審判に基づき決定されます。
最終的な処分としては、そもそも審判を行わない審判不開始、審判の結果保護処分を要しないと判断した場合の不処分、何らかの措置を必要と判断した場合の保護処分があります。
保護処分が必要だと判断された場合、①保護観察、②児童養護施設・児童自立支援施設送致、③少年院送致のいずれかが行われます。
保護観察の決定を受けた少年は、保護司や保護観察官と適宜コミュニケーションをとりながら従前と同じように生活することになります。
ですので、保護観察が適しているのは、基本的に保護司や保護観察官の助けさえ借りれば更生が期待できる少年だと言えます。
もし保護観察を目指すのであれば、少年事件に詳しい弁護士に一度相談してみることをおすすめします。
保護観察を目指すうえで押さえるべきポイントを知っておくのは大切ですし、事件を依頼して活動を行ってもらえば保護観察の可能性はいっそう高まるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、少年事件に強い弁護士が、保護観察を含めて少年ひとりひとりにとって最良の処分を検討します。
お子さんが強制わいせつ罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。